借りながらマイホームにできる住宅サービス、ショートムービーマーケティングの注目スタートアップが登場──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社Minoru、株式会社TORIHADAの2社(登壇順)だ。
- TEXT BY OHATA TOMOKO
- EDIT BY YUI TSUJINO
Minoru
誰もがマイホームを持てる社会を目指す“譲渡型賃貸”サービス
最初に登壇したのは、譲渡型の賃貸住宅サービス『家賃が実る家』を開発・運営するMinoru取締役COOの三方浩允氏。
『家賃が実る家』は、新築の住宅に住みたい人と不動産投資家をマッチングするプラットフォームだ。
マイホームを持ちたい入居者は、アプリまたはサイトから、エリアや賃料、設備など建てたい家をプランニング、毎月の家賃や期間を決定する。入居審査を通過し、物件の大家となる不動産投資家とマッチングが成立すれば、工事、入居となる。入居後は家賃を払い終えると、オーナーから物件が譲渡される仕組みだ。
利用者は主にフリーランスや個人事業主、中小企業の役員など。2021年7月時点で7,762名が入居を希望し、会員登録を行っている。
三方氏は「家賃を掛け捨てにせず、資産に変えられる」ことが大きなメリットだと語る。
三方一般的な賃貸住宅は、家賃が大家さんの収益になるため、払い続けても掛け捨てになってしまいます。『家賃が実る家』を活用すれば、賃貸を払い続けることでマイホームとして受け取ることができる。
また、サラリーマンや公務員の中には、マイローンを組むことで家賃補助を打ち切られやすい方もいらっしゃいます。しかし、『家賃が実る家』は賃貸補助を活用しながら、マイホームを手に入れられます。
また大家となる不動産投資家にとっても「将来的にその物件を持ち家にする予定の入居者が前提になるため、入居者による家賃変動や退去がほぼなく、安定した利回りを出せる」と三方氏は語る。
新たなサービスとして『家賃が実る家 for フリーランス』も展開している。これはフリーランスや個人事業主など、住宅ローンを組むことが難しかった入居者が、賃貸住宅の延長で住宅ローンを組めるサービスだ。
住宅ローンを組みたい入居者が、住みたい物件に約3〜5年ほど賃貸として居住した後に、住宅ローンに切り替えられるようサポートする。主に都心のマンションタイプの物件が中心となっている。
三方住宅ローンを組むには、十分な頭金に加え、与信審査に通ることも必要になります。正社員に比べ、フリーランスや個人事業主にとって、それらは高いハードルになっていました。
『家賃が実る家 for フリーランス』では、そういった方も家賃を払っている間に頭金を確保するだけでなく、与信を改善していくことができます。
また、弊社では今後の3年間の与信を判定する「みらい与信」も独自開発し、より精緻に信用力を評価できる仕組みを整えています。
さらに、toB向けの福利厚生サービスとして、一定期間会社に勤め続けると、マイホームを受け取れる「マイホームがもらえる会社」も展開。地方の上場企業、複数社で導入されている。
三方氏は「特に地方企業ですと、事業継承や幹部候補の採用に苦戦している会社も少なくありません。そうした企業の採用力強化や離職防止などにも貢献できると考えています」と語った。
独自の仕組みを軸に幅広いサービスを展開する同社。「ファンドを組成し、バックファイナンスも強化していきたい」と展望を語り、ピッチを締めくくった。
TORIHADA
クリエイターを応援し、鳥肌が立つ感動を届ける
続いて登壇したのはTORIHADAの大社武氏。
『TORIHADA』では、ショートムービーのマーケティング事業や広告代理店事業を展開している。特にTikTokの広告案件を数多く企画・制作している。
子会社のMCN『PPP STUDIO』は、TikTokクリエイターを束ね、収益化支援やマネジメントを行う。多様なジャンルの180人以上を超えるTikTokクリエイターが所属し、TikTokのMCNとしては国内最大規模を誇る。
TORIHADAでは、発注を受けた広告主のニーズに応じ、PPP STUDIOからクリエイターをキャスティング、配信まで一気通貫で行う。クリエイターを活かした提案を行うことで「両社の利益とクリエイター活動の成長を最大化している」と大社氏は語る。
大社氏はTikTokに注力する背景として、ショートムービーマーケティング市場の成長について言及した。
大社YouTubeのような長尺動画が中心のアプリに比べ、TikTokやInstagramのように短い動画を見られるアプリが年々ユーザーを伸ばしています。平均月間消費時間の推移を比較してもTikTokが圧倒的です。
また、TikTokに限らずInstagramやYouTube、LINEタイムラインなどでもショートムービーを使った広告が登場しています。今後も国内外問わずショートムービーコンテンツ市場は拡大していくと考えられるでしょう。
また、TORIHADAではクリエイター向けのマネタイズプラットフォーム『Fanme』も運営している。
Fanmeでは、クリエイターはサブスクリプション型メンバーシップやドネーション、クラウドファンディング、ファン限定のECショップなどを運営・管理できる。ファンと直接関係を深められる仕組みだ。さらにファンの行動履歴に基づいて最適なアクションのレコメンドを受け取れる。
大社氏は「クリエイターはよりサステナブルな形でマネタイズを実現できる」と語る。ファンも直接クリエイターとつながり、応援できる仕組みだ。
最後に、大社氏はTORIHADAのミッション「意志ある個人を応援し、新しい経済を作る。」について、想いを共有した。
大社AIによって世の中が進化したとしても、感動は人間らしい価値として深く根付いているものだと信じています。「鳥肌が立つ感動を作り、世の中を良くする。」とビジョンに掲げているように、コンテンツを創造し、適切に届け、共感を拡散することで、世の中に大きなムーブメントを起こしたい。
5Gの到来に伴い、YouTubeやTikTokを始めとした新しいコンテンツメーカーが流行を作るに違いありません。私達はクリエイティブ・デジタルマーケティングを活用し、個人を応援して新しい経済を次々と生み出していきたいです。
今後、PPP STUDIOにおいては、海外進出も視野に入れていると語る。「セールス、広告運用、クリエイターマネジメントなど採用募集中ですので、ご興味ある方はWantedlyからご連絡ください」と参加者に呼びかけた。
採用情報
今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。
こちらの記事は2021年09月30日に公開しており、
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執筆
大畑 朋子
1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。
編集
辻野 結衣
1997年生まれ、東京都在住。関西大学政策創造学部卒業し、2020年4月からinquireに所属。関心はビジネス全般、生きづらさ、サステナビレイティ、政治哲学など。
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