精鋭集団・VALANCEの「中小企業×AI」構想に、SMBCの新ファンドが「成長の10%にコミットする」と断言した理由とは

インタビュイー
渡邉 俊
  • VALANCE株式会社 創業者 代表取締役 CEO 

アクセンチュア株式会社に新卒入社。その後フリー株式会社に入社し、Small事業責任者、SMB事業責任者、会計事業責任者、パートナー事業責任者と幅広く担当し、退任時は専務執行役員CBO。上場後のfreeeの黒字化を牽引。大学院生時に、ニューラルネットワークの研究開発経験から、AI時代の新事業としてVALANCEを創業。

山口 公大
  • VALANCE株式会社 創業者 取締役 COO 

株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社した後、米国発ソフトウェア企業Sprinklrやインド発ホスピタリティ企業OYOの日本法人創業・Fintech事業を行うARIGATOBANKの創業等、複数の会社の垂直立ち上げ&スケールを主導する連続起業家。新たに渡邉とVALANCE株式会社を創業。

宮坂 友大
  • 株式会社SMBC Edge Managing Director 

総合金融グループの金融持株会社SBIホールディングスを経て、2006年に住友信託銀行とSBIグループの出資による現住信SBIネット銀行の立ち上げに参画。2008年よりGMO VenturePartnersに参画、取締役・パートナーを務める。その後、専門である未上場領域に加えて、上場企業経営、共創、海外へ活動の幅を広げる。慶應大学経済学部卒。

岩間 亮太
  • 株式会社SMBC Edge Associate 

2017年東北大学経済学部卒業後、三井住友銀行入行。東北にて中堅・中小企業を中心に法人営業を経験。2019年よりスタートアップ支援部署にてスタートアップの成長支援業務、SMBCベンチャーキャピタルにてデューデリジェンス業務・ファンド運営業務に従事。その後、ITスタートアップにて事業推進や大学発の技術シーズの事業化支援等を経験したのち、2025年4月より現職。

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次のラウンドまでの成長の10%を、私たちが担う──。

起業家側の本気度に合わせるかのように、投資家も具体的なコミットを強調。従来のスタートアップ⇔VCとは異なるような関係性の2社がある。

SMBCグループで新たに立ち上がったスタートアップ投資チームである株式会社SMBC Edgeは、キャピタリストを大きく上回る人数のバリューアップスペシャリストを擁し、営業から採用まで泥臭く手足を動かす「事業支援家」集団だ。このような存在の登場が、日本のスタートアップシーンが新たなフェーズに突入した証左だとも言えるだろう。

もちろん、あのSMBCグループの新たな取り組みであるからには、投資規模も非常に大きなものとなっている。目標として掲げているのは、今後10年で1兆円にのぼる規模のリスクマネー(投融資)の供給だ。

その先駆けとして選ばれた投資先5社のうち、最もアーリーフェーズの企業が、この記事で一緒に登場するVALANCE株式会社。フリー(freee)で事業責任者や専務執行役員CBOを務めた渡邉俊氏と、ディー・エヌ・エー(DeNA)や外資ユニコーン企業日本支社複数社、FinTech企業などの創業とグロースを牽引した山口公大氏が2025年に共同創業した。

本記事では、SMBC Edgeの宮坂友大氏・岩間亮太氏も含めた4名で、スタートアップエコシステムや日本産業の現状と未来、そして両社の今後について、具体的な構想も含め語り合ってもらった。

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「10年で1兆円」へ、SMBCグループの新たな覚悟

三井住友フィナンシャルグループ(以下、グループを総称してSMBCグループ*)が掲げる「今後10年間で1兆円」の規模でのスタートアップ投融資(リスクマネー供給)の構想と、その主体となる「SMBC Edge」の立ち位置について、改めてお聞きできますか?

*……持株会社の社名である「三井住友フィナンシャルグループ」を、そのまま略すとSMFGとなるが、同社は2018年からグループ呼称を「SMBCグループ」に統一して対外的に使用している

宮坂はい、SMBC Edgeは、ベンチャー・スタートアップ投資としてのリスクマネー供給の最前線に立つ存在として新たに立ち上げました。

SMBCグループのスタートアップ部門では「日本の再成長」を中期経営計画にて掲げ、スタートアップやベンチャー企業への投資を推進してきました。もちろん、銀行としての融資や、企業間のマッチングなどにも、併せて取り組んでいます。

