成長したいなら、「社会貢献企業」に入るべき5つの理由──急成長続けるユーザーライク、クラス、Greenspoonが語る“これからの経営”

Sponsored
登壇者
武井 亮太

宇都宮大学教育学部卒、新卒ベンチャーバンク、その後HRスタートアップの事業グロースを経て、花き産業への可能性を感じ2014年9月に株式会社Crunch Style(現ユーザーライク株式会社)を創業。もともとは教師を目指していたが、より多くの人へ影響を与えたいという想いから起業に至る。ユーザー起点でサステイナブルな産業構造へと花き業界をアップデートし、花を飾る文化を日本中に普及を目指し、2016年6月より花のサブスクリプションサービス「ブルーミー(bloomee)」を開始。

久保 裕丈

東京大学新領域創成科学研究科修士課程修了。2007年にA.T.Kearneyに入社。2012年にミューズコー株式会社を設立。2015年、同社を売却。その後、Amazonプライム・ビデオの人気恋愛リアリティ番組『バチェラー・ジャパン シーズン1』にて初代バチェラーを務め、2018年、家具・家電のサブスクリプションサービス「CLAS(クラス)」を展開する株式会社クラスを設立と同時に代表取締役社長就任。

田邊 友則

2012年サイバーエージェント入社、CyberZ、Ameba広告事業本部、AbemaTVスポーツ局を立ち上げる。16年11月に独立。17年12月、ONE BUY ONE代表取締役就任。19年5月Greenspoonを創業し、現在に至る。

関連タグ

ここ数年、サステナビリティやSDGs、ESG投資といった言葉をよく耳にするようになった。持続可能な社会を実現するために、会社としてどのように貢献するかというのが重視されるようになってきているのだろう。

しかし、スタートアップの経営において、そうした社会貢献的な側面と、利益成長という側面とを共存させることは果たして可能なのだろうか。

あるいは、“個人のキャリア”という観点からは別の二項対立も見えてくる。社会貢献に繋がる事業に取り組む「やりがい」と、ビジネスキャリアにおける「自己成長」の両立は可能なのだろうか、と。

そこで今回は、社会への貢献という側面を強く持ち、会社としても大きな成長を続けているスタートアップ企業をお呼びし、イベントを開催した。ユーザーライククラスGreenspoonの3社だ。

モデレーターには、エンジェル投資家であり、数多くのITスタートアップの組織・人事支援等の実績があるReBoost代表取締役・河合聡一郎氏を迎え、3社の実情と魅力とを深堀りした。

  • TEXT BY TEPPEI EITO
SECTION
/

今や「目先の事業成長」にも不可欠なのが、社会貢献性だ

まずは、今回お招きした3社が取り組む事業内容について紹介しよう。

ユーザーライクが提供するのは、花のサブスクサービス『bloomee(ブルーミー)』。季節のお花をポストに届けてくれ、忙しく日々に追われる毎日を過ごす人でも、手軽に「花のある暮らし」を実現することができる。

今年の1月には21億円の資金調達を実施しており、会員数も10万世帯を突破した。しかも、その内8割は花を飾る習慣がなかった人たち。生花店の競合としてパイを奪い合うのではなく、新しい市場をつくりだし、業界全体を活性化させているのだ。

武井表面的にはただ花をサブスクで届けるというサービスに見えますが、私たちが向き合っているのは、花き業界にあるサプライチェーン全体です。最上流にある生産者から、市場、仲卸、生花店までをうまく連携するかたちを構築することで、業界全体をアップデートしたいと考えています。

「ウチもサプライチェーンの最上流から入り込んでやっています」。そう話すのは、Greenspoonの田邊氏。

同社では、「たのしい食のセルフケア文化を創る」をミッションに掲げ、スムージーやスープといったミールで、野菜を楽しく簡単に摂取できる定額制パーソナルフード『GREEN SPOON(グリーンスプーン)』を展開している。リリースから2年弱で100万個の販売実績を誇り、今では累計4万人もの会員を獲得している(2022年3月時点)。

田邊オリジナル製品の製造会社(Original Equipment Manufacturing、OEM)にコンセプトだけ投げて完成したものを監修する、とかではなく、安心安全だと確信を持てる野菜の選定から入り、レシピ開発まで自社で行っています。

