株式会社はいずれ、消滅する!?──SEPTA・山口提唱。ミッションから紡ぎ出した次世代組織、“ハイ・シナジーコミュニティ”とは

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インタビュイー
山口 貴士

新卒で外資系コンサルティングファームに入社。事業再生部門において、中期経営計画策定支援、財務モデリング、事業戦略策定及び実行支援、事業及び財務デューデリジェンス、資金繰りモデル作成支援等のプロジェクトを経験。2019年11月に親友のPwC同期とともに、株式会社ExPAを共同創業、CEOに就任。2020年4月にCEOを交代、COOに従事。同年8月にExPAを辞任、新たに株式会社SEPTAを設立、CEOに就任。

東山 侑真

新卒でSNSマーケティング系のベンチャー企業に入社。事業開発部門において、主力サービスの新規機能開発/企画/機能改善/マーケティングなどを経験。2017年2月にヤフー株式会社へ転職し、飲食店領域において、新機能開発/検索改善/インフラ構築/プロジェクトマネジメントなどに従事。その後、ヤフー時代の同期とともに、フリージア株式会社を共同創業。2020年8月にフリージアを辞任。2020年10月に株式会社SEPTAにジョインし、2022年8月に取締役に就任。

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“ハイ・シナジーコミュニティ”。

またひとつ、新たな概念がスタートアップ界隈に生み出された。個のWILLと組織のWILLが共鳴し、双方の夢や目標を叶えていく──がっちりと凝り固まるのではなく、自由自在に動き続け、生まれ変わり続ける。そんなコミュニティを表す言葉だ。

待て待て、「自分も相手も勝つ」という考え方ならば、“win-win”や“三方よし”という概念が既に存在しているはず。あえて、“ハイ・シナジーコミュニティ”という、真新しい概念を掲げる理由は何だろう。

この概念を提唱するのは、SEPTA代表の山口氏だ。反骨心を軸に、外資コンサルを経て2度の起業を経験した人物である。SEPTAは、フリーのコンサルタント向けマッチングサービス『CoProJect』を展開する。

“ハイ・シナジーコミュニティ”というミッションから事業を想起した、まさにミッション・ドリブンの企業である。しかし、難解かつ壮大なミッションを掲げる企業は、どうしても足元の事業との接続が弱くなってしまい、徐々にミッションが形骸化していく……。そんな話をFastGrowでもよく耳にする。

そもそも、“ハイ・シナジーコミュニティ”とは何なのか。いかにして事業と接続し、ミッション浸透を測っているのか。率直な質問を代表山口氏に投げかけながら、徹底解析していきたい。

  • TEXT BY MISATO HAYASAKA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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“ハイ・シナジーコミュニティ”とは、個人と組織のWILLが完全一致した状態を指す!?

早速、本題から入ろう。“ハイ・シナジーコミュニティ”とは一体何なのか、耳慣れない言葉の意味を、紐解いていく。取材当日は、取締役の東山氏も同席。採用責任者も務める同氏は、“ハイ・シナジーコミュニティ”の概念を説明するために、採用面談で40分ほど時間をかけることもあるという。それほど、理解を促すのは容易ではない、難解な概念ということだろう。

山口氏は「少し長くなってしまうのですが…」と前置きしながら、その概念を丁寧に説明してくれた。

山口“ハイ・シナジー”自体は、私が新しく生み出した言葉ではなく、学術的に存在する言葉です。まずこの概念の根幹となる“シナジー”とは、“個人や組織の利己主義が他人や社会の利益につながり、また、他者を助けようとする利他主義が個人や組織に利益をもたらす状況”を指すとされています。そして、そうした営みの親和性が高い状態を、“ハイ・シナジー”と呼びます。

これを平易な言葉に落とすと、“自分のために頑張っていれば、それが自然と他人のためになる。また、他人のために頑張っていれば、それが自然と自分のためにもなる。そんな状況をイメージしてもらえたらと思います。“ハイ・シナジー”自体は、個対個を指し示しているので、そこに組織、社会的な意味を追加して、“ハイシナジー・コミュニティ”と名付けました。

山口氏は我々により具体的にイメージしてもらうべく、「漫画『ONE PIECE』の麦わら海賊団がハイシナジーを実践しているイメージ」と切り出す。この一文でピンとくる読者もいるかもしれないが、まだまだ腑に落ちない点も残る。例えばだが、既に市民権を得ている類似表現・“win-win”や“三方よし”とは何がどう違うのだろうか?

