新卒1年目のキャリア戦略:「Will」「Can」「Must」との正しい付き合い方

寄稿者
白鳥 陽太郎
  • スローガンアドバイザリー株式会社 取締役 

千葉県習志野市出身。市川高校を経て、早稲田大学政治経済学部に入学。カンボジアで教育支援に取り組むNPOにて代表を務める。東日本大震災直後から、特定非営利活動法人ETIC.「右腕プログラム」のメンバーとして被災地域のアセスメント業務に取り組む。東北地域で感じた「新しい産業と雇用創出の仕組みづくり」という危機意識にコミットメントするべくスローガンに入社。入社後はスタートアップ企業の新卒採用コンサルティングに従事。Goodfind Magazine編集長も務める。グループ会社であるスローガンアドバイザリーに立ち上げのタイミングで参画し、キャリア面談から、法人セールス、Webマーケティング、ディレクター、採用と幅広く担当。

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ようこそ狂気とカオスの世界へ!社会人生活、はじめての連休はどうだっただろうか。

怒涛のように過ぎていった4月を振り返りながら、将来について考えを巡らせた方も多いのではないだろうか。そこで今回のテーマは「新卒1年目のキャリア戦略」。たいへんに大袈裟なテーマ、無事に着地するだろうか。

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会社にとって必要な人物とはだれか?

キャリアにおいても戦略とは大事だ。キャリアにおける戦略とは、打ち上げロケットの発射角度のようなものだ。

最初に良い方向に飛んでいけば、あとは創意工夫で月面を目指せるが、間違った方向に飛んでいってしまうと、軌道修正には数倍の労力がかかる。なので方向性=「何を目指すか」がとても大事だ。

さて、仕事柄、「会社にとって必要な人材とは?」とか、「市場価値の高いキャリアとは?」みたいな話をよく聞かれる。まあ、Google先生に聞けば、某ビジネスSNSが発表しているモテるスキルランキングのようなものはあるし、それをもっともらしく解説することもできる。が、いま伝えたいことはそれじゃない。

どんなキャリアを歩むにせよ、結局は「チームを勝たせることができる人」になることが大事だ。スポーツだってそうだろう。スキルとか職能とかはその次の話だ。

シュートが上手いことは大事だ、ディフェンスが上手いってことも大事だ。ただ、その人がいるからチームが勝てる、って人がやっぱり一番重宝される。スキルなんて大抵はアウトソースすることができる。便利なツールもたくさん増えたし、フリーランスを雇用することもできる。だからこそ、求められるのは会社や事業を勝たせる力だ。

桜木花道が湘北のレギュラーになれたのは、身長が高かったこともあるだろうし、リバウンドが強いこともあるだろう。ただ、やっぱり彼がいるとチームが勝てるからだ。勝利にこだわる「ダンコたる決意」ってやつだ(スラムダンク31巻参照)。

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エースを狙え

もう少し具体的に考えてみよう。キャリア論の大家であるエドガー・H・シャイン氏は、組織でのキャリアを円錐に例えた。新卒は円錐の一番下の、端っこからキャリアをスタートすることになる。

そして進むことができるベクトルは3方向ある。縦と横と中心だ。縦はわかりやすく組織の上にあがること、職位があがることだ。横への広がりは職能が広がること。ただ、この1年目に目指すべきは「中心に向かうこと」だ。まずは組織の中心人物になることを目指そう。エースを狙えだ。

さて、ではエースになるにはどうすれば?という話になる。たしかに、仕事内容によって求められるものはバラバラだ。だが、いろいろな業界・職種で、いろいろなエースを見てきたが、共通するのは「絶対にやる」というマインドセットだ。ただ、それだけ。

本当にそれだけでベンチャーの役員にまでなった知人がいる。「言われたことをやる」「約束を守る」。ただ、この当たり前のことを、当たり前にやることが本当に難しい。だからこそ、差別化になる。

とあるベンチャーに新卒入社した知り合いがいた。その社員は考えた、どうしたらこの同期や先輩社員に勝てるのだろうか。

数ヶ月働いてみて、その社員が気づいたことは「言われたことを、当たり前にできる」という人が、意外に少ないという真実だった。だからこそ「言われたことを、絶対にやる」というのが行動指針になった。

