「探索と発見」の育成論──年収1億円の外資系トップセールスが拘る「一生モノの技術」としての営業力
Sponsored「トップセールスとは、一部の才能ある人間だけのものだ」──そんな思い込みを、関原大輔氏はきっぱりと否定する。
錚々たる大企業と社会課題を解決する──そのマンモス攻略の哲学と戦法を、前の記事では社長の寳槻氏、副社長の福澤氏がそれぞれの立場から語ってくれた。では、実際にその哲学を次世代へと受け渡す役割を担うのは誰か。
それが関原氏だ。彼が標榜するのは、背中を見て覚えろ式の育成でも、スター選手の属人的な経験談でもない。エンプラ営業を「誰もが習得できる体系的な技術」へと昇華させ、組織全体の戦闘力を底上げする。ここには、営業を志すすべての人間が「一生モノの武器」を手にできる道場がある。
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
マンモス攻略の「騎士団」を育てる──ビットキーが必要としたのは、伝道師だった
ビットキー社長の寳槻氏から声がかかったとき、関原氏はその依頼の中身を正確に聞き取った。
関原「ビットキーの営業を、本物の営業にしてほしい」と言われたとき、「後任を育てて仕組みや人を整えたら次の世代にバトンを渡す」という役割なら、僕にとっても意義があると思ったんです。育成に強い人が入ることで彼ら本来の力ももっと発揮できるようになる。これまで学んできたことを次の世代につなぐのは、悪くない選択だなと。
入社の判断は、「経済合理性」ではなく「直感」だったと関原氏は明かす。
関原ビットキーが上場パーティーをやっているところに、第三者としてシャンパンを持っていくのか、当事者として盛り上がるのか、どっちが面白いかなって考えたとき、後者のほうが面白そうと思ったんですよね。ビジネスとして儲かるかどうかは正直あまり考えていなくて、直感が「ここだ」と言っていた。
この「直感」の背景には、「モダンエルダー」という概念への共鳴があった。米国発のキャリア論で、豊かな経験を持つ世代が若い世代と「相互に学び合う」という新しいロールモデルだ。
関原前職の外資系企業に転職した時、4年間目標未達が続いて苦しんだ時期があって、だからこそ「その苦しさを最短ルートで回避する方法を伝えたい」という気持ちが強い。成長に挫折は必要かもしれないけれど、何年も苦しむ必要はない。教えられることは全部伝える──それが今の自分の役割です。
属人性を排す──「トップセールスの才能」という神話を、技術で解体する
関原氏が育成論の出発点として置くのは、「トップセールスはセンスや才能の話ではない」という信念だ。
関原基礎を徹底して「当たり前のことを、当たり前にやり続けられる人」はトップセールスになれます。エンプラ営業における受注がホームランだとして、多くの人がまだゴロも打てないのに、いきなりホームランを目指している。まずはバットに当てることから始まる。最初に磨くべきは「当てる力」なんです。
「当てる力」とは何か。関原氏の言葉で言えば、「相手がどう動くかを想像し、先回りする力」だ。第3回で福澤副社長が語った「想像力という技術」の、現場への実装版といっていい。
関原たとえばお礼メール。「たかがお礼メールで?」と思う人もいるかもしれないけれど、相手の営業部長が「お礼メールを重んじる人」だった場合、忘れるだけで評価は落ちる。最初の印象やバイアスというのは曲者で、その後どれだけ良い提案をしても覆すのは至難の業です。まずは土台となる基礎。そのあとで、自分の色を出していく順番です。
基礎の先に待つのが、エンプラ案件特有の「組織力学の把握」だ。大企業を動かすためには、組織の内側を読み解く眼が要る。
関原多くの営業は「会って話している人が決裁者だ」と思い込んでしまっている。でも、実際に決めるのは別の人であるケースは多い。その企業の課題は何か、誰が判断するのか、稟議フローはどうなっているのか、社内の反対意見はどういったものか──こうした点を徹底的にヒアリングして、課題を潰し、見極めることが重要です。
顧客企業のIR情報から中期経営計画、キーパーソンの経歴や発言まで徹底的に調べ上げる。そうして仮説を立て、一撃必殺の個別戦略を練り上げる。誰が本当の決裁者で、誰が影響力を持っているのか。その人間関係まで読み解いて初めて、エンプラ案件攻略の決めの一手が見えてくる。
さらに、関原氏が「左脳と右脳の両方を使える人間は強い」と語るのが印象的だ。ロジックで提案する「左脳」と、「買ってください」とはっきり伝える「右脳」。分析と感情、知略と人情が揃って初めて、エンプラ案件攻略の技術と言える。この「両利きの営業」もまた、属人的なセンスではなく、修練によって身につけられる技術として関原氏は教える。
「探索と発見」を尊ぶ育成論──言葉で向き合い、現場で伴走する
エンプラ営業の技術を「体系」として伝えることへの執念がある一方、関原氏の育成にはもう一つの柱がある。「答えを与えず、探索させる」姿勢だ。
関原うまくいっていない人には、「それじゃダメだよ」とちゃんと言わなきゃいけない、と思っています。なぜなら、自分の型を自覚しない限り、本当の武器は見つからないからです。
