Preferred Networksに異能のプロ達が集う3つの理由──元メルカリ小野氏らを引き寄せた技術・社会的信頼の実態を大解剖
SponsoredAIブームが熱狂から「実用」へとシフトする今、日本発の技術集団・Preferred Networks(以下、PFN)が、さらなる事業拡大に向けた進化を加速させている。
目指しているのは、既存の技術を流用した「手軽なAI活用」ではない。独自のAI半導体『MN-Core』を核に、ハードウェアからソフトウェア、そしてサービスまでを統合して、前例のない変革を起こしていこうとしているのだ。
顧客の複雑な課題を高度な技術力で解決してきた彼らは今、これまでのソリューション事業で築き上げた技術基盤と社会実装経験を活かし、自社プロダクトを連続的かつ安定的に量産する次なる段階へと歩みを進めている。
これは、積み上げてきた歴史のさらなる延長にある。これまでに集まった技術開発の異能たちが生み出した技術を、新たに集まり始めたビジネスの異能たちの手で、より広く社会へ届けるという、次なるフェーズへの挑戦である。
そして、その挑戦をさらに強く推し進めるべく、この技術アセットを用いて新たなビジネスの設計図を描く人材をさらに集めていくという。Amazonやメルカリの黎明期を牽引してきたCOO小野直人氏らが中心となり、「再現性があり、スケールする事業創出」という、新しい伸びしろを手にしようとしているのだ。
本稿では、共同創業者・代表取締役社長の岡野原大輔氏と、COO小野氏、二人の言葉を基に、野心的に挑戦するPFNの現在地を解剖していく。
自社で半導体からアプリケーションまでを手掛ける、国内では稀有な垂直統合モデル。そこから見えてきたのは、日本の技術集団が世界のAI市場で真に勝負するための、冷静かつ大胆な生存戦略だった。
他社にはできない「垂直統合×水平展開」
日本のAI領域におけるトップランナーとも言われることが多いPreferred Networks(PFN)。彼らが今、強固な研究開発の土台を基に、AIを「電気やインターネットに続く、社会のあらゆる活動にかかわるインフラ」へと飛躍させるという、新たなフェーズへと踏み出している。
小野技術的難易度の高い課題を、エンジニア自らがプロジェクトマネージャーとなってクライアントに入り込んで解決してきた。これが、PFNが持つ圧倒的な強みです。
ソリューションやアプリケーションのレイヤーといったわかりやすい部分はもちろんのこと、半導体や計算基盤など、AIにまつわるあらゆる技術領域で、世界でも最先端の事業を生み出してきました。
そして今、まさに雄飛の時。これらの最先端事業を、日本・世界に広げていく体制までついに整い始めました。事業家人材にとって、こんなにワクワクする環境はそうそうありません。
NTTドコモやAmazon、メルカリ、ボストンコンサルティンググループでキャリアを積み、さまざまな事業現場でBizDevやプロダクトマネージャー(PdM)を務めてきた事業家・小野氏は、こう力を込める。これから事業家人材を集め、多事業創出によって社会実装を進めながら大きくスケールしていこうとしているのだ。
取材内容等を基にFastGrowにて作成
なぜ、日米の大企業やスタートアップ、コンサルティングファームで辣腕を振るってきた小野氏が今、PFNに身を置くのか。まずは、同社の最大の強みがよくわかる“垂直統合”にフォーカスしたい。
なお前提として、この“垂直統合”という言葉の意味合いが、バーティカルSaaS企業の戦略論でたびたび使われる場合とは異なるという点に留意していただきたい。そうした文脈では「ソフトウェア等での支援をメイン事業としつつ、支援対象になる実業も一つの事業として担っていく戦略」を指すことが多いだろう。今回は、そうした意味合いではない。
小野氏の説明にもあった通りPFNは、AI半導体から計算基盤、生成AI基盤モデル、そしてアプリケーションに至るまで、AIにかかわるバリューチェーンを一気通貫で開発・提供している。
このような事業構造を持つ企業は、世界でもGoogleのようなビッグテックくらいのものだろう(ただし、事業戦略に大きな違いがあるため、単純比較は困難。本記事では詳細は割愛)。
そして先述の通り、2025年にさまざまな展開が進み、研究開発の強みを活かしつつ、社会基盤を担う「垂直×水平の事業体」としての進化が本格化している。
