連載FastLabel

「時価総額トップ20の企業と、デファクトスタンダードをつくる」──。ホットなAI領域に挑むFastLabel。VP対談にみる、“今”プロフェッショナル人材が集うワケ

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インタビュイー
藤原 宏貴

九州大学経済学部経済・経営学科出身。卒業後、三菱電機株式会社に新卒入社し、経営企画部門にて事業部横断プロジェクトを企画・推進。その後、日本アイ・ビー・エム株式会社に転職。国内製造業大手企業の戦略策定〜システム導入支援まで、様々な案件を通じて企業のDXを支援。2021年6月よりFastLabel株式会社に参画し、カスタマーサクセス組織を0から立ち上げ、アノテーションサービスを事業化。2022年7月より、ビジネス組織を統括。

平野 昌利

広島修道大学商学部経営学科出身。OA機器販売代理店に入社後、株式会社ワークスアプリケーションズに転職し、大手企業向けの新規開拓営業に従事。2016年に中華人民共和国上海市の現地子会社に営業責任者として赴任、市場開拓とデリバリーを統括。帰国後、分社した株式会社Works Human Intelligenceを経てPwC Japan合同会社に転職。複数の新規プロダクトの営業企画及び新規開拓営業を担当。2023年1月よりFastLabel株式会社に営業責任者として参画。

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いつの時代も、流行より先に動く人が、その後の大きな成功を掴むのだろう。

例えば90年代、当時まだベンチャー企業とされていたコンサルティングファーム出身者は、2000年代初頭のインターネットベンチャーブームで大活躍し、現在も多くの著名なベンチャー企業やスタートアップの経営層に名を連ねている。

これが理由で、コンサルティングファームは就職や転職市場で絶大な支持を集めているが、成功者に憧れるならその道を“辿る”よりも、先人達の“歩き方”を学ぶべきだろう。

現在、野心に溢れるベンチャーマインドを持つ人々が注目している分野はどこか。答えは無数にあるだろうが、とりわけ「AI」という領域を見過ごすことはできない。実際、大手企業、プロファーム、メガベンチャーなどで経験を積んだ者が、AIスタートアップに挑戦する事例は後を絶たない

しかし、この流れのさらに先に進む者たちもいる。AIの進化は目覚ましく、社会実装が急速に進んでいるが、多くのAI企業が注力するアルゴリズム開発は成熟期を迎えつつある。そこで、まだアナログな部分があるAI開発のプロセスに注目しているのがFastLabel代表取締役CEO上田氏だ。

先日の記事では、AIのもう半分の市場とされる「アノテーション」を事業の軸に据え、その可能性と事業構想を解説した。今回は、そのポテンシャルに気づきFastLabelに参画した2人のメンバーにインタビュー。同社に一人目のBizメンバーとして入社した藤原氏と、2023年1月に営業責任者として新たに参画した平野氏だ。

彼らは大手コンサルティングファームで活躍していたが、なぜAIスタートアップに飛び込んだのか。アノテーション事業のポテンシャルだけでなく、キャリア形成の観点からも、この未開拓な市場に飛び込む妙味を語ってもらおう。

  • TEXT BY YUKI YADORIGI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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“ゼロイチ”のスキルを持ったITコンサルタントは希少種?その現場で起きている変化とは

藤原最近日本でもITコンサルタントが増加傾向にありますが、ゼロから何かを作り出す経験に携わることができるコンサルタントはそこまで多くないと感じています。

そう語るのは、FastLabelに一人目のBizメンバーとしてジョインした藤原氏。同氏は、前職の日本アイ・ビー・エムにて、国内大手企業の戦略策定〜IT システム導入支援まで、様々な案件にてITコンサルティング業務(提案〜PM)を遂行し、企業のDXを支援した実績を持つ。

このように「ゼロイチ」のような経験を持つコンサルタントこそ、スタートアップにおいてBizDevなど中心的な役割で活躍する素養を持つ、と感じる読者も多いだろう。

しかし、そんな藤原氏は「ゼロからイチを生み出すことができるコンサルタントはそこまで多くはないと感じる」と話す。ITコンサルタント人口は増加している中、その内訳は二極化が進んでいるのだという。