山口私の解釈だと、まず“win-win”は社会軸が必ずしも入っているわけではありません。この形態はもともと経営学用語として用いられており、あくまでビジネス的な観点で双方の利益が満たされる状態のことを指すと理解しています。つまり、社会にとっては良くない関係性に対しても使われる恐れがあるんです。

また、“三方よし”“win-win”には両者とも静的なイメージがありますよね。つまり、ステークホルダーの立場は固定されていて、かつ“その瞬間”にのみ焦点を当てています。しかし、最近では“DAO”に代表されるように、関係・テーマに応じて人や組織が柔軟に立場を変えて、合流・分散を繰り返していますよね。そんな動的な、もう少しわかりやすく言えば“流動性の高いコミュニティ”が“ハイ・シナジーコミュニティ”なんです。

なるほど、山口氏によれば、“ハイ・シナジーコミュニティ”にはいくつかの欠かせない軸があるということか。

  1. お互いにとってプラスになること
  2. 社会性が含まれること
  3. 流動性が高いこと

これらの軸が、“ハイ・シナジーコミュニティ”には含まれているという。

視覚的にも理解しやすいよう、“win-win”や“三方よし”との比較を表にしてみよう。

ここからもわかる通り、ハイ・シナジーコミュニティとは“win-win”や“三方よし”では表すことのできなかった、現代の時代に即した新たな概念なのだ。

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実は誰しも味わっていた?
“ハイ・シナジーコミュニティ”の妙味

ここで、SEPTA取締役である東山氏も、“ハイ・シナジーコミュニティ”に対する自身の解釈を述べた。

東山「これもひとつの“ハイ・シナジーコミュニティ”と言えるものだったのでは?」というエピソードなのですが、私は、小学校の頃にサッカークラブに所属していました。将来サッカー選手になりたいという夢を抱いていたし、チームとしては県で1位になるという目標がありました。

そんな当時、私にとってサッカーとはポジティブそのもの。このサッカーにまつわるすべての物事に対してネガティブな感情を抱くことは一切なく、“常に”エネルギッシュな状態だったなと振り返って思います。

東山これは、私という個と、サッカークラブというコミュニティのミッションが重なっていたからなのではと捉えています。自己実現に向かっているからこそ熱中できたし、チーム全体で成長を遂げることができた。こうした関係構造にある組織こそが“ハイ・シナジーコミュニティ”だと思いますし、そう言われると「あの時の自分もそうだったかもな」と納得感を得られる方もいるのではないでしょうか。

たしかに、サッカー選手になるために頑張っていれば、それが自然とチームのためになり、チームの勝利のために頑張っていれば、それが自然と自分の将来に繋がっていく。まさに、“ハイ・シナジーコミュニティ”が定義する概念と重なっている。

とはいえ、東山氏もSEPTAにジョインした最初の頃はこの概念の咀嚼に苦労した。しかし、自身の実体験に置き換えてみたときに、一気に納得感が増し、共感を強めたのだ。

東山子どもの頃は、スポーツという形で“ハイ・シナジーコミュニティ”に自然と所属することができました。しかし、社会人になると、そんなコミュニティに出会う機会は少なくなってしまう。なぜなら、今の資本主義社会では自分のやりたいことだけを貫いて生きていく事は、容易ではないからです。だからこそ、このSEPTAを通じて、社会人になっても熱中できる場所をつくれたら面白いなと、そう素直に思っているんです。

第一に自分が熱中している、それでいて共通の目的のもとチーム一丸となって駆け抜ける…ともすれば、FastGrow読者からすると青臭いとすら感じるかもしれないこの“青春”。当然、過去の人生のなかで経験したことのある読者も多いだろう。そして、そこに存在していたコミュニティを“ハイ・シナジーコミュニティ”と呼び、それをこのビジネスシーンおよび社会全体に向けて再現させようというのが、このSEPTAの狙いなのだ。