たとえば、これまで自社専用だったAI半導体『MN-Coreシリーズ』の製品化に踏み切り、また、同世代のGPU比で最大10倍のLLM推論性能を目指す生成AI向け『MN-Core L1000』は2027年の外販を目指している。さらに、自社開発の生成AI翻訳『PLaMo』『PLaMo翻訳』はデジタル庁のガバメントAI「源内」に採用され、政府職員約18万人規模への展開が2026年度中に予定されている。
汎用的なパッケージソリューションの展開も急速に進んでいる。店頭業務支援ロボット『Misebo』を組み込んだ小売チェーンストアDXを実現する『MiseMise』はさらなる拡大を続け、新素材開発を飛躍的に高速化するSaaS型の汎用原子レベルシミュレータ『Matlantis』は、リリースから5年ですでに150社以上に導入が進む成功事例となっている。
これほどの実績を積み重ねてこられた理由は、単に優秀な頭脳が揃っているからではない。日本の基幹産業を担う巨大企業から寄せられる、PFNへの高い期待と、それに応え続けてきた信頼の蓄積こそが、その源泉だ。
岡野原ENEOS様やファナック様などのような大企業から長年信頼をいただけているのは、フィジカルAIの領域のさまざまな現場で難しい課題に取り組んできたからです。現場でしかわからない複雑な制約を乗り越えてきた実績と、半導体からフルスクラッチでつくれる力、これらが他社には出せない価値と信頼を生んでいるという自負があります。
こうしたことからお客様からも、「他では到底できないような提案をしてほしい」という、高い次元での期待を常にいただいています。
技術の進化は今やほんの1年で古くなりますが、私たちの強みは技術それ自体だけではないと考えます。バリューに掲げる「Learn or Die(死ぬ気で学ぶ)」の精神にある常に技術を最前線へとシフトし続けられる組織文化と、現場での泥臭い実地経験こそが、強みなんです。
提供:株式会社Preferred Networks
小野氏がPFNに敢えて埋め込んだ“スタートアップ流”の本質とは
小野氏曰く、これまでのPFNの事業実績の多くは、社会に大きなインパクトを与えるものだった。深い問題に取り組めるだけの開発資金を持つ大企業とパートナーになり、早い段階からの収益を生む構造を築きながら、問題解決に最適な技術をフル活用した独自のソリューション提供を繰り返してきた。
そうしたソリューション事業こそが、現在のPFNの確固たる収益と信頼の基盤となっている。
この強みをさらに社会へ広く波及させるために、PFNは今、これまでとはやや異なる強みも追求し始めたというわけだ。先ほど示した“垂直統合”は、将来的な“水平展開”を支えるための戦略的基盤でもある。この高い技術力を、より汎用的なプロダクトとして連続的に生み出していくために、小野氏らはPFNの事業創出のあり方に、新たなエッセンスを加えていこうとしている。
その背景やポテンシャルを整理するために、PFNの歩みを大きく4つのフェーズに分けて俯瞰していく。
フェーズ1が「最先端の共同研究」。岡野原氏らが現場で腕を振るっていた創業期だ。AIを一から作り上げ各ドメインへのソリューションを手探りでつくっていた時期である。
そしてフェーズ2が「AIソリューションの提供とプロダクト化(MatlantisやMiseMise)」。現在はその終盤にあたる。ソリューション型の事業を中心に、業界を牽引するエンタープライズ企業との案件を次々と成功させ、その実績によって国内随一のAI企業という立ち位置を確固たるものにしてきたと言えよう。
取材内容等を基にFastGrowにて作成
そして次なるフェーズ3、すなわち「プロダクトの安定的な連続創出」を目指すのが、小野氏らの挑戦だ。ここから、組織的な事業創出という強みを定着させていこうとしている。
小野これまで10年かけて生み出してきたMatlantisのような世界を変えるプロダクトを、今後は「Flightdeck(*)」という仕組みを通じて、1年間に数本のペースで、かつ再現性を持って市場に送り出していく。これが実現すれば、製造業の設計プロセスから医療やヘルスケアの高度化、小売店の自動化まで、あらゆる産業でPFNの技術が同時多発的に実装されることになります。
*……小野氏が主導する、今後の新規プロダクト創出を支える仕組み。詳細は後述
