連載株式会社GA technologies
取引先から社員に!?
電通のコミュニケーションデザイナーが「不動産屋」に見えるGA technologiesに移った理由
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既存のレガシーな産業にテクノロジーを掛け合わせ、イノベーションを起こすX-Tech。FinTech、HRTech、AdTechなどに続き、ReTech(Real Estate(不動産)×Technology)があつい。この領域で事業を展開し、創業わずか5年で上場し、もっとも世間からの期待と注目を集めているのがGA technologiesだ。同社には、顧客が社員となるケースが相次いでいる。その理由について、Chief Communication Officerの川村佳央氏に聞いた。
- TEXT BY TOMOMI TAMURA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
AIによるスコアリングが信頼を生んだ不動産投資
川村さんは、もともとGA technologies(以下:GA)でマンションを購入したお客さんだったと伺いました。
川村そうなんです(笑)。不動産投資はなんとなくイメージ的に怪しいと思い込んでいて絶対にやらないつもりだったのですが、電通の親しい後輩に「不動産にAIを活用している面白い会社があるから会ってみませんか」と言われ、それは勉強がてら話だけでも聞いてみようと興味本位でお話を伺ったのがきっかけでした。
それも、話を聞くだけで購入まではしないと思っていたのに、会って3時間後には申し込みしたんですよね。
どういうことでしょうか(笑)
川村そもそも不動産業界って、外から見ても分かりやすいくらいに情報の非対称性があると感じていたんです。客観性がない業界だなと。だからこそAIを活用しているという話には興味があったんです。
で、GAの話を聞いて面白いと思ったのは、人ではなくAIが物件のスコアリングをしていたこと。膨大な中古物件のアナログな情報をデータベース化し、過去の売買データを参照することで、価値が落ちにくくリセールバリューの高い物件を予測して順位づけしていた。
その上位のものだけを仕入れて販売しているので、当初抱いていた「不動産投資の不透明さと怪しさ」を感じなかったんですね。試しに「いま購入できるワンルームマンション」を見せてもらったら、どの物件も納得がいくものばかりで、システムの優秀さに驚きました。
1時間ほど話を聞いて帰宅し、家族に相談してすぐに申込みをしました。現在は複数の部屋を所有していますが、この1年間で空室が出たのは1部屋だけで、それも2日のみ。不動産というレガシーで不透明な業界に、AIやテクノロジーの力が加わることの価値を実感しました。
GAに足りないピースは自分かもしれない
その後、2018年7月にGAに入社されていますが、その経緯を教えてください。
川村当時、僕は電通のCDC(旧名:コミュニケーション・デザイン・センター)という部署で、広告の企画制作やクライアントの事業開発、PR、イベントなど、手段を限らないあらゆるコミュニケーションの企画・実行に携わる、コミュニケーションデザイナーの役割を担っていました。電通のCDCという部署は、広告業界の代表選手が揃っているような、豪華で贅沢な職場でした。
僕がGAで物件を購入して数ヶ月後、GAから「関西エリアでCMのテストマーケティングをしたい」という依頼がきたんです。電通社内には、GAでマンションを購入した顧客が当時30名以上いたので(笑)、クライアントの魅力を十分に理解しているであろうそのメンバーでチームを組んでTVCMを制作しました。
それをきっかけに、僕はGAの事業に外部から関わるようになり、この頃から、社長の樋口から「GAに来てくれないか」とお誘いを受けるように。ただ、個人的には、少なくとも2020年の東京オリンピック・パラリンピックを終えるまで、電通を辞める気はまったくありませんでした。
退職する気はなかったのに、なぜGAへのジョインを決めたのでしょうか。
川村一緒に仕事をするうちにGAの内側を深く知り、今後の成長の可能性をとてつもなく感じるようになったんです。外部の人間としてではなく、社内で実行する立場になれば、この会社の成長をもっとドライブさせられるのではないか、と。
当時のGAには僕のような「コミュニケーションを統合的にデザインする」役回りの人がいなかったので、もしかしてGAに足りないピースは僕なのではないかと思いました。
そう考えていた2018年5月末、樋口から「お仕事をお手伝いいただくなら、同じ船に乗って同じ景色を見たほうが絶対楽しいですよ」と言われ、ほぼ即決で入社を決めたのです。
今は不動産×テクノロジーの「ReTech」領域で事業展開していますが、GAが実現させたいのは、レガシーな業界×テクノロジー、いわゆるX-Techの領域でさまざまな業界を刷新すること。これには可能性を感じるし、会社が出来上がってから参画したのでは遅いかもれない。入社するなら今かなと、直感的に思いました。