山口このコミュニティは、何も会社や部署単位に限った話ではありません。プライベート、社会全般をふくめてさまざまな“正解”があっていいんです。

抽象度が高いからこそ、簡単に理解することは難しい。しかしながら、「なるほど、こういうことか」と落とし込むことができたメンバーは、いっそうSEPTAのミッションに共感し、想いを一つにしていく。そして東山氏にもやはり、自らのWILLとSEPTAのミッションがアラインした瞬間があったという。

東山私の場合、以前から、“自己実現をサポートする場”をつくりたいと常々思っていました。そんななか、先ほど山口が挙げたミッションの意味が分かってくるにつれて、この自身のWILLと、SEPTAが目指すミッションが完全に重なったんです。だからこそ、今はSEPTAへ入社した時以上に、モチベーション高く働けていますね。

壮大なミッションであればあるほど、抽象度が上がり、臨場感が下がっていく。その結果、組織においてそのミッションが単なる言葉遊びとなり、形骸化してしまう可能性が高い。しかし、SEPTAのミッションは組織に属する個々のメンバーの人生とリンクし、結果としてより強固なコミュニティを形成するに至っている。このように自分ごととして捉えたミッションほど、強烈なものはない。そう感じさせる、東山氏のエピソードであった。

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事業成長と個人の自己実現。
この接続ができない企業はもはや存続不可?

前章では、“ハイ・シナジーコミュニティ”が、動的な組織であることを述べた。その観点でみると、現在の事業がミッションに結びついていることが腑に落ちてくる。

フリーコンサル向けマッチングサービス『CoProJect』は、プロジェクト単位でプロフェッショナル人材がアサインされる。クライアントの割合は、中小・独立系のコンサルファームが8割、事業会社が2割。DXや基幹システム関連や、M&A後の経営統合を実行するプロセスなどが、主な案件だ。登録者は、大手コンサルファーム出身者が50%、大手SIer出身者が30%、中小・ベンチャーコンサル出身者やフリーコンサル経験者が20%となっている。

山口氏がそうであったように、将来的には独立を考えている登録者も多く、まさに“個”と“チーム”のWILLが重なり合ったコミュニティを生んでいる。コンサルティングという職種柄、社会的なインパクトも与えやすい事業である。

山口SEPTAの社名の由来は、中間細胞膜からきています。細胞は、分裂したり、くっついたりするもの。そのイメージで、SEPTAと名付けました。

生物学的な話になりますが、例えば腕の単細胞をみてみると、そこではそれぞれの細胞がランダムに動いています。一見すると各細胞が勝手に動いているように見えますが、全体としては“腕をつくる”という目的に向かって活動し、見事そのミッションを達成しているんです。なぜそうなるのかまでは現代の生物学では解明されていませんが、この現象と人間のコミュニティは同じなのではないかと気づいたんです。

細胞の特徴とコミュニティのあり方を結びつけた、その発想力が面白い。たしかに、昨今は働き方がどんどん柔軟になっている。フリーランス人材や、副業人材も増加し、数年前とは比較にならないほど、プロジェクト単位の仕事が生まれた。そんな時代背景を山口氏はこう分析する。

山口高度成長期の日本は、モノを作って生産したら勝ち、というわかりやすいビジネスモデルでした。2000年代は情報の保留量がビジネスに影響するようになり、近年は、SNSの台頭によって自分と他人の幸せを比較する機会が増加しました。

しかし直近では、幸せの比較から次のフェーズに進んだように感じています。「自分は本当は何がやりたいのか?」「自分の幸せってなんだ?」と、自分自身の価値観を探る傾向がより強まったと思うんです。他人との比較のなかに生きるのではなく、自分がどう生きたいかで人生を決めるという具合にです。

