INTERVIEW
小山 大明
18-07-13-Fri

【PM特集 #02】
お客さまの声を聞くため九州へ。急成長を支えるメルカリPMの仕事術

TEXT BY TOMOMI TAMURA
PHOTO BY MIHO FUJIKI
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ここ数年、さまざまなシーンで聞かれるようになった
プロダクトマネージャーという役割。

しかし、企業によって仕事内容や考え方は違うため、
次のキャリアステップとして描けている人は必ずしも多くないかもしれない。

そこで、各社のPMの仕事や思考について3回の連載でお伝えする。

第二回は、メルカリのライブコマース「メルカリチャンネル」のPMを担う小山氏にインタビュー。

メルカリPMの立ち位置や、
メルカリならではのプロジェクトの進め方などを伺った。

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やりたいことは2兆個ある

小山さんは2016年にメルカリに入社し、現在はライブコマース「メルカリチャンネル」のPMをされています。具体的にどのようなことをされているのでしょうか。

小山僕のミッションは、「ライブコマースを日本に広める」こと。ライブコマースの面白さをお客さまに伝え、多くの方にご利用いただけるようにしたい。現状、まだ業界としては100%盛り上がっている状況ではありません。だから、まずはそこに火をつけたいと思っています。

その一つの取り組みが、人気企業とのタイアップ配信です。つい先日も、ライザップグループとのタイアップで、筋肉隆々のトレーナーの方が、ライブコマースでプロテインなどを売る企画を実施しました。

ライブコマースは使っている人はもちろん、知っている人もまだ限定的なので、こうしたおもしろい企画で認知を広げたいと考えています。

ただ、メルカリのPMは単なる企画者ではありません。自ら掲げたミッション達成に向けて、必要なことは何でもやります。たとえば、僕の場合は配信現場でカンペを出すようなディレクターもやりますし(笑)、アライアンスや予算管理、サービス企画、プロジェクトマネジメント、分析リサーチ、ユーザーインタビュー、ユーザビリティテストなどやることは山ほどあります。もちろん、それぞれに担当者がいるので全部一人で手を動かすという意味ではなく、すべてに対して責任を持つという意味で。

スタンスはスタートアップの経営者に近いと思います。メルカリという大きな箱の中で、チームという名の子会社がいくつもあって、その子会社社長の役割をPMが担っているイメージですね。

現在PMは50名を超えているのですが、やりたいことがざっくり2兆個くらいあるので、まだまだPMの数が足りていない状況です(笑)。

やりたいこと2兆個ですか(笑)!

小山たくさんあります。わかりやすいところで言うと、商品のカテゴリごとにオーナーとなるPMをつけて、お客さまにとってより使い勝手のよいサービスを提供したい。たとえば、スマホ領域、自動車領域、ファッション領域というように。メルカリの場合、カテゴリごとにお客さま層もニーズも課題も体験も違うから、やりたいことはどんどん増えるんです。

これは言い換えると、チャンスが2兆個あるということ。しかも、CtoCのマーケットプレイスという先端の場所で、かつ、リソースは大規模。特にライブコマースはまだ勝者がいない市場なので、先駆者になれる可能性があります。業界1位に挑戦できるのが、メルカリでPMをする醍醐味だと思っています。

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全体最適を図りながら、任された領域のオーナーシップを発揮

可能性が無限にあるということですね。そのなかで、メルカリチャンネルではどのようにプロジェクトを進めているのでしょうか。

小山プロジェクトの進め方は、任される領域とPMによって全く違うのですが、僕のチームでは、数値分析とユーザーインタビュー、そしてひらめきの3つから企画を立てています。ライブコマースには先例がないので、ひらめきで何かをすることも多いんです。

正直、真っ暗闇を進んでいるようなものなので、細かい分析をするよりも、まずは思いつきでやってみる。その結果を見ながら正解を探していく段階です。逆に、メルカリ日本版のPMを担当していたときは(注:メルカリには、米国版を開発しているチームもいます)、細かい数値分析から何をすべきかの道筋を立てていました。本当にチームとPM、プロダクトの成熟度合いによって進め方はバラバラです。

PMごとに進め方が違うとなると、全体最適が取りづらくなりそうですが、そうした課題は生まれませんか?