社外に対するあらゆるコミュニケーションを劇的に変えたい
入社して2ヶ月がたった今、どのようなことをしているのでしょうか。
川村電通時代と同じ部署名のコミュニケーションデザインセンターという組織をつくり、マーケティングや広報、オウンドメディアの編集、クリエーティブなどのスタッフで構成した約15名のチームを立ち上げました。
入社前から樋口には、「マーケティングとPRのチームを分けるような時代は終わりましたよ」と言っていたので、「統合したチームを作ってよ」ということになったんです(笑)。
このチームで目指しているのは、GAを取り巻く360度すべてのコミュニケーションのクオリティを高めること。広告やメディアへの露出、イベントなどはもちろん、世の中とGAのリアルな接点での体験もデザインしたいと思っています。
最近、GAは川崎フロンターレのオフィシャルスポンサーになったのですが、実はその背景には弊社の取締役の樋口大がもともとジュニアユースからユースの6年間川崎フロンターレでプレーしていたという縁がありました。なので、スポンサーになった事実だけではなく、そこに至るストーリーもしっかり伝えていこうと、ムービーや、スタジアムでのセレモニー、試合当日の配布物など、熱狂的な川崎フロンターレサポーターの方への統合的なコミュニケーションを設計しました。情報に溢れた今の時代は、コミュニケーションの深度が問われている時代だと思うのです。
たとえばエージェントがお客さまと商談する場面もそうです。不動産は決して安い買い物ではないので、お客さまが契約書にサインをする際にその場を高級感のある演出にするにはどうしたらいいか、、エージェントを交えて体験のデザインの議論をしています。これもコミュニケーションデザインの範疇です。
他にも、会社が主催するイベントも、ロゴやデザインのクオリティを高めたい。そうした細かい部分を含めて、GAが世の中と接触するすべてのコミュニケーションを劇的に変えたいと考えています。
これから早い段階で実現させたいのは、GA technologiesという社名と、サービス「Renosy(リノシー)」を広め、GAがこれからどんなことをしようとしている会社なのかを広く知っていただくこと。
インターネットの掲示板などで書き込みを見ていると、間違ってはいないのですが「マンション販売を行う不動産屋」だと思われることが多いんですね。そうではなく、背景にあるテクノロジーやAIによるReTechの存在を知ってほしい。
まずは、不動産の業務全体をテクノロジーで最適化しますが、次は不動産と親和性の高い金融や保険、建設など、レガシーな業界をテクノロジーで刷新していく。業界に変革を起こすテックカンパニーとして、さまざまな課題を解決しながら、社会を変えていく姿を多くの人に見てもらいたいと思っています。
GAはこれから一気に成長を加速する
これから、どのような方に仲間になってもらいたいですか?
川村GAはまだ約200名の組織なので、完成された会社とは違い、一人の存在で会社の価値や空気を変えられるサイズ感です。ただ引っ掻き回してほしいということではなく、会社を伸ばしていく過程に対して、自分の専門性でどこまで貢献できるのか、挑戦したい方にはぜひ来てもらいたいですね。このタイミングで飛び込めば、とてつもない役割を持つことも可能です。
よく、会社選びで、ベンチャーと大企業が対立構造になりがちですが、僕はどちらが良い悪いではないと思っています。何か新しいことをやろうとしたとき、ベンチャー企業はスピード感を持って次々とチャレンジしやすいし、裁量もあるでしょう。ただ、実行するためのお金や人など足りないものはある。
一方、大きな会社は決断までものすごく時間がかかるし、頓挫することもありますが、GOが出たときに決裁されるお金の規模や巻き込めるパートナー、社会に与える影響がものすごく大きい。「大きな岩」を転がすのは相当時間もかかるし苦労しますが、一度転がりだすと物凄いスピードで進んでいくのと同じです。
ベンチャーがスピード感あるからいいと言うのも、大企業はベンチャーにないスケールで仕事ができるからいいと言うのも、どちらも正しい。どちらの方が良いという話ではないので、できることなら両方を経験すべきだと思うんですね。
今のステージのGAなら、ベンチャーらしさを発揮して新しいことに挑戦しながら会社の成長を作っていけます。そして、いずれ1000人、3000人規模になったとき、そのスピード感を持ったまま、社会に大きなインパクトを与えることを実現できるはずです。
2013年に創業、2018年7月に上場を果たし、これから一気にドライブをかけていこうとしている今のフェーズで参画すれば、自分の力を大いに発揮しながら両方を経験できると思っています。
こちらの記事は2018年09月25日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
田村 朋美
写真
藤田 慎一郎
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