さらにその先には、フェーズ4「次世代インフラとアプリケーションの完全な共鳴」が控えている。
自社開発のAI半導体『MN-Coreシリーズ』の高い性能と、自社でフルスクラッチ開発する生成AI基盤モデル『PLaMo』を協調して進化させていくことで、今後のAIや半導体で最重要となる電力問題、次のAIエージェントが求める低レイテンシ問題、そして装置産業化するAIサービスでの抜本的なコスト改善も、PFNなら解けるようになる。たとえば、スマートシティ全体のエネルギー最適化や、完全自動化された工場群の自律制御といった「物理世界のOS」とも呼ぶべきインフラを、ハードからソフトまで一気通貫で提供する世界だ。
これは、特定の業界をデジタル化するだけの「DX」ではない。物理法則に縛られた現実世界そのものを、AIの力で再定義する「フィジカル産業の再発明」である。
岡野原本来、自社発でプロダクト型の事業を創出するには、自らリスクを取り、先行投資を行い、高速で仮説検証を繰り返す期間が必要になります。
研究開発型やソリューション型での素晴らしい成功体験があるからこそ、次なる段階として「未知の市場」に向かって、より泥臭く仮説検証を繰り返していくビジネスの仕組みを、今まさに整えているところです。
すでに『Matlantis』や『MiseMise』といった確かな事例は生まれている。これらを「個別の成功」に留めず、いかに再現性を持って連続創出していけるか。そこに、PFNのさらなる「伸びしろ」がある。
取材内容等を基にFastGrowにて作成
この進化をリードする人物の一人が、COOの小野氏だ。
まず導入したのが、先述のFlightdeckという、新規プロダクト創出を支える仕組みだ。たとえば、新規プロダクトのアイディアを「Desirability:顧客のニーズやペインが存在するか」「Feasibility:技術的に実現可能か」「Viability:ビジネスとして成立するか」という3つの軸で評価し、ステージゲート方式で段階的に投資を判断していく。これらの基準を明確に導入することで、小野氏の経験から来るスピーディーな意思決定を組織全体に波及させていく狙いだ。
小野立ち上がったばかりのスタートアップであれば、否応なしに「どんな顧客向けのプロダクトなのか?」「ニーズやペインは?」「市場規模は?」という議論の毎日になります。
一方、今のPFNはすでに強固な技術と事業基盤がある。だからこそ、仕組みとして「顧客像」「ニーズやペイン」や「市場性」などの観点を強く意識し補完する構造をつくることが、さらなる飛躍のために不可欠なのです。
取材内容等を基にFastGrowにて作成
小野氏の視線は、個別のプロダクト立ち上げの先にある。PFNの実力を目の当たりにした小野氏は、「世界を変えるようなプロダクトが、連続創出される唯一無二の環境」をここに見出した。そこにスタートアップらしい「ユーザーのペイン」への執着を仕組みとして融合させることで、他には真似できないスピードで複数の事業を同時に急成長させていこうとしているのだ。
事業家のための、他社に依存しない“究極の武器”
現在のAIスタートアップ市場において、新規事業を立ち上げる者が常に抱える根源的な不安──それは「世界的なビッグテックが運営するプラットフォーム側による淘汰」だろう。突然の仕様変更や価格改定といった外的要因ひとつで、泥臭く築き上げた事業の優位性が吹き飛びかねない脆さを、多くの事業家人材は抱えている。
PFNの構造は、こうした「プラットフォーム側の都合」という外部変数から一定の距離を置くことを可能にしている。
AI半導体の設計から大規模な計算基盤、独自の生成AI基盤モデル、アプリケーションに至る4層をすべて自社で保持しているメリットは、技術面だけではない。事業家人材にとって、インフラのコスト構造からビジネスモデルまでを自ら設計できることを意味するのだ。
取材内容等を基にFastGrowにて作成
デジタル空間の情報を整理し、全人類に対して汎用的な利便性を提供するGoogleやOpenAIが、いわば「デジタルの万能薬」といえる存在かもしれない。
対するPFNの立ち位置は、工場やプラント、金融や医療といった現実世界の複雑さを反映した難問を解き明かす「現実世界で一つずつ抜本的に改善する主治医」と表現することができる。