藤原ITコンサルタントは大きく分けると2種類存在していると考えています。

一つが「知識を売るコンサルタント」。近年増加しているSAP導入を中心としたERPコンサルタントや、UiPath導入を中心としたRPAコンサルタントなどが該当します。お客様よりも製品や機能のことを熟知していて、パッケージ・SaaS製品をいかに適切に導入するか、あるべき業務プロセスを描いてフィット&ギャップしていくという仕事が大半を占めます。

もう一つが、先にも述べた「ゼロからイチを生み出すことができるコンサルタント」です。ゼロから考えて、戦略や事業を作り出すことができる、つまり“生みの苦しみ”と対峙し続けるコンサルタントです。

新規事業立ち上げといった、お客様も取り組んだことのないテーマに対して、ゼロから構想を策定し、業務プロセスやシステム設計も含めて実行まで挑み続ける。そんな「ゼロイチができるコンサルタント」は世の中にそう多くはいないと考えています。

ITコンサルタント自体は増加するものの、ゼロイチができるコンサルタントが増加しているとは一概に言えないと語る藤原氏。一体、その現場ではどんな変化が起きているのだろうか。

PwC Japanにてデジタルプロダクトの営業責任者としてのキャリアを経て、2023年1月からFastLabelの営業責任者を務める平野氏は、その理由を二つの観点から解説してくれた。

平野これはITコンサルティングファームのみならず、その他の戦略や会計、経営に特化したファームにも通ずる話なのですが、昔はコンサルティングファームの数自体が少なく、いずれも小規模だったので、コンサルタントの母数が少なかったですよね。つまり今でいうベンチャー企業に近いような部分もあり、とにかく一人ひとりの裁量や打席に立てる機会が多かったんです。

しかし、現在では多くのファームが大量採用を行い、業務プロセスが細分化する中で、歯車的に動いていくことが増えたような気がしています。

また現在コンサルティングの業態の中で最も売上をつくりやすいと考えられているのが、DXやAIといった言葉が使われるIT関係の戦略構築やシステム導入なので、人員もそちらに割かれることが多く、先ほど藤原が申し上げた通り、“生みの苦しみ”を知っているコンサルタントが減ってきています。

コンサルティングという市場の拡大に伴い、当然のごとく組織も大きくなり、一人ひとりの役割は細分化されていく。そして、近年のコンサルティングファームの“稼ぎ頭”である、IT支援にどうしても多くの人員が割かれてしまうという現状があるようだ。

そのため、「ゼロイチができるコンサルタント」になるまでに、以前よりも多くの時間を要し、またそのポジションに就くための競争も激化しているのだ。言い方を変えると、「ゼロイチができるコンサルタント」が減少しているというよりも、コンサルタント全体の母数に対してその割合が年々減少してしまっているということだろうか。

それゆえに、コンサルタントという職業に期待を抱いていた人々はある種のモヤモヤを感じるようになったという。

平野そもそもコンサルティングファームを志望する方は、「クライアントの課題解決に向き合いたい」「世の中に対して自分たちが主体となって面白いことを仕掛けたい」といった期待を抱いて入社する方が多いと思います。

しかし、実際入った結果、そういうポジション(≒ゼロイチができるコンサルタント)の仕事ができるとは限りません。ある種“組織の駒”として動かなければならないことも多く、徐々に理想と現実のギャップが大きくなっているんです。

そんな中でも、自分たちで手を挙げて新しい事業やプロダクトを立ち上げることができるブティック型のファームも存在していますが、やはり予算やリソースといった制約が多く、なかなか思い描いたように進められないという現状があります。転職して年収こそ上がりはしたものの、悶々とした気持ちを抱える人も徐々に増えてきているのではないでしょうか。

近年、若手コンサルタントがスタートアップに飛び込むケースが増え始めた背景には、こうした事情が存在しているのかもしれない。

スピード感を持って、かつ柔軟に。まだ誰も答えを知らない、誰もやっていない領域でどんどん新しい仕掛けを行い、社会をより良くしていく──。

初心に抱いていたそんな期待を実現できるスタートアップの環境が、モヤモヤを抱えるコンサルタントの目に魅力的に映るのだろう。

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「この会社が成長しなければ日本のAI開発は終わるし、日本も終わる」

前職はコンサルティングファームで活躍していた藤原氏と平野。二人もまた、コンサルタントという仕事に対して、ある種の違和感を感じてスタートアップの門を叩いたのだろうか。