山口そうなると、今後はさらにキャリアの自由度が増していくだろうと想像します。なぜなら、今や組織に属せずとも自分のやりたいことをやって、稼げる時代になってきているからです。すると企業側も、事業の成長と個人の願望達成がアラインする環境を構築しなければ、キャリアの選択肢として選ばれなくなります。もはや、“ハイ・シナジーコミュニティ”なくしては、企業は生き残れないフェーズが訪れてくるのではないかと、私は分析しています。

同社が目指すミッションは、時代背景と合致していると語る。SEPTAは今、追い風に帆を上げたのだ。

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「お前はなぜ、ここでアルバイトをしているんだ?」。
起業を決意する師との出会い

ここまでじっくりとSEPTAのミッションに迫ってきたが、ここからはそんな特異なミッションを掲げる代表・山口氏にスポットライトを当てていこう。山口氏の人生は、まるで台風のなか離陸する飛行機のようだ。ガタガタと揺れ動き、時には乱気流も経験したが、現在は雄大に羽ばたいている。

そんな同氏は、幼少期から世の中に対し反骨心を抱き、他人とは違う人生を望んだ。学生時代は3度留年し、一時は中退の危機も経験。そこから新卒で外資系コンサルティングファームへと入社し、2度の起業を経験している。

山口総合商社で働く父親と、駐在員妻として忙しく活動する母、そして姉が2人という家族構成です。父親は仕事で不在のタイミングが多かったため、基本的には母と姉たちに囲まれながら幼少期を過ごしました。それがきっかけで、多勢に対抗するという意識が子供ながらに育まれていったのでしょう。小学校、中学校時代は、反骨心の強い子どもでした。「人と違う自分でありたい」と思うようになり、「社長になる」という漠然とした夢を抱くようになったのがこの頃です。

その後1浪で大学に入学しましたが、結局大学は3回も留年しました。強制退学の危機が迫る中、いずれ起業するし、もう自分から大学を中退しようという考えにも至りました。自分は追い込まれたらやるタイプ。学生を辞めて、この身一つで独立することを決めたんです。しかしその矢先、私の決断を叱ってくる人が現れました。

山口氏の運命を変えたのは、なんと学生時代に5年間アルバイトしていた居酒屋チェーンのオーナーだった。「大卒にはアドバンテージがあるんだから、絶対に卒業しろ。お前は経営を学べ」と、強い口調で指摘されたという。

山口そのオーナーの第一印象は、“クレイジーな人”。なぜなら、アルバイトを始めて早々に、「お前はなんでアルバイトをやっているんだ?」と問い詰められるんです。そんな人、まず普通のアルバイト先にはいないじゃないですか(笑)。

山口今思えばそのオーナーの独特な姿勢は店舗運営にも現れていました。単価3,000~4,000円程度の店舗なのに、異様なほどサービスクオリティや顧客の体験価値にこだわるオーナーだったんです。メニューの提供スピードが早いのはもちろん、キッチンからお客様の状況を見て、「あのお酒にはこの料理が合うからオススメして!」と、個別のリコメンドまで行っていました。

そんなぶっ飛んだオーナーですが、営業後にはいつもこう語っていました。「俺たちは飲食を通して人に感動体験をさせるんだ」と。最初は「この人、何を言っているんだ…」と思っていましたが、5年間変わらないオーナーの姿に、いつしか心揺さぶられるようになって。他人のため、社会のためを想い、ここまで努力できる人はいない。

それまで自分の中にあったある種の“社長=利己的である”といったイメージがいい意味で崩れ、「自分も人のため、社会のために貢献できるようになりたい」という思いが醸成されていったんです。

その後、山口氏は経営者としての素地を固めるため、外資系コンサルティングファームに入社。部署をローテーションしながら、ビジネスに必要なスキルを順当に身につけていった。そこから海外赴任を経て、退職。“師”の助言通り、無事に大学を卒業し、経営を学んだのだ。そしていよいよ、起業のときを迎えることになる。

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価値観がズレると、事業もズレる。
“ハイ・シナジーコミュニティ”は過去の痛みから生まれた

