【累計85億円調達】なぜ、グローバルの金融市場で「日本発」×「フィンテック」は勝ち筋なのか?

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「日本のスタートアップは、本当に世界で勝てるのか?」

特に、この問いが重くのしかかる領域がある。金融だ。そこは、許認可という名の高い参入障壁に守られ、巨大な既存プレイヤーがひしめく世界。さらに言えば、今回の挑戦はそのスケールが桁違いだ。2,000兆円超という日本の家計金融資産を源泉に、国境を越え、資金の流れそのものを変えるグローバルな金融プラットフォームを構築する──。スタートアップがこの難攻不落の市場で、しかも日本を起点に世界構造の変化に挑むなど、夢物語に聞こえるかもしれない。

しかし、その「不可能」とも思える挑戦に、真正面から取り組み、着実に成果を積み上げているスタートアップが存在する。ファンズ株式会社を中心とするファンズグループだ。

ファンズが手掛ける直接金融プラットフォーム『Funds』では、2019年1月のサービス開始から、累計募集額が1,000億円を超え(2025年10月末日時点)、その間、分配遅延・貸倒は一件も発生していない(*将来の運用成果を保証するものではありません)。金融という、信頼性が事業の根幹を成す領域において、この実績は特筆に値する。

だが、ファンズの真の異質さは、その安定した実績だけにあるのではない。同社の挑戦の航海に、各界のトップランナーたちが次々と合流しているという事実にある。

なぜ、元大和証券チーフクレジットアナリストの大橋俊安氏や、グローバルな投資経験を持つ元DCM Venturesの山越敬介氏といったプロフェッショナルたちが、この船に乗り込むのか。

2025年10月にシリーズEラウンドで18.3億円の調達を発表し、新たな世界へと踏み出したファンズ。その挑戦を解剖することで、冒頭に投げかけた「日本のスタートアップは、本当に世界で勝てるのか?」という問いへの一つの答えを探っていく。

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“知性”はなぜ集い、どこへ向かうのか。ファンズグループの全貌を解き明かす「4つのピース」

ファンズグループとは、一体何者なのか。その本質を理解するために、いくつかの側面からの景色をこの記事で上手く統合させていきたい。

今回、具体的には以下の4つの視点から多角的に解き明かしていく。

  • 【Who】なぜ“知性(プロフェッショナリズム)”が集うのか
    まず、この挑戦に惹きつけられたプロフェッショナルたちの言葉に耳を傾ける。彼らが安定したキャリアを捨ててまでファンズに参画した、そのパーソナルな理由こそが、この物語の最もリアルな入り口となる。(→セクション2
  • 【Why】彼らは、どこを目指しているのか
    次に、彼らを惹きつけた壮大なビジョンの核心に迫る。ファンズグループが描く「金融界のユニクロ」とは何を意味するのか。その目指す世界の解像度を上げていく。(→セクション3
  • 【How】いかにして、世界で勝つのか
    ビジョンを絵空事で終わらせない、極めて合理的な世界戦略を解剖する。なぜ「日本発」であることに意味があるのか。その論理的な勝ち筋を、客観的な情報と共に明らかにする。(→セクション4
  • 【まとめ】その戦略は、信頼に足るのか
    最後に、その戦略が机上の空論ではないことを、過去の挑戦の軌跡から証明する。幾多の困難を乗り越え、進化を遂げてきた歴史こそが、未来の実現可能性を担保する何よりの証拠となるからだ。(→セクション5

ファンズがメイン事業として手掛けてきたのは、個人が主に上場企業等に対し間接的に資金を貸し出すことができる資産運用サービス『Funds』。近年はそれに加え、ベンチャーデット事業等の別事業を営む子会社の複数設立、海外企業の株式取得、更にはシンガポールでの海外拠点設立など、目覚ましい多事業展開を見せている。

もちろん、一つひとつの動きも非常に強力なのだが、これらの動きは独立しているわけではない。彼らは「世界的な成長投融資プラットフォーム」という全く新しい金融機関の姿を描き、実現しようとしているのだ。

今回の徹底解剖取材を通じて、同社が掲げる「眠れる日本資本を世界の成長市場に繋げ、国境を超えた成長循環を生み出すグローバルな金融インフラを構築する」という共通の目的に基づいた、事業構想の真の強さが見えてきた。

