連載エンジニア採用HACK

仕組み化で加速!
LIFULLが推し進める戦略的エンジニア採用術

インタビュイー
林 征一郎
  • 株式会社LIFULL 新卒エンジニア採用責任者 GCDF-Japanキャリアカウンセラー 

新卒で専門商社に入社し、大手人材紹介会社を経て2009年にLIFULL(当時はネクスト)に入社。入社後は新規事業2つ(地域コミュニティサービス事業、大学生向けのキャリア教育事業)の立上げを担当し、2012年に人事本部へ異動。以来新卒エンジニアの採用を担当している。

野澤 猛

大学時代からアルバイトでHTMLとPHPを学び、その後教育系のCGMを運営するベンチャー企業に入社。エンジニア/PMとしてのキャリアを積む。LIFULLの企業理念やカルチャーに共感し、2017年7月に入社。現在はLIFULLが展開しているオーストラリアとドイツの不動産検索ポータルの開発に従事している。

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日本最大級の不動産・住宅情報サイト『LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)』を運営することで知られる『株式会社LIFULL(ライフル)』。

同社には、正社員の2割を占める約150人のエンジニアが在籍している。各業界でエンジニア不足が叫ばれる中、優秀なエンジニアをうまく確保しているのだ。

なぜそれほどまでにエンジニアを惹きつけるのか?人事本部採用グループの林征一郎氏、入社3か月のエンジニア、野澤猛氏に話を伺った。

  • PHOTO BY YUKI IKEDA
  • EDIT BY GEN HAYASHI

はじめにお二人のLIFULL入社までの簡単な経歴を伺ってもよろしいですか?

私は新卒で専門商社に入社して、7年間ほど営業、調達、新規事業の開発などを経験。その後、大手人材紹介会社を経て、LIFULL(当時は株式会社ネクスト)に入社しました。入社後は、2つの新規事業立上げに関わった後に人事へ異動、採用を担当するようになりました。

株式会社LIFULL 人事本部 採用グループ 林 征一郎氏

野澤私は現在LIFULL HOME’Sの海外展開を推進する国際事業部のエンジニアリングを担当しています。LIFULLに来る前には、小規模のベンチャー企業でエンジニアをしていました。8年ほどエンジニアが数名しかいない環境で働いてきましたが、よりチャレンジができる環境を求めて、ビジョンに惹かれたLIFULLに入社しました。

株式会社LIFULL エンジニア 野澤 猛氏

ありがとうございます。早速ですが、エンジニアの採用で成功している秘訣を教えてください。

うまくいっている部分もありますが、まだまだ発展途上だと考えています。その前提の上で、ここ数年エントリーが増えた要因としては、弊社のエンジニアの取り組みを社外に発信する機会が増えたことが挙げられます。

これまでも社外の方から「面白いことをやっていますね」とお声掛けいただくことはありましたが、情報発信の量が多くなかったため、広く知られてはいませんでした。

数年前から「LIFULL Lab(ライフル ラボ)」というR&D部門の研究員による学会等での講演の増加、エンジニアによるブログ等での情報発信が増えたことに加えて、2017年4月にCTO職を新設したタイミングで、現CTO長沢のメディア露出の増加や、技術的な取り組みを更に積極的に外部発信していこうという方針になりました。

LIFULL Lab

なるほど。具体的にはどんな活動をされているのですか?

会社として公式なLIFULL Creators Blogを定期的に更新しているのとは別に、エンジニア個人がブログやQiitaなどで情報発信をしています。またLIFULL Labがおこなっている機械学習やVRなど研究成果やプロダクト、活用事例を学会に登壇して発表したり、ブース出展をするような活動も頻繁に行っています。

またメディアが主催するエンジニア向けのイベントや勉強会への登壇依頼も多くあるので、そこで発表することも増えました。そういった対外的な活動から、LIFULLを知り、就職先としても興味を持ってくれるケースも出てきています。

最初はどうやって対外的な発信を始めていったんですか?

