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連載|マッキンゼーのDNAを受け継ぐ、9名の起業家たち
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名だたる起業家たちを輩出し、ベンチャー界を席巻。
レガシー産業から医療業界まで活躍する“マッキンゼーマフィア”(後編)

アメリカのスタートアップシーンでは、Elon Musk(イーロン・マスク)、Peter Thiel(ピーター・ティール)、Reid Hoffman(リード・ホフマン)など、 PayPal出身の大物起業家が、“Paypalマフィア”と呼ばれ注目されている。FastGrowでも過去に日本の大企業を題材に、リクルート博報堂出身の起業家を紹介してきた。

だが、まだまだ起業家人材を輩出する企業として注目すべき会社がある。第5弾として紹介するのは、BCG(ボストンコンサルティンググループ)と並んで“2大コンサル”と呼ばれ、人材輩出企業としても名高いマッキンゼーアンドカンパニー(以下、マッキンゼー)だ。

“ザ・ファーム”の異名を持ち、これまで幾多の優秀な起業家たちを送り出してきたマッキンゼーでは、「クライアント・インタレスト・ファースト(顧客利益第一主義)」に加え、「ベストな人材を惹きつけ、育て、引き止めること」というミッションが、全員に課せられるという。

本企画では、1926年の本社設立から脈々と続くマッキンゼーのDNAを受け継ぎ、多様な業界で躍動する起業家たちをピックアップ。後編では、レガシー産業から医療業界まで、4名の経営者たちを取り上げていく。

  • TEXT BY HUSTLE KURIMURA
  • EDIT BY MONTARO HANZO
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豊田剛一郎(株式会社メドレー代表取締役医師)

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1984年生まれ。開成中学・高校を経て、東大医学部に入学。卒業後、日米での脳神経外科医としてのキャリアを歩むなか、日本が直面する高齢社会や医療費の高騰、医師不足などの課題に危機感を募らせるようになり、「医療を救う医師」を目指し臨床現場を離れることを決意。2013年にマッキンゼーに入社し、ヘルスケア業界でのコンサルに携わる。2015年、メドレーに参加し代表取締役医師に就任。

マッキンゼーという環境について、豊田氏は「医療現場とは考え方がまったく違い、新鮮だった」と回顧する。救急対応など、瞬時の判断力や柔軟性が求められる医療の現場に対し、数値を根拠に、ロジカルに戦略を詰めるコンサルタントでの仕事は、豊田氏に組織マネジメントの能力を養う機会を与えたようだ。

株式会社メドレー

株式会社メドレー

2009年設立当初にローンチした求人サイト「ジョブメドレー」を皮切りに、介護施設の検索サイト「介護のほんね」、オンライン診療システム「CLINICS」など、多種多様な人材採用・医療プラットフォーム事業を手がける。2016年6月からは、「日経メディカル ワークス」を日経BP社と共同で運営開始。2018年11月には“医療ヘルスケア分野における技術のオープン化および情報活用を推進”を目指す「MEDLEY DRIVE」プロジェクトを始動させた。

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加藤勇志郎(キャディ株式会社代表取締役社長)

キャディ株式会社

東京大学卒業後、マッキンゼーに新卒入社。2年後の2016年に同社史上最年少でマネージャーに就任する。シニアマネージャーとして、製造業の全社調達改革領域及びIoT/AI領域をリードするほか、グローバル戦略構築、新規事業策定などに携わる。重工業、大型輸送機器、建設機械を中心とする大手製造メーカー15社程度の資材調達改革に従事した結果、同分野への課題意識からキャディ株式会社創業を決意した。

「幅広い産業×経営目線×グローバル」という観点から、新卒入社はマッキンゼー一択だったという加藤氏。「3年でインパクトを出して、辞めても誰もが称賛してくれる人になる」と心に決めて門を叩き、その言葉通り2017年末にキャディを創業した。180兆円もの市場規模を誇るものづくり産業で、かつてないほどの変革を巻き起こすべく、メンバーとともに奮闘している。

