連載エースと呼ばれた20代の正体──若手のノウハウ大全

新入りでも臆さず、社内に新風を巻き起こせ──未経験から1年でMVPへ 47内装・吉川氏の“エースたる所以”

登壇者
吉川 暉

2015年、新卒でブライダル会社に就職。転勤や転職を経て、ウェディングプランナーやバンケットキャプテンなどを経験する。2020年12月、47内装株式会社に中途入社。オフィス内装コンサルタント(営業職)として従事する。2022年1月、マネージャーに就任。現在は、自らも営業活動を行いながら、チームマネジメントにも携わる。

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会社のなかでひときわ活躍している社員がいる。群を抜いて優秀な社員がいる。そんな“エース”と呼ばれる人間は、いかにしてエースになったのだろうか──。

20代エースの正体に迫る連載企画「突撃エース」の内容を元に、本記事ではそのエースたる所以を考察した。

第20回は、47内装株式会社でマネージャーを務める吉川暉氏。ブライダル業界からオフィスの内装会社に転職し、入社1年目でMVP選任、1年後にはマネージャー就任と飛躍する彼女の活躍を支えるのは、思考と行動、変化を恐れない挑戦心だ。吉川氏のエースたる所以について、迫ってみよう。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
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異業界から転職も、1年目で年間MVPを獲得

ブライダル業界からオフィス内装業を手掛ける47内装へ。異なる業界から転職をし、入社1年でマネージャーに就任。年間MVPにも選出されるなど、華々しい活躍を見せている吉川氏。マネージャーとなった今も、引き続き営業として顧客対応に当たりながら、チームメンバーのマネジメントや組織運営にも精力的に取り組んでいるという。

物件探しから内装の施工、什器の新規手配など、オフィスに関わるところを一気通貫で対応できるのが、47内装を傘下に持つ47ホールディングスの強みだ。吉川氏が入社した2020年当時は、内装事業に携わるメンバーが10名以下だったそうだが、この1~2年で急拡大を見せているという。

入社1年目で早くもMVPに選ばれた要因について、吉川氏は次のように語る。

吉川入社後すぐは、異業種からの転職ということもあり、業界知識であったり、業務のキャッチアップに苦労しました。しかし、その中でも新人だからといって決して臆さずに、組織に対して「もっとこうした方がいいんじゃないか」「こうやると効率がいいのでは」という意見を積極的に出していました。

また、弊社が毎年行っているワークプレイスプロジェクト(オフィスのレイアウトや運用を見直すプロジェクト)に立候補してチームで取り組んだことも。そうした前向きで愚直な姿勢を評価していただいたのだと思います。

「新人だから言えない」ではなく、「新人だからこそ見えるものがある」と考え、積極的に発言や行動に移してきた吉川氏。活躍を支えている3つのポイントについて探っていこう。

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“自分だからできること”をしっかり捉え、リソース配分を意識せよ

1つ目に吉川氏が挙げたのは、「自分だからできることをしっかりと認識し、そこに対してリソースを割くこと」だ。この背景には、顧客のオフィス移転一件に対して必要な業務の多さがある。「未経験者が生意気を言っても許してくれる会社の器量あってこそ」と前置きしながらも、吉川氏は入社後に特に意識したことを明らかにしてくれた。

吉川どんな仕事も同じかもしれませんが、オフィス移転に関わる仕事は、一つの案件に対して私1人では処理しきれないほどのタスクが存在しているんです。私は営業という役割ではありますが、顧客対応に割く時間だけでなく、工事業者さん、ビルの工事担当さん、家具メーカーさんといった多数のステークホルダーとの調整、そしてその度に弊社の各部署への連携・依頼をする必要があるといった具合です。

私の強みは前職含めさまざまなフィールドで培った営業力であると自負しています。そのため、会社の成長に一番貢献できる、つまり自分だからこそできる仕事を優先的に取り組み、その他の仕事はなるべく他部署にアウトソースできるように心掛けています。

私が入社した頃は営業メンバーが4人のみ、そして営業以外の業務をサポートするメンバーも少なく、分業がほとんど進んでいませんでした。“全ての業務を一人で対応する”という文化が定着してしまっており、業務を切り出して効率化を図ることに積極的な人が少なかったといえます。

もちろん、業界知識もない新人がいきなり破天荒な仕事の仕方をしていては、他のメンバーから認めてもらえないので、前職で培った対人スキルを活かして、各部署を巻き込みながら業務プロセスの改善を進めていきました。

こうしたやり方を受け入れてくれる体制の会社だったことが本当にありがたかったと思います。意見を積極的に出す私を他のメンバーは肯定してくれたので、自分の行動や考えに自信が持てるようになりました。

自分がすべきことをしっかりと認識し、そこに時間を割くための環境作りは自ら行う。47内装に入社する前に、何度か転職・転籍を経験していた吉川氏だからこそ、組織が自分に求めている立ち回りや役割を見出すことができたのだろう。

