「プロが選ぶ最後の土壌」二度NOを出した人事のプロが、三度目に選んだ理由

Sponsored
インタビュイー
佐藤 邦彦

リクルートに新卒入社し、HR領域で営業・企画・マネジメントを経験。営業社長賞を当時最年少で受賞。リクルートHDにて海外事業開発・働き方改革をリード。2020年よりCHROとしてココナラの上場・事業多角化・人的資本開示を牽引。HR総研主催「人的資本リーダーズ2022」にグロース市場企業で唯一選出。2024年4月よりビットキー参画。HumanDriven社CEO、日本HRBP協会理事も兼務。

関連タグ

二度、断った。

リクルートでトップセールスとなり、ココナラではCHROとして上場前後の急成長を牽引した佐藤邦彦氏は、初めてビットキーのオファーを受けた時も、二度目の対話を経た後も、きっぱりとNOを突きつけた。理由は冷徹な分析に基づくものだった。離職率40%超。人事制度は空洞。組織は崩壊寸前。いかに事業戦略が光り輝いていても、それを実装する土が痩せていれば、すべては絵に描いた餅だ。

それでも、彼は最終的にビットキーを選んだ。そしてその先に起きたのは、単なる「優秀な人材の入社」ではなかった。佐藤氏の冷静な外部視点と、寳槻氏が抱き続けてきた「個人の可能性を信じ抜く経営」という思想が衝突し融合することで、組織は劇的に変容した。

本連載の最終回となる今回、佐藤氏が語るのは、この連載を通じて描いてきた「マンモス攻略の軍略」を支える組織の土壌についてだ。壮大な軍略に血を通わせるための「人」の仕組みを、外部のプロは何を見てどう判断し、なぜ飛び込んだのか。

SECTION
/

「崩壊寸前」の現場を、外様のプロはどう見ていたか

2023年、ビットキーは表と裏で全く異なる顔を持っていた。スマートロック市場で圧倒的なシェアを誇り、主力事業の成長曲線は右肩上がり。しかし組織の内部は、急激な人員拡大に仕組みが追いつかず、疲弊した社員が静かに会社を去り続けていた。離職率は40%を超え、社内で唯一人事評価を回していた担当者の退職が決定。事業部のトップランナーだったCOO・石政健人氏が急遽、人事責任者を兼務することになった。

人事経験ゼロ。他の事業も兼務しながらの特命。八方塞がりの状況で、経営陣が白羽の矢を立てたのが佐藤氏だった。

佐藤ビットキーとの最初の接点は2022年の秋。先輩に誘われて社長の寳槻や副社長の福澤と焼肉を食べたのが始まりです。その場では仕事の話は一切なし。「面白い人たちだな」という印象はありましたが、転職など頭の片隅にもなかった。

その出会いから半年以上が過ぎた2023年6月、物語は突然動き出す。福澤氏に呼ばれてビットキーのオフィスへ向かうと、そこに寳槻氏が現れ、唐突にこう告げた。

「佐藤さん、内定です。CHROとして、ぜひ来てください」

佐藤「え、俺っすか?」って感じで、本当に意味が分からなかった(笑)。面接どころか、まともに仕事の話もしていない。呆然としている僕を前に、寳槻は「これから僕が50分間プレゼンをします」と熱弁を始めました。事業戦略の話はたしかに面白かった。しかし、その戦略を実行すべき組織がこれほど疲弊していては、すべてが絵に描いた餅になる。そう冷静に判断し、その場できっぱりお断りしました。

外部のプロとしての目は、率直だった。「いかに思想が高貴でも、実装する土が痩せていれば何も育たない」。彼はそう見切っていた。

SECTION
/

「二度のNO」を超えた、思想と思想の化学反応

しかし、ビットキー経営陣は諦めなかった。2023年7月、再び寳槻氏から「先日は唐突で申し訳なかった。改めてちゃんとお話を」と連絡が入る。そこで初めて、佐藤氏は「Being経営」という思想の核心に触れることになる。

佐藤私にはHR領域でキャリアを重ねる中でずっと向き合ってきたテーマがありました。「会社と個人の関係性」についてです。

成長するスタートアップでは「会社のステージに合わない人は退職だ」という代謝が当然のように語られる。頭では経営として合理的だと分かっていても、心の底から賛同できない自分がいた。

「これからの時代、人生において'働く'をどう選ぶかは個人の主権になる。会社のためではなく、個人のために会社が存在できる組織こそ、本当に魅力的で強い組織なのではないか」と、ずっと悶々としていたんです。