「自分を好きでいつづけられる人生を」というビジョンの通り、食べることで、自分に良いことをするっていうセルフケアの文化を作っていきたいと思っています。

社会に配慮した商品開発のこだわりが、購買意欲の醸成に直結し、順調な拡大を見せている。

クラスが展開しているのは、家具・家電レンタルのサブスクリプションサービス『CLAS(クラス)』。

久保僕たちがやっているのは、インテリアを中心とした耐久財の“サーキュラー・エコノミー型PaaSプラットフォーム”です。必要なものを必要なタイミングだけ利用して循環させていくことで、廃棄をなくし、サステナブルな「ものを捨てない社会づくり」の実現を目指しています。

クラスのサービス説明スライド

2018年8月にサービスをリリースしてから今年の2月までで、法人サービスで延べ22万点の貸出。個人ユーザーに向けては5万点を突破。昨年9月には21億円の大型調達も果たしている

領域は違うものの、それぞれが社会の大きな課題に着目し、その解決に向けてソリューションを提供している。そしてそんなサステナビリティを持つからこそ、資金調達の実績も重なるほど高く、会社として成長を続けているのだ。

「社会貢献企業」でこそ成長できる理由 その1

社会評価が高いことが資金調達や拡販につながり、事業成長につなげやすい

SECTION
/

ただのサブスクではない!
ロス問題解決のための取り組みが共通点

花、食、家具……各社が対峙する領域における社会課題について、もう少し詳しく見ていきたい。

イベント当日の様子(ユーザーライク社オフィスにて実施)

先程「廃棄をなくす」という話もあったが、クラスが課題視しているのは、耐久財廃棄による環境負荷の大きさだ。

久保1年間で海に捨てられるプラスチックごみって約800トンと言われているんです。それが大きな問題になって、ビニール袋の有料化とかが始まったわけです。

一方で、耐久財の年間の廃棄量は約6,000万トンもあると言われているんです。数字が大きすぎてピンとこないですよね。このまま大量生産、大量消費、大量廃棄を続けていいのか、というのが創業当初からずっと感じている課題です。

「廃棄」を生まないために「循環」させる。その点において、久保氏は強いこだわりを持っている。

例えば、同じようなレンタルサービスを提供している会社では、サブスクリプションモデルとは別に、気に入ったら購入できるというマネタイズモデルを組み合わせることが多い。ユーザーニーズという点においても、会社のキャッシュフローという点においても、そのほうが合理的だと言えるだろう。

しかし、同社はそれを“あえて”やらないことにしているのだという。購入されてしまえば、結局廃棄を生むことに繋がる。それを避けるため「循環」させることにこだわりを持っているのだ。

一方、Greenspoonはユーザー課題をより重視している。

田邊野菜を食べるときって、もちろんそれ自体が美味しいというのもありますが、それ以上に「体に良いものを食べた」っていう喜びがあると思うんです。自分で自分に良いことをしたっていう。でも、美味しい野菜を気軽に摂れる場所って意外と少ないなと感じたんです。

野菜を食べることにもっと安心を、もっとカンタンに。そうした思いは確実に『グリーンスプーン』の強みとして現れている。

イベント時のスライド

同サービスのスムージーはブレンダーで1分半混ぜるだけ。野菜スープとサラダはレンジで5分温めるだけ。料理家、管理栄養士監修のもと、無添加は勿論、栄養素を最大限摂れるように野菜やフルーツの相性にまでこだわっているという。

また、栄養価を高い状態で維持させるため、食材はすべて瞬間冷凍。結果的に賞味期限を長くすることができ、フードロス削減にも貢献しているのだ。

武井“買いづらさ”という意味では、花も似ているかもしれません。花って元々インターネットとかで買う文化がないんですよね。基本は店舗に行って買うというのが一般的です。でも店舗だと当たり前ですが、店ごとに商品ラインナップが違ったり、開店時間や閉店時間が違ったり……買いづらいんですよね。あと、ブーケを買おうとするとオーダーメイドだから数十分待たされたり。とにかくUX的に良くないな、と感じました。