最初は声の掛かったイベントで話したり、エンジニアがブログを始めたりと、出来ることから始めていった感じです。実際に情報発信を始めてみると、イベントでブログを読んでくれた方から声をかけて貰ったり、今度こんなイベントで話して貰えないか?などの講演の打診があったりと反応が出始めました。

LIFULLの技術的な取り組みや、エンジニアの組織づくりが外から見ると魅力的なことに気付くいい機会になりました。また外部での発信を通じてエンジニアが自社の魅力に気づき、モチベーションが上がるようなこともあると感じています。

当初考えていた、LIFULLを知ってもらうという目的以外の所でそのようないい影響もありました。それで情報発信の重要性を更に認識するようになっていきましたね。

外部への情報発信は大切だと理解しつつも後回しになってしまったり、始めても継続できなかったりする企業が多いことも事実です。継続的に外部への情報発信が行える理由どこにあるのでしょうか?

そこは仕組み化が大きいです。LIFULLには職種毎に「未来人材会議」という会議体があります。

例えば、エンジニアの未来人材会議では、CTO、エンジニアのマネージャーが隔週で集まり、エンジニアの長期的な育成や環境づくり、評価、採用等について定期的に話し合っています。いわばエンジニアに特化した情報共有の場ですね。そこで面白い取り組みをしているチームや個々のエンジニアについても議題にあがるので、そこからイベント登壇者人選などが決められることもあります。

またLIFULL Labの協賛する学会や講演予定などは予め年間計画を立てて動いています。このようにCTOを中心に会社をあげて情報発信を増やそうと取り組んでいます。

情報発信までのプロセスが仕組み化されていると継続されそうですね。採用面接の段階で重視しているのはどんなことでしょうか?

採用基準は明確に設けて面接の時にチェックしています。重視する順番にあげると、ビジョンフィット、カルチャーフィット、ポテンシャル、スキルフィットの4つです。

弊社は、「あらゆるLIFEを、FULLに。」というコーポレートメッセージを掲げています。あらゆる人の暮らしや人生を満たすサービスを届けるという意味なのですが、この想いに共感し、行動できる人しか採用しないというのが大前提です。

現在多くの方に使っていただいている不動産・住宅情報サービス『LIFULL HOME'S』も、住まい探しにおける不動産業界と消費者の間にあった情報の非対称性を解消し、住まい探しをする全ての人の不安を解消したいという想いから生まれたものです。

不動産・賃貸・住宅情報(マンション・一戸建て)ならHOME'S【ホームズ】

カルチャーフィットに関しては、弊社の社是「利他主義」を体現する人かどうか。社外だけでなく社内も含めて誰かの役に立つことが自分のモチベーションに繋がる人かどうかを重視しています。

そしてもう一つは「革進」です。エンジニアなら、まだ世の中にないものを生み出すために、新しい技術や情報にアンテナを張り、自ら挑戦し続ける人のようなイメージでしょうか。やりたいことを実現するために高いビジョンを掲げて、出来そうかどうかではなく、やると決めてそこに向けて本気で行動出来る人、そんな人と一緒に働きたいと思っています。

この2つがあれば、技術力や経験などのスキルは後からいくらでも伸びると考えています。もちろん中途採用の際には最低限必要なスキルは求めてはいますけど…。

野澤私が採用面接を受けたときも、質疑応答などから、社員がビジョンへの共感や、利他的な考え方・革進的な姿勢を大事にしているということが伝わってきました。

例えば、エンジニアリングの領域でいうと、「技術はビジョンを実現する手段に過ぎない」という価値観が浸透しています。新しい技術を使うことそのものを目的とせず、実際にサービスをリリースし、使う人に価値を提供することを大事にしています。

野澤そのため技術の新しさや高度さだけでなく、課題解決のための最善の選択かどうか、リリースできるスピードなどもバランス良く判断して技術や技術者を評価する風土があるように思います。

そういった価値観に共感できることが重要です。ビジョンやカルチャーに共感できない場合は、どれだけ優秀なエンジニアであっても採用することはありません。会社として、それほど採用基準にはこだわっています。入社に至った場合には、そこの擦り合わせがお互いに出来ているので、入社後のギャップは少ないと思います。

それがLIFULLの離職率の低さに繋がっているのかもしれませんね。実際にこの採用基準はどうやって作られたのでしょうか?