提供:ファンズ株式会社

それでは、各領域で知見を極めた3名の巨人の足跡や声から見ていこう。

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【Who】私がファンズグループを選んだ理由──それぞれの“知性”が描く未来

なぜ、彼らはファンズグループを選んだのか。それは、異なる場所で、異なる視点から、日本の金融が抱える課題と可能性を見つめてきた3名のプロフェッショナルが、奇しくもファンズグループという一つの「解」に辿り着いた物語でもある。

彼らの共通点は、従来の金融の在り方や構造不全に課題を持ち、それぞれの領域において”成長循環を生み出すハブ(中心地)”のような存在を目指そうとしているという点にあった。


【個人投資家と上場企業を繋ぐ】市場構造の歪みを正す──
大橋俊安氏/ファンズ株式会社

まずフォーカスしたいのが大橋俊安氏。大和証券で長年チーフクレジットアナリストを務めた人物であり、現在はファンズの特別参与としてFundsプラットフォームの発展に力を注いでいる。

彼が長年抱いてきた問題意識は、日本の金融における「エクイティ(株式)」と「デット(負債・融資)」のいびつな構造にあった。(*)

大橋上場企業の株式(エクイティ)は、個人投資家でも誰でも自由に売買でき、企業に直接資金を供給できます。これが直接金融の世界です。

しかし、同じ上場企業に対するデットの世界では、資金供給は銀行を介した間接金融が主要な形態となることが一般的です。

リスクが高い株式への直接投資が許されているのに、よりリスクが低いデットの世界でそれができない。この構造について、「とても合理的だとは言えない」と私は常々思っていたんです。

大橋氏(提供:ファンズ株式会社)

この構造を是正し、個人がデットの領域においても上場企業に直接資金を供給できるような「直接金融」を拡大することこそ、大橋氏が追い求めてきたライフワークだった。その想いは、2024年9月に上梓した著書『社債市場の未来』(東洋経済新報社)にも結実している。

その彼にとって、格付けを保有していない上場企業と一般の個人投資家を直接結びつけるファンズのビジネスモデルは、衝撃的だったという。

大橋60歳の定年を迎え、前職と近い立場で社債についての仕事を今後も続けていくのだと考えていた私の老後の生活は、ファンズ代表の藤田に会うことで、一変することになりました(笑)。

今お話しした「私が長年やりたくてもできなかったこと」に、ファンズはスタートアップとして取り組み、大きな実績を積み重ねていた。その裏側と、これからのさらなる挑戦について藤田から直接聞いて、「自分の残りのキャリア・人生を注ぎ込むべき会社だ!」という確信を持ちました。それで、すぐに参画したいと思ったんです。

*Fundsでは株式の取り扱いはありません


【機関投資家とスタートアップを繋ぐ】銀行の“枠組み”を超える──
小島崇氏/Funds Startups株式会社

大橋氏が推進する「日本の上場企業向け資金供給に、直接金融で風穴を開けること」と志を同じくして、この船に乗り込んだのが、「日本の非上場企業向け資金供給に、ベンチャーデットで風穴を開けること」を推進する小島氏だ。小島氏は、新生銀行(現SBI新生銀行)で日本のベンチャーデット市場の黎明期をかたちづくって来た人物で、現在Funds Startupsでベンチャーデットファンドの運営に携わっている。

小島銀行には、企業を評価するための画一的な枠組みがあります。その枠にはまらないベンチャー企業に融資をするのは、非常にハードルが高い。新しい枠組みを作ることも、様々な規制や既存ビジネスに縛られる銀行にとっては非常に困難です。

そんな中、ファンズグループは銀行など従来の金融の枠組みの外にいるからこそ、常識にとらわれず、ベンチャー企業の実態に即した自由な基準で評価・判断ができています。

小島氏(FastGrowでの2024年インタビュー時)

Funds Startupsが手掛けたLocationMind株式会社に対するデットファイナンスは非常に象徴的な事例だ。アメリカのIrysという新興企業を買収するための資金の調達に使われたのだ(プレスリリースはこちら)。「ベンチャー企業」への融資というだけでも難しいのに、「買収目的」という使途、さらにその対象は「海外」の「新興企業」という、三重にも四重にも難度の高い案件だった。