吉川新しい風を47内装に吹き込むことこそ、自分に与えられた役割だと考えていました。入社当時の47内装は、これから徐々に人数が増えて、組織が拡大していくフェーズ。そんな中、これまでの組織に根付いた属人性をなるべく排除して、効率よくチームで仕事を進められなければ、いつか大きな壁にぶち当たると考え、社内発信を続けてきました。

組織改革をしようと声を挙げるのは、単に自分の業務が楽になるから、ではありません。会社のため、そして未来のメンバーを助けたいという想いがあってのことなんです。

「自分だからこそできる仕事」に打ち込むため、吉川氏が大切にしているノウハウは「思考してすぐ行動」だ。歳を重ねるにつれ、仕事一筋からプライベートも大切にしたいと思うようになったという吉川氏。そのためには、短い時間で最大限の価値を出す仕事スタイルに変えていくことが必要だ。常に頭を回転させ、「本当に自分が価値を出せる仕事なのか」「もっと業務プロセスを見直すことで効率化できないか」を考えるようにしているという。

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変化による不安は最初だけ

エースたる所以の2つ目のポイントに「変化を楽しむべし」と挙げてくれた吉川氏。その理由は自身の体験に紐づいている。前職のブライダル業界で経験した転勤により、環境が変わることはチャンスだと捉えられるようになったためだ。

吉川前職のブライダル業界にいた時、4年いた京都の店舗から東京に異動になり、社会人になって初めて大きな環境の変化があったんです。住む場所も働く人も与えられた役割もがらりと変わる中で、本当に強い不安がありました。転勤後、2~3カ月は全然仕事ができず落ち込むこともあったのですが、じゃあ京都に戻れるのかというと戻れるわけではない。自分の選んだ道を受け入れるしかないと、どこか悲壮な想いを抱いていました。

その感情が変わってきたのが、4カ月が経ったころです。長く同じ環境にいる時は気付けなかった自分の強みや価値を、異動先のメンバーが教えてくれたり、新しい環境に飛び込んで「ここで自分は何ができるんだろう」と考え抜くことができたんです。

変化による不安は最初だけ。以降は変化したからこそ得られる知識、スキル、経験等があり、自分のキャリアが広がっていく感覚を得ながら日々を過ごすことができたんです。

この成功体験から、環境を変えることに対しての躊躇がなくなりました。直感を信じて進みたい道を選び、選んだ道がよりよいものになるよう自分の行動を変えよう、と思うようになったんです。

“ブライダル業界でやり切った”という想いから、異業界の47内装に転職した吉川氏は、まさに変化を体現している存在だ。「ただ、これは1カ所で長く働くことを否定するものではありません」と吉川氏は言葉を添える。“現状維持は停滞”とはよく言われるものの、“同じ会社にいること”が“現状維持”というわけではないのだ。

吉川立場や役割、働く場所を変えることだけが変化だとは思っていません。働き方、一緒に働くメンバーやチーム、仕事に対する意識なども日々変化します。

大切なことは「自分は今のままでいいんだっけ」と自分自身に問い続けることなんです。私がこれまで関わった人々の中には、さまざまなことに興味を示し、躊躇せずに行動できるような人が多く、非常にかっこいい生き方だと思っていました。その憧れが今のスタイルに繋がっているのかもしれません。

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周りを巻き込み感謝を伝えるべし

エースたる所以、3つ目の秘訣は「周りを巻き込み感謝を伝えるべし」だ。今回、この取材を行うに当たって吉川氏は自身の強みがどこにあるのか、社内メンバーにヒアリングをしたという。その結果、多く挙げられたのが、吉川氏が常に周りに感謝を伝えながら仕事を進めている姿勢であった。

吉川お客様の喜ぶ姿を直接目にしたり、感謝の言葉をいただくのは、やはりお客様と直接接する私たち営業です。でも、その成果は私1人で成し遂げたわけではありません。ですから、仕事を一緒に進めてくれた他部署の方々に「あなたのおかげで受注に繋がったよ」とか、「こんな素敵なオフィスになったよ」というお客様の声を必ず伝えるようにしています。

感謝を伝えること。これは一見当たり前のように見えるが、忙しかったり、仕事に慣れてしまうと、つい疎かになってしまいがちな部分であろう。当たり前のことを、きちんとやり続ける。そんな吉川氏の美点が伝わる。

そんな吉川氏が目指すのは、「いつか自分の店を持つこと」だという。

吉川私は、自営業をしている両親の元で育ちました。なので、両親のように自分のやりたいことを自由に選択して生きられる人生にしたいと思っています。ただ、私は移り気な性格なので、結果的には「47内装でもっと長く活躍したい」という気持ちになるかもしれません。そうなったときには、「以前考えていたことと違うじゃないか」と否定せず、自分の可能性を信じ、移り気なところを認めて、努力できる人間になりたいなと思います。

2度の転職をし、異動を含めると現在の職場は5つ目となる。今の活躍は「今までの集大成」だと語る吉川氏。思考と行動を繰り返し、変化を厭わぬ姿勢で飛躍を続けていく同氏の移ろいを、今後FastGrowでもぜひ観測していきたい。

こちらの記事は2022年11月02日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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