意外にもその答えは「No」であった。というのも両者とも「ゼロイチができるコンサルタント」としてコンサルティングファームにて経験することができ、「前職ではいろんな経験をさせていただき感謝しかない」と断言する。

それではなぜ、わざわざそのポジションを投げうってでも、創業まもないFastLabelに飛び込んだのだろうか。その理由を理解すべく、まずは二人がどんな軸でこれまでキャリアを選択してきたのか、新卒時代にまで遡ってみたい。

まず話を聞いたのは藤原氏。同氏は製造業界を軸としたキャリアを重ねてきた。その道のりで一貫していたのは、「業界・社会をより良くするために何ができるか」という問いであった。

藤原父親がメーカーに勤めていたこともあり、小さいころから「ものづくり」に興味がありました。夏休みに工場見学をさせてもらい、機械のあまりの大きさに感動したのを朧げながら覚えています。大学生になって海外留学したのですが、海外で見かける、耳にする日本企業のほとんどがメーカーでした。就職活動をする中で、「日本の根幹産業である製造業に携わりたい」、「製造業を良くしたい」と考えるようになりました。

その中で、メーカーに入って中からやるか、コンサルとして上流から変えていくかで迷っていました。結果、新卒として入社したのは、三菱電機だったのですが、最後のギリギリまで迷ったのが中途としてお世話になった日本アイ・ビー・エムだったんです。

三菱電機では一年目から経営企画業務に従事させてもらい、事業部横断プロジェクトの推進、年度計画策定などに携わりました。

「三菱電機ほどの大手企業で、新卒一年目から経営企画に携わることなんてできるのか」と驚く取材陣に、藤原氏は「かなりわがままを聞いてもらいました」と当時のエピソードを紹介してくれた。

藤原三菱電機に入社した理由は先にも述べた「製造業を良くしたい」という想いを実現するにあたり、幅広い事業を有してグローバルで活躍している企業で経験を積みたいと考えたからでした。そうであるからこそ、「やるからには全部の事業部を横断的に見て、変化を創出できる部署がいいです」と配属面談の際から人事プレッシャーをかけていましたね。「そこに配属されないのであれば、入社したくありません」くらいの勢いだったと思います(笑)。

三菱電機の寛大な器のおかげもあって、新卒全社で約1000名ぐらいいる中、数名しか配属されない部門に無事入れていただきました。社会人としての基礎を学びつつ、1年目から経営層の方と直接会話させていただく機会にも恵まれました。

全社レベルで重要度の高いプロジェクトには関われていたものの、どうしても若手のうちは“経営判断”を忠実に実行する立場でしかありませんでした。「製造業を良くしたいという想い」が人一倍強かったこともあり、生意気にも経営層に直接進言を行い、何度か怒られることもありました(笑)。

そこから、視点を変えて、経営層と伴走する立場になれば、やりたいことを最短距離で実現できるのではと思い、コンサルティングファームへの転職を決めました。

日本アイ・ビー・エムでは製造業のお客様を中心に、戦略策定からシステム導入まで一通り経験させていただきました。幸運にも新設の部署かつ戦略コンサルファーム出身の上司の下に配属されたこともあり、会社としてアセットが存在しないような案件を0ベースで形にしていく経験を多く積むことができたので、心の底から感謝しています。

新卒時代から抱えていた「製造業を良くしたい」という想いに突き動かされ、製造業のクライアントの課題解決に日々向き合っていた藤原氏。そんな中、徐々に「自分で事業をドライブしてみたい」という思いが沸き上がってきたという。

藤原実はFastLabelのCEOである上田とは大学時代から交流がありました。上田は新卒からずっとベンチャー企業で挑戦し続けるキャリアで、ある種の刺激を受けていたんです。「自分の力をベンチャーで試したい」。そんな想いが強くなってきていた時に、上田から声をかけてもらったことがFastLabel転職のきっかけになりました。

一方2023年1月にジョインして間もない平野氏は、さまざまな業界のセールスに関わる業務をリードしてきた経歴を持つ。FastLabelへの転職を決めた背景には、海外で感じた「日本の未来に対する強い危機感」があった。