一方で業界課題も強く感じています。最も大きいのは、やはり「花ロス」の問題。店舗での売れ残りによる破棄も多いですし、市場で流通前に破棄される花もかなり多いんです。

イベント時のスライド

食べ物と同じように花にも流通規格が存在する。つまり、規格外になった花の破棄が存在するわけだが、ユーザーライクでは『ブルーミー』専用の規格をつくり、従来の規格では捨てられるような花の一部を商品にしているのだ。

家具を提供し、食を提供し、花を提供する。しかし、武井氏が言うように、それらは「ただのサブスクサービスではない」。サービスの仕組みづくりを通じて、あるいはサプライチェーン全体への介入を通じて、廃棄問題をはじめとした社会の問題に向き合っているのだ。

「ロスを減らす」という取り組みは、自社だけでできるものではない。ステークホルダーとの根気強いコミュニケーション、いわばビジネスデベロップメント(BizDev)力が試されるものだろう。これもビジネスパーソンの成長に不可欠な要素だと言えるかもしれない。

「社会貢献企業」でこそ成長できる理由 その2

「ステークホルダーとの調整が不可欠」というBizDev力が試される

SECTION
/

ユーザーファーストと社会貢献性で整理する、「変えるべき」と「変えないべき」

各社がそれぞれのドメインで困難な社会課題を解決しているわけだが、そもそもなぜ、その分野に着目することになったのだろうか。

イベント当日の様子

ユーザーライクの武井氏の場合、スタートはミッションドリブンだった。

武井私たちの場合は、まず最初に「ユーザーさんの、うれしいを創る」というミッションを決めてから取り組む領域を選定しました。たくさんの人に日常のなかで「うれしい」と感じてもらえるようなtoCサービスをつくりたいと思っていて、そのなかでも「花」のドメインってブルーオーシャンだし、レガシー産業でIT化が進んでないな、と。

あと、花って人生で最も幸せだと言われる結婚式でも、人生で最も辛いと思われるお葬式でも使われてるんですよね。そういう点からも、花の可能性は無限大だなと感じたんです。

一方クラスの久保氏の場合は、「自分が欲しかったから」だと話す。

久保着想を得たのは自分が引っ越しをしたときです。前の家で使っていた家具を大変な思いをして新居に運んだんですが、どうも部屋の雰囲気と合わなかったんです。仕方なく捨てることにしたんですが、なんかもったいないなと思って。経済的にもそうだし、労力的にも、環境的にも。

自分の場合、自分ごと化できて手触り感のある事業じゃないと熱狂できないんですよね。事業を立ち上げるときってやっぱりそこが重要で。だから正直、最近までTAMとかSAMとかまったく興味なかったですもん(笑)。

田邊自分も同じです! 僕自身、野菜が大好きっていうわけじゃなくて、正直ステーキとか焼き肉のほうがテンションが上がります(笑)。でもだからこそ、野菜を摂ることの優先順位を上げるのって難しいなと感じていて。もっと楽しく、カンタンに野菜を食べられたらいいのにと思ってサービスをつくりました。

プラントベース食*が地球環境に優しいということであったり、冷凍することでフードロスの解決につながったり……。そういう社会課題は、自分が欲しいサービスを作っていく過程で結果的に向き合うことになった、という感じです。

*……野菜や果物、穀物といった植物性の食材が多く使用された食品などを指す。畜産における温室効果ガス排出を減らすといった点で共感が集まっている

河合氏も、「ユーザーさんの解像度が高くなることで、サービス構築がスムーズになる」と、サービス開発者自身がターゲットユーザーであることの良さを強調した。

一方、そうした自分起点でのサービス開発の場合、「ユーザーの声」をどうサービスに取り込むのか、そのバランスが難しくなるのではないだろうか。

久保最初こそ自分でサービスを作っていきますけど、途中からは使い続けてくれている“熱狂的なお客様”に委ねるという感じですかね。

田邊ウチもユーザーさんとのリアルの接点を増やして、「求められているものは何か」を重視してサービスを変えていくというのを意識しています。自分のこだわりを貫いて、求められていないものを作ってしまうのが一番危ないですからね。