また、1号案件としての支援先だったディープテックスタートアップのアイリス株式会社は、Funds Startupsによるベンチャーデットでの調達から順調に事業化・収益化を進めたことで、2025年8月に国のユニコーン・プロモーション・プログラム(UPP)の第1号事業として採択された(プレスリリースはこちら)。これによって、当社は数十億円規模の政府からの資金援助を受けられることとなった。

これらは、多方面から評価を集めるディープテックスタートアップに対して、早期に適切な評価・判断ができた事例としても振り返ることができる。

まさに、ファンズだからこそ実現できた挑戦だったといえ、小島氏もやりがいを覚えた事例になったのだという。

小島現在Funds Startupsでは銀行から出資を受け、当社を介してベンチャー企業に投資するという形をとっていますが、今後はベンチャーデットをれっきとした金融商品として確立させ、銀行に留まらないより広い機関投資家から資金供給を受け、ベンチャー企業へ還流させることができる基盤を創っていきたいと考えています。


【日本と世界を繋ぐ】日本の“地の利”を世界へ──
山越敬介氏/FUNDS IGC PTE. LTD.

そして、こうした課題の視点は、国境を越える。日本の有り余る資本と、成長著しいアジアの企業群。この両者を繋ぐことに大きな機会を見出していたのが、山越敬介氏だ。DCM Venturesでの投資家としての顔を持つ一方、そのキャリアの神髄は、EdTechスタートアップのQuipperで米国・アジア事業の立ち上げを担った経験にこそある。つまり同氏は、ゼロから事業の枠組みを構築する「ビルダー」だ。現在は、ファンズが海外事業統括拠点としてシンガポールに新設したFUNDS IGC PTE. LTD.のCo-CEOとして海外事業の立ち上げを牽引している。

山越私の場合はやりたいことが明確で、ファンズとそのベクトルが見事に一致しました。

独立して貿易プロジェクトなどを進める中で、トレードファイナンス(*)の必要性を海外の現場で、肌で感じていました。日本の投資家は、国内の低金利環境下で、より高いリターンを求めている。一方で、東南アジアなどの企業は、現地では15%にも上るような高い金利でしか資金調達が難しい状況にあります。

この両者をマッチングさせることに強い意義と可能性を感じていたため、ファンズの構想を聞いた時にはまさに私がやるべきことだと、胸が熱くなりましたね。

*……貿易取引(輸出入)を円滑にする金融の総称。銀行が輸出者への早期の資金化や輸入者の支払い保証などを担うことで、代金未回収リスクや資金繰りの不安を軽減し、企業間の安全な国際取引を支える仕組み

必要な場所へ、適正な調達コストで資金が供給される。山越氏らは、まさにこうした目指すべき金融の在り方を国境を越えて実現するため、ファンズグループの新規事業として動き出したのである。

山越アジアのプライベートクレジット市場は、今後10年で飛躍的な拡大が期待されています。特に、デジタル技術を活用した金融アクセスの拡大や、柔軟な資本供給を必要とする新興国市場へのソリューションは、社会的意義と収益性を兼ね備えた挑戦領域であると捉えています。

日本とグローバル市場を双方向につなぐファイナンス・エンジンのような役割を我々が担い、持続可能な成長循環を実現させたいですね。

三者三様の視点から見つめてきた課題と可能性。それらが、ファンズグループという一つの「舞台」の上で交差し、日本の金融を、そして世界の資金の流れを変えるための、巨大なうねりとなろうとしている。

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【Why】彼らは、どこを目指しているのか──未来を拓く“羅針盤”

今や、多様なプロフェッショナルたちがそれぞれの課題意識の先に同じ「解」を見出した場所でもあるファンズグループ。では、彼らを惹きつけてやまない未来のビジョンとは、一体どのような世界なのか。CEOである藤田雄一郎氏は、その壮大な構想を、力強い比喩で表現する。