平野私は新卒でOA機器の販売を行うレカムに入社し、営業と新規事業開発を経験させてもらいました。その後、ワークスアプリケーションズに転職し、営業組織の立ち上げや、中国の子会社における営業部門及びコンサル部門の事業責任者を任されました。そしてPwC Japanを経てFastLabelの営業責任者としてジョインしました。

実は私は元々AIに対して関心がありまして。ワークスアプリケーションズ時代に中国へ海外赴任する経験が私にとって大きな分岐点となりました。

私が赴任した当時の中国では、政府も企業もみなAIに対して懐疑的でした。ですが、その可能性を見極めるや否や膨大なデータを元手に凄まじいスピードで研究を進め、いまや世界の市場で大きな存在感を示しています。最近でもアリババがChatGPTの50倍以上のパラメーターを持つチャットAI「通义千问(トンギーチェンウェン)」を発表し話題を集めています。

豊富な人的リソースによって実現する圧倒的なスピードを目の当たりにしたとき、IT人材不足に苦しみ、将来の労働力人口減少も間違いないという状況の日本は、このままでは勝てないと確信しました。

私には幼い子供がいるのですが、そんな子供達の未来が明るいものになるために何をすべきかをずっと考えていたんです。そんな折にFastLabelと出会いまして。「この会社が成長しなければ日本のAI開発は終わるし、日本も終わる」と直感で感じましたね(笑)。

というのも、FastLabelの事業は、「いかに少ない労力で効率的に企業のAIプロダクト開発を推進していけるか」という日本が今後避けられない課題に真正面から取り組んでいますから。一切迷わず入社を決めました。

ワークスアプリケーションに在籍していた頃から感じていた日本の未来への危機感。子供が生まれたことで、より「日本を良くしたい」という想いが強まる中、偶然にもFastLabelと出会い、その事業の可能性や、パーパスに惹かれて入社に至ったのだ。

平野氏も藤原氏と同様「前職のコンサルティングファームの仕事には一切不満はなかった」と語る。一方で、コンサルタントという仕事上“できないこと”にチャレンジしてみたいという好奇心は抱いていたという。

平野PwC Japanの仕事にはかなりやりがいを感じていました。ファーム内で立ち上がる新規プロダクトの営業責任者として、事業計画作成、営業体制の構築、セールス活動と「プロダクトのLaunch前〜正式リリース後」も含めて全てを任せてもらい、非常に刺激的な毎日でした。

ただ、これは“コンサルタント”という仕事なので当たり前ですが、メインテーマは「お客様のやりたいことをどう実現するか」です。Fastlabelのようなスタートアップのように、自分たちが主体となって社会課題を解決するという機会を持つには至れていませんでした。

仕事自体に不満はなかったため、特に転職などは考えていなかったのですが、 偶然、前職時代の繋がりからFastLabelと出会い、入社に至ったというわけです。

それぞれキャリアのなかで感じた課題や社会への貢献度を考え、FastLabelへと導かれた二人。その想いについてさらに詳しく知りたい読者は、二人が綴ったnote(藤原氏平野氏)が公開されているためぜひご覧いただきたい。

そんな二人はFastLabel入社後、一体どんなミッションを託されたのか。次章で詳しく見ていこう。

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入社時、当月売上は“ゼロ”。
初仕事はBizサイドの立ち上げだった

近年めざましい進化を遂げ、社会実装が急速に進んでいるAI。その精度を左右するのは、AIが学習する“教師データ”に適切なタグ付けを行う「アノテーション」と呼ばれるプロセスだ。人的リソースと専門的なノウハウを要する「アノテーション」は、企業がAI開発に取り組む際に立ちはだかる壁とも言えるだろう。

この「アノテーション」について、まだご存知ない方はぜひ前回の記事をご覧いただきたい。今後のAIの発展を、そして世界を舞台とした熾烈なAI戦争の行方を左右する“重要ファクター”である「アノテーション」。国内でどこよりも先駆けてアノテーション事業の可能性に着目したFastLabel代表取締役CEO上田氏が、実にわかりやすく解説してくれている。

さて、国内AI市場を見渡すと、“アルゴリズムの開発”に勤しむ企業が多い中、未だアノテーションを事業軸とした企業は多くない。平易な言葉で表すとブルーオーシャン。この領域にて唯一無二のポジショニングを撮るのがFastLabelだ。そのポテンシャルは、同社が創業後わずか数年というスピードで、シリーズAラウンドにて4.6億円の資金調達を実施、そしてソニーやトヨタグループをはじめとした国内最大手の企業に導入実績があることが証明している。