武井ユーザライクでは元々別のプロダクトをやっていたんです。ギフト向けのECサービスだったんですけど、1年間ほど鳴かず飛ばずで。それでユーザーヒアリングをめちゃくちゃやったところ、自分たちが思っていたものとは違うユーザーペインがあることに気づいたんですよね。

「花って高いよね」とか「普段の生活に取り入れたい」とか。「ああ、これは今のサービスを改善していくよりもピボットして作り直したほうがいいな」と思って、今のサービスになったんです。それくらいユーザーさんの声は重視しています。

でもミッションである「ユーザーさんの、うれしいを創る」というのは変えませんでした。そこは会社の根幹というか、大事な思いでしたから。

久保自分もユーザーさんの声を大事にしつつも、やっぱりあえて変えないということも大事だと思っています。それこそ、レンタルから購入につながるマネタイズを行わないというのもひとつです。会社のミッションに嘘をついていないからこそ社員がついてきてくれているというのもありますし、そういう思いに共感してもらって行政との提携が決まったりもしています。

田邊求めているものをユーザーさんがすべて話してくれるわけでもないですもんね。むしろ本当に欲しいものこそ、言ってくれないとすら僕は思っています。ユーザーファーストの考えは持ちつつ、ビジョンとかミッションといった根幹になる部分は簡単に変えちゃだめだと思いますね。

ユーザーファーストの姿勢を持つことは当たり前。しかしそれだけだとブレブレのサービスになってしまい、人もついてこない。根幹を固め、会社として向かう方向性を決めることではじめて、ユーザーファーストの考えが機能するということなのだろう。

そしてサステナブルな事業運営が当然の前提となりつつある昨今、ユーザーへの説明責任として当然、「社会的に価値があること」も必要だ。つまり今や、「ユーザーファースト」と「社会貢献」は表裏一体となっているわけだ。社会をないがしろにした事業運営などありえないということが、改めて強く感じられる。

「社会貢献企業」でこそ成長できる理由 その3

「ユーザーファースト」は、社会貢献なくして語れない

SECTION
/

インフラファースト、グロースセカンド!?
組織づくりで大切な考え方

前セクションでは、サービス開発や事業成長といった側面から、各社のこだわりを垣間見ることができた。では、会社の中に対するこだわり、つまり組織づくりにおけるこだわりにはどのようなものがあるのだろうか。

ユーザーライクではバリューマネジメントに力を入れている。「グロース主義」「ユーザー起点」「共創」と3つあるなかでも、特に「ユーザー起点」には重点を置いているのだという。

武井私たちのような広いサプライチェーンを扱う会社だと、当然必要な職種も幅広くなります。そういう意味では、将来的に意思疎通が取りづらくなってくるという可能性は考えられると思います。そこで大事なのは、社員全員が向いているベクトルを揃えること。そのためにはバリューを浸透させることが大切だと考えています。

特に「ユーザー起点」というバリューを重要視していて、具体的な施策としては、全てのチームでユーザーヒアリングを行っています。経理や人事、エンジニアも含めて全員です。

あとは、3カ月に1度社員全員で合宿に行くなど、ウェットなコミュニケーションを取っているんですよね。面接でもそういうことをはっきりと候補者に伝えるようにしていて、そこである程度スクリーニングしているというのはあります。

田邊Greenspoonでも採用の段階でそのあたりをスクリーニングしています。「自分を好きでいつづけられる人生を」というビジョンはもちろん、サービスを好きでいてくれてるかどうかという点も重視しています。もちろん現段階のサービスを100点だとは思っていませんが、それでもビジョンに共感してくれていたり、サービスの方向性を好きだと言ってくれる人じゃないとやっぱり難しい気がしますね。

あと組織づくりにおいて意識しているのは、社員のパーソナルな部分の理解。社員みんなが「今、自分を好きな状態でいるかどうか」ということを大切にしています。毎月社員全員と1on1を実施して丁寧に話し合いをしていますし、社員合宿なんかでも事業戦略の話し合いよりも、社員同士の相互理解を深めるようなワークを多くしています。まずは社員自身が幸せじゃないと、ユーザーさんに幸せは届けられませんから。

イベント時のスライド(Greenspoon)