なお、今回のSMBC Edgeという子会社と、150億円規模のファンド、これらの立ち上げは、単なる「投資枠の拡大」ではありません。「投融資1兆円」という数字は、よくある予算などとは異なり、我々が日本経済の再定義と心中する覚悟の表れだと思っています。

岩間このファンドを2025年10月に組成し、たった3カ月の間に、5社へ合計約30億円の投資を決定しているので、かなりのスピード感だと思っています。

※編集部注:株式会社SMBC Edgeは、2026年2月2日のプレスリリースにて、株式会社BALLASインターステラテクノロジズ株式会社株式会社ミツモア株式会社MWVALANCE株式会社の5社への投資決定を公表している

提供:株式会社SMBC Edge

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SMB向けAI事業に特化。freeeやDeNAでの経験と、現場への入り込みが、投資の決め手

そんなSMBC Edgeの投資先の第1弾となった5社のうち、最もアーリーなフェーズのスタートアップがVALANCEですね。コーポレートサイトでも掲げている標榜する「日本の産業を、リープフロッグさせる。」というビジョンに向けた戦略を、改めてお聞きできますか?

※編集部注:VALANCE株式会社は2026年2月2日、シードラウンドとして、デライト・ベンチャーズをリード投資家とし、SMBC Edge、三菱UFJキャピタルを引受先とする約2.7億円の資金調達を発表した(プレスリリースはこちら

渡邉私たちが挑んでいるのは、日本経済の血流である「サプライチェーンマネジメント(SCM)」という巨大な領域。ここは、最もデジタル化から見放されてきた領域だとも言われます。

そしてその担い手のほとんどがいわゆる中小企業(SMB)。非常に泥臭い取り組みが必要になります。

山口今の日本では、「AIブーム」に乗った事業の多くが、エンタープライズ(大企業)向けに構想され、業務を便利にするような内容のものになっています。そうではない事業領域での挑戦をしているんです。

左から、VALANCE渡邉氏・山口氏(提供:VALANCE株式会社)

渡邉地方の中小企業やレガシーな産業現場には、「見えない天井」にぶつかりながらも、必死に日本を支えている偉大な企業が数多くあります。そんな企業・事業者が、最新のSaaS型のソフトウェアをすぐに使いこなせるわけではありません。それでも、AI技術をフル活用できれば、現場のワークフローに勝手に「溶け込む」ような設計のソフトウェアを実現できる。現場の皆さまが「AIを使っている」と意識さえしないまま、爆速でDXが完結する。

提供:VALANCE株式会社

宮坂渡邉さん・山口さんをはじめとしたVALANCEの皆さんのSMBマーケットに関する解像度は、ものすごく高い。もちろん渡邉さんがフリー(freee)出身だということもありますが、それ以上に、今の事業で現場にさらに深く入り込み、自ら手を動かしてプロダクトを開発しているわけなので、非常に頼もしく見ています。

まだ事業立ち上げのフェーズであり、本格的なグロースはこれからというところですが……日本の産業を大きく変えていくようなプロダクトを創れるチームだという期待を高く持っています。

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日本経済の“歴史的転換点”で、スタートアップエコシステムに必要な変化

宮坂さんは、ご前職のGMO Venture Partners(以下、GMO VP)で、スタートアップ投資の豊富なご経験が既におありかと思いますが、今このSMBC Edgeでどのような取り組みに挑戦したいと考えているのでしょうか。

宮坂はい、GMO VPでは、どちらかといえば「スタートアップ側としての論理」の中でスタートアップ投資に取り組んできました。ですが、SMBC Edgeでは「金融」という役割から、広く社会全体に貢献する取り組みとして考えるようになったと言えます。

ただし、一貫して「投資先の事業の成功に責任を持つ」ために、投資家として振る舞いつつ、一級の事業支援家であることにもこだわるべき。そう、私たちは考えています。

このSMBC Edgeは、立ち上げと同時にメンバーを集め、新規上場やHR・採用、M&A支援など、さまざまな経験・強みを持つスペシャリストによるバリューアップチームを置いています。すでに、キャピタリスト数名に対し、バリューアップチームは十数名と、多数を占める組織構成です。

提供:株式会社SMBC Edge

独立系VCが中心的なプレイヤーとなってきた日本のスタートアップエコシステムにおいて、全産業を網羅的に支援しているメガバンクグループが、巨大な資本を持って参入する意義はどこにあると考えていますか?