そんな同社において最古参のメンバーである藤原氏は、これまでの同社の事業成長を牽引してきた存在だ。前回の記事を見る限りでは、ユニークな事業の切り口とその緻密な戦略を持って、実に順風万端な成長を遂げてきたように思えるFastLabel。しかし、やはりスタートアップの世界。ここまででも数多くの苦難があった。

藤原これまでの業務内容を振り返れば、開発業務以外はほぼ全てやってきた、と言えるかもしれません。

入社前、上田が「事業は順調に伸びてきてるよ」と言ってたんですが、いざ入社当月に『マネーフォワードクラウド』で売上を見たら、0円でして(笑)。それもそのはず、上田含め創業メンバーは皆エンジニア出身、私が入社当初はまだBizサイドのメンバーが一人もいなかったので。入社1ヶ月の仕事は、まずはBizサイドを立ち上げることでした。数ヵ月間はお客様のフロントに立ち、プロジェクトマネージャーとして要件定義から納品までのプロセスを1人でひたすら積み上げていきました。

CSをやりつつ徐々にフィールドセールスも兼任。さらに組織強化にあたるために採用にも取り組んでいきました。

忘れもしないのは、22年4月、あるグローバルベンダーが国内市場にいきなり参入することになりまして。市場参入は数年後に起こりうるだろうとは予測していたものの、このタイミング、スピード感での動きは予想外でした。

まだ我々に分がありましたが、決して油断はできない。そこでFastLabelも、アライアンスを中心とした事業開発(BizDev)への注力を強めることにしました。

まず着手したのがパートナーセールスです。販売代理店を設けて直販ではアプローチが難しいお客様との関係構築を始めていきました。それに伴い、パートナーセールス組織の立ち上げ、Go To Market戦略の策定などに奔走していましたね。

もちろんそれだけでは不十分で、本当の意味での事業開発をしていかないといけないので、新たにジョインしてくれたメンバーに自身の権限移譲しつつ、現在はプロダクトの企画やサードパーティーとの連携に取り組んでいます。

FastLabelの強みは、前回の記事でも述べた通り、これまで放置されていた「アノテーション」に着目した鋭い事業コンセプトと、既に新規参入が難しいほどのMOATを構築する事業展開のスピード感にある。そんな同社の躍進を最前線で牽引してきた存在が藤原氏なのだ。

しかし、そんな同社において、特に大きなボトルネックになりそうな弱点が存在していた。セールスの経験値である。それを補うかのように平野氏は現れた。

藤原それまで私と上田の二人が“兼務”という形でセールスを担ってきました。しかし、上田はエンジニア、私は企画というバックグラウンドを持つ人間なので、じつはセールスは独学だったんです。

ちょうど、エンタープライズ向けの営業体制をゼロから作り上げたいと思っていたので、ぜひ平野さんにお願いできないかと頼んだ次第です。

我流でここまで進めてきた中に、しっかりセールスのメソッドを持つ平野さんがジョインしてくれたことは、とても心強かったですね。

平野私が入社したのは2023年1月ですが、『FastLabel』の名を冠したプラットフォームをAI開発を行う全ての企業に提案営業すると同時に、セールスチームを0→1で立ち上げました。

私がいたワークスアプリケーションズという会社は、「セールスは上司の背中を見て学べ」という風潮が強かった時代から、再三「営業を科学するんだ」と言っていた会社でして。新卒などの未経験の方でも、いち早く成果を出すための営業ノウハウを、感覚ではなくロジックに落とし込むことに拘っていたんです。

これからもFastLabelがエンタープライズ向けに営業していく時には必須の要素なので、組織に還元していければと思っています。

前職にて培った経験をフルに活かし、事業開発や営業活動、そのための組織づくりに励む二人。アノテーション領域をリードするFastLabelで事業開発を行う妙味が少しずつ垣間見えてきた。

しかし、もちろんまだ“他と比較した時の仕事の面白さ”という観点では謎が多い。二人の業務の表層部分だけを見れば、他のAIスタートアップや、ITコンサルでも同様の経験ができるのではないか、という疑問がよぎるからだ。

