無思考な「働き方」が20代をダメにする!売上265億企業の27歳役員が提言する、伸びる若手の働き方とは

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インタビュイー
藤本 直也

大阪大学工学部卒業。2014年新卒入社。マーケティング部、新規事業責任者、経営企画部を担当した後、25歳でレバレジーズ初の執行役員に就任。就任後は人事責任者、新規事業検討室長、経営企画室長を歴任。現在はレバレジーズの全40事業の事業戦略/広告/広報/データサイエンス/プロダクト開発などを統括するマーケティング部の部門長と採用/教育/社内制度を統括する人事戦略室の室長を務める。2018年度から2021年度まで、中央大学で新規事業、マーケティングについての非常勤講師を務めた。

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未上場、創業13年で売上高265億円(2018年3月期)。今なお成長中のレバレジーズは、2017年に新執行役員を発表した。新卒入社5年目の藤本直也氏だ。新規事業の責任者や人事の統括など、20代後半で責任ある役割を担う藤本氏ではあるが、とりわけ現在、力を注いでいるのが人材の採用と育成。その活動の中で、なにより気にかけているのが若手人材の「働き方」や「働く時間」に対する認識だという。内外で羨望を集める20代リーダーは、同世代に対してどんな危機感を持ち、どういうメッセージを投げかけようとしているのだろうか?

  • TEXT BY NAOKI MORIKAWA
  • PHOTO BY TOMOKO HANAI
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「事業家として働ける環境。そう考えたら、レバレジーズとあと2社ぐらいしかなかった」

「研究を続けたい気持ちもある。でも、どれほど素晴らしい成果を上げても、ビジネスにおける価値基準が何より優先される」。

大阪大学の工学部で学んでいた藤本は、自分の将来についてこう考えたという。そして迷わず決めた。「院に行かずに就職しよう」と。

藤本僕には就活時代から一貫した思いがあるんです。「自分が生きた地球と、生きてない地球に少しでも差を作りたい」。なんだか、大げさな言い方のように聞こえるかもしれませんが、本気でそう思い続けています。

せっかくこの星に生まれてきたんだから、どんなにちっぽけでもいいから“藤本直也”という痕跡を残せるように生きたいと願っているんです。

ギラギラした自己実現至上主義者には見えないし、青臭い信念を振り回すだけの理想主義者にも見えない。リアリスティックな人生観を淡々と語る藤本には、独特の雰囲気がある。

ともあれ、「ビジネスを創る」というのであれば起業を志したのかと思いがちだが、藤本の合理性が出した答えは「事業創造の役目を若手に任せるだけの度量」を持った企業で精進することだった。

藤本自分で会社を興すという選択肢もあるとは思うのですが、できることなら若手のうちは余計なことを一切考えず、はじめから大きな「事業を創る」という一点に集中してチャレンジをしたかったんです。もしも、新卒で入ったばかりの若い社員にも、そういう挑戦をさせてくれる会社があるなら、そこで結果を出せるようになろうと考えました。

「事業を実際に組み立てる上では、経験値や手段としての技術や知識も不可欠だろうが、「こういうサービスがあったら、こんな風に世の中を幸せにできる」と発想することならば自分にだって可能なはず。そう藤本は考えた。そのためならば、いくらでも努力するつもりでいた」という。

藤本のこだわりにフィットした企業は、決して多くはなかったが、事業づくりをやりたいんだから、はじめから事業を創れる会社に入りたい。そんな中、若手の抜擢を率先して行い、事業領域を多岐化させてきたレバレジーズと出会い、強く惹かれた。

藤本僕なりに調べ上げ、コンタクトをとっていく内に、若い人間に事業創造という役割を積極的に任せている会社が意外と少ないことがわかりました。新規事業を積極的に創っていても自分にチャンスが回ってくるかどうかは別。でもレバレジーズでは、ちゃんと理にかなっていれば任せてくれる、という風土が根づいていることもわかり、ここでチャレンジをしてみようと思いました。

インターンを経て入社した1年目のある日、藤本は、創業経営者の岩槻知秀氏に声をかけられたという。

藤本「日本中のエンジニアが毎日使ってくれるようなサービスを創れないかな」と、事もなげに言われました(笑)。ちょっと驚きましたけれど、早くもチャンスがまわってきたわけですから、とても嬉しかったです。

これをきっかけに、藤本によって生み出された事業が「teratail(テラテイル)」。現在、130万人が使用するエンジニア特化型のQ&Aサイトだ。

米国はもちろん日本にも類似するサービスは過去にあったが、藤本が入社してすぐにリリースされた「teratail」は、わずか3年で10万件以上の質問が集まる盛況ぶり。質問に回答していく層も同時に急増し、回答率98%という異例の高水準が話題を呼び、技術者の間で一気に定着した。