明確にいつからというものはないのですが、代表の井上と人事本部長の羽田が「日本一働きたい会社」を創っていくプロセスで徐々に形になっていきました。LIFULLがまだ創業間もない頃は、スキルや経験を重視した採用を行っていた時期もあったと聞いていますが、長期的な視点で見ると定着率があまり高くありませんでした。

そこから事業としても組織としても成長をしていく中で、社是、経営理念、ガイドラインを明確に定め、その浸透をさせていく中で今の採用基準が出来上がっていきました。

入社した後にエンジニアに長く働いてもらうという視点も大事かと思います。入社後の施策で工夫していることはありますか?

エンジニアに限らずLIFULLで働く社員のやりたいことを重視し、その内発的動機を支援する様々な取り組みを10年ほど前から行ってきました。その積み重ねの結果、リンクアンドモチベーション社が主催する「ベストモチベーションカンパニーアワード2017」において日本1位を、Great Place to Work主催の「働きがいのある会社ランキング」でも7年連続ランクインするなど外部から社員のモチベーションが高い会社として認知されるようになりました。

その結果が社外にも知られることで、意欲ある人材、エンジニアが入ってきてくれるという好循環を生んでいると思います。

「ベストモチベーションカンパニーアワード」は同社がおこなっている「モチベーションサーベイ」の調査結果がその元になっています。年に1、2回全社員に対して約130項目のアンケートを取り、社員が会社に求めるものを期待度「その社員が会社にどれくらい求めているか」、満足度「その社員が会社にどれくらい満たされているか」をそれぞれ5段階評価で聞いています。

この結果から期待度・満足度の高さとその合致度合いが2017年に日本で一番高いとの結果が出ました。グループ単位で業務内容や仕事環境に対して所属するメンバーがどの程度満足しているかの結果が出るので、全社平均と比較して各グループの課題点を抽出。強化をしたい項目から、どのようなアクションプランで改善をするのかを各リーダーがチームでの議論によって決定し、その施策を確実に実行するようにしています。

その改善をコツコツとやってきた結果が、「ベストモチベーションカンパニーアワード2017」日本1位です。

最後に将来の展望について伺いたいです。今後はどんなエンジニアに入社してほしいですか?

採用基準で挙げた、弊社のビジョン実現を共に目指す同志という部分は変わることはありません。その上で、エンジニアならではの発想や技術で経営をリードするようなエンジニアを増やしていきたいと考えています。

経営をリードするエンジニアが増えることで、「あらゆるLIFEを、FULLに。」の実現により早く近づけると思います。私個人としては、自分たちが目指すビジョンを共に目指す同志を採用するのはもちろんですが、入社してくれた方が挑戦できない理由がないくらいモチベーション高く挑戦し続ける場を提供していくことにも関わっていきたいと考えています。

野澤LIFILLには情熱のあるエンジニアがとても多いと思います。特に3ヶ月に一回開催され、LIFULLの全エンジニアが集まる「エンジニア総会」に参加したときにそれを強く感じました。発表の内容や参加している方の表情や雰囲気から「仕事だからやっている」のではなく「本気で世の中を良くしたい!」と参加者全員が心から感じているように見えました。

LIFULL HOME'Sの「PRICE MAP」のようなこれまで世の中に無かった、業界を革進するプロダクトが出てくる背景にはそういったエンジニアの情熱があるのかなと思います。

【プライスマップ】マンションの参考価格を地図上でまるみえに - ライフルホームズ

野澤LIFULLでは約150人のエンジニア全員がビジョンの実現という目的に向かって自然と一致団結できている気がしています。そんな熱量を共有できる人に入ってきてもらいたいです。

ありがとうございました。

こちらの記事は2018年02月06日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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池田 有輝

編集

早矢仕 玄

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