金融の「ユニクロ」を目指す。

藤田よく社内外で金融版の「ユニクロ」を目指そうという話をしています。ユニクロさんが「LifeWear」というコンセプトで世界中の普段着の概念を塗り替えたように、我々も、これまでにない革新的な金融プロダクトを自ら企画・製造し、それを直接顧客に届けることで、資産運用と資金調達の常識を変えていきたいと考えています。

我々の事業モデルも、近い構造をしています。従来の金融機関では、「プロダクトをつくる会社」と「顧客に届ける会社」が別々であることが当たり前でした。一方で、我々はそこを一気通貫でやれる製版一体型になっている。その点でユニクロさんに近いと考えています。

藤田氏(FastGrowでの2023年インタビュー時)

藤田氏の言葉を紐解こう。

世界中から最適な「成長機会」を見つけ出し(商品企画・製造)、それを日本の個人投資家に直接届ける(直接販売)。

この「製造小売業(SPA)」にも似た一気通貫のモデルこそが、ファンズの競争力の源泉であり、日本国内で急成長を遂げてきた所以でもあるのだ。

セクション2で大橋氏が指摘した、「間接金融」の構造。ファンズが目指すのは、テクノロジーの力でその仲介をなくし、誰もが主役になれる「直接金融」の世界。その実現を、このユニクロ的な構造が支えている。


スマートフォンから、世界の成長へ

そして、目指す未来の姿もユニークだ。

藤田個人の方が、自宅のソファでくつろぎながら、スマートフォン一つで海外の優良企業にFundsを通じてお金を貸し出せる。そんな今までなかった新しいユーザー体験を当たり前にしていきたいんです。

ファンズのプラットフォームではすでに、洗練されたUI/UXを通じて、個人が1円単位で様々な企業の貸付ファンドに投資できる。この手軽さと透明性こそが、壮大なビジョンを実現するための、そして2,000兆円を超える日本の家計金融資産を世界の成長へと繋ぐための、具体的な「一歩」なのである。

壮大なビジョンと、それを誰もが実感できるプロダクト。しかし、これだけでファンズの全貌がわかるとまとめてしまうのは早計だ。この構想が、いかにして「絵空事」ではなく、「実現可能な戦略」となるのか。次章では、その核心である、極めて合理的な世界戦略を解剖していく。

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【How】いかにして、世界で勝つのか──日本の“構造的優位性”という勝ち筋

このように、ビジョンは壮大だ。だが、金融のプロフェッショナルたちが納得するのは、その実現可能性の高さが示された時でもある。この点を、セクション2で紹介した面々の参画がそれを物語っているようにも見えるが……改めて、戦略性について深掘りしよう。

ファンズグループの海外戦略はもちろん、理想論や精神論ではない。それは、日本という国が持つ極めて有利な条件を最大限に活用した、論理的かつ再現性の高い「勝ち筋」に基づいたものとなっている。


なぜ「日本発」であることに意味があるのか

CFOの前川寛洋氏は、グローバル戦略を考える上で、常に二つの問いを立てるという。まずその一つが「Why Japan(なぜ日本からやるのか)」だ。

前川「お金に色はない」という特性上、金融事業におけるローカライゼーションの壁は、相対的に低いとも言えます。

実際の売り買いの現場では、最も経済合理的つまり”安い”条件を提示できれば、選ばれるはず。この点で「Why Japan」が活きます。

日本は世界的に見ても安全資産国と見なされており、政策金利が低く抑えられています。つまり、資金の「調達コスト」が極めて低い。この「地の利」が最大の武器になるんです。

前川氏(FastGrowでの2023年インタビュー時)

この「地の利」は、客観的なデータを見れば一目瞭然だ。2025年に確認できる各国の政策金利は、日本(*1)が約0.50%であるのに対し、中国は約3.00%(*2)、香港は約4.25%(*3)、台湾は約2.00%(*4)、韓国は約2.50%(*5)、シンガポールは約1.45%(*6)、インドネシアは約4.75%(*7)と、アジアの中でも著しい金利差が存在している(いずれも定義が微妙に異なるため、あくまで参考値として比較できるにとどまる)。

*1……日本銀行の2025年10月発表「当面の金融政策運営について」での「無担保コールレート」

*2……人民日報の2025年5月報道で紹介された「one-year loan prime rate(1年物ローン・プライムレート)」

*3……香港金融管理局の2025年10月30日リリース「Adjustment of Base Rate」から

*4……台湾中央銀行公式ページで公表しているDiscount Rate(2025年11月5日確認)