最初の起業は、共同創業という形だった。退職後、山口氏が起業を検討していることを聞きつけたコンサル時代の同期から誘いを受け、参画した。当初は4人でスタートした事業だったが、2人が抜け、やがて山口氏ともう1人の2名体制となる。事業としては学生向けの知識共有プラットフォームを開発・リリースしたものの、売り上げには至らなかったという。

山口当時は個人でフリーのコンサル案件を受けてキャッシュを生みつつ、サービスのアップデートを行う日々。ここからさらに収益を上げるには、大規模な調達か、ピボットしてキャッシュ化を目指すか、そのどちらかを選ばなくてはなりませんでした。

さらに問題だったのは、残った僕と当時の相方の2人が描く事業のコンセプトに、致命的なズレがあったことです。個人にフォーカスする相方と、コミュニティにフォーカスする自分、見ている視点が全く異なっていたんですね。すると当然、次第に「なんでこの事業をやっているんだっけ」と、違和感を覚えるようにもなってしまって。

さまざまな分岐点に立ち、思い悩んだ結果、事業を共同創業者である相方に譲渡する形で、私は経営から退く判断をしました。

こうした経緯をふまえ、次に立ち上げたのがSEPTAだった。山口氏は事業構想を練る前に、ミッションを構築することからスタートした。これは、前回の起業の反省からきているものだ。

山口前回の起業では、ミッションの整備が行き届いていませんでした。その結果、望まない分裂を生むことにつながったんです。

そこで2度目の起業ではあらためて、「自分は何がやりたいのか」を徹底的に整理しました。マズローの欲求五段階説から考えたり、内省を深めたり…。こうした自問自答を経て再認識したのは、「自分のやりたいことが他者に還元され、他者がやりたいことが自分に還元される、そんな組織やコミュニティをつくりたい」ということでした。

山口氏は昔から、チームスポーツが好きだった。1人で勝利を目指すよりも、チーム一丸となって努力し前に進んでいく環境が当たり前だった。故に、先の東山氏の体験と同じく、個人とチームの叶えたいことが一致することで、大きなエネルギーが生まれることを身をもって体験していたのだ。

山口「自分が目指しているものは、どう言語化できるのだろう?」と哲学書を読み漁っていると、まさに冒頭でお伝えした、ルース・ベネディクトという人類学者が提唱する“ハイ・シナジー”という概念に目が留まって。以前からずっと考えていたことを、ようやく言葉に表すことができたように思いました。

“ハイ・シナジー”に“コミュニティ”を合体させて、“ハイ・シナジーコミュニティ”。自分がつくりたいものはこれだ!と胸にストンと落ちた瞬間でした。

こうして土台となるミッションが生まれ、続いて事業の検討が始まった。

山口前回の起業を通じ、事業を始めるにあたって一番最初のビジネスとなるエントリービジネスがいかに重要か、身にしみて感じていました。前回は資金に余裕がないにも関わらず、売り上げが立ちにくいビジネスを選定。結果、キャッシュアウトギリギリを彷徨うことになってしまったからです。

今度は同じ轍を踏まないためにも、3つポイントを意識しました。(1) 3ヶ月以内にキャッシュが立つもの、(2) 新規性が高いもの、(3) マーケットニーズがあるものです。このポイントを押さえた上で、かつ“ハイ・シナジーコミュニティ”につながる事業のアイデアを10個ほど列挙。そこからいくつかの評価軸で、大きなパフォーマンスが出せそうな事業を精査していきました。

そして最終的に辿り着いたのが、外資系コンサルティングファーム出身という自身の経験を存分に活かせる、フリーコンサルタントのマッチングサービスだったんです。この事業は2度目の創業におけるエントリービジネスとして、たしかな手応えを感じつつスタートさせました。

1度目の起業で得た学びを、2度目の起業でしっかりと形にした山口氏。そのヨミ通り、『CoProJect』は大きな躍進を遂げることになるのだ。

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株式会社が無くなる?
雇用や経営体制すら変革する、SEPTAの挑戦