FastLabelでしか味わえない魅力とは一体なんなのか。次章で紐解いていこう。

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コンサルでも、他のベンチャーでも味わえない稀有なビジネス環境

外資コンサル、大手企業、ベンチャー企業を経験し、ビジネスパーソンとしてもかなり“マチュア”な部類に属する二人。特に平野氏は元々AIに関心があった分、なぜわざわざもう少し成熟したAI企業ではなく、創業3年足らずのFastLabelを選んだのか、本当に迷いはなかったのか、少々気になるところ。同社のどういった側面に、入社を“即決”するほどの魅力を感じたのだろうか。

平野実はFastLabelにジョインする前、とあるテック系のイベントに参加したことがあったんです。AI領域で事業を展開する他社の経営層の方々全員と言葉を交わすことができ非常に良い機会でした。

しかし、そのとき少し残念だったのが、AIの可能性に対して、どちらかというとやや否定的な方々が多かったんです。はっきりと覚えてるのは「AIは人に勝てませんよ」という言葉。「機械は結局どこまで進歩しても数%単位で誤差が生まれてしまう。それがプロダクトに多大な影響を及ぼしてしまうから、100%の精度を求めるなら結局人がやらなきゃいけないんだ」というものでした。

もちろんその通りなのかもしれません。しかし素人目線で見ても、「AI作ってる人たちが、AIの可能性を否定するのはどうなのか」って思ってしまったんですよ。

一方、当社FastLabel上田から話を聞くと、AIの可能性を一ミリも疑っていないんです。もちろん、まだまだ課題は山積みかもしれませんが、折れることなく、凄まじいスピードで改善を続けてる姿勢が、ジョインを決めた理由でもありました。

藤原そんなエピソードがあったんですね、知りませんでした(笑)。

平野あと、これは入社してから驚いたことなのですが、FastLabelではエンジニアも含め、顧客視点で物事を考える風土が根付いています。営業にとっては当たり前のことですが、開発組織ひいてはエンジニア1人一人が顧客視点に立てる会社は珍しいと思います。

どちらかというと多くのエンジニアが“プロダクトアウト思想”で、「自分たちが作ったいいものだから、営業の方頑張って売ってきてください」となるのですが。FastLabelのエンジニアは、しつこいくらいに「お客さんがプロダクトを使った感想、聞けました?」と迫ってくるんです(笑)。とにかくお客様との対話をすごく大事にしてる人が多いです。

藤原確かに、AI領域に限らず、テクノロジードリブンな会社は、いやそうであるからこそ「最新の技術を作りましょう。それで世の中を変えていきましょう。」といったアプローチになりますよね。

一方、FastLabelは事業のポジショニング上、お客様の課題やニーズを起点としているので、平野が言ったような顧客視点で物事を考える習慣が身についていると考えています。

アルゴリズム開発を事業の中心にしている企業は、保有しているアルゴリズムをベースにアプローチを検討していきます。一方、我々は「AIインフラを目指す」という立ち位置をとっているように、特定のアルゴリズムに重きを置かないプロダクトを開発し、お客様のニーズに応じたアプローチを検討していきます。

AIプロダクトをバンバン作っていくといった派手さはないですが、世の中水がなければ困るのと同様、AIがさらに盛り上がる中絶対になくてはならない「データ」を担う存在になりたいと考えています。

お客様の課題解決に向き合いたい、AIのインフラ部分を作るのに携わりたい。FastLabelにジョインする方は、こういった想いが強い方ですね。

「FastLabelの魅力とは?」という問いかけに対して、一向に議論が尽きない両名。その勢いに取材陣も圧倒されるとともに、深い確信を得た。二人がいかにアノテーションというマーケットに魅了されているか、いかにAIのポテンシャルを信じているのか、そして何より『FastLabel』というプロダクトをどれだけ愛しているか、ということを。

そしてまだまだ議論は終わらない。続いて、現在二人がFastLabelで働く中で感じる魅力を、いやらしくもあえて“コンサル在籍時との比較”で語ってもらった。

藤原コンサルティングファームと比較するとですか......(笑)。そうですね、コンサルタントの仕事はお客様の課題解決をすることにありますが、基本的には売上・損益といったP/L観点で案件の優先順位を考えざるをえません。

