【反則級AI SaaS?】導入企業が月1,000万の売上純増!エンドユーザーの脳内を“透視”する8名の精鋭、InsightXの正体とは
Sponsoredオンラインでの買い物、便利すぎる!──と本気で感じている人は、まだまだほとんどいないだろう。特に、
「今の気分のインテリアに変えたい」
「なんとなく、春っぽい服が欲しい」
そんな、うまく言葉にならない「感性」や「直感」を、GoogleやAmazon.comの検索ボックスは受け止めてくれない。私たちは膨大な商品リストの海を、「カテゴリー」や「タグ」などの機能を何とか活用しながら、「欲しいと思えるもの」を探し当てることに精神と時間をすり減らしているとも言える。
2025年12月にシリーズAラウンド1st closeで6億円の調達を発表(プレスリリースはこちら。なお2026年初頭での2nd closeも予定している)したInsightXが、この領域で革新的な挑戦を始めている。掲げるミッションは、「事業者の情熱をユーザーの感動へつなぐ」だ。
彼らは、クリック・タップやスクロールといった指先の微細な動きを捉え、ユーザー自身も気づいていない深層心理を“透視”する。それにより、検索する前に“答え”が目の前に現れるという世界線を描いているのだ。NetflixやSpotifyがエンタメの世界で実現したような、自分の好きなものだけが自動的に広がる体験──それを、インターネット上のあらゆる場所で、当たり前のインフラにする。
今はアパレルEC向けのサービス提供に特化しているため、単なる「ECツールベンダー」とみている者もいるだろう。だがそれは、Appleを「電話機メーカー」と呼ぶような、短絡的な見方だ。
「人生をかけて起業したから、“本質的でないもの”などつくりたくない」と叫び、売上の立つ祖業を捨てたピボット。その後、2年以上に及ぶ泥臭いPoCを経て、「クライアント企業に対し月1,000万円以上の売上純増」をもたらすプロダクトを生み出した。顧客単価は一般的なSaaSの創業フェーズと比較して段違いに高く、投資家からの期待も大きい。
この常識外れのスピードと成果を生み出しているのが、わずか8名の精鋭チーム。東大卒でベイン・アンド・カンパニー出身の共同代表2名、Kaggle Master2名、イギリスの大学院を出た2名など、ハイスペックなプロフェッショナルたちが集う。
本稿では、そんなInsightXの実績と戦略を、どのメディアよりも早く、詳らかに解剖していく。静かに、しかし確実に進行している「ポスト検索時代」の幕開けのど真ん中で、どのような変革を起こそうとしているのか。見逃し厳禁だ。
人類の「探す時間」をゼロにする──検索では救えない、永遠の“すれ違い”
国内BtoC-EC市場規模は、2024年時点で26.1兆円(経済産業省調べ・予測値含む)に達し、なおも拡大を続けている。Amazon.comは取扱商品数が数億点を超えるほどに拡大している。
つくり手は「こんな商品があれば暮らしが豊かになる」という情熱を込めてプロダクトを世に送り出す。しかし想像の通り、多くの廃棄が起こっているのも現代の大きな社会課題だ。
そんな中で消費者は、そうした商品・プロダクトの販促のため“無尽蔵”に生み出される情報の波に飲み込まれている。無限に近い選択肢の前で立ち尽くし、本当に欲しいものにはなかなか出会えない。目に映るポップアップ広告のほとんどを、ほぼ見ることなく閉じるばかりだろう。生成AIの登場で、この流れにはさらに拍車がかかっている。
取材内容等を基にFastGrowにて作成(DIGITALSILKの記事等を参照)
また、市場の爆発的な拡大に対し、私たち人間の「買い物」の能力は、もちろんほとんど変わらない。ある調査によれば、日本人が1日に買い物に費やせる時間は、平均してわずか26分程度、しばらく横ばいで推移しているという。
ここにあるのは、圧倒的な「商品・情報の供給過多」と、「認知・行動能力は有限であるという当たり前の事実」との間に生じた、埋めようのない断絶なのだ。
