この5社が凄い!カルチャーブック最前線 vol.1──10X、メルカリなどあのカルチャーブックはこうして作られた

個性的な事業やプロダクトを創り出すスタートアップやベンチャー企業が増える中、同時に組織も順調にグロースさせることができている企業はそれほど多くない。どうすれば良いのか、どういった対応が必要なのか。

気になる動きがある。組織のカルチャーを、わかりやすい形で発信する取り組みが増えてきているのだ。そしてその多くが、「あの会社は採用がうまくいっている」というイメージを持たれる企業だ。採用広報を広くサポートしてきたFastGrowは、その中から計5社のカルチャー発信資料を「表現の多様性」を軸に参考となるようにまとめた。

スライドだけに留まらず、Notion や動画を使ったものなど、改めて会社のカルチャー表現には様々な表現方法があると気づかされる。

選出した企業の担当者の方々からカルチャー発信をする上での背景やこだわりのポイントも合わせて集めた。組織運営の参考に、ぜひ活用してほしい。

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リサーチ対象企業について

カルチャーを言語化し、体系立ててまとめ上げ、社外に配信している企業が対象。十数社の中から、「表現の多様性」という点で特に参考にしやすいものを計5社分、ピックアップした。

【分析1】 創り方

今回取り上げた5社のうち、新規で制作していた会社が3社、2社が元々は社内文章だったものを公開していた。

新規制作が多いという事実は、この取り組みにかける熱量の高さを物語る。

コストや工数をかけてでも創り上げることが、採用や組織づくりの観点で重要だと考えられていることがよくわかる。

一方で、社内向けに一旦作った上で、公開を検討した企業もいる。「外に出すなんて無理だ」と感じる担当者もいるかもしれないが、検討してみるのもありかもしれない。

【分析2】 経営陣の参画

カルチャーとは少し異なるが、経営破綻後の日本航空(JAL)を立て直すために招聘された稲森和夫氏は、メンバーを巻き込んで『JALフィロソフィー』という指針を創り上げ、社内への浸透に身を砕いた。経営者自身がその重要性を説き、制作・浸透に携わったのだ。

JALほどの大企業ですら、こうした動きが重要だったということだ。いわんや、規模の大きくないスタートアップをや。

カルチャーの構築と発信において、経営メンバーの参画はどの会社も外せない要素となる。経営陣(CxO)が制作や更新に責任を負っている企業は5社中3社にのぼった。一方で公開後の運用は、メンバークラスに任せている企業もある。つまり、「何年もブレないカルチャー指針を描く企業」と、「最新のカルチャーを発信するため情報を定期的に更新する企業」に分かれると言えそうだ。

【分析3】 利用ツール

思っていたよりもバラつきがみられ、面白い分析となった。

Speaker Deckの利用が2社。「URLを複数のページに埋め込んでも、一括で内容を更新できるので便利」という声があった。

利用者も増えているであろうNotionを利用している会社も2社あった。こちらは「Speaker Deckよりも、デザインやレイアウトの工数がかからないので、更新しやすい」という背景によるようだ。

既存ツールを利用する会社も多い中、メルカリはWebページを内製し、動画を埋め込んでいる。

それぞれに工夫がみられるが、トレンドとしては「更新のしやすさ」が存在するようだ。

※掲載順序 50音順

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株式会社10X 『Culture Deck』

カルチャーはどこまで言語化すれば良いのか、対外的に公開すれば良いのか?10Xが「カルチャー」として意識するのは、「戦略」や「Value」「メンバー」にまで広がる。さらにこの資料に、人事制度や給与レンジまで含めている。

Culture Deck

10XのCulture Deckは2019年の公開時から現在までで通算64万PVを超え、10Xのことをまず知っていただく最初の資料になっています。

これまで一貫してCEOの矢本自身が作成しており、事業や組織のアップデートに合わせて随時更新しています。「10Xの基礎情報はこれを読めばわかる」ストックの場として活用しやすく、採用候補者の方やメディアの方などにお送りする資料としても利用しています。

また、Speaker Deckでは同じURLで内容を更新し続けることができるので、Webサイトやブログなど色々な箇所に埋め込んでおいても、一括で情報を更新できる点が便利です。

10X 取締役CCO中澤理香氏からのコメント

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株式会社HERP 『HERP Culture Deck』

Notionを利用し、シンプルな見た目にこだわったHERPのCulture Deck。社内向けの内容を公開するというかたちで、会社紹介資料との違いを明確にしている。

HERP Culture Deck

HERPのCulture Deckの特徴は「社内向けの文書を社外にも公開している」ことです。

実はこれまでも会社紹介資料があったのですが、社内で共有している内容とギャップが生まれていました(社内向けに発信している内容を社外向けにリバイズする手間から、更新頻度が低くなってしまった)。