最初は小さな雑用のような仕事だった。それが、雪だるまのように少しずつ大きくなっていった。お客様への資料づくり、個人としてのKPIの目標達成、全社イベントでの幹事。そしてある日「Webマーケティングやって」と言われた。

がしかし、その会社にはWebマーケティングなんてやったことのある人は、だれもいなかった。ただ「言われたことを、絶対にやる」ので、頼まれたその日に本屋に駆け込み、手当り次第に読み倒し、なんなら自前でWebサイトまでつくって勉強しはじめた。

そして、その成果が社内で認められ、事業部ごと任されるようになった。「言われたことを、絶対にやる」わらしべ長者みたいな物語だ。もちろん、"結果的には"キャリアが縦にも横にも広がった。

仕事ができる人ってのは、職能のある/なしじゃない。そういった勝者のメンタリティみたいなものこそ大切だ。そういう人はセールスをやろうが、マーケティングをやろうが、人事をやろうが活躍してしまう。成果に対する執着が異様に高く、結果が出るまで考えて行動し続けるからだ。

そして、そんなマインドセットは、社会人の初期にしか手に入らない。だからこそ、1年目というこの時間に身につけておくべきことなのだ。

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やりたいことがないと嘆くきみへ。

よく「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(するべきこと)」が大切だと声高にさけぶ人がいる。そして言う「Willは何だ?」と。Willとはなにか、この一度きりの人生、どのように歩んだらよいのか。「人間が生きる意味とはなにか」。たしか、同じようなことで悩んでいる人がいた気がする。ブッダとかゲーテとかって名前だったと思う。

その問いは僕たちのような少し未熟な人間が扱うには、少々大きすぎるテーマにも感じられる。仮にあったとしても、それは現状の不満、不安の裏返しくらいのものしか出てこないのではないだろうか。

だからこそ「Will」「Can」「Must」の順番が大切なのだ。「Must」→「Can」→「Will」の順で取り組んでいけばいい。与えられた場所での「Must」を乗り越え、その過程で「Can」が増えていく。そして、それらのプロセスのなかで、小さなこだわりや、情熱が生まれ、「Will」に育っていく。だから「Will」がないと嘆くより、与えられた「Must」をいかにクリアできるかに心血を注いだ方が、よっぽど健康的なんじゃないだろうか。

かく言う私も、実は文章を書くということに対して、「Will」も「Can」もなかった。入社最初の配属テストで、ライティングのお題が出され、その文章を読んだ上司から「まあ、人には向き不向きがあるからね」と言われ、営業に配属された。

だが、数年後、「人が足りない」という理由でインタビュー記事のライティングをすることになった。当時、弊社スローガンには「好きになる努力と工夫を」というバリューがあった。「あのー、文章って書いたことないんですけど」と言うと、「大丈夫、好きになればいいから」と言われた。その時は、「何言ってるんだ、この人は」と思ったが、いまではとても感謝している。

桜木花道だって、最初からバスケが好きだったわけじゃない。好きだから熱中したんじゃなくて、熱中しているうちに好きになったのだ。あなたにもきっとあったはずだ。部活だろうが、勉強だろうが、食わず嫌いだったが、褒められたり、少しいい点数がとれたりしたら「あれ、自分好きかも!」ってなった瞬間が。「興味がない」と言い切るには、まだあなたは目の前の仕事を知らなすぎるかもしれない。

GWも終わり、配属が決まって実際に働きはじめた人も多いだろう。その与えられた場所で、求められている成果(Must)とは何だろうか。まずはそこに一心不乱に取り組んでみてはいかがだろうか。

まだまだ先の見えない状況が続きそうだが、だからこそ「目の前の仕事」に集中した方がいい。きっとその先に、不安や不満を超えた意志や情熱が芽吹くのだと思う。

連載第4回目は5月22日公開
マネージャーのトリセツ(巻き込み方入門) 乞うご期待!

こちらの記事は2020年05月08日に公開しており、
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公開日2020/05/22

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