その結果、多くの人が、妥協的な消費を繰り返すか、あるいは「選ぶこと」そのものを放棄する。
InsightXはこの構造的な悲劇を、人々と商品の「永遠のすれ違い」と定義している。共同代表の一人、中沢氏の言葉を借りよう。
中沢今、世界は生成AIの進化により、さらにかつてない情報量の大波にのまれようとしています。ただでさえ過剰だった量の商品生産から、さらに無尽蔵に生まれる情報。それらがただ一方的に消費者に浴びせられ続けることになります。
私たちが目指すのは、その逆の世界です。大量のデータの中に埋もれた、一人ひとりの「幸せ」につながるインサイトを見つけ出し、最適な気づきが生まれるために必要不可欠な量の情報だけを届けること。それが、世の中を真に豊かにすると信じています。
検索窓は、もう機能していない
既存のECサイトの多くは、「検索」を前提に設計されている。だが、特にアパレルやインテリアのように「感性」が大事な領域において、検索はあまりに無力だ。「大人っぽいけどキメすぎないジャケット」などというニュアンスを、正確に検索できるキーワードなど存在しないからだ。
結果として多くのECサイトが「同じ色の商品が常に出る設定でのレコメンド」や、「誰にでも当てはまるような無難なランキング」「季節に合わせた毎年ほぼ同じの新着情報」といった特集ページでお茶を濁すことになる。これでは、ユーザーの深層心理に入り込む「個の体験」に到底及ばない。
InsightXが目指すのは、既存のECサイトにポップアップを一つずつ新たに貼るような「追加機能」ではない。ECサイトというシステムそのものを、ユーザー一人ひとりに合わせてリアルタイムに再構築することである。
佐竹AmazonやNetflixのような巨大テック企業は、「レコメンド機能」の開発・改善に、莫大なリソースを投じることによって「自分の好きなものだけが無限にあふれる体験」を実現しています。しかし、それ以外の事業者は、どんなに素晴らしい商品を持っていても、理想的なパーソナライズドな体験を提供できずにいる。
InsightXは、巨大テックの特権だったこの「個のための体験」を民主化し、すべてのECサイトで当たり前に実現することを目指しています。
提供:株式会社InsightX
彼らが解消しようとしているのは、「CVRの改善」や「簡単なEC運用」などではない。人類が費やしている無駄な「探す時間」をゼロにし、その分を「楽しむ時間」や「愛する時間」へと還元する。それは、ECという枠を超えた、人間の可処分時間の革命だとも表現できるのだ。
EC支援業界では異例のスピードで「売上貢献1,000万円以上」のプロダクトを開発
同社が最初に変革を起こす場所として選んだのは、ファッション(アパレル)業界である。 2025年12月時点で、オンワード樫山(展開ブランドは『J.PRESS』や『23区』)、パル(展開ブランドは『CIAOPANIC』や『3COINS』)、アーバンリサーチ、ルミネといった国内有数のアパレル企業がこぞって導入を決めている。
なお、InsightXはこの業界を「参入のしやすさ」や「予算規模の大きさ」などから選んだわけではない。AIにとって「最も解析が困難」であり、かつ「攻略した際のリターンが最大化する」といった点で、“最難関の挑戦”になるからこそ、選んだのだ。
家電や日用品のレコメンドは、比較検討の軸がわかりやすい領域と言える。「容量」「機能」「価格」といったスペックデータが、購買決定において一定のウェイトを占めるからだ。対して、ファッションはその「軸」さえも曖昧だ。「サイズが合うか」は前提条件に過ぎない。私たちが服を選ぶとき、その決定打となるのは「なんとなくの雰囲気」や「今の気分」といった、極めて言語化しにくい「感性」の領域だからである。
この「感性」という、定性かつ曖昧で、日々移ろいゆくデータを、いかにして構造化し、アルゴリズムに乗せるか。これこそが彼らの挑む技術的な特異点だ。
「感性」の具体的なイメージ(提供:株式会社InsightX)
2年以上にわたる、膨大かつ緻密なPoC