工場の生産ラインで稼働する自律ロボットの制御や、未知の物質を合成する新素材の発見、あるいは人命をおびやかすガンの早期発見……その価値の発揮が待たれる分野は、枚挙にいとまがない。これら「現実世界ならではの産業課題」は、デジタル世界のみで解ける課題と比較し、プロダクトでの汎用化を効かせにくい。専用のハードウェアとAIソフトウェアを極限まで擦り合わせる垂直統合のノウハウを持つPFNだからこそ、成し遂げられる領域だ。
この未来を実現するために、PFNは自らの手でインフラから構築するという挑戦を続けてきた。2024年12月に発表した総額190億円の資金調達も、この垂直統合を完成させ、真に独立したインフラを確立するための戦略的な布石といえる。
岡野原特に海外の投資家からは「4層すべてを手掛けるのではなく、リソースを集中させるべきだ」とのご指摘をよくいただきます。
しかし、日本からAI事業を生み出し、社会に真の実装をもたらすためには、この垂直統合こそが不可欠な戦略であり、私たちのアイデンティティでもあるのです。
ここでは、技術の制約に縛られることなく、ビジネスモデルを根幹から設計できる。もしソフトウェアの制約がボトルネックになれば、次世代チップを設計するハードウェアチームと議論することも可能だ。
「特注の傑作」を「社会のインフラ」へ──事業家人材が集う最前線がここに
最先端の技術と、垂直統合のアセット。この強みをより多くの市場価値へと変換していくために、PFNは今、新たな「使い手≒事業家人材」を求めている。
PFNがこれまで創り上げてきたものは、特定の難問を極めて高度な技術で解き明かす、いわば「特注の傑作」だ。それらを担ってきたエンジニアたちの誇りと実績こそが、PFNの強靭な足腰である。
そして今、求められているのは、その一点モノの技術を「誰もが使える社会のインフラ」へと昇華させること。そのために、プロダクト型の事業開発に強みを持つ事業家人材が、新たなオーナーとして躍進するステージがある。
『Matlantis』や『MiseMise』のように、技術シーズを汎用的なプロダクトに落とし込み、プライシングから社会実装、市場戦略までをゼロベースで構築していく。そんなエキサイティングな挑戦が、社内の至るところで待機しているのだ。
取材内容等を基にFastGrowにて作成
その可能性と、事業をスケールさせる面白さにいち早く気づいた異能のプロフェッショナルたちが既に、続々とPFNに集結し始めている。
財務戦略と事業開発の要として参画した最高財務責任者(CFO)の堅山耀太郎氏は、ゴールドマン・サックス証券を経て、BEDORE(現PKSHA Technologyに統合)を共同創業した経験を持つ。創業期からのメンバーでエンジニアリングとビジネス戦略を統括するVPoEの福田昌昭氏は、ソニーでPlayStation Networkの開発を牽引した経験を持つ。
また、小野氏とともにプロダクト開発の現場を支えるのが、ゴールドマン・サックスからfreeeを経て参画した脇田悠希氏。そして、ラクスルやマネーフォワードでUI/UXデザインを牽引した倉谷道夫氏も、その一人だ。
次に打席に立つのは「あなた」だ
取材内容等を基にFastGrowにて作成
小野マネジメントレイヤーの陣容は整いつつあります。しかし、事業を自らの手でゼロから形にし、牽引していくビジネスオーナー、プロダクトオーナーといった現場の主役たちが、まだまだ足りていません。
必要なのは、既存の枠組みに囚われず、潤沢なリソースを使って巨大なインパクトを創り出そうとする存在です。自社プロダクトのグロースからアライアンスまで、手段を選ばず事業を成功に導くオーナーシップこそが、今のPFNが必要としている最後のピースなのです。
AIが社会のインフラとなるこの歴史的転換点において、圧倒的な技術を武器にゼロから事業を創り上げる経験は、他では決して得られないと、岡野原氏・小野氏は強調する。インターネットの黎明期に飛び込んだ先人たちがそうであったように、今この瞬間の決断が未来の歴史を創ると言えるだろう。
「自社の魅力も解剖してほしい」という企業様はこちら
こちらの記事は2026年04月24日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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