この成功によって、藤本は入社2年目にして最年少で事業部長に抜擢されたのだが、そもそも岩槻氏によるあまりにもざっくりした「お題」から、どうやって「teratail」を発想したのか聞いてみると、どうやらいま話題の「デザインシンキング」にも似た発想をしていたようだ。

藤本エンジニアとして働いた経験はありませんから、周囲にいたエンジニアの隣に座って、どんな風に仕事をしているのかをひたすら何時間も観察していました。2〜3日してわかったのが、どのエンジニアも頻繁に「調べもの」をしているということ。場合によっては、1つのことを調べるのに何時間もかかっていたりする。

いろいろ聞かせてもらうと、IT領域の技術進化が速すぎるから、何をするにしても「調べないとわからない」ことに突き当たるし、検索をしたからといってすぐに答えが見つかるケースばかりではないこともわかりました。

「だったらQ&Aサービスのサイトを作れば役に立つのでは」というアイデアは、早いタイミングで湧いてのですが、エンジニアたちの反応は「そんなものあっても使わないよ」「既存サービスがなくもないけど、今いち使えないんだよね」というものでした。

エンジニア向けに限らず、参加者が答えを提供する側にもまわっていくコミュニティ型のWebサービスは世に多数あるが、成功事例は多くない。藤本もその点は承知していたが、そもそもの目標は「事業として当てる」ことではなく「毎日使ってもらい、喜んでもらう」ことにある。

余計な損得勘定は抜きにして、「どうすればエンジニアに喜ばれるのか」にフォーカスしながら過去に撤退した類似サービスも分析。事業として構築していく過程では、未経験のUI/UX設計や、webマーケティング、事業広報、フロントエンドの開発の役割までほぼ1人で手がけていったという。

藤本もちろん、サービスの全体像が見えてきたタイミングからはエンジニアやデザイナー等にも参画してもらい、リリースすることができたわけですが、産みの苦しみのようなものを、あらゆる役割と立場で経験できたことが、僕自身の成長と自信につながっていきました。

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「今日はタイムアウトだからまた明日、なんて言っていたら、いつ自転車乗れるようになりますか?」

「teratail」のヒットによって事業部長に選ばれ、年長のメンバーたちを束ね始めた頃、本人いわく「いつのまにか」採用の仕事も担うようになった藤本。

4年目に入る直前、岩槻氏が例のごとく何食わぬ顔で「執行役員になってみるか」と打診してきたという。急成長ベンチャーとはいえ、創業から10年以上が経過して、従業員数も数百名レベルにまでなっている。そんな会社の初めての執行役員に就任することは、もちろん名誉だが、戸惑う気持ちも大きかった。

藤本実を言うと最初はやんわり断ったんです。事業創りの仕事に集中をしたかったので。この時期の僕は、事業創りと人材採用・育成の仕事で、正直、めちゃめちゃ忙しかったし、もとはといえば何の蓄積もないままに、未経験で引き受けた仕事ばかりですから、失敗もたくさんしていました。しんどかったのもあるし、反面、面白くてしょうがなかったこともあり、なにも今役員にならなくても、という気持ちもありました。

ではなぜ1度断ったのに引き受けることにしたのか? その理由は、いかにも藤本らしいものだった。

藤本気がついたら、もう当時のレバレジーズには僕が採用した人が相当数いたんです。事業部にも大勢のメンバーがいました。人材採用でのこだわりは「候補者の人生の半分の責任を自分が背負える覚悟を持てるかどうか」。

つまり「人生の責任の半分を引き受けてでも、この人と一緒に働きたい」と思える人を仲間にしてきたわけです。それだけ重い責任が僕にはあるんだと気づいたことから、執行役員の話を断っちゃいけない、と考え方を修正しました。

「まだ若いし、他にも優秀な人がいるから遠慮します」などと断ったら、引き受けたはずの「責任」から逃げることになる。ちゃんと背中を見せて、その背中に今まで以上に重たい責任を担いでみせるべき。そう思い直した。

「仕事が好きな人」「志が高い人」「努力の器が大きい人」この3つを基準にして人材採用と向き合っているという藤本だが、育成の面ではどんな考え方を持っているのだろうか?