小山それぞれにやり方は違うけれど、メルカリという一つのサービスとして成り立っているのは、メルカリのミッション(新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る)とバリュー(Go Bold 大胆にやろう/All for One 全ては成功のために/Be Professional プロフェッショナルであれ)が全員に浸透していることがすごく大きな要因だと思います。

まずはそこがブレない軸となった上で、「メルカリ日本版としてどうなのか」という視点をPM全員が持っているんですね。

たとえば僕の場合、メルカリチャンネルのオーナーなので、メルカリのトップ画面でライブコマースを目立たせる施策を打ちたい。だけど、それはメルカリ日本版として本当にいいのかを考えた結果、あえて表示頻度を減らしました。こうした「All for One」な思想はPM全員が持っていて、全体最適を考えた上で自分の領域を最適化させていくのです。

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重視するのはユーザビリティテストとユーザーインタビュー

他にメルカリのPMとして大切なことはありますか?

小山メルカリには老若男女、さまざまなお客さまがいらっしゃるので、さまざまな視点を持つことはとても大切です。出品者も購入者もいますし、領域によってその属性は全く違う。

それに、出品者にとってメリットになることは購入者の損につながってしまうような、利益が相反することも起こりやすいんです。さまざまな立場の人がみんなハッピーにメルカリを利用できるように、それぞれの課題や状況を知りたい。そのために、いろんなお客さまから意見を聞くことが本当に大切です。

前職でソーシャルゲームを作っていたときは、ユーザー層が絞られていましたし、ユーザーのゴールも「強くなりたい」「ランキング1位になりたい」といった同質なものが多かったので、利益が相反することはありませんでした。ここがメルカリとは全く違う点なので、ユーザビリティテストやユーザーインタビューを重視しています。

ユーザーインタビューはどのくらいの頻度でやられているのでしょうか。

小山週に1回、5人の方に行なっています。その時間はPMやプロデューサーは張り付きで見ていますね。ライブコマースに関しては、配信している人が限定的なので直接会いに行くこともあります。農家さんなど、売れている配信者さんが九州に多くいらっしゃったので、先日は九州に行ってきました。行って直接見ないと分からないことはたくさんあります。

たとえば、実際にその場に足を運んで話を聞き、周りを見ることで、配信者さんがまだまだ配送に苦労していることに気がつく。首都圏にいると「配送はらくらくメルカリ便があるからで簡単では?」と思ってしまいがちなのですが、近くにコンビニがない出品者も実は多いんだなと。

これは数字だけを見ていたらわからなかったこと。こういった課題を丁寧に拾い、解決できる施策につなげている最中です。

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海外の最新事情を直接見に行き、プロダクトに生かす

PMがより実力を高めて行くための勉強法は何だと思いますか?

小山いろんなサービスを触ることです。特に海外の先端サービスからは、右脳にも左脳にも突き刺さるようなインスピレーションを得られます。

それもあって、僕は「Mercari Tech Reserch(メルカリテックリサーチ)」という社内制度を立ち上げました。これは、実際に海外に行き現地のアプリやプロダクトを体験し、業務に生かすための制度で、必要資金は会社が全額負担するというもの。海外で直接インプットして、帰国後に社内外の勉強会を開いてアウトプットします。

この制度を使って、僕は中国と韓国、インドに行きました。インドはIT都市と言われるバンガロールに行き、インドの方とコミュニケーションをとりました。そこで知ったのは、人口がとにかく多いから、解決しきれない医療などの問題が山積みで、それをどうにか代替するためにインターネットが活用されているということ。

ちなみに、この制度は他社の人も一緒に連れて行けるので、僕は他社のエンジニアとインドに行きました。メルカリ以外のプロダクトを作る人を連れて行くことで、見方や感じ方、考え方が違い、それも重要なインプットになりましたね。

最後に、今後の目標を教えてください。

小山ライブコマースのおもしろさをお客さまに伝えて、みんながもっと楽しくお買い物ができる世界をつくりたいです。さらにプロダクトを磨くためにも、オーナーシップを持って走り続けたいですね。

メルカリでPMをやる最高のおもしろさは、自分で起業するよりもチャレンジングなことができるうえに、成功確率を上げる材料が手に入ること。さまざまなバックボーンを持つ優秀な人とチームを組み、誰もやったことがない新しいことにチャレンジできるのは、他にないと思います。

巻き込みたいと思える人材が集まっているメルカリだからこそ、その分野のプロたちを巻き込んで、新しいことができる。しかも、意思決定は任されているので責任を持って、自分のスタイルでプロジェクトを遂行できる。やりたいことは2兆個あるので、PM仲間を増やしながら高みを目指したいと思っています。

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[文]田村 朋美
[撮影]藤記 美帆

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