一方、今のFastLabelではB/S観点、つまり将来的な企業の資産価値がどの程度上がるかどうかで、提案をするかどうか、事業検証をするかどうかを、日々決断しています。たとえ、目先の売上や利益が上がらなかったとしても、デリバリーのなかでもたらされるノウハウや機能改善を見通し、先々の汎用性を考えて取る案件もあります。

事実、“あえて”赤字受注(戦略的投資)をするケースも少なくはありません。お客様との関係構築、市場のなかでのポジションを常に考え、目先の数字だけではなく数年後を見据えた事業開発に取り組んでいますね。

これは今のフェーズにおける1つの魅力だと思います。

平野いわゆる“絵に描いた餅”ではなく、お客様が作りたいものを実現させるために、実作業ベースでコンサルティングに携われるのも魅力ではないでしょうか。

要は絵空事ではなくて、自分のコンサルティングスキルによってお客様が作るAIモデルやアプリケーションのクオリティが左右される。そして、最終的にクライアントのエンドユーザー一人ひとりに対して影響を及ぼすことができる。「本当の意味でのコンサルティング」をしなきゃいけないのが、難しさでもあり非常に魅力だと思います。

藤原「本当の意味でのコンサルティングができる」。私も非常に共感します。

戦略立案や企画構想だけで終わらずに、実際のデリバリー含めた実装フェーズまで全部見届けることができる。それでいて、お客様から「AIの認識精度が9割超えました。おかげで新たなAIプロダクトをリリースできます!」といった喜びの声を、具体的な数字とともに最前線で聞くことができるので、ものすごく面白いですね。

AI領域における独自のポジショニング、緻密な事業戦略もさることながら、“仕事の魅力”においてもユニークネスを発揮する同社。外資コンサルティングファームで活躍するプロフェッショナル人材たちがFastLabelに続々とジョインを決めている理由がここにある。

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カルチャーはまさに“今”つくられている

今まさに飛躍の年を迎えたAI領域で、独自路線をひた走るFastLabelの企業としてのポテンシャルはもはや言うまでもない。そして、その成長を根底から支えるのが、やはりカルチャーであろう。タフな競争環境で生き抜くために、そして顧客の課題を解決し続けるため、FastLabelに根付いているカルチャーとは。

藤原「No Buts(他責NG)」という価値観がFastLabelの文化を象徴しています。お客様から改善してほしいと言われた真の課題があったとします。この状況に対して、私たちは何かのせいにして「やらない」という選択肢を持ちません。やらないわけにいかないなら、あとはどうやれるかだけ。ポジションを問わず、全社員がそういう意識で仕事に臨んでいると思います。

この文化の背景にあるのは、経営陣との距離の近さです。基本的には現場に任されていますが、優先順位について迷ったときは経営者がすぐに相談に乗ってくれて、適切な判断をしてくれます。

パーパスやバリューの背景について書かれたnote

平野そうですね。藤原の言うように、できないことを誰かのせいにするメンバーはいません。まだまだスタートアップなので、さまざまな仕事のボールが飛び交い、時にはこぼれ落ちてしまうボールもあるものですが、それを全員が拾いに行くスタンスを持っているのがFastLabelらしさと言えます。

また、カルチャーというものは“まさに今”作られていると感じています。藤原が最初に参画したタイミングと、最近になって私が参加してきたタイミングでは少しフェーズが変わってきた部分はあるかと思います。

創業メンバーが掲げた「どういう会社にしていきたいのか」「どういう世界を実現したいのか」という想いが徐々に、組織にカルチャーという形で浸透しているフェーズだなと実感しています。

一方、コンサル出身者が多いため、組織としてもハードワークを強要されるのでは、という疑問も聞こえてきそうなところ。率直に問うてみると、藤原氏は「各人が一番ポテンシャルを発揮できる働き方を選べばいい」と答える。

藤原働き方の部分で言えば、もちろんまだ創業期ではあるので一定ハードな部分はあるでしょう。また、これはFastLabelに限った話ではないですが、自分自身のキャリアなどを考えたときに、能動的に成長を追い求めることができるか、常に新しいことをキャッチアップし続けられるか、そこは大事だと思います。

