INTERVIEW
内野 彩華
18-03-06-Tue

最強の営業は村上春樹!?
年商10億のキャバクラ女社長・内野彩華が教える
“人たらしの方法”

TEXT BY MISA HARADA@HEW
PHOTO BY YUKI IKEDA

アップスグループのオーナー社長である内野彩華は、
新宿・歌舞伎町にキャバクラ、銀座にクラブを経営して、年商10億円を売り上げる女傑。

キャバクラを開業する以前、日本オラクルで営業を担当していた頃は、新卒で入社してから1年半でトップセールスを記録。

昼でも夜でも“人の心を獲る”ことを熟知したビジネス嬢だ。
愛されセールスパーソンになるための秘訣を内野に聞いてみた。

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最強は「自分にだけ良さがわかる」

自身のご経験から、一般企業でもキャバクラでも営業に共通するものはありますか?

営業先に“自分というキャラクター”を気に入ってもらわなければいけないという意味では、昼の仕事も夜の仕事も一緒ですよね。私、村上春樹ってセールスとして目指すべき存在だと思うんですよ。

村上春樹?小説家の??

そうそう。村上春樹って世界的にも評価されている作家なのに、ファンは「みんなは好きじゃないかもしれないけど、俺“は”好き」という言い方をするじゃないですか。

万人に「いいね」と思ってもらえる営業っていうのは絶対売れなくて、「他の人は苦手だろうけど、自分だけはこいつの良さがわかる」って思わせる子がいいんですね。

なるほど。歌手でいうと椎名林檎みたいな?

そう!「自分にだけ良さがわかる」と、たくさんの人に思わせる存在が一番売れる。お店の女の子たちも、みんなに愛される方向に進もうとしがちなんですが、ツッコミどころみたいなものを大切にした方がいい。

ホステスというと、色恋営業のイメージが強いですが、やり方はたくさんあると。

「年末でお店辞めるから、そしたら付き合おうね」「辞めるつもりだったんだけど、家族の借金が……」みたいにズルズル売り上げる小手先の技術よりも、お客さんに毎回「楽しかった」と気持ちよくお金を払っていただくための技術を身につけさせるようにしています。

それは内野さんの経験から?

私自身、色恋営業ではなく、“同志”みたいなキャラクターで、お客さんと接してきました。昔働いていた銀座のお店のママが「私は25歳でお店持ったから、次はこうするつもりだよ。お互い頑張っていこうね」みたいにお客さんとやり取りしているのを見て、「清々しいなぁ。私もやってみよう」と真似したんです。

“色”を超えた関係ですね。

相手が順調なときも不調なときもずっと連絡をとり合って、お互い「今こんなふうになったよ」ってしゃべるのは楽しいものですよ。

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キャバクラに来る男の、真の願望

“枕営業”というのもありますが……?

枕って別に風俗と変わらないんで、結局お客さんがハマらないんですよね。「セックスするためにお金落としてきたんだから、そこをクリアしたらもう終わり」となってしまうから、枕営業って終わりが近づく戦い方なんですね。

それにお客さんって、口では「ヤリたい」と言っていても、実際は、人間同士のコミュニケーションであれば、その形は結構何でもよかったりするんです。

恋愛とか性欲だけではない?

キャバクラに来るお客さんの本音の願望は、「自分が可愛いと感じた子と、人間的に付き合っていきたい」なんですよ。理想は結婚とか恋人なのかもしれないけど、兄みたいなポジションでもいいし、友達でもいい。なんらかの位置づけを持って、付き合っていきたいんですね。

だから、恋愛的な意味に限らず、お客さんが「彼女は俺のことが好き。俺も彼女のことが好き」と言える1対1の関係を築かないといけません。そうなってくると、週1回、2回とお店に通うのが当たり前になりますから。

お店の女の子たちに、「こういう心構えで働きなさい」というメッセージを何か伝えていたりするものなんですか?ホステスの品格というか。

顧客満足度を上げることの大切さ、ですね。「お客さんに口説かれても応えられない」と悩む女の子は多いですが、やっぱりお客さんっていうのは、女の子を口説きたいものなんです(笑)。

男性のサガですね(笑)。

でも、お店が純粋に居心地のいい場所であれば、「こんな楽しい空間を壊したくない」という気持ちが湧いてきて、しつこく口説いてくることはなくなります。「まぁ機会があれば」くらいの感じで、それよりも空間そのものを大切にしようとしてくれる。それはみんなが幸せになれる関係ですよね。

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無駄も大事

女の子への教育で重視していることはありますか?

LINEの送り方は、力を入れて教育しています。お客さんが一番嫌がるのが、明らかにコピペとわかる営業メッセージの一括送信です。そうじゃなくて、お店で話した内容に絡めた話題を振ったりして、“2人きりの会話”であることが伝わるようにしなきゃいけません。あとは、返事が来ない相手にもメッセージを送り続けるように言っています。

返事のない相手はさっさと諦めて次に行った方が、効率がよくありませんか?