「技術的な特異点」と一言で表現してしまったが、もちろん、戦略思考によってスマートに開発できたというわけではない。また、CTO岸本氏らエンジニアの技術力の高さによってすぐに形になったというわけでもない。
冒頭のリード文でも述べたように、2年以上もの間、売上はほとんど立たない状態でのPoC期間を過ごしたのだ。
複数の大企業にパートナーになってもらい、ECの現場で、緻密なA/Bテストを繰り返した。それは、「タイトルの文言を変えて、変化を見る」といった単純なものではない。たとえばトップページに掲載するコンテンツの順番変更やUIの細かな変更、対象ユーザー属性の区分けなど、多様な変数を扱う、複雑なテストの繰り返しだった。
PoCにおける各パートナー企業は、すでにそれぞれのECサービスで多くのユーザーを抱えていた。そのため、一つひとつの施策実行においてさまざまな調整が必要になった。そんな、普通であれば数カ月を要するような現場での仮説検証を、なんとInsightXは同時並行で一気に進めてきたのだ。その合計のA/Bテスト実施数は100件以上にのぼる。
そうして得られた検証結果を基に開発・進化させてきた「シェルフ型レコメンド」というプロダクトが、ここ1年間の急成長を生み出しているわけだ。
スタートアップがこのように長く複雑なPoCを続けるシードフェーズを過ごすことは、おそらく珍しい。前述のとおり、売上が増えることはなく、焦りも募る日々だったという。それでも敢えて、将来の理想に向け、強いこだわりを持ってこの緻密かつ地道な検証を続けてきたのだ。
プラットフォームとプロダクトの紹介(提供:株式会社InsightX)
「売上純増額1,000万円以上」という圧倒的な貢献価値
この苦渋の決断は正しかったのか。その答えは、すでに圧倒的な「数字」が証明している。
ある大手アパレル企業の導入事例では、InsightXの支援開始後、オンラインストア内の回遊数や購入数が明確に増加。そのインパクトは凄まじく、アップセルの決定が続くこととなり、導入からわずか1年の間に契約単価は2.5倍に拡大した。
また、本稿冒頭でも紹介した通り、月1,000万円以上の売上純増効果を、多くのクライアント企業にもたらしている。PoCを経て2025年に製品版をリリースしてからほんの数カ月間で、複数の大企業に対して同様の貢献を実現しているのだ。数多あるEC支援サービスの中でも、これだけスピーディーに、かつ再現性のある形で、大きな売上貢献を実現している例は稀だろう。
新規受注やアップセルは増え続けており、InsightX全体でのARR(年間経常収益)もたった半年ほどで2倍成長を達成、しかもその勢いはむしろ加速している。これだけでもSaaSスタートアップとしての急激な成長に見えるが、その強さの本質は「SaaS」というモデルにあるわけではない。同社が謳うのは「CX変革AIプラットフォーム」としての価値提供だ。
プロダクトを導入すれば売上が増える──という単純な話ではない。導入しつつ支援を受けることで、エンドユーザーと徹底的に向き合う仕組み・体制が構築され、売上インパクトの大きなCX改善施策を量産できるようになるというわけなのだ。
クライアントやエンドユーザーと、InsightXのチーム・プラットフォームとの関係(提供:株式会社InsightX)
なお、「どのように量産すべきか」の道は、企業によってまちまちである。その道筋をつくるチーム像がすでに見えているのも、同社の強みだ。まず最前線に位置するのが、世界線の拡大(≒新規開拓)を推し進めるエンタープライズセールスと、CX改善の実施(≒支援先ECの売上増加)やアップセル(≒受注額の最大化)を牽引するDS(Deployment Strategist *1)の存在だ。ベイン・アンド・カンパニー出身の共同代表、中沢氏・佐竹氏が縦横無尽に動きつつ、セールスはリクルート出身の今江氏、DSはStrategy&出身の角氏とデロイトトーマツコンサルティング出身の香取氏が担ってきた。
