EVENTREPORT
18-09-20-Thu

エジプトの出会い系アプリからメンタルケアのマッチングまで──500 Startups「DEMO DAY THE MOVIE in TOKYO」レポート

TEXT BY KAYO MIMIZUKA

シリコンバレーの有力ベンチャーキャピタル「500 Starups」が開催するアクセラレータープログラムの、
参加者によるピッチイベント「デモデイ(Demo Day)」では、
注目スタートアップによる熱いプレゼンが繰り広げられる。
サンフランシスコで2018年6月に行われたデモデイには17社が登壇。
参加したスタートアップの約半数はアラブ首長国連邦(UAE)、
トルコ、カナダ、中国、韓国など米国外からだった。

同年8月には、500 Startups Japanが、日本語解説付きの動画で現地の様子を見るイベント
「DEMO DAY THE MOVIE in TOKYO」を開催した。
500 Startups Japanのマネージングパートナー澤山陽平氏、
東京カルチャーカルチャーの河原あず氏らが登壇し、
スタートアップについて解説した。
本記事では、イベントで紹介された8社を紹介していこう。

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退院後の患者の状態を管理するモバイルアプリ

Salusive Health

クリニック向けに、退院後の患者の状態を管理するモバイルアプリを提供。忙しすぎる医師をサポートし、患者も質の高い医療を受けられるようにするサービスだ。

具体的には、デジタルヘルス・センサーを通して患者のデータを取得し、専用のアプリを通じて看護師がモニターする。退院した後でも、問題があれば医師に報告される仕組みだ。これにより、患者が受ける治療の質は33%向上、医師の収入も29%増加しているという。

ビジネスモデルは、医師一人につき最大月1万1千ドル(約120万円)のアプリ使用料を病院に課す形となっている。澤山氏は「医者の方からプロアクティブに患者へアプローチできるのは面白い」と語った。

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ベトナムコーヒーをもっと気軽に楽しめる

Copper Cow Coffee

ベトナム移民の両親を持ち、幼いころからベトナムコーヒーに親しんできたというCEOが立ち上げた米国のコーヒービジネス。自ら農場へ赴き、オーガニックのコーヒーを輸入している。通常、ベトナムコーヒーは細かい穴が開いたステンレス製の組み合わせフィルターを使って淹れるが、誰でも気軽に楽しめるドリップバッグにしたのが特徴だ。

また、最後に入れるコンデンスミルクも付いており、パッケージは100%自然分解できる素材で作られている。2017年のローンチ以降、2,000を超える百貨店で販売され、オフィスやホテルにも展開しているという。2018年6月の売り上げは8万ドル(約880万円)。

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メンタルヘルスケアのマッチングアプリを提供

reflect

メンタルヘルスで悩む人は多い。にもかかわらず、80%の人が自分に合うセラピストを見つけられず、継続的な治療を受けていないという。そんな課題の解決を目指すのがreflectだ。

同社は、開発者自身が患った経験に基づき、患者とセラピストをマッチングするアプリを提供している。優秀なセラピストのネットワークを持ち、データに基づいたマッチングを行う。

また、医師と患者のより良い関係を構築するため、面会の間にフィードバックも設けることで、遠隔治療と比べて継続率は7倍に達しているという。サービス料金は1セッションにつき95ドル、そのうち15ドルがreflectに支払われる。月平均で20%成長している。

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中東・北アフリカ向けのリーガルサービス

Lexyom

Lexyomは、中東・北アフリカ(MENA)地域でオンラインのリーガルサービスを提供している。中東には約2,000万の中小企業があるが、70%は利用できるリーガルサービスの質に不満を感じているという。こうした企業が、効率よく適切な弁護士を見つけられるプラットフォームだ。澤山氏によると、日本だと「弁護士ドットコム」に近いという。

弁護士に登録してもらい、手数料を取るビジネスモデル。市場規模は200億ドルと見込まれ、試験段階にもかかわらず月1万ドルの収益を生み出している。澤山氏によれば、弁護士との細かい書類のやりとりをAIで自動化することで、業務の簡素化もしているという。

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複数マッチングができないエジプトの出会い系サービス

Harmonica IT

オンラインの出会い系サイトでパートナーを見つける人は、世界で30%以上増加したという。一方、中東ではほぼ0%。同時に複数の相手と連絡を取れる通常のマッチングサービスは、保守的な風土が残るイスラム圏の文化にそぐわないためだ。

エジプトの出会い系サービスHarmonica ITでは、同時に複数のマッチングが起きないように設定されている。この機能が特に女性に支持され、男性の2倍ユーザーがいるという。首都カイロではサービスの提供開始後、半年でユーザーが10万人に到達。DAUは1万人で、計500万回のメッセージがやりとりされている。結婚を控えたカップルも誕生しているといい、中東の婚姻事情を変えるイノベーティブなアイデアと言えそうだ。

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小売店の顧客体験をiPadで改善するサービス

Purple Go

モバイルテクノロジーを活用して、実店舗でのショッピング体験を便利にし、買い物客の満足度を高めるサービスを開発している。まずは取り扱い品数が多い眼鏡市場で試験的に導入したところ、1店舗あたりの年間売り上げが15万ドル増加したという。

従来の眼鏡市場では、実店舗に大量の商品を置くことができないため、フレーム選びや眼鏡の保険を検討するのには時間がかかった。しかし、Purple Goのサービスを使えば、iPadのアプリ上でこうした情報を比較し、自分に合う商品を短時間で選べる。また、在庫管理や購入後の自動Eメール送信を通じて、顧客のサポートも行うことが可能となる。

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内容証明などの法的文書をデジタル化

Lexop

米国では、内容証明などの法的文書を郵便で送ると、コストが高く付く。このプロセスをデジタル化したのがLexopだ。メールでの送信状況をリアルタイムで追跡可能で、文書が受領されたことも法的に証明する。

同社によると、世界の弁護士の80%は「訴訟大国」と言われる米国で活動しているといい、市場規模は非常に大きいことが予想される。澤山氏によると、米国の郵便事情は遅延や紛失などトラブルも多く、すでに多くの法律事務所が顧客として同サービスを利用している。

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業務にも使用するスマホ用のセキュリティーツール

Orchard

私用デバイスを業務にも使う「BYOD(Bring Your Own Device)」が普及する一方、企業側にとっては情報漏えいなどのセキュリティリスクも高まる。Orchardはここに注目し、スマートフォン用の保険とセキュリティツールを提供している。

アプリをダウンロードすると、スマートフォンの機能が正常に作動しているか、セキュリティは万全かを診断してくれる(画面にひびが入っていないかどうかまで分かる)。すでに6万台以上の診断を行っており、年間売り上げは200万ドルに達している。

河原あず氏(左)と澤山陽平氏(右)

今回の各スタートアップによるピッチは一社2分と短かったが、ビジネスの詳細はもちろん、それぞれの巧みなプレゼンスキルも楽しめる内容だ。

澤山氏は、特にLexyomやHarmonica ITなどが注力するMENA地域について「ポテンシャルがあり、面白い。実際500 Startupsは、500 Falconsという専用ファンドを作って投資を行っている」とコメントしていた。登壇企業17社については、500 Startups JapanのWebサイトにも紹介があるので、興味があれば是非チェックしてみてほしい。

[文]耳塚 佳代

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