簡単な近況報告でいいから、送り続けることが大切なんです。

営業でも、完全にビジネスとして接してくる相手からは買わないじゃないですか。半分仕事、半分遊びくらいのバランス感覚でいられる相手の方が、接していて心地良い分何かしてあげたくなる。そう考えると、無駄も結構大事なんです。

 

出会い系アプリの攻略方法とは違いますね。最終的な契約のクローズって会食の席だったりしますしね。

ずっと既読スルーだったお客さんだって、LINEを送り続けていれば、だいたい3カ月から半年くらいで急に返信が来て、そこから常連になったりするものです。

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既読スルーが“信用”を築く

「お客さんに気に入ってもらいたい」という気持ちはあるとしても、仕事である以上、「こいつは人間として絶対嫌だ」と感じる相手とも接しないといけない場面がありますよね。そういうときって、どういうふうに心の折り合いをつけていますか?

嫌な言葉をぶつけてくるお客さんのことを、女の子から愚痴られることもあります。そういうときは相手を玉ねぎかなんかだと思いなさいって(笑)。嫌なLINEが届いたときに、嫌なLINEで返しちゃうと、負の連鎖の始まりですから。そういうときは既読スルーか、通知オフ(笑)。

え(笑)、それでいいんですか?

相手のペースに振り回されるんじゃなくて、自分のペースでやり取りできるようにするんですね。

なるほど。相手のペースに合わせられることが、いいキャバ嬢の条件なんだと思っていました。

昼の仕事でも、夜の仕事でも、信用って一番大事なことだと思うんですよね。

信用?

そう。信用って何から生まれるものなのかと言ったら、時間なんですよ。1カ月間約束を守った人と、10年間約束を守った人だったら、後者の方が信じられるじゃないですか。

 

水商売でも、お客さんの言うことを真面目に捉えすぎた結果、もう嫌だ!ってお店からいなくなったりしたら、信用もへったくれもありません。それよりは、通知オフでも既読スルーでもいいから、とにかく淡々と人間関係を継続していく方が、信用という意味ではずっといいでしょう?

それにお客さんって、他の女の子も口説いているものなんだから、「応えられない。どうしよう」みたいに病む必要は実はなかったりしますし(笑)。

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毎晩新作映画でPDCA

内野さんがご自身の経歴を振り返ってみて、これは経営者として一皮むけたという出来事はありますか?

昔は私と当時の旦那、親しいスタッフ以外の社員は、正直どうでもよかったんです。でも人事などでゴタゴタすることもあって、やっぱり会社として、特定の人だけを大切にするのは止めようと決めました。大事な人にだけお金をたくさん渡して、それ以外は安い給料で働かせて……となっていたところを変えて、全員の給料を上げて、働きやすい環境作りに徹しました。ここ5年くらいで、会社としてすごく変わったと思います。

特定の人だけ大切にするというのは、事業を拡大していくのも限界がありそうです。

1人が出せる売り上げって、2億円が限界と聞きます。私がボロボロの女の子と黒服を酷使して自分のお客さんに向けて売るんだったら、2億円がギリギリ。それ以上の売り上げを目指すなら、仕組み作りが大事になってきます。

2億円売り上げる会社が、自分主演の映画だとします。それ以上の売り上げを目指すなら、自分は監督にならないといけないんですよ。ホステスさんたちを主役に何本も映画を作って、「ここはポシャったけど、これはイケたね」というのを毎日繰り返しているイメージですかね。今は、自分は引っ込んで、周りの人たちを目立たせる方向にシフトしています。

毎夜毎夜新作を上演しているんですね。

そう。毎晩PDCA回しています(笑)。

当面の目標はありますか?

新宿では、1フロアに5店舗あるうち4つがアップスグループのお店なので、これを1フロア全部うちにしたいなぁと(笑)。あとは2年前に立ち上げたまま、なかなか動かせていない“キャバクラ総合スクール”のプロジェクトを進めたいと思っています。

スクール?

30歳が迫って、「そろそろ水商売を辞めたいけれど、昼職の経験がない」と悩むキャバ嬢が多いんですが、水商売の営業力は他のビジネスでも絶対通用するはず。手元の事業が落ち着いたら、水商売の子にセカンドキャリアを提案することを本格的に始めていくつもりです。

最後に、内野さんが考える、“モテる人”の条件を教えてください。

面白い人です。

冗談を言って笑わせるとかじゃなくて、「今までどんなことがあって今があるの?」と思わず聞いてみたくなるような人。そういう人は、やっぱり男女関係なく魅力的じゃないですか。

[撮影]池田 有輝

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