キャディ株式会社

キャディ株式会社

「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」をミッションに掲げ、テクノロジーを用いたレガシー産業のアップデートに挑戦している。町工場が多くのリソースを割いてきた「見積もり」において、独自のアルゴリズムで効率化するサービスを提供。現在のクライアントは3,000社以上にのぼる。 2018年12月には、約10.2億円の資金調達も実施した。CTOの小橋氏は、アップル米国本社でAirpodsなどの開発をリードした経験を持つ敏腕エンジニア。

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朝倉祐介(シニフィアン株式会社共同代表)

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1982年生まれ。中学卒業後、騎手を目指して渡豪。しかし騎手になることは叶わず、競走馬育成牧場の調教助手を経験後、東京大学に入学。卒業後、新卒でマッキンゼーに入社した。

その後、自身が学生時代に起業し、モバイルアプリの開発などを行う株式会社ネイキッドテクノロジーに復帰し、代表に就任。株式会社ミクシィへの売却に伴い入社後、代表取締役社長兼CEOとして業績回復を成し遂げる。退任後、スタンフォード大学客員研究員、政策研究大学院大学客員研究員などを経て現職。

マッキンゼー時代に、優秀なメンバーたちと切磋琢磨した経験を通じて、「自らが仕事に向き合う姿勢やこだわりといったスタンダードを確立できた」という朝倉氏。在籍した約3年半で「事業を主体的に動かしたい」という意欲も芽生え、マッキンゼーを退社後には、カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得した。2016年には『論語と算盤と私』、2018年には『ファイナンス思考』を著者として出版している。

株式会社シニフィアン

signifiant style

「社会課題の解決に向けた事業の確立」と「後世に残すべき新たな産業の創出」をテーマに、未上場スタートアップ、新興上場企業に対する経営支援事業などを展開。事業を通じて“Post-IPO Startup”(ポストIPO・スタートアップ)と呼ぶ「IPO後もなお精力的に発展を遂げようとする意志を持った会社」の発展をサポートしている。「signifiant style」では、ポストIPO・スタートアップの事業活動や、経営に関する知見の情報発信も行う。

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金子和真(株式会社Link’well)

株式会社Link’well

2003年より8年間、東京大学医学部附属病院を中心に臨床・研究活動に従事。その後2011年より7年間、マッキンゼーでヘルスケア領域のコンサルティングに従事した。2018年にLink’wellを創業し、代表取締役社長に就任。新潟大学医学部・東京大学大学院を卒業した経歴を持ち、糖尿病専門医も務める。

夜や休日に診察を受けられないという「患者視点」での課題、一人にかかる労働の負担が多大であるという「医師視点」での課題、それぞれを解決するために必要な経営の知識を体得すべく、ハーバード大学への留学を辞退し、マッキンゼーへと入社した。同社で出会った山本遼佑取締役とLink’wellを共同創業し、現在も医療業界のアップデートに日夜力を注いでいる。

株式会社Link’well

株式会社Link’well

テクノロジーを活用し、「質・満足度の高い医療を受けられるような体制・システムの構築」、「医師や看護師が、患者に向き合うことに、より時間を使える医療現場の構築」などの課題解決に取り組んでいる。事業内容は、Web/Line予約・事前Web問診などを中心とした「クリニック向けSaaS」、クリニックを中心とした医療機関の成長を目指し、経営をハンズオンで支援する「院内オペレーション最適化サービス」などがある。

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執筆

ハッスル栗村

1997年生まれ、愛知県出身。大学では学生アスリートを取材し、新聞や雑誌の制作・販売に携わる。早稲田大学文学部在学中。

編集

姓は半蔵、名は門太郎。1998年、長野県佐久市生まれ。千葉大学文学部在学中(専攻は哲学)。ビジネスからキャリア、テクノロジーまでバクバク食べる雑食系ライター。

デスクチェック

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

こちらの記事は2019年08月07日に公開しており、記載されている情報が異なる場合がございます。