従業員はアソビナカマ。「みんなが楽しめること」を突き詰めた、UUUMの組織作りとは

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中尾 充宏
  • UUUM株式会社 取締役 / コーポレートユニット システムユニット 社長室統括 

1977年生まれ、広島県出身。中央大学商学部卒業。2001年、大学卒業後に証券会社へ入社。2003年に株式会社日広(現 GMO NIKKO株式会社)へ転職後は、インターネットや広告の業界でキャリアを積む。主に営業業務を担当し、2006年からはイベントやモバイル広告など経験や活動の幅を広げる。株式会社スパイア(現 ユナイテッド株式会社)のグループ会社にて経営も経験し、2011年に独立。 3年間の会社経営を経て、 2014年にUUUM株式会社入社。

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YouTube上でのインフルエンサーマーケティングをリードする、クリエイタープロダクション「UUUM」。

2013年に創業以来、「HIKAKIN」「はじめしゃちょー」「Fischer's」などが所属する国内最大のクリエイターネットワークとして成長を続けている。

「セカイにコドモゴコロを」を理念に、新しい時代に即したコンテンツを世界中に提供している同社は、いかにして組織を作ってきたのだろうか。取締役の中尾充宏氏に、組織を作る上で大切なことを聞いた。

  • TEXT BY TOMOMI TAMURA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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規模拡大と共に、会社イメージと仕事にギャップ

中尾さんは最初、業務委託としてUUUMを手伝うようになり、その数ヶ月後にジョインしたと伺いました。当時は何人規模だったのでしょうか?

中尾私がジョインしたのは2014年で、10人程度しかいない頃でした。だから、動画クリエイターのマネジメントはもちろん、営業や管理系の業務まで役割分けをすることなく全員でやっていました。

組織が少し停滞したなと感じたのは、従業員が50人を超えたタイミングです。新しく入社した人に気配りができる状態ではなかったので、退職者が出始めたんですね。さらに、2016年に100人を超え、その後200人300人と増えていくスピードが速かったこともあり、組織は激しい成長痛に見舞われました。

というのも、UUUM はクリエイターの作るコンテンツや、ファンが集うイベントなどのイメージから、派手な仕事ができると思われがちですが、中身はとても地味なんです。

企画会議をして面白い作品を生み出すのではなく、コンテンツを作るクリエイターに何をしたら質が上がるのか、こんな環境を用意したら喜ばれるかなどを考えて実行するのが我々の仕事。細かく連絡を取ったり、撮影許可を取ったりなど、地道な作業の積み重ねです。

イベントにしても、当日は派手で華やかですが、そこに至るまでの作業はとにかく細かい作業の繰り返し。ファンやクリエイターが喜んでくれることで報われる仕事だから、それをイメージできていないと仕事に物足りなさを感じてしまうこともあるでしょう。これは、僕らがきちんと伝えきれていなかった証拠なので反省しました。

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アソビナカマが楽しめることを一番に考える

外から見えるUUUMの派手さと、中での地味な作業。ここにギャップがあったのですね。それを埋めるために、どのようなことをされたのでしょうか。

中尾僕らがやりたいことは何なのかを明確にシンプルに伝えることから始めました。

UUUMが生み出しているのは、壮大なエンターテインメントではありません。少しでも「楽しいな」と思えるコンテンツを世に送り出そうとしていて、そのために大切なのは「遊び心」があること。

子どもの頃、昼休みや放課後に鬼ごっこや缶蹴りをして遊んでいたような感覚で、楽しいことをしたい、遊んでいたいと思っているんですね。だから、従業員やクリエイター、ファン、お客様を「アソビナカマ」と位置付けました。

組織課題はどのように解決してきたのでしょうか。

UUUMは突出したアイデアで突然マーケットリーダーになったのではなく、目の前のことに地道にひたむきにやり続けてきた会社です。一つひとつ積み上げていくこと、やり続けることが僕らの考え方であり、ずっと変わらないカルチャー。

だからこそ、何か象徴的で派手な施策を打つのではなく、組織課題も一つひとつ解決していきたいと考えました。

たとえば、月報をメールで書いてもらっているのですが、それを上長だけでなく経営陣にも伝わる仕組みがあります。良いことも悪いことも、いろんな課題がダイレクトにわかるので、毎月それらに対応しています。

たとえば、「オフィスコンビニの商品が少ない」といった声をはじめ(笑)、「担当している仕事がうまくいかない」という相談や人間関係の悩みなどです。小さいことでも解決につながるよう動くから、従業員はきっと「書けばどうにかしてもらえるかもしれない」という実感を持てるようになったと思います。

また、仕事がマッチしない人には積極的に配置換えをしたり、組織替えをしたり、ジョブローテーションをしたりしています。もちろん変化がないのはマンネリ化につながるので、刺激を与える意味でもフットワーク軽く組織は変えています。

というのも、マッチしない仕事やマンネリ化した仕事は辛いだけだから。それは僕らの考えに反します。仕事を楽しめていないとアウトプットに影響してくるのはもちろんですが、なによりアソビナカマが楽しめることを一番に考えたい。誰かが泣いていたら、その遊びは一瞬で面白くなくなりますから。

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仕事を楽しめるのは、自立・自走できる人

アソビナカマが楽しめるような組織を地道に作っていく。人を大切にした会社だということが伝わってきます。

中尾まず経営陣が、きつい仕事はあっても楽しくない仕事をしたくないと思っていますからね(笑)。

人のパフォーマンスが高いときは、楽しんでいるときだと思うんです。自分の好きなことや楽しめることを仕事にできたらパフォーマンスは上がります。すると、自分の時間を能動的に費やせるようになり、共感する人が集まってチームになり、組織になる。それが今のUUUMです。

クリエイターとファンが交流するイベントは、当日までの準備はとても大変です。だけど、学園祭の準備のような高揚感があって、大変だけど楽しい。コンテンツを世に出すまでの仕事に派手さはないけれど、世に出てヒットしたときの達成感は大きい。

そこに共感してくれたアソビナカマが集まり、組織が大きくなった背景があるからこそ、仲間は大切にしたいと考えています。

今後、どんな人にアソビナカマとして加わってもらいたいですか?

楽しいことは与えられるものではありません。大切なのは、自分が動いて楽しめること。ただ、「楽しい」に到達するには苦しみもあります。

たとえばスポーツも、苦しい練習を自主的に取り組めた人が、本当に楽しい領域に到達できますよね。

小さい頃にピアノなど習い事をしていたけれど、親にやらされていた人は楽しいと思ったことは少ないはずです。

だから、アソビナカマとして求めるのは、自立・自走できる人。地道なことでも前向きに取り組んで仕事も生活も楽しめる人です。それから、UUUMは自分たちが前に出て行くのではなく、クリエイターを輝かせる会社なので、チームプレイで最大の価値を生み出したい人にはぜひ仲間になってもらいたいと思っています。

こちらの記事は2018年12月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

田村 朋美

写真

藤田 慎一郎

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