一方、テックサイドでは、Kaggle Master(*2)の称号を持つ岸本氏・中塚氏に加え新鋭・和田氏の3名が、FDE(Forward Deployed Engineer *3)としてクライアント企業と直接やりとりをしながら、スピーディーな開発による仮説検証サイクルの構築で売上増加に貢献している。
*1 Deployment Strategist……クライアント企業の事業成長を目的に、データ分析・仮説立案・CX改善施策などを担う、コンサルタント兼CSのような役割。InsightXでは、“売上インパクト創出の司令塔”となるようなイメージ
*2 Kaggle Master……世界最大級のAI・データ解析コンペ「Kaggle」で上位数%に入る卓越したデータサイエンティストに与えられる称号
*3 Forward Deployed Engineer……クライアントに深く入り込み、技術とビジネスを横断して高速に仮説検証と実装を行うエンジニアリングの専門職。InsightXでは、事業成長を生み出すあらゆるデータや仕組みを自律的に実装していく
提供:株式会社InsightX
クライアントの経営課題を深く理解し、単なるツール導入ではなく「事業成長のパートナー」として入り込む。セールス・DS・FDEが三位一体となることで、再現性も最大限に高める体制を構築しているのだ。
「FDE×汎用開発」が、業界の負を一掃するカギに
とはいえ、EC業界にはこれまでもさまざまなプロダクトやサービスが存在していたにもかかわらず、なぜInsightXは、新たに登場し、これほどの成果を叩き出せるのか。
セールスやコンサルティング(InsightXのポジションで言えばDS)の力、あるいはオペレーションの磨き込み・AIの活用など、多くの要因があるのだが、今回はトレンドにもなりかけているFDEというポジションを切り口に見ていきたい。
再掲:クライアントやエンドユーザーと、InsightXのチーム・プラットフォームとの関係(提供:株式会社InsightX)
多くの企業がデジタル施策を進める際、受託開発やパッケージ型SaaSという選択肢を検討する。しかしそこには、見えにくい構造的な限界がある。
「受託開発/SaaSの悲劇」とは何か?
受託開発における真の課題は、コードそのものではなく、その背後にあるビジネス構造にある。見積もり文化を前提とした契約形態では、スコープが事前に固定され、「つくって終わり」のサイクルが生まれやすい。結果として、継続的な価値創出や実験を通じた学習が構造的に制約される。
同様に、クライアントが自由に操作するUIを持つ一般的なSaaSも、提供される機能の範囲内でしか施策を実行できない。クライアントごとの独自ニーズや、市場環境の変化に応じた柔軟な対応が難しくなる。
InsightXが目指すのは、その対極にある世界だ。
受託開発の悲劇は、せっかくのコードが「その場限り」になること。一方、SaaSの悲劇は、機能が固定化され「価値創出が限定的」になることだ。
InsightXは、FDEを介在させることでこの問題を逆手に取った。 FDEはまず、目の前のクライアントのために特注の解決策(個別最適)を実装する。ここまでは受託と近い部分もある。そして、その成功事例を即座に「汎用プラットフォーム」の機能として抽象化していく。 A社で解いた難問が、翌日にはB社・C社が使える標準機能へと昇華されるのだ。
一社の成功が、全社の武器になる──PoCフェーズから引き続き、この思想で進化を続けるInsightX。その現場では、FDEがクライアント対応に汗をかきながら、常にプラットフォームを進化させているわけだ。この高速な知見の循環こそが、競合が追随できない圧倒的な強みとなっている。
たとえばPoCフェーズでは、大手企業のECサイトの本番環境において、2年もの間、100回以上のA/Bテストを実施してきた。そのプロセスを通じて蓄積された70以上の「勝ち筋」は、再現性のあるInsightX独自の資産だ。ここに、複利の力が働き始める。