宮坂今、日本経済は「東証のガバナンス改革」や「アクティビストの台頭」などもきっかけにして、眠っていた内部留保を始めとした資金が循環していく歴史的転換点にあるともいえます。まさに今、リスクマネーの供給量が最大化されるべきタイミングです。

ですが、独立系VCの奮闘だけでは、この巨大な資本のうねりを引き受けるには不十分なのではないか……というのが、私たちの見立てです。資金の量だけでなく、日本経済を動かしている既存産業への食い込みにも伸びしろがあります。

そこで、メガバンクを中心とした総合金融機関の1社であるSMBCグループが、全産業を揺り動かすような大きな取り組みをしようとしているわけなんです。

渡邉実体経済の担い手であるSCM領域のSMBをマーケットとして捉えるにあたっても、金融機関というパートナーの存在が、最強の武器の一つになります。

すでに、あるメガバンクや地方銀行とは、PoCの形で、次世代の戦略的な取り組みや、全国のSMB向けに導入を広げていく協業体制の構築に取り組み始めています。

岩間このスピード感は、想像以上・期待以上で、驚いているところです。さすがですね。

山口今、同じくAI事業の領域では、LayerXなどの先行者がフロント業務領域でエンタープライズ向け事業を拡大しています。その一方で、私たちは「日本経済の基盤そのもの」をAIで再構築することに、また異なる戦い方で挑もうとしているわけです。

もちろん、ゆっくりやっていくというわけではありません。各地方への展開は、あるタイミングから一気に急拡大していくことになると思います。

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「馬力」と「求心力」を併せ持つVALANCEの経営チーム

SMBC Edgeは、VALANCEに対してどのようなバリューアップを展開していく想定なのでしょうか?

岩間例えば、売上創出においては、次のラウンドまでの成長のうち10%を私たちが担おうとしています。単に顧客を紹介するだけでなく、商談の同席・推進からクロージング、そして契約締結後のデリバリーにいたるまで、手足を動かして貢献するつもりです。

渡邉10%という数値目標は、今、初めて聞きました(笑)。雑な計算で恐縮ですが、これで私たちの10%成長は確定ということですね(笑)。

宮坂そういうことです!(笑)。

HR支援についても同様に目標を置き、採用・定着まで徹底的に支援します。といっても、ディー・エヌ・エー(DeNA)やいろいろな企業で組織拡大を指揮してきた山口さんがいますので、支援は不要かもしれないくらいですが。

山口そんなことはありません(笑)、一緒に高い目標に向けて取り組めるのが楽しみです。

ご取材時の様子(左上から時計回りに、渡邉氏・宮坂氏・岩間氏・山口氏

なぜそこまで、具体的かつダイナミックなバリューアップの取り組みをするのでしょうか?

岩間スタートアップの多岐にわたる経営課題に対し全方位的に支援していきたいですし、投資先のスタートアップと一緒に成長していきたいという思いからだと思っています。VALANCEの次のラウンドでは、大きな額を投資してリードを取って、非連続的な成長に貢献していきたいと、すでに考えているんです。そのために必要なアクションだと思っています。

宮坂今回のシードラウンドは、結果的にはデライト・ベンチャーズさんのリードになったわけですが、私たちもリードを取りたいという気持ちはあったんです(笑)。

加えて、このように楽しく語り合える関係性にもなれたのが渡邉さんと山口さんでした。事業について厳しく見るのは大前提としてありつつ、打ち解ける中で求心力のような魅力を感じたのも、今回の投資決定につながった大事な部分ですね。

渡邉そうだったんですね。宮坂さんって、メディアに登場する際には、数字だとかロジックだとかをしっかり見られている印象が強かったので、今このようにお聞きして、意外だなと感じました(笑)。

それでは最後に、今後の活動に関連して伝えたいメッセージをお願いします。

渡邉VALANCEは、すべてをAIネイティブに立ち上げていくフェーズのスタートアップです。他社ではなかなか得られない経験が得られると思います。

山口自社内でのAI活用という意味でも、非常に刺激的な環境だと思いますね。例えばセールス部長は、営業管理ツールを自らバイブコーディングで作って使っています。私も、ATSは自分で開発しました。そういうチームに魅力を感じる人もいるのではないでしょうか。

宮坂このお二人をはじめとして、VALANCEにはとても力強いメンバーがそろい始めています。期待しかありません。

また、SMBC Edgeとしても、投資を実行した後の、これからが本番になります。バリューアップで成果を出していくのが楽しみです。

岩間VALANCEは営業や採用を、そしてSMBC Edgeは投資先の開拓を、これからさらに本格化させていくところです。少しでも興味があれば、ご連絡をいただけるとありがたいです。

こちらの記事は2026年03月13日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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