ビジョンやミッションの濃度を薄めないために、採用段階から事業の説明だけでなく、組織で大切にしている考え方や働き方を、しっかりと伝え、相互に期待値をすり合わせることについて、河合氏も強く共感をした。慢性的な人手不足に苦しむのがスタートアップの常だが、そこを妥協しないことが先の大きな成長に繋がるだろう。

一方、クラスが組織づくりで大切にしているのは「インフラファースト」の考え方だ。

久保システム的な体制もそうですが、制度や仕組みなどについても、まずは土台を整えるということを大切にしています。なので「インフラファースト、グロースセカンド」ですね。

多くのスタートアップがその逆、つまり「グロースファースト、インフラセカンド」になっている印象があるが、クラスはこの順番にこだわりを持つ。

久保本当に必要な人材を採用するためには早くても半年かかります。そこから制度設計してインストールして……とやっているとまた半年。その1年の間に、UXが著しく低下したり、組織として士気が下がったりするんです。

今の会社の前に一度会社を立ち上げているんですが、経営者としての自分の未熟さから色々な失敗をしているんです。その一つが、とにかく会社の成長を最優先にしてしまい、社員もお客様も不幸にしてしまったこと。だからこそ、この点に関しては強いこだわりがあるんです。

急成長を遂げる3社。その裏側では、会社の根幹を固め、社員の幸せを考えるという共通点があった。具体的な取り組み方こそ三者三様なれど、イベント前から会話が盛り上がっていたのは、きっとこの共通点があるからだ。

ただ、これも当然のことなのかもしれない。「社会貢献」と同時に考えるべきことに「企業の永続性」がある。社員の幸せを考えることのできない企業が、価値を生み出し続けることなど不可能だ。

「社会貢献企業」でこそ成長できる理由 その4

企業の永続性のため、社員の幸せを常に考える

SECTION
/

「結果として成長している」のが、“キャリア的な”メリット

ここまでの内容を読んだ方であれば、社会貢献と企業成長を両立させる事業や組織の魅力についてご理解いただけただろう。読者のなかには、「自分もそういう会社で働きたい」と感じた方もいるかもしれない。

そこで、キャリア的な「成長」という観点からも3社の考えを聞いてみた。

武井「ユーザー起点での事業の捉え方」というのは間違いなく身につくと思います。先程もお話しした通り、ユーザーライクでは徹底的に「ユーザー起点」を重視して、社員全員がヒアリングを実施しています。自社では「ユーザーさんに憑依する」と言っているんですが、ただユーザーさんを考えるということと、ユーザーさんになりきるということとは全く違います。

だからこそ、コロナが広まる前までは必ずユーザーさんのご自宅にお邪魔してヒアリングを実施していました。どういう間取りでどういう場所に花を飾っているのか、という“深いインサイト”が大事だと思うからです。

久保他社と比較したときのクラスの特徴として、ひとつにバリューチェーンの長さがあります。一部分だけを見て仕事をするわけではないので、自然と多角的な視野や思考が身につくと思います。例えば広報で言うと……ベンチャーの一人広報って「一にも二にも行動!」ってなりがちですよね。でもバリューチェーンが長いと、ロジカルな仕組みづくりも必要になってきます。社内外のコミュニケーションなんかも重要です。

「行動力」も「思考力」も、どちらかひとつだけではあまり役に立たないんです。両方が必要。

武井ウチもサプライチェーン全体に関わっているので、「自社以外」のことまで考えなければいけません。そういう意味でも、多角的な視点を得られるというのはありますね。

多角的な視点や思考の重要性は3者全員が同意し、話を聞いていた河合氏も「中長期的に業界全体を変えていく、という意味では時間的な意味でも広い視点を身につけられる」と補足した。

とはいえ、「ただ自己成長のため」にキャリアにおける意思決定を下すことについては、警鐘を鳴らす。

田邊自己成長のために仕事をしても面白くないと思うんですよね。そんなことよりも「このサービスで世界を変えたい」とか「こういう人を喜ばせたい」とかっていう思いを持って仕事をしたほうが楽しいんじゃないかな。自分もスタートはそういう思いで事業を立ち上げましたし。そのほうが結果的には成長していることにもなると思いますよ。

