連載博報堂出身のスタートアップ経営者たち
2記事生活者を知り、社会との架け橋になる。
アパレルからフィンテックまで活躍する“博報堂マフィア”(前編)
アメリカのスタートアップシーンでは、Elon Musk(イーロン・マスク)、Peter Thiel(ピーター・ティール)、Reid Hoffman(リード・ホフマン)など、 PayPal出身の大物起業家が、“Paypalマフィア”と呼ばれ注目されている。FastGrowでも過去に日本の大企業を題材に、リクルートやサイバーエージェント出身の起業家を紹介してきた。
だが、まだまだ起業家人材を輩出する企業として注目すべき会社がある。第4弾として紹介するのは、広告代理店として知られる株式会社博報堂だ。
“生活者を誰よりも深く知っているからこそ、クライアントと生活者、さらには社会との架け橋をつくれるのだと考えます。”(博報堂「フィロソフィー」より)
「生活者の架け橋」を作り続けたきた博報堂の出身者には、人気クラウド会計ソフトの創業者から一部上場を果たした日本屈指のアパレルサイト経営者まで、幅広い領域で活躍する起業家がいた。本記事では、博報堂出身の起業家10名を取り上げ、前後編に分けて紹介したい。
- TEXT BY HAYATE KAWAJIRI
- EDIT BY MONTARO HANZO
高木新平(株式会社ニューピース代表取締役社長)

1987年生まれ。早稲田大学社会科学部に進学。在学中は「繊維研究会」に所属し、ファッションショーの運営を経験した。卒業後、2010年に博報堂入社。原発PRのプロジェクトに取り組むなかで東日本大震災を目の当たりにしたことをきっかけに、自分の信念に基づいて社会変革をしたいと考え、独立を決断した。
コンセプト型シェアハウス「トーキョーよるヒルズ」「リバ邸」、ネット選挙解禁に貢献した市民運動「One Voice Campaign」、2014年の東京都知事選挙キャンペーンなど、多彩な方面で活躍する。2015年4月、株式会社ニューピースを立ち上げ、代表に就任。
株式会社ニューピース

自民党の小泉進次郎氏が中心となり発足した『経済財政構想小委員会』のビジョンメッセージ「レールからの解放」など、パートナーとの事業構想・ビジョンから入り込み、社会に問いを投げかけるクリエイティブを提案。専門性をもったスタッフから最適なチームを構成し、クリエイティブの力で課題解決をしている。
卓球リーグ「T.LEAGUE」のコンセプトメイキング、ステートメント作成、ロゴ開発、特設WEBページの作成に関わるなど、手段に囚われたアウトプットを行わず、ビジョン実現に向けた戦略を組み立て、コミュニケーション創造に取り組む。
佐々木大輔(freee株式会社創業者・代表取締役最高経営責任者)

1980年生まれ。一橋大学商学部に進学。2年次まで体育会ラクロス部に所属していた。3年次からはデータサイエンスを専攻し、在学中に一橋大学海外留学制度でストックホルム商科大学に留学する。また、株式会社マクロミル(旧インタースコープ)でインターンシップを行い、データ分析やシステム開発を行う。
博報堂に入社後は、マーケティングプランナーとしてクライアントへのマーケティング戦略の立案に従事。その後、株式会社ALBERT執行役員、株式会社Googleの日本およびアジア・パシフィック地域での中小企業向けマーケティングチーム統括を経て、2012年7月、freee株式会社を設立した。同社が提供する会計ソフト「freee(フリー)」の利用事業所数は100万件を超えている。
freee株式会社

クライド会計ソフトfreee(フリー)
法人・個人事業主向けに、事務管理効率化のSaaS型クラウドサービスを開発、運営。無料から使えるクラウド会計ソフトfreee、人事労務に関する業務を一気通貫するHRプラットフォーム「人事労務freee」、会社設立に必要な書類を5分で作成できる無料サービス「会社設立freee」などを提供している。
須田将啓(株式会社エニグモ代表取締役 最高経営責任者)

1974年生まれ。慶應義塾大学院、理工学研究科計算機科学専攻の修士課程を修了後、2000年に博報堂入社。マーケティングプランナーとして、大手企業からベンチャー企業まで幅広い領域のマーケティング戦略、ブランド戦略、コミュニケーション戦略の立案を行う。
2004年に、同僚である田中禎人氏と株式会社エニグモを設立し、代表取締役に就任。2005年に共同最高経営責任者、2013年からは最高経営責任者を歴任している。同社は、2012年に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場、2019年4月に東証一部への市場変更している。
株式会社エニグモ

海外ファッション通販Buyma
世界145ヶ国に約550万人の会員を擁するソーシャルショッピングサイト「BUYMA(バイマ)」を運営。世界中に在住するパーソナルショッパー(出品者)から、6,000以上にも及ぶ海外ブランドの商品を購入できる。取り扱いベースでは、ファッションECのなかで日本2位の規模に至るという。
正能茉優(株式会社ハピキラFACTORY代表取締役)

1991年生まれ。小学6年生から高校卒業までの7年間は、読売新聞の子ども記者として活動し、70本を超える原稿を執筆する。2010年に慶應義塾大学総合政策学部に入学。在学中は、デザイン思考・オーラルヒストリーを学ぶ傍ら、衆議院議員の学生秘書や、恋愛ゲームのシナリオライターとしても積極的に活動した。2012年には、35歳以下の若者によるプロジェクト型コミュニティ「小布施若者会議」を設立。現・副代表となる山本峰華氏を誘い、2013年に株式会社ハピキラFACTORYを創業した。
大学卒業後の2014年、博報堂に入社、ストラテジックプランナーを経験する。現在は、ソニー株式会社で新規事業・新商品を開発しながら、ハピキラFACTORYの経営も行う「パラレルキャリア女子」として活躍している。
株式会社ハピキラFACTORY

地方の魅力的な商材を女性・若者目線でプロデュース、販売する。リニューアル商材のデザインだけでなく、PRプロモーションや販路まで獲得までコミットする。日本郵便とコラボした商品群が、全国約24,000もの郵便局で発売されるなど、“地方が元気になる”ためのサポートを行っている。
助野太祐(株式会社オールブルー代表取締役CEO)

1983年生まれ。2001年、関西学院大学に入学。2005年、リクルートを経て、2007年に博報堂に転職した。博報堂では大手飲料メーカー、インフラ企業などの広告からメディアまでTTL(Through The Line)領域を経験。2013年に独立し、コンテンツブティックである株式会社オールブルーを設立した。広告やプロモーションのコンテンツ化を標榜し、関わるプロジェクトのファンを増やすべく挑戦し続けている。
株式会社オールブルー

株式会社ミクシィのエンタメ事業ブランド「XFLAG」のクリエイティブ、イベント、PR、プロモーションに携わるなど、多角的な手法で企業支援を行うコンテンツブティック。企業ブランディング、商品広告、キャンペーン等、クライアントの課題解決に対し、プロモーションから事業開発、採用活動までもをワンストップで提供している。
こちらの記事は2019年05月31日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。
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