誰かの成功スタイルをそのまま真似しても、たいていは機能しない。ロジックで勝負するのか、徹底的に現場に入り込むのか、あるいは顧客の組織図を誰よりも深く読み解くのか──自分に合った武器の見つけ方は、人によって違う。だから、その人が見えていない部分を言語化して渡すことが、私の仕事だと思っています。
「本人が見えていない部分を見つけ、そこを伸ばす」という姿勢は、テンプレートを押し付けることとは対極にある。関原氏が言う「探索と発見」とは、まさにここだ──画一的な「正解の型」を与えるのではなく、各自が現場で自分のスタイルを発見するプロセスを、精緻に伴走する。
その伴走の濃度は、並外れている。資料1枚にも、関原氏は妥協しない。
関原「この資料、なんでこの順番にしてるの?意図は?」ってよく聞くんです。資料が15ページあるなら、15ページすべてに意味があるべきで、「このお客様にはこれ」という明確な意図が必要です。
営業の成果物は提案書。これが数千万円、数億円の価値になる。誤字脱字なんてありえないし、フォントがバラバラとか、そんなのも絶対にダメ。1ターンで仕上がるようになるまで大体1年はかかります。絶対に妥協しません。
現場同行も、関原氏のこだわりの一つだ。静岡に行き、京都に行き、翌朝一番の新幹線で帰ってきたその日の午後には別のメンバーのバーベキューに参加する──すべて異なるメンバーへの同行だ。「背中を見て覚えてもらうのではなく、資料からじっくり見て、対話もして、現場にも同行して、直接フィードバックする」。1度の提案でも100回分の修行に等しい濃度がそこにある。
関原「まだ不足があるけれど、とりあえず提案に行かせて失敗させる」なんてことはしません。それはお客様をトレーニングの場として使っているようなもの。
お客様へのリスペクトが、育成の規律をつくる。関原氏の育成論は、単なる「スキルトレーニング」ではなく、営業という仕事への向き合い方そのものを問い直すものだ。
ビットキーが求める騎士の条件──信念と、アクセルと、素直さ
では、この道場に足を踏み入れるべき人間とは、どんな人物像なのか。関原氏は「信念がある人」と即答した。
関原「なんのためにやるのか」「どうなりたいのか」「なにを成し遂げたいのか」──そうした自分の軸がしっかりしている人には全力で応えたくなります。「2年で全部学んで独立します」なんて言ってくれる人も大歓迎です。「2年で全部注ぎ込んでやるよ、食えるもんなら食ってみろよ!」って燃えます(笑)。
関原アクセルを踏める時期って、限られているんです。ライフステージが変わると、少しずつ背負うものが増えてアクセルを緩めざるを得ない場面が出てくる。だからこそ、踏み込める時期に思い切り踏む。どれだけ本気でアクセルを踏めたかで、その後の成長曲線が大きく変わる。スキルはそれほど気にしません。「本気で成長したい」という気持ちのほうが重要です。
もう一つ、関原氏が実際にビットキーのメンバーを見て感じた「発見」がある。
関原素直な人が多いんですよ。「そうなんですね」「やってみます」って、驚きながらもちゃんと耳を傾けて、前向きに受け止めてくれる。素直な人は吸収力も高いので成長が早い。入社当初、どんな人たちがいるのかはまったく知らないまま来たので、メンバーたちにも恵まれましたね。
ビットキーという場所は、「完成した組織」ではなく、「社会実装に向けて荒野を切り拓く途上の組織」だ。関原氏自身も、若いメンバーたちから刺激を受け、日々学んでいる。それがモダンエルダーの本質でもある──経験を与えるだけでなく、与え合う場所。
「一生モノの技術」は、ここで磨かれる
営業を、センスや才能の話ではなく「習得できる技術」として捉え直す。大企業という「地上の星」を動かすエンプラ案件攻略の戦法を、体系として次世代へ伝える。そして、「背中を見て覚えろ」ではなく、言葉で向き合い、現場で伴走する。
関原大輔氏が育てようとしているのは、「属人的な天才」ではなく、知略と泥臭さを兼ね備えた「再現性ある騎士」だ。そしてその騎士たちが磨き上げた技術は、ビットキーを去った後にも、その人の人生を通じて輝き続ける。
関原関わる人を皆、家族みたいに思っているところがあるんです。最終的なゴールは、僕と関わった人たちが僕の葬式に来てくれること。「あの人には世話になった」と思ってもらえるような人間になりたい。表面的な付き合いなんてできないし、やりたくないんですよね。
育てた後輩が自分を超えていくことに、心からの喜びを感じられる人間がいる組織は強い。ビットキーのエンプラ営業が、これからさらに面白いフェーズへと踏み込んでいく予感が、関原氏の言葉の一つひとつに宿っていた。
次の記事では、PlayStation®5のコントローラー『DualSense®』の開発統括を務めた五十嵐健氏が電撃参画。IT企業の枠を超え、製品に魂を込める「Maker(創り手)」としての新たな挑戦について深く掘り下げていく。
こちらの記事は2026年02月26日に公開しており、
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藤田 慎一郎
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