一度成功した施策の知見は、次の企業での成功確率を高める。同じ轍を踏むことなく、新しい実験に挑戦できる。そしてクライアント社数が増えるほど、同時並行で行われる実験の数が増え、学習速度が加速する。これは「一社から他社への汎用化」がしやすいプラットフォームだからこそ実現できる構造だ。
結果として、InsightXは各企業の「やりたいこと」により深く向き合い、本質的な改善活動に集中できる。それは単なるツール提供ではなく、継続的な価値創出のパートナーシップなのだ。
人間の目にもわかりやすい「色」よりも、AIの力で「雰囲気」を
なおもちろん、PoC実施時だけでなく、最近も多くのテストを行い、新たな知見や勝ち筋を蓄積している。たとえば、永遠のテーマとも言えそうな「画像レコメンド」について。それは、単に「色や形を基準にしよう」と決めるという話ではなく、さらに2歩も3歩も深く考え「そもそもBtoCサービスにおいて、どのように“類似”を定義し、売上が増え続けるように最適な配置ロジックを考えるのか」という抜本的な、新たに興味深い実証だったという。
「モデルA」のアルゴリズムでは、色や形といった物理的な特徴量が近いものを出す。例えば、赤いセーターの商品ページ下部に、濃い赤・薄い赤のセーターばかりが並ぶ。「モデルB」はAIが計算した「雰囲気(テイスト)」が近いもの、たとえば白や黄色のセーターも含めて出す。
事前の予想では、誰もが「色が似ているものばかりを出すAのほうが良い」と疑わなかった。しかし、蓋を開けてみると、クリック率や購入率など複数の指標から計算すると、モデルBが良いという結果になったのだ。CBDOとしてDSの最前線に立つ角氏が解説する。
角人間が“これとこれが似ている”と感じる尺度は、実は非常に複雑です。「赤いセーター」を見ている人は、必ずしも「赤色」に固執しているわけではありません。そのブランドが醸し出す「上品な世界観」や「リラックスしたシルエット」に惹かれている場合、色違いや、あるいは全く別のカテゴリーの商品であっても、その「雰囲気」さえ合致していれば「これこそが欲しかったものだ」と感じるのであろう、と検証結果を見ると考えられます。
このように聞けば「たしかにそういうこともありそうだ」と納得する人が多いとは思います。ですが、このことをデータで実証することがそもそも至難の業です。AIを活用しさまざまな情報を統合し分析できるようになることで、初めて可能になる領域だと思います。
これはまさに、ECが本来持つポテンシャルを解放する事業である。
オンライン/デジタルな店舗なら、実店舗よりも多くのデータを捉えやすく、新規施策も柔軟に試せるはず。だが、その実行をし続ける体制を持つ自社ECサイトはほぼ皆無だった。そこに、InsightXが“飛び道具”とも言えるプロダクトを持ち込んだわけだ。
そして、こうした仮説検証には再現性やスピードが不可欠なわけだが、この点でもInsightXのFDEチームは抜け目なく仕組みを構築している。
たとえば、スクロールの度にパーソナライズされたシェルフが続けて表示される「無限スクロール」機能。なんと、別のクライアントに展開する際、その企業の商用データを使った動くデモを、「わずか2日」で実装してみせたというのだ。
通常なら要件定義だけで数週間、実装に数カ月かかるような機能を、週末のハッカソンのようなスピードで構築してしまう。
岸本一般的なSaaSなら「次の機能アップデートまで半年待ってください」となるような要望も、我々なら「数日でつくります」と即答できます。そのための仕組み構築に取り組んできたからです。
たとえば、クライアント企業様各社のECサイトのデータは、そもそも企業ごとに全く違う形式で管理・運用されており、データが複数のリソースに分散されていることもあります。弊社のプラットフォームは多様なデータソースに対応可能なアダプタを備えており、一度接続したデータは私たちの手元では標準化されたほぼ同じ体裁のデータとして管理することを可能にしています。
そして、裏側で汎用的なプラットフォームとして動くコードのひな型があり、個社に合わせたカスタマイズは、AIの生成で、ある程度まで自動で進むようにしています。