ここまでミッション、山口氏の人生、事業誕生の背景を順に見てきたが、最後に読者も気になる現実的な部分にまで切り込んでいきたい。果たして、事業の勝ち筋は見えているのかということだ。実際のところ、どのように収益化しており、現在どれくらいの売上を立てているのだろう?そのビジネスモデルと足元の成長具合をうかがった。

山口人材エージェントの場合、成功報酬として手数料が数%という一回きりのフローモデルですが、『CoProJect』は半ストックビジネスとなっています。具体的にいうと、フリーのコンサルタントたちがプロジェクトにアサインされている期間、SEPTAは毎月手数料を得ることができる仕組みです。例えば6ヶ月のプロジェクトであれば、6ヶ月×毎月数%が収益となる計算です。

プロジェクトにアサインされている限りはSEPTAに収益が発生し続ける。つまり、半ストック型のビジネスモデルだ。そして次に気になるのは事業状況。ズバリ聞くが、足元の事業は伸びているのだろうか?出せる範囲で…という枕詞をつけつつ、具体的な数字をたずねた。

山口創業初年度は売上6,000万円程度、次年度となる現在は3億円、さらに来期は7億5千万円を狙える見込みです。今期から来期に向けて、約3倍近い伸びとなりそうです。

数字だけ見れば、順調そのもの。そして驚くべきは、その事業成長を生み出しているメンバーが、インターン生も含めてわずか10名程度という点。僅か2年でこれだけの結果を成すとは、SEPTAが如何に少数精鋭な組織を構築しているかがうかがえる。

しかし、それでも順風満帆だった訳ではない。2020年の創業からエンジン全開で進めてきたために、「個人のやりたいことと、組織のやりたいことが噛み合わなくなったタイミングもあった」と山口氏は振り返る。しかしその都度、再度ミッションに向かって走り出せるように、組織体制や評価制度の強化、KPIの再設定など、さまざまな変化を加えてきた。ここでも、1度目の起業経験が活きてきたのだ。

いつ何時でも順調なスタートアップは、おそらく存在しない。しかし、ミッションがあれば、それに向かっていくらでも工夫ができる。ミッション・ドリブンな企業の強さをFastGrowも垣間見たエピソードであった。

さて、SEPTAの事業モデルや好調な事業状況を知ることができ、残すは先々の展望か。これから、SEPTAはどんなスタートアップに成長していくのだろう?同社が見据える未来を、山口氏に訊いた。

山口“ハイ・シナジーコミュニティ”の実現を通して、雇用や経営体制のあり方を変えるというのが、一つの通過点として目指していることです。“ハイ・シナジーコミュニティ”を至るところで生むことができたなら、日本の雇用のあり方はもっと柔軟になるはずだし、働き方もさらに多様になっていくはず。

さらに言えば、雇用のみならず、株式会社という組織形態自体も変容させられるのではないかと思っています。固定化された法人ではなく、合同会社のようなイメージで、もっとフレキシブルな法人の在り方を模索していきたいんです。

「個人のWILLが他の誰にも邪魔されない」、そんな自由な世界の実現に向かって、進んでいきます。

ここまで紐解いてきて、同社が目指す“ハイ・シナジーコミュニティ”の新規性やその先にある未来が朧げながら見えてきたのではないだろうか。個も、チームも、社会も、自らが望む方向に走っていけば、有機的に結びついて、全てが良い方向に進んでいく。さらに、そこには自由が約束されている。

「何を綺麗事を…」「現実は、しがらみと不自由の連続だ…」と感じる読者も多いかもしれない。「そんなコミュニティがあるなら、ぜひ入ってみたいものだ」とも。

しかしながら、取材陣は信じたい。5年後10年後、“ハイ・シナジーコミュニティ”という言葉を当然のごとく使う世界が、きっと訪れることを。壮大なミッションを掲げる企業は多いが、SEPTAには反骨心を持って推進し続ける代表と、共感を軸に集った仲間がいる──。必ずやこのミッションを実現するだけのパワーが同社にはあると信じたい。また一つ、FastGrowが追いかけていきたいと思えるスタートアップと出会えた、そんな取材だった。

こちらの記事は2022年08月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

早坂 みさと

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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