連載スタートアップを知りたいならここを見よ!FastGrow注目スタートアップ特集──FastGrow Pitchレポート

サイバーセキュリティ対策、子供向け読書教育、不動産AI査定のスタートアップが登場──FastGrow Pitchレポート

登壇者
寺田 彼日
  • AironWorks 代表取締役 

京都大学経営管理大学院(MBA)、大阪大学経済学部卒。Sloganの京都支社起ち上げ、トルコKoç Universityへの日本学術振興会若手研究者海外派遣留学を経て、Benesse Corporationにてデジタルマーケティング及び社内新規事業に携わる。2014年よりイスラエルにて日本人として初めてのスタートアップ企業Aniwoを創業し、住友化学等大手化学メーカー、自動車メーカー、電機メーカー等とイスラエルスタートアップのオープンイノベーションの推進に携わり、多数の出資・提携・共同研究開発のプロジェクトを生み出す。2021年よりAniwoからのスピンオフでサイバーセキュリティ事業の起ち上げを行い、AironWorksを創業。

笹沼 颯太

東京大学経済学部在学中、2020年に株式会社Yondemyを設立。大学進学後、家庭教師として担当した全ての家庭から「うちの子は本が嫌いなんです。」と相談されたことから、「子どもの読書離れ」という課題の深刻さを痛感。自身の英語多読講師としての読書指導ノウハウや、海外の読書教育実践に関する知見を活かし、日本初のオンライン読書教育サービス「ヨンデミーオンライン」を立ち上げた。

浅海  剛

ファーストキャリアは金融系SE。横浜に戸建てを購入した直後、転職を機に通勤時間が4時間に。「戸建ては売れない」と思いこみ、家に縛られながら通い続け離婚危機に。こうした持ち家への "あきらめ" を無くすため、2015年に気軽に自宅の価格を把握できるAI査定「HowMa」を開発。誰もが安心して家を売ることのできる仕組みを作り、2030年までに中古物件の年間流通額を現在の4兆円から5兆円に増やすことを目指す。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、AironWorks株式会社、株式会社Yondemy、株式会社コラビットの3社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY RYOTARO WASHIO
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AironWorks
サイバーセキュリティで、企業から脅威を守る

AironWorks株式会社

最初に登壇したのは、AironWorks代表取締役の寺田彼日氏。同社は、イスラエル国防軍におけるサイバー攻撃・防御の超精鋭部隊である8200部隊出身エンジニアが開発した、サイバーセキュリティシミュレーション訓練プラットフォームを展開している。

始めに、寺田氏はサイバーセキュリティにおける課題について説明した。

寺田Amazonや銀行を装ったフィッシングメールを受け取ったことがある方は少なくないでしょう。近年そういったメールによる被害が急増しており、被害額も非常に大きい。2020年、アメリカにおけるビジネスメール詐欺の被害額は約2000億円に達し、日本でも日経新聞社が32億円を奪われるなど、反社会的なハッカー集団による企業への攻撃が後を絶ちません。そういった被害を防ぐために、サイバーセキュリティの対策が急務です。

もちろん、企業が対策を講じていないわけではありません。しかし、現状では形式的な訓練や実践的ではないeラーニングを取り入れるだけの企業が多く、課題が多い領域です。

同社が提供しているサイバーセキュリティシミュレーション訓練プラットフォームは、ハッカーによる攻撃を擬似的に再現する。

その仕組みはこうだ。まず、企業情報を収集し、AIがEメールのみならず、ショートメッセージやSNSなどあらゆるチャネルを分析。セキュリティが甘く、サイバー攻撃に弱い領域を特定する。分析結果に応じて攻撃を自動生成し、訓練を実施。その結果によって、企業や従業員のセキュリティレベルを可視化するのだ。

さらに、サイバーセキュリティ対策についての教育コンテンツを配信し、組織のセキュリティレベル向上につなげている。

AironWorksは寺田氏が創業したAniwoから2021年にスピンオフし、立ち上げられた。寺田氏がイノベーションプラットフォーム事業を展開するAniwoをイスラエルで創業したのは、2014年のこと。なぜ寺田氏は創業の地としてイスラエルを選んだのだろうか。

寺田国民一人あたりの研究開発への投資額と、スタートアップへの投資額が共に世界No.1というファクトがありました。積極的な投資の結果、革新的なサービスが生まれている。例えば、私たちが日常的に使っているFacebookのタグ付け機能やGoogleの検索予測はイスラエルで生まれた技術によって支えられています。そんな環境に魅力を感じ、現地で起業することを決めました。

当面の目標は日本・アジア市場でデファクトスタンダードとなり、最大の市場である米国へ進出することだとする寺田氏は「セールスのメンバー・責任者を募集しています。ご興味ある方はぜひご連絡ください」と参加者に呼びかけた。

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Yondemy
教育×AIで、子どもたちに豊かな読書体験を届ける

株式会社Yondemy

続いて登壇したのは、子ども向けオンライン読書教育サービス『ヨンデミーオンライン』を開発・運営しているYondemy代表取締役CEOの笹沼颯太氏。

笹沼氏は、子ども向けの読書指導を行っていた経験を持つ。その中で抱いた「より多くの子供たちに本を読む楽しさを伝えたい」という想いから、大学3年生の時に同社を創業した。

笹沼対面で読書指導をすることの限界を感じていました。仮に、対面で指導できる子供の数が1日10人ほどだとすると、週5日で教えたとしても1週間で50人程度にしか読書のおもしろさを伝えられません。そこで、AIやWebアプリなどソフトウェアの力を活用して、より多くの子どもに豊かな読書体験を届けたいと思い、サービス開発に至りました。