そんな葛藤を抱えていた矢先に、目の前の寳槻氏がまるで心の声に応えるかのように「自分が経営者として社員やお客様に関わる中で、その人の人生が輝くきっかけになれるなら、それが一番嬉しい」と語り始めた。佐藤氏が長年温めてきた問いと、寳槻氏が追い求めてきた経営思想が、その瞬間に初めて本格的に交差した。

それでも、佐藤氏はその場で二度目の辞退と起業への意志を伝えた。

佐藤寳槻は「でしょうね」と言った上で、「自分で起業するのと同時に、うちでも一緒にやりませんか。自由に働いてもらって構わない」という信じられない提案をしてきたんです。さらに「自分は経営者として至らないがゆえに、組織に多大な迷惑をかけてきた。どうやって立て直せばいいか分からない」と率直に打ち明けてきた。

経営者が自らの「敗北宣言」を述べ、プライドを捨てて頭を下げる。この人となら、自分が信じる「個人の可能性を信じ抜く組織」を本気で成功させられるかもしれない──そう直感しました。

こうして、自身の会社「HumanDriven」を設立しながら、「委任型CHRO」としてビットキーの変革に加わるという前例のない道を選ぶことになった。

佐藤後日談ですが、寳槻には「仮に委任型が嫌だと言っても、僕はあなたにコンサルをお願いするつもりだったので、どっちにしても詰んでましたよ」と笑われました。

ピュアでありながら、そういう打算的な部分も持ち合わせている。ちょっと悔しいけど、経営者として魅力のある人だなと思いましたね。

SECTION
/

「乾いた土壌に、種は育たない」──Being経営の共創

参画してまず佐藤氏が着手したのは、会社の「羅針盤」の再定義だった。重要だったのは、これが佐藤氏の「持ち込み」ではなく、寳槻氏がもともと抱いていた経営哲学を佐藤氏がHRの専門知識で言語化・構造化するという共同作業だったことだ。

佐藤まずは土壌を耕し直すことから始めました。どんな種も、乾いた土壌からでは花を咲かせることができない。「ビジョン・ミッション」という太陽を輝かせ、「組織づくりのポリシー」という支柱を置き、「共通言語」という水を蒔く。ここに「人事評価制度」という庭をつくることで、初めて種は芽吹くことができるんです。

「つなげよう。人は、もっと自由になれる。」という新たなビジョン・ミッションを掲げ、メンバー一人ひとりが「なりたい自分」に近づけることを組織の核心に据えた。

ここで登場するのが、「Being」という概念だ。多くのスタートアップが定める「バリュー(価値観・行動規範)」とは似て非なるものだと、佐藤氏は言う。バリューが「組織として体現してほしい行動様式」を定義するのに対し、Beingとはもっと手前にある問いだ。「自分はどう在りたいか」「何を大切にして、どう生きるか」という、個人の在り方そのもの。会社が与えるものでも、揃えさせるものでもなく、一人ひとりが自分の内側に持っているものを、組織の中で磨き合うための指針として位置づけている。

提供:株式会社ビットキー

そしてここで、連載を通じて描いてきた「マンモス攻略」の戦略と、この組織論は一本の線で繋がる。

佐藤私たちが対峙しているのは社会課題という「マンモス」です。100人100通りの考えやアイデアの総和がなければ、マンモスは攻略できない。一人ひとりの在り方を尊重し合い、磨き合うことが、戦略から逆算された合理的な設計なんです。

ここでビットキーが下した、スタートアップの常識を覆す決断がある。「Being(あり方)そのものを評価制度に反映させない」という選択だ。

佐藤多くのスタートアップは自社のバリューを評価制度に組み込み、体現できる人材を増やすことで成長を目指します。それは急成長フェーズでは合理的な手段です。

しかしビットキーが目指すのは、一人ひとりのBeingが尊重される組織。評価という画一的な物差しを当てはめれば、社員は「評価されるためのBeing」を演じかねない。それでは本末転倒です。だから「Beingを評価に入れるのはやめましょう」と提案しました。

では、多様な才能や貢献をどう評価するのか。その答えとして生まれたのが、100種類以上の選択肢からなる「スキルカード制度」だ。

佐藤組織には多様な貢献の形があります。自分の領域を超えて他部署を助ける「オーバーラップ」というスタンスもあれば、日常の当たり前を守り続ける「縁の下の力持ち」のような行動もある。どちらも等しく価値があるのに、従来の評価軸では「目立つ動き」や「数値化しやすい成果」にばかり光が当たっていた。

スキルカードは、多様な「らしさ」や「強み」にスポットライトを当て、高め合うための仕組みです。社員とマネージャーが対話し、「このスキルを伸ばしていきたい」という双方の合意のもとで評価観点としてカードを選べる設計にしました。

