連載ベンチャーキーパーソン名鑑

【ベンチャーキーパーソン名鑑】BizDev編 Vol.33:NEL株式会社 萬寧々氏

萬 寧々
  • NEL株式会社 osina事業部 部長 

音楽業界にてライブ制作やアーティストマネージャーとして10年間従事した後、2020年よりIT業界へ転身。IT企業のアライアンス担当、株式会社ココナラでの営業組織立ち上げ・事業開発、note株式会社を経て、2025年12月にNEL株式会社に入社、現職に就任。

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「あの会社の急成長は、なぜ実現できたのか?」その答えは、最前線で事業の課題と格闘し、成果を出し続けている「ベンチャーキーパーソン」の仕事術に隠されています。

本連載では、スタートアップやベンチャー企業が事業を伸ばす上で避けて通れない具体的な「業務の壁」を、彼ら/彼女たちがどう乗り越えてきたのかを徹底解剖。

日々の業務ですぐに役立つ実践的なノウハウ、困難な意思決定を支えた思考プロセス、そしてリアルな成功と失敗の事例、そこから得たノウハウを、ご本人たちの言葉で共有する。(掲載希望企業はこちらのフォームからご回答ください。)

彼ら/彼女たちの生きた経験は、あなた自身の課題解決のヒントとなり、スタートアップやベンチャーでの活躍、あるいはキャリアアップを加速させる具体的な「処方箋」となるはずだ。

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NEL株式会社における「BizDev」の魅力とは?

以下、話者は萬寧々さん

推し商品のSNS動画投稿で報酬がもらえる、推し購買プラットフォーム『osina(オシナ)』の事業責任者です。『osina』の事業開発の面白さは、「好きや熱量を経済価値へ変換する仕組み」をゼロから設計できる点です。23万人のユーザーが持つ「好き」という感情を、企業のマーケティング成果へと結びつける。単なるインフルエンサープラットフォームではなく、個人のクリエイティビティが育つ「コーチング的側面」と「職能経済圏」を同時に構築していく過程は、エキサイティングな挑戦だと自負しています。

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BizDevの処方箋

処方箋その1:画面上の数字ではなく、個の熱狂を掴む

事業計画や目標達成を追いかけていると、どうしても数字へのコミットメントに意識が向きすぎてしまうんですよね。でも、特にtoCビジネスって「どれだけユーザーが熱狂しているのか」が定性的なんですけど、一番大事です。

むしろ、熱狂しているユーザーが1人でもいれば、そのプロダクトはうまくいくと思っています。「その熱狂の核はどの部分なのか?」「なにに心を動かされているのか?」「どんな環境にいる、どんな人が、どのような状況で、熱狂しているのか?」。こうした問いを深く掘り下げることが、toCプロダクトの原点です。だからこそ、私たちは「あえて画面上の数字を見ない」という意思決定をしています。

私自身、NELに入社した直後、70名にユーザーインタビューを行い、直接ユーザーの声を聴きました。そこで多くのユーザーから「osinaの動画審査が成長につながる」「他のユーザーの動画が教材になる」という意外なお話をたくさんいただきました。

遠くからosinaを見ていると、「ポイ活アプリ」だとか、「ユーザーは報酬を得るために動画投稿している」ように見えるんですけど、根源的な欲求は「憧れのクリエイターになりたい」「好きな仕事をしている自分になりたい」といった自己実現なんですよね。

そこからosinaを「なりたい自分になれるツール」と定義しなおし、事業の指針としています。


処方箋その2:業務効率化で余白を創り、思考に時間を投資する

もちろんスタートアップなので、トップラインを引き上げるのは重要なことです。

クライアントの目標に伴走支援させていただき、成果でお返ししていくことに、当然ながら全力投球しなければなりません。その中で見つかった課題に対し、真摯に向き合って改善を繰り返すことがベースの仕事です。