あたかもSaaSの設定を変更するようなスピード感で、クライアント企業様のECサイトの見た目に合わせたフルスクラッチ並みの機能を実装できるのです。
次の一手は、加速への組織化
ここまで述べてきた「感性AI」と「圧倒的なスピード」を武器に、InsightXはアパレルEC市場での地位確立を淡々と進める。だが、彼らが見据える未来は、より壮大なものだ。
アパレル業界でいえば、店舗のスタッフに以下のような通知が瞬時に届く世界線があり得るかもしれない。
今お店に入ってきたお客様は、先週ECサイトで春物のワンピースを熱心に見ていたが、購入には至っていない。サイズ感や色味で迷っていることが、データから見受けられるため、黄色・オレンジのワンピースのS・Mサイズの試着を促すべき。着ているコートとも合いそうだという流れで紹介ができそうだ
そうなれば、新人のスタッフでも「何かお探しですか?」という定型句ではなく、「このワンピース、春らしい色味で素敵ですよね。実はこれ、お客様がお持ちのトレンチコートとも相性が抜群なんですよ」といった的確な提案がスムーズにできるようになる。
アパレル業界だけではない。こうしたユーザー体験を、あらゆる業界へと広げていくことも視野に入れ、データや勝ち筋の蓄積に余念がないのが、InsightXのチームだ。“感性”の影響を科学しきることができれば、さまざまな商材を扱えるプロダクトになるはず。こうした未来に、投資家も大きな期待を寄せている。
2025年12月には、シリーズAラウンド1st closeとしてDNX Venturesから新たに6億円を調達。創業メンバーが半ば染み出し合ってつくり上げた仕組みを、一気に組織化・型化していく。エンタープライズセールス・DS(Deployment Strategist)・FDE(Forward Deployed Engineer)という、アメリカのスタートアップPalantir Technologyが確立してきた3つの役割。その定義に倣いつつ、日本のBtoC領域全体のCX変革を推し進めるための独自進化を遂げ始めている。
次のGoogleやAmazonを、日本から生み出すということ
資本主義社会が行き渡った現代で起きている「生産・消費の飽和」。そこでは、一人ひとりの“感性”が活躍する場を失ってしまっているともいえる。
だが、仕組みによって、その断絶は乗り越えられるはず。InsightXは、「自分の感性に響くものと巡り会える世界」を実現する方向へと、テクノロジーとビジネスの力を最大化する戦略を描いているのだ。
Googleは世界中の情報を整理し、検索によって「知の民主化」を成し遂げた。Amazonは世界中の商品を倉庫に集め、物流によって「購買の民主化」を成し遂げた。
では、InsightXは何をするのか。彼らは、世界中のあらゆるモノ・コトに埋め込まれた「感性」をデータ化し、AIによって「出会いの民主化」を成し遂げようとしている。
これまでの実績や、現場でのこだわりを、まずは本稿で紹介した。そしてこれから、共同代表の中沢氏・佐竹氏の対談を皮切りに、DS・FDE・セールスという順で、それぞれの具体的な動き・強みにも迫る記事を順次公開していく。
現在は8名という少数精鋭のチームだが、三位一体での価値創出を、これからより大きなチームで進める挑戦が始まる。そのための強力な仲間を集めるべく、一人ひとりがそのやりがいについて詳しく語っていく記事連載となる。
ぜひ、合わせてお読みいただき、ミッション「事業者の情熱を、ユーザーの感動へつなぐ」を目指すスタートアップ・InsightXとの接点を探ってみてほしい。
DS・FDE・エンプラセールスなどの採用に注力中、詳しくはこちらから
こちらの記事は2025年12月10日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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