これらは会社が評価をしやすくするための仕組みではない。「これをやれたら楽しそう」「このスキルを身につけて自分をもっと磨きたい」という、個人の内なる“感情”を引き出し、目の前の仕事に発露させるための装置なのだ。

SECTION
/

変革を加速した、外部×内部の化学反応

土壌を耕す施策を実装できた背景に、強固な「三位一体」のチームがあった。ビジョンを語る社長・寳槻氏、その思想を体系化し組織のシステムに翻訳するCHRO・佐藤氏、そして現場の解像度を持って実践を担うCOO・石政健人氏とVPoE・佐藤正大氏。

この四者が噛み合ったことが、変革の最大の要因だった。外様の批判的視点が中からの共感と交わったとき、組織は初めて本当の意味で動き出した。

佐藤外様の自分がいきなり正論を振りかざしても、現場は動きません。信頼関係がないからです。

普通のスタートアップなら、ここで軋轢が生まれて空中分解するケースも少なくない。でもビットキーでは石政と(佐藤)正大が、それぞれの現場との橋渡し役を完璧に務めてくれた。彼らが僕の言葉を現場の言語に翻訳し、信頼というパイプを通して届けてくれた。もし一人で信頼を築こうとしたら、それだけで1年はかかっていたはずです。

SECTION
/

耕された土壌が待っている。
マンモス攻略に挑む勇気はあるか

一連の改革の結果、組織には劇的な変化が訪れた。40%を超えていた離職率は、直近2年平均で13%まで逓減した。OpenWorkの口コミには「人に向き合うのを大事にする会社に変わった」というポジティブな声が並ぶようになり、採用候補者から「何が起きたんですか?」と尋ねられることも増えた。この数字は、佐藤氏一人の手腕でも、寳槻氏のビジョンだけでも生まれなかった。外部の冷静な目とビットキーの持つ熱量が化学反応を起こした結果だ。

しかし、佐藤氏は強調する。これは決して「ぬるい組織になった」という意味ではない、と。むしろ、個々に求められるプロフェッショナリズムの水準は、以前よりも格段に上がっている。

佐藤「コトよりヒト」とは、コトを軽視するという意味ではありません。マンモスを攻略する以上、常に高い課題解決能力が求められます。

個人にスポットライトを当てるのは感情論ではなく、事業を強く推進するための合理的な戦略なんです。セールスが自らプロダクトチームに改善提案するのは日常茶飯事。誰もが自分のKPIだけでなく、事業全体の数字を意識して発言する。それがここで働くプロフェッショナルの基準です。

この連載を通じて、ビットキーの「軍略」の全体像が明らかになった。寳槻氏の事業戦略、福澤氏の知的な営業手法、関原氏の育成の仕組み、五十嵐氏が血を注いぐ名品の力。そのすべてを束ね、機能させるための「人」の土壌づくりが、佐藤氏の仕事だった。

佐藤私は、二度断った側の人間です。だからこそ、ポジショントークなしに言えます。

ビットキーは「人を大切にする良い会社」という抽象的な話をしているわけじゃない。個人のBeingを磨き合うことが、マンモス攻略における最も合理的な戦略だという設計思想があります。軽率に「来てください」とは言いません。ただ一つだけ言えるのは、まだまだ未踏のフィールドがあるということ。そこへ飛び込む勇気がある人に、今のビットキーは真正面から応えてくれる組織です。

ぜひ、あなたの目で確かめに来てほしい。

【編集部より】

「マンモスの攻略」と銘打った本連載は、石政・寳槻・福澤・関原・五十嵐・佐藤の計6氏への取材をもって、ひとつの輪郭を描き終えた。

浮かび上がったのは、確かな「強さを生む構造」だ。ハードウェアという物理レイヤーを掌握することで、単体SaaSでは築けない参入障壁を持つ。顧客の中期経営計画を読み解き、社内稟議を共に設計し、5年後・10年後の社会インフラとして合意を積み上げる──それがビットキーの営業であり、「コミュ力勝負」とは根本的に異なる知的な格闘技だ。

そして何より印象的だったのは、営業を「数字を積むための兵隊」として扱わない姿勢の一貫性だった。元ソニーの名匠がプロダクトに魂を込め、元Salesforceのトップセールスが育成の土台を作り、二度の内定辞退を経た人事のプロが「ここが戦場だ」と決意した組織。その全員が、「市場の最前線に立つ営業こそが産業を動かす力の源泉」だと信じている。

「出来上がった仕組みの上で売ることに、もう飽きている」「単なる御用聞きではなく、産業構造ごと変えたい」「変えられないと思っていた業界を、本気でひっくり返せる場所を探している」──その希望が叶う、唯一無二の可能性に満ちた環境がここにある。

こちらの記事は2026年02月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。