しかし、目の前の仕事に集中していると、パーパス、つまり「どうしても辿り着きたい目的地がどこであるか」を見失ってしまう。クライアントワークは際限なくやることがあるので、尚更です。だからこそ、思考やディスカッション、インプットにできるだけ多くの時間を取るようにしています。これは自分だけではなく、メンバーにも求めています。「長時間PCに向かっていることが偉いわけじゃないよ」は私の口癖なので、うちのチームには相当刷り込まれていますね(笑)。長時間PCに向かえるってことは、目の前に答えがあるってことなんですよ。むしろ、答えがないものに時間を使うからこそ、価値のあるイノベーションが生まれるわけで。

だからこそ、「余白」を生み出すことを大事にしています。今はあらゆる業務を自動化、効率化することに集中していますね。

今はAIが当たり前に使われるようになり、自動化・効率化はみなさん取り組まれていると思うんですけど、そこで生まれた空白の時間を何に「投資」するか意思決定することは重要です。今はメンバーに対して、「とにかく思考するように」と言っていますが、これが結構難易度が高い(笑)AIが出てきて、思考に時間が使えるようになると、実は思考する仕事をしてこなかったことに気づかされるんですよね。これからの時代は思考力が一層求められるので、業務に余白を作り、思考に時間を使うように意識する。そうして、思考の精度を高めることは、どのレイヤーでもどの仕事でも必要だと感じています。

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BizDevを学べるオススメコンテンツ

オススメその1:「自己組織性: 社会理論の復活

書籍情報
著者今田 高俊
出版社創文社出版販売
出版日1986/5/1
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非常にアカデミックな一冊ですが、私の仕事観の根底にある「OS」というくらい、影響を受けている本です。会社も組織も一緒なんですけど、社会というものは誰か一人が作り上げたものではないですよね。では、何が社会たらしめるのかというと、個と個の相互作用のネットワークで形作られている、というのが著者の主張です。そういうふうに会社を見ていくと、社員同士の相互作用によって会社が成り立ち、その会社と会社の相互作用によって、社会が作られていく、みたいに連動していきます。

プロダクトも組織づくりも、結局トップダウンでは何も効かない、むしろ個の単位と個の単位がどう相互作用するか、が全体を作るという視点でみないと、「思い通りにいかない」という壁にぶつかるわけです。「自分は会社のなんの役に立っているかわからない」と悩みを抱えた人にも読んでみてほしいですね。


オススメその2:「君に友だちはいらない

書籍情報
著者瀧本 哲史
出版社講談社
出版日2013/11/13
Amazonリンク

日本人は「公私を切り分けたドライな人間関係」が苦手なので、著者も難しいことを言うなと思いながら読んでいた本ですが(笑)、私自身が「チームは仲良くなるのではなく、目的を果たすために存在する」という考え方なので、社会の空気に馴染めないと感じたとき、この本を読み返して勇気付けられてます。

私たちはチームと聞くと、形容詞になにもついていなかったとしても無意識に「仲良し」とか「良い」をつけてしまっていますよね。でも本来チームとは集合体であって、仲良しである必要は別にないわけです。この無意識の仲良しを消して、チームをいかに目的ベースで捉えられるか。これが会社運営、事業運営にとって重要なんじゃないかと思います。

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キーパーソン萬寧々氏から皆さんへのメッセージ

『osina』はまだまだ成長余白の大きいフェーズです。裁量があると言ったら聞こえが良いんですが、要するに誰かに指示されるわけではなく、自分との戦いになります。市場に出してみてうまく数字がでないことも、ユーザーにぶつけてみても意図と違うフィードバックが返ってくることもよくあります。それが楽な道だと決していうつもりはありません。誰も正解を教えてくれない、世の中の誰もわからないから、日々自分が意思決定を繰り返していく。だからキツイんです(笑)

でも、人生で1回はそういうチャレンジをしてみても良いじゃないですか。今の環境でいいのかなと迷っていたら、飛び込んできてください。結果どうなったとしても、良い経験であることには間違いないと思いますよ。




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こちらの記事は2026年03月19日に公開しており、
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