子どもの「読書離れ」は社会的な課題になっている。現在、YouTubeやゲームを含むインターネットの利用時間は増加傾向にある一方、読書に費やす時間は減少。「誰かがサポートしなければ、子どもたちが本を手に取ることすらしなくなっている」そうだ。その結果、「教科書が読めない」「喧嘩をした理由を説明できない」など言語的なスキルやコミュニケーションに関する問題を抱える子どもが増えているという。

また、読書にも“教育格差”が存在すると笹沼氏は語る。

笹沼子どもたちの読書時間と保護者の読書時間は、相関関係にあることが分かっています。つまり、子どもの読書習慣は、保護者や子どもを取り巻く環境によって形成される。

大人になって新しいことにチャレンジするときに、読書を学びの手段にできれば、人生のQOLは大きく上がると思っています。『ヨンデミーオンライン』は、どんな環境にいる子どもたちでも本が好きになるようサポートし、将来のQOLを向上させるためのサービスなんです。

『ヨンデミーオンライン』は、子供の読書に対するモチベーション向上につながる様々な仕掛けを用意している。AI司書であるヨンデミー先生による本のレコメンド機能もその一つ。子どもの好みや読む力を分析し、1000冊以上の児童書データからおすすめを提案する。講師が本を紹介する動画を視聴できる他、クイズ形式のチャットレッスンで本の楽しみ方や感想の書き方、読書の魅力などを伝えている。

また、読書傾向が似ている子どもが集うグループ内で感想をシェアしたり、読んだ本の冊数に応じてバッジを獲得できたりもする。 また同社では、幼稚園や小学校などの教育現場へサービスを導入し教材としての提供を見据えている。

子どもの読解力と好みに合わせて最適な本を提案し、「読書が好きになること」をサポートする数々の機能は好評を得ており、ユーザーの満足度は「月次継続率98%」という数字にも現れている。

今後はさらにサービスを磨き、より多くの子どもに豊かな読書体験を届けていきたいとする笹沼氏。「幅広いポジションを募集しています。ご興味ある方はWebサイトからご応募いただければ幸いです」とピッチを締めくくった。

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コラビット
中古流通を活性化し、“家を売る”選択肢を提供する

株式会社コラビット

最後に登壇したのは、不動産AI査定サービス『HowMa』を開発・運営しているコラビット代表取締役CEOの浅海剛氏。

「イノベーションで社会問題を解決し続ける」をミッションに掲げる同社が、中古不動産の販売に特化したサービスを開発した背景には、自身の苦い経験があるという。

浅海前職のスタートアップでCTOを勤めていた頃、横浜の郊外に新築の戸建てを購入したんです。ところが、その半年後に会社が買収され、六本木に通勤することに。家から往復4時間かけて通う羽目になり、奥さんとの喧嘩も絶えなくなってしまった。友人からは「家を売って、引っ越したら?」と言われるものの、ローンはほぼ満額残っているし「どうせ売れないとだろう」と諦めて住み続けていました。

空き家の増加が社会問題になっていることを知っている人は少なくないだろう。日本の世帯数は約5000万。対して、住宅は約6000万戸存在する。つまり、約1000万戸が空き家になっているのだ。浅海氏によれば「さらに年間100万戸の新築が建つことで、どんどん空き家が増えている」そうだ。多くの人が浅海氏のように「どうせ売れないだろう」と思い込み、家の売却を諦めてしまっていることが「空き家問題」の一因になっているという。

浅海現状では自らの家の販売価格がいくらになるのかを知るためには不動産会社に査定を依頼しなければならず、そのハードルは高い。しかし、実際に査定をしてみると、想像以上の値段が付くことは少なくありません。実際、私もそうでした。そうして家を売ることを決断できたんです。

つまり、「家を売る」選択をする人を増やすには「中古でも適正な値段で売却できること」を示せば良い。そう考えて、家を売る選択肢を持っていない方に向けて、気軽に自らの家の価格を査定し、不動産の売却をサポートするサービスを開発しようと決めたんです。

『HowMa』は、物件の査定から売却までをワンストップでサポートするサービスだ。販売を希望・検討するユーザーが物件の住所・築年数・延床面積・土地面積・居住の有無を登録すると、無料でAIによる査定を実行。売出し価格の決定後には、宅地建物取引士への無料相談の提供やオンライン媒介契約などによって、売却までをサポートする。

また、AIによる推定価格や各種不動産データなどを企業に提供する『不動産データ連携』などのtoBサービスも展開。

「中古不動産の売買プラットフォームとして、市場内でのポジションを確立したい」と語る。

浅海不動産販売において重要なのは、商品となる在庫を確保すること。よく不動産探しと聞くと、SUUMOやアットホームなど、ポータルサイトを想起することが多いと思います。しかし、中古市場においては、在庫を持っているのは不動産会社ではなく個人です。日本で最も多くの不動産オーナーが集う、強力なプラットフォームにしていきたいと考えています。

持ち家への“あきらめ”をなくし、ライフステージに合わせて自由に引っ越すことができる世界を作りたいと語る浅海氏。「事業企画の立案や、課題を抱える不動産会社に向けてソリューションを提供できる人材を募集しています。我々と一緒に世界を変えたい方はぜひご連絡ください」と参加者に呼びかけた。

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今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2022年01月13日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

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