*5……韓国中央銀行公式ページで公表しているBase Rate(2025年11月5日確認)

*6……A Singapore Government Agency Website内、Finance and Insuranceページで公表されている2025年9月の3-month Compounded Singapore Overnight Rate Average

*7……インドネシア中央銀行公式ページで公表しているBI-Rate(2025年11月5日確認)

この構造が意味するのは、ファンズが日本の投資家から低コストで資金を調達し、海外ではより高い金利で運用することで、必然的に利鞘が生まれるということだ。

前川例えば東南アジアでは、優良企業であっても、10%や15%といった金利で資金調達せざるを得ないケースがよくあります。

そんな企業に対してもファンズなら、日本の安い調達コストを背景に、ひと桁%の安い金利で資金供給が可能になるんです。非常に強い競争力を持っていると言えます。

この絶対的なコスト優位性に加え、ファンズにはもう一つの無形の武器がある。それが「ジャパンブランド」という信用力だ。

山越特に海外では、マネーロンダリング対策などで資金の出所が厳しく問われます。その点、「日本のクリーンな資金である」ということは、借り手企業にとっても、現地の金融機関にとっても、大きな信用の証となります。

同じ金利であれば、「ファンズから借りたい」と思ってもらえるブランド価値。日本では当たり前すぎて意識しないこの「信用」もまた、グローバル市場における強力な競争力なのである。


なぜ「スタートアップ」でなければならないのか

そして、前川氏が立てるもう一つの問いが、「Why Startup(なぜスタートアップとしてやるのか)」だ。

ファンズが挑むのは、既存の金融システムの延長線上にある改善ではない。国境を越える資金の流れそのものを変える、非連続的な変革だ。その実現には、伝統的な枠組みを壊し、前例のない挑戦をスピーディーに実行できる「スタートアップ」という形態こそが、唯一にして最適な選択だったのである。

この現実こそ、大橋氏が指摘する日本の金融市場の構造的課題の裏返しでもある。ファンズは既存の金融機関とは全く異なる存在として、スタートアップならではの大胆な手法で、少しずつ新たな市場をこじ開けてきた。

前川金融という概念と事業がこれまでも発展してきたわけですが、その恩恵はまだすべての人にまで行き届いていないわけですよね。その金融という概念のど真ん中である「お金を集めて、運用して、増やして還元する」という機能を、全く新しい形でやろうとしてきたのが、スタートアップとしてのファンズなんです。

もちろんその過程では従来の金融機関と手を組むことも重要で、よい関係性を築けてきたとは思います。ですが、そのうえで、スタートアップであり続けることで、全く新しい挑戦を続けられるのだとも思うんです。

資金供給をもっと広げていくことで、さまざまな領域における経済成長に貢献し、これまでにない世界をつくる。だから必然的に、世界中に市場は広がるので、TAMの大きさも尋常じゃないと思います。

これがまさに、私たちの考える「Why Startup」の一つの答えなんです。

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【まとめ】その戦略は、信頼に足るのか──挑戦と進化の軌跡

ファンズがスタートアップとして挑戦を続けているという点は非常に重要であり、だからこそ前川氏が示した「Why Startup」という問いにフォーカスしてきた。

その一方で、「従来のスタートアップらしさ」からの脱却にも挑戦してきたという点が、もう一つのファンズの魅力だ。

藤田数年前に東証グロース市場の株価が暴落したことが、我々にとって大きな転機になりました。 それまでのように、将来期待だけでは株価がつかず、足元でしっかり利益を出していなければ市場で評価されなくなった。

この時、スタートアップ経営におけるゲームルールが明らかに変わったと強く感じました。それまでの我々の経営スタイルは、従来のスタートアップ業界の通説に従い、ワンプロダクトに集中し、GMVやトップラインの成長を最優先するものでした。しかし、市場の変化を受け、早期に利益を生み出すための経営へと直ちに舵を切るべきだと判断しました。