藤本レバレジーズの教育方針として、1つの仕事を完遂するのに必要なものが10あるとしたら、その内3〜4くらい、つまり基本はしっかり教育する。あとの応用分野は、失敗してでも良いから自分でたどり着くこと。これをレバレジーズは一貫して戦略的に続けています。全て教えてもらうことを求めている人が多いように感じますが、教えてもらっているだけでは、教えてもらう人が居続けないと自分が仕事できないってことじゃないですか。

仕事って本質的には任せられるものではなく、作るものなのでこういうスタンスじゃないとちゃんと仕事を作れる能力をもった人は絶対にそだたないですね。そして、レバレジーズは新しいビジネスを次々に生み出して、今までにない価値を世の中に提供していこうという会社だから、こうなるのは当然。ほとんどの社員が「誰も踏み入れたことのないところ」に入っていって事業を創造するわけですから、10の内10を教えることなんて誰にもできないんですよ。

逆に、「こういう場合はこうしろ」とばかり教えてしまうと、例外に対応できない人材が育ってしまいます。もちろん世の中には、何を作って何を売るのかが何年も前から決まっていて、その結果を最大化する手法も決められ、使うツールまで指定されている職場がたくさんあります。

そういう場であれば、手厚く育成に時間や手間をかけることに意味もあると思いますが、ここはそうじゃない。そうじゃないことを知っていて、望んでレバレジーズに入ってきた人たちが仕事をしているわけですし。

だからこそ、先の3つのポイントで人材採用を行っているのだと藤本は言う。そして、近年気にかかっているのが、いわゆる「働き方改革」に象徴される「労働時間を減らしましょう」キャンペーン的な風潮とのこと。

藤本は言う。「ワークとライフをどう両立させたら人は幸せなのか」を考えることは重要だが、最近の日本のように「ワークを減らせばライフが幸せになる」かのように、ワークとライフを分断して捉えるのはいかがなものか、と。とりわけ、何事も未経験な状態で社会に出たばかりの若者まで「働く時間を減らす」ことに執着し、その一方で「誰よりも早く成長したい」とか「やりがいのある仕事を任されたい」と口にしているのだとしたら、思考停止としか言いようがない、と苦笑い。

藤本稚拙なたとえかもしれませんが、僕は「仕事ができる」プロセスって、「自転車に乗る」ことと同じだと思っているんです。自転車に乗れるようになろうと思えば、できる人を見て、乗ってこけて怪我をしてを繰り返すしかないですよね。「今日は8時間チャレンジして10回転んだから、明日またやってみます」なんて姿勢でいたら、いつになれば自転車に乗れるようになるのやら…じゃないですか(笑)。

あとひと踏ん張りすれば、11回目で乗れるようになったかもしれないのに、明日また最初からやり直すことにできちゃう気持ちが、どうしてもわからない。それに、もし仮に「8時間で自転車に乗れてしまった」人がいたとしても、「自転車に乗る以外の、事業や会社のために必要な仕事を、もっと考えてチャレンジしたらいいのに」とも思うんです。

繰り返しになるが、誤解を呼ばぬようにことわりを入れれば、藤本はなにも昭和の猛烈サラリーマンのような姿を若者に期待しているわけではない。「自転車に乗れない自分に納得できない」気持ちや、「ヒザをすりむいたりしているけれど、あと少しで乗れるようになるかもしれない状態を楽しいと感じる」気持ちにならない若者がいるとしたら恐ろしい、と言っているだけだ。

「無意味だと確信している仕事を長時間やらされたり、3時間で済むはずの仕事をだらだらと8時間かけてやっている、というのであれば、その時間をどうにかして短くするべきだ」とも言う。

例えば、家族と過ごす時間を確保するために、働く時間を調整することも、人生では重要だと語る。だが、もしも日本中の新人ビジネスパーソンが「乗れない自転車に挑戦して10回転んだら帰宅していい」というようなぬるま湯に安住してしまったら、人より突き抜けて成長することなど不可能というわけだ。

藤本先ほど、採用でこだわっている3つのポイントを挙げましたが、その1つである「努力の器が大きい人」というのは、努力を楽しめる人、という意味でもあります。「できなかったこと」というのがあって、それを「できるようになりたい」という志があるのなら、「できるようになるための努力」は楽しいはずなんです。僕は自分を恵まれていると感じていますが、それは「若いうちから偉くなったから」ではありません。

「できるようになりたいこと」をたくさん戴けたからです。そうして、「できるようになったこと」が増えたおかげで、また別のことを「できるようになりたい」と思える環境にいた。だから「恵まれていた」と感じています。少なくとも、社会人として走り出したばかりの人間にとって、「働く時間を無思考に減らすことは、チャンスを減らすことにもつながりかねない」ということは理解しておくべきだと思います。

学生の方々とお会いすると、例えば皆、イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズに憧れていたりします。じゃあ、あの人たちがどれくらいたくさん働いているか、気にしてみたことはあるのか。僕だって、あの人たちに会ったことはないけれど、どう考えても「仕事が好きな人」ですよね。