「社会貢献企業」でこそ成長できる理由 その5

「自社以外」の視点が求められるため、常に自分を進化させられる

SECTION
/

執念を持たずして社会課題の解決などできない

イベントの最後には、各社に今後挑戦したいことと、採用したい人材について聞いてみた。

久保これまで家具などの耐久財の業界って、ものを売ったら終わり、家具を設置したら終わり、だったと思うんですね。でも僕は、そこをスタートにしたいなと思っているんです。

どこにどんな家具を置くかというのをUI、その空間でどんな体験を提供するかというのをUXだとすれば、理想とするUXを提供できるUIに一発でたどり着くことなんて絶対ないんですよ。サイト制作とかでは当たり前の考え方ですよね。細かい改善を繰り替えることが大事なわけです。僕が目指しているのはまさにそこで。サービスを使い続けてもらうことで、オフィスであれば、理想の働き方に気づけたり、体言したいカルチャーに行き着くことができたり……そういう世界観を目指しています。

そのためにはやはりテクノロジーの力が不可欠です。どのように調査して、どうカスタマーサクセスを仕掛けていくか。極めてデータドリブンでなければいけないと思っています。なので、データアナリストとかデータに強い人は是非。あとは、全く新しい事業モデルを作り上げていくことになるので、BizDev人材の活躍の機会もどんどん増やしていきたいですね。

武井花き業界は先程お話しした通り、レガシーですしサプライチェーンも長いです。それに、花って生モノでもあるので、非常に扱いが難しいんですね。

それでも、生産者とか市場の方々と協力することでなんとか体制が整ってきています。なので今度はそれをユーザーさんに還元したいというか、今後はユーザーさんを喜ばせる施策にもっともっと取り組んでいきたいですね。例えば、ユーザーさんが楽しめるようなラインナップを増やすとか、ユーザーさんの好みにパーソナライズしていくとか。

採用したい人材は……ポジションはあるので、わりとどんなバックボーン持っている人でも歓迎ですけど(笑)。ウチはメガベンチャーからの転職が多いんですよね。目の前の事業を成長させる経験はできたけれど、これまでよりも広い範囲を見たいとか、もう少し大きな裁量で仕事がしたいとか、もう少し自分の仕事のインパクトを実感したいとか。そういうことを感じている人はフィットすると思います。

田邊Greenspoonは創業当初から言っていますが、グローバルのウェルネスブランドをつくるというのが今後の挑戦です。

スターバックスとかハーゲンダッツとかハイネケンとか、僕たちが「かっこいいな」と感じて、なんとなく食べたり飲んだりするブランドって日本から生まれていないんですよね。日本の食品メーカーで起きているのはとてつもなく激しい価格競争で、結果的に営業利益がとても低いというのが現状だと思います。

そこで戦うんじゃなくて、『グリーンスプーン』のミールを食べたときに「ああ今日は自分に良いことしたな」って思ってもらえるようなブランドをつくりたいんです。

そのためには、それを「本気でやるぞ」と思ってくれる人に入ってきてもらいたいと思っています。やっぱり事業って意思が大事だと思うんです。執念というか。グローバルウェルネスブランドなんてそんな簡単にはつくれないですから、絶対にやるんだという強い気持ちがないと無理だと思っています。

すべてのスタートアップ経営者の声を代弁したかのような田邊氏の意見に、河合氏も強く同意し、「熱狂と執念」の重要性を改めて強調した。

社会の課題を解決する──。それは生易しいことではないはずだ。ビジョンを固め、組織を整え、無謀だと思えるようなチャレンジをしていかなければいけない。そんなときに、「執念」を持たずにどうして戦っていけるだろうか。「自己成長」とは、そうして戦い続けているうちに、ふと気づくと手にしているようなものなのかもしれない。

「社会貢献企業」でこそ成長できる理由

その1

社会評価が高いことが資金調達や拡販につながり、事業成長につなげやすい

その2

「ステークホルダーとの調整が不可欠」というBizDev力が試される

その3

「ユーザーファースト」は、社会貢献なくして語れない

その4

企業の永続性のため、社員の幸せを常に考える

その5

「自社以外」の視点が求められるため、常に自分を進化させられる

こちらの記事は2022年06月24日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

栄藤 徹平

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

When you log in

新規会員登録/ログイン