市場のルール転換を敏感に察知したファンズは、即座に経営戦略の転換を決断する。しかし、その転換は単なる守りの一手ではなかった。むしろ、それは日本の市場で勝ち抜くための、より本質的な戦略への進化だったと前川氏は語る。

前川日本のマーケットサイズを考えると、シングルプロダクトだけで売上も企業価値も成長させ続けるのには限界があります。

複数の事業を立ち上げ、連携させてグロースし、連結企業集団として大きくなる。そのための道筋をいかにして描くことができるか、経営の力が試される、非常に難しい課題が生まれたわけです。

中には、この変化にうまく対応できなかったスタートアップ・ベンチャー企業もいる。だがファンズは、メイン事業のFundsプラットフォーム事業を筋肉質に改善しつつ、収益性の高い不動産事業などを新たに立ち上げていった。

藤田ファンズ不動産』という新規事業は、既存事業とのシナジーはありつつも、事業の毛色が全く異なるものだったので、立ち上げはかなり大変でした。社内に「なぜ今、この事業なのか?」という疑問を持つメンバーもいました。

だからこそ、代表の私が立ち上げ現場に入り、強くコミットしました。「これからこの事業が非常に重要になる」という私の意志を示しつつ、このような新規事業の立ち上げが続くよう、身をもって伝えようとしたんです。

結果としてファンズ不動産は既に単体で黒字化を達成し、グループ全体の収益に大きく貢献する事業に成長しました。また、続く形で経営メンバーが子会社経営に挑戦するようになっていったのも非常に嬉しい動きですね。

この藤田氏の努力がまさに実を結んだのが、今のファンズグループの強さでもある。前川氏はCFOを務めながら、子会社としてスタートしたFunds Startupsの代表に就任し、責任者として奔走。見事な進捗を見せている。

そしてCLOの高尾氏はシンガポールに設立した海外事業統括拠点FUNDS IGC PTE. LTD.の代表に就任し、立ち上げに奔走している。

つまり、CEO藤田氏が経営思想を転換し、それに伴って新規事業へのコミットを強めたからこそ、海外進出の本格化がある。この戦略性・必然性が、見えてくるのだ。

加えて、シリーズEラウンドで18.3億円の調達まで、このタイミングで実現。VCのみならず、上場株/クロスオーバー投資家や香港のブティック型投資銀行等、複数の機関投資家が本ラウンドに参画し、ファンズグループが描く未来に期待を寄せる。

この調達ラウンドの実現自体が、日本のスタートアップにとってまだまだ数少ない挑戦であり、高難度なものだった。それでも、これまでの事業の積み上げ、そして今後の戦略性が評価され、実現に至ったところなのである。

前川新規事業の中でも、特に海外進出は、タイミングこそが最も重要です。市場の環境や自社の状況を鑑みて、「今しかない」と考えました。投資家からも理解や期待をいただけたのは本当にありがたい話です。

そもそもシリーズEまでラウンドが進むスタートアップは、日本ではまだ珍しいので、調達活動も手探りになる場面は多かったのですが、なんとか乗り越えられました。メンバーがこれまで頑張って実績を積み重ねてくれたからだと感じています。

ですがこれから、さらに難しい挑戦の連続になるということでもあります。より一層、全社で気を引き締めて、頑張っていきたいですね。

藤田ベテランから若手まで、新たな挑戦をしたい人がたくさんのチャンスをつかめる会社です。大橋のように60歳の定年を機にジョインしてくれた方も入れば、20代で経営メンバーとして活躍している人もいます。

年齢は関係なく活躍できる──という言葉はよく聞かれるが、ここまでわかりやすい例は稀だ。今後もさまざまな出自のプロフェッショナルを採用し、さらに強い組織をつくっていくという。

本稿の冒頭で、我々は一つの問いを投げかけた。「日本のスタートアップは、本当に世界で勝てるのか?」と。

その問いに対する答えのように、ファンズグループの挑戦は、極めて論理的な「勝ち筋」を示しているように思える。

藤田我々は世界的な成長投融資プラットフォームとして、日本と世界を巻き込んだ巨大な資金環流を生み出していきます。ファンズが存在する前と後で、世界の資産運用や資金調達が変わったと言われるようなインパクトを創出していきたいと思います。


ファンズ株式会社

こちらの記事は2025年11月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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