候補者の方に会社の状況をリアルタイムにオープンにできるよう、2点工夫しています。一つは、社内向けの方針を社外に共有する(戦略や組織としてのありたい姿など)こと。もう一つは、更新負荷を下げること(Notionを利用しスライドを作らないなど)です。

弊社は事業としても“オープンな採用”を支援したく、自社がそのロールモデルとなれるようにこうした取り組みを増やしていきます。

HERP 取締役COO徳永遼氏からのコメント

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株式会社メルカリ 『Mercari Culture Doc』

メルカリは各メンバーが「メルカリで働いていてワクワクすること」をテーマに動画も公開した。会社の「今この瞬間の空気感」を伝えたいという意図が込められている。

Mercari Culture Doc

メルカリ(会社)とメンバー(社員)が大事にする、共通の価値観をまとめた社内向けのドキュメント「Mercari Culture Doc」を9月13日に公開しました。実は2019年7月に社内限定で公開した「Mercari Culture Doc(Ver.1)」が原型になっており、今回公開Ver.3になります。今回のアップデートおよび社外公開に関する準備には、1年以上の期間を要しました。

社外公開に踏み切った理由は二つあります。「メルカリの企業としての人格を知っていただきたい」という点と「社内外を含み、多様性を受け入れる環境をつくりたい」という点です。社内のみならず、広く社会へ共有することで、多様な人材が活躍できる環境の実現を目指していきたいと考えています。

Culture Docの内容において意識したのは「How」に言及せず、「Why」と「What」に絞ったこと。「How」は外部環境や会社・事業のフェーズによって変化していくものなので、目的や存在意義を忘れないために「Why」と「What」にだけに絞り言語化を図りました。

Diversity&Inclusionを推進するうえでも、カルチャーは非常に重要な役割を担うため、経営、マネージャー、メンバーを巻き込み、丁寧に議論しながら制作を進めました。一部のインタビューは映像にして公開もしていますのでご覧ください。

Mercari Culture Doc

完全でも完成でもなく今の答えに過ぎませんが、メルカリらしいドキュメントになったと思います。

メルカリからのコメント

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Ubie株式会社 『Ubie Discovery カルチャーガイド』

非常に細かな言語化が特徴的なUbieのカルチャーガイド。「評価制度がない」という企業の特性に沿い、ミスマッチが起きないようにカルチャーというかたちでできる限り全てを言語化しているのかもしれない。

Ubie Discovery カルチャーガイド

Ubieでは、組織もプロダクトと捉え、ビジョン・ミッション実現に最適なカルチャーを意図的に設計しています。その一環として、2020年に「カルチャーガイド」を策定。外部にも公開し、採用候補者にも必ず読んでいただいています。

策定背景は、リモート環境での「50人の壁」です。多様な出自のメンバーが入社直後から自信を持って実力を発揮するためには、早々に自社の特性理解=カルチャーのオンボーディングが肝と考え、ビジョンから日常の行動規範までを一気通貫で説明するガイドを作成しました。

ガイドは、150名となった2021年現在も強固なカルチャー作りに大きく寄与しています。また、採用候補者の方に「どんな会社か」を理解いただく目的でも非常に効果的でした。事業・組織の成長に伴い、マイナーアップデートも継続しています。

Ubieからのコメント

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スローガン株式会社 『SLOGAN CULTURE BOOK』

最後に手前味噌であるがFastGrowを運営するスローガン株式会社の「SLOGAN CULTURE BOOK」も紹介する。「人の可能性を引き出す組織」を目指す旅という表現を軸に、守らなくてはいけないルールではなく、「目指す方向性の合意としてのプリンシプル」という位置づけで制作した。

SLOGAN CULTURE BOOK

コロナ禍でリモートワークが中心になり面接も入社後のオンボーディングも全てオンライン完結になることを想定して2020年4月から会社のカルチャーを言語化して共有したいと強く思い始めました。

バリューや行動規範でカルチャーを定義する方法もありますが、シンプルで良い反面、解釈のずれも生じやすい。そこで、敢えて文章でしっかり記述する方法を選びました。本を書くようなつもりで全部書いてみる。だからカルチャー「ブック」です。その際に注意したのが、ルールっぽい話が長々と書いてあっても窮屈なので、守らなくてはいけないルールではなく、「目指す方向性の合意としてのプリンシプル」という位置づけであると宣言したことです。

カルチャーの言語化・発信という観点では、社内外に向けてもカルチャーを伝える記事をSlogan Journalにて継続的に発信しています。

こちらの記事は2021年12月27日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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