あの人のようになりたい、と口にするのなら、時間の長短の問題ではなく、あの人と変わらないくらいの努力を自分もしたいと思ってなければウソですよね。「志が高い人」というのは、そういうことをわきまえた人だと思っています。

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事業家の素質は「誰かのためになる仕事であれば、どんな仕事も好きになれること」

藤本は、イーロン・マスクを引き合いに出した時、もう1つ興味深い話をしてくれた。それは、あの時代の寵児が今夢中になっている内容についてだ。

藤本別に僕自身はイーロン・マスクの信者でもなんでもないんですが、すごく気になっていることがあります。それは、あの人が今、開発やデザインの最前線にどんどん出て行って、そこでの仕事に多くの時間を費やしているということです。経営者として指示を出し、指揮を執ることに集中していいはずの立場なのに、そうした現場に出向いている理由は、単にその仕事が大好きで夢中になっているからなのかもしれません。

でも、僕はそれだけだとは思えない。モノ創りの世界ではこれまで、開発やデザインで直接手を動かす人たちというのは、優れたプロフェッショナルとして尊敬を得てはいても、お金をもらって働かせてもらう立場にいたと思うんです。主導権は、そのお金を払う立場の人たちが握っていた。でも今、技術はとてつもないスピードで進化し、ビジネスの仕組みを劇的に変えています。

それによって、今まで解決できなかった社会の課題を解決しようとしてもいます。今までとは全然違うこの時代、お金をもらう側だった人たちこそが、価値を生み出す主導権を握ろうとしていると僕は捉えています。そしてイーロン・マスクは、そこまでわかっているからこそ、最前線の仕事に自ら取り組んでいるのではないか、とも思っているんです。

時代は、社会は、ビジネスは、たった1つのベクトルに向かって動いているわけではない。モノ創りの世界では、開発現場を切り離すファブレス化による経営の合理化という現象もトレンドになっている。つまり、すべての経営者がイーロン・マスクのように振る舞っているわけではないし、違うやり方で成功をおさめている者も少なくない。

藤本が体現しているこれまでのキャリアを知って、「あんな風にスピード出世して、渋谷ヒカリエのオシャレなオフィスで颯爽と働きたい」と感じる者もいるだろうし、「そうじゃないだろ。あの人、自転車に乗ろうとして誰よりもヒザをすりむいた人じゃないか。でも、そういう風にして自分も事業を創って社会貢献したい」と感じる者もいるだろう。

働き方の話にしても、「労働時間を短縮して何が悪い。制限時間があるからこそ試行錯誤が進むんだ」と思う者もいるだろうし、「時間制限など設けず、ワーク・アズ・ライフとして楽しむかどうかの話だろ」と受け止めた者もいるだろう。藤本だって、そういう多様性は踏まえた上で、あえて持論を話したに過ぎない。

藤本やりたいこと、というのがもう定まっていて、それがレバレジーズにあると思ってくれた人がいるなら、ぜひ一度話に来て欲しいと思っています。それが別の世界や企業にあるというのなら、そこへ行って活躍してほしいとも思います。でも、もっと本音を言わせてもらうと、「やりたいことはまだ具体的になっていない」という人であっても、先ほど挙げた3つのポイントにフィットしているのなら、僕はぜひ会いたいなあと思います。

ここに来たばかりの僕がそうだったように、「こういうことやってみないか」とザックリ言われて、それでも「やってみたい」と思える人ならば嬉しいですね。しかも、10の内3とか4しか教わらない中で、残りの部分を自分で拾いに行くことを「楽しい」と感じてくれて、「もともとやりたかったわけじゃないけど、今やっている仕事が自分のやりたい仕事になってのめり込んでいく」ような人間が増えていったら、レバレジーズはもっと面白くて、もっと社会に貢献する会社になれる。世界への価値提供も増大させるため、5年後までに海外25拠点を目標に、グローバル展開も加速させています。

まさにここは「自己成長のためでなく、課題解決のために事業を創り出す人間」の集団です。年齢や役職を問わず、自分たちでこの会社を、日本を、世界を良くしていくことができる場なんです。

リアリティのある話をロジカルに披露する藤本は、最後まで微笑みながら淡々とした口調で話し続けた。随所に社会貢献への強い想いを覗かせ、小賢しく自己実現ばかりしようとする風潮に疑問を呈するものの、熱く持論をたたみ込むような話し方はしない。なかなか出会えないこの独特のムードは、おそらく「知る人ぞ知る事業家集団」レバレジーズならではのもの。

「将来いくつも事業を創っていける人材になりたい」、「どうせ働くなら、社会のためになる仕事がしたい」。そんな想いを抱いている若者がいるならば、一度藤本と、直接話してみてはどうだろうか。

こちらの記事は2019年02月13日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

森川 直樹

写真

花井 智子

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