しかし、平野さんもそうですが、社員の中にはもちろんお子さんがいる方も多いので、仕事に集中できる時間帯もタイミングも人それぞれ。ミッションやパーパスに共感して、限られた時間の中でやりたいというのも全然いいと思います。メリハリは大事ですからね。

ただ、これは私の願いではあるのですが「より多くの裁量や機会を得たい、成長のためにがっつり働きたい」という人が働きにくい環境にはしたくないと考えています。

まさに“今”カルチャーが培われているFastLabel。このタイミングでジョインするメンバーが組織の行く末に与える影響は大きいだろう。FastLabelが求める人材像について、もう少し詳しく掘り下げてみたい。

藤原私が採用面接のなかで重視しているのは、過去の経験でどれだけオーナーシップを持った経験があるかです。私たちが描く構想は大きく、それを実現するための採用は実のところ、追いついていない状況です。

先ほど話したように、今のメンバーは落ちているボールを拾いに行くスタンスを持っていますが、それでもまだ拾えるボールはまだまだたくさんあります。ですから、そのボールをすぐに取れることを楽しめる方にジョインしていただきたいと考えています。

平野冒頭で例に挙げた「ゼロイチができるコンサルタント」としての素養を持つ方にはぜひ来ていただきたいですね。FastLabelのビジネスサイドに求められる素養がまさにこの「ゼロイチができるコンサルタント」と通ずる部分が多いんです。

また、目まぐるしく状況が変化する技術領域を主軸としているので、常に情報をキャッチアップしていける学習意欲があることも大切です。

とはいえ、これからゼロイチのスキルを身につけたいという意欲のある方や、私のように「社会貢献がしたい」という想いがある方であれば、きっとFastLabelのカルチャーに合っていると思います。

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エンプラの定義は「国内時価総額トップ100」。
“AI革命”の立役者へ

AI領域×アノテーション×ゼロイチを生み出す力を持つ事業家。このキャリアの掛け合わせは、かなり希少であろう。そして、もちろんその市場価値は日に日に高まっていくことは自明。FastLabelはまさにその力を身につけるチャンスがあふれた環境であり、今後のますます拡大するアノテーション市場の勢いを先頭に立って味わうことができる企業だ。

平野ここまでFastLabelの魅力を再三お伝えしてきましたが、やはり何よりも“市場価値”という観点では多くのビジネスパーソンが望むものが得られると思います。

既に、AI領域におけるトップランナーとしてリードしていく立場となりつつある今、自らがその事業をけん引しながらこの領域の第一人者になれるのは私個人としても非常に魅力です。

と言うのも、私たちがお客様として向き合う企業は、国内の時価総額ランキングの上位に名を連ねるような正真正銘のエンタープライズ企業ばかりです。国内屈指の大手企業と手を取り合い、未来のデファクトスタンダードを創っていく。そのチャレンジの一歩めに立ち会えることは、キャリアとしてこの上ない機会ではないでしょうか。

藤原今一番ホットなのはAI領域ですよね。AI領域で著名な松尾豊・東京大学大学院教授が言う「第4次AIブーム」をブームでは終わらせない役割はFastLabelが担いにいく。我々が失敗すれば、また一過性のブームで終わってしまう。そう断言しても全く過言ではないほど、アノテーション事業は重要ですし、我々はその覚悟で事業に挑んでいます。

言うまでもなく、この領域の第一人者として、また個人のキャリアという観点でも得られるものは大きいと思います。

国内のAI研究で最も権威のある1人である東大・松尾教授は『ChatGPT』に端を発する今回のAIの盛り上がりを “第4次AIブーム”と名付けた。そして、これは「インターネットという発明を超えるインパクトを持つ」とも語っている。

藤原氏の「これを一過性のムーブメントにとどめないことがFastLabelの担う役割」との言葉には、確かな自信と覚悟が表れている。

そんな渦中において、FastLabelは現在、更なる進化を見据えている。前回の記事にて、上田氏の口から語られた通り、同社は決してアノテーションそのものを目的としているわけではない。本質的には、日本産業や企業群が、世界に通用するサービスやプロダクトを開発できるよう貢献することこそを使命としている。そしてその確固たる想いは『AIインフラを創造し、日本を再び「世界レベル」へ』というパーパスにしっかりと明示されている。

藤原私たちはこれまで、お客様のニーズに応じたプロダクトを開発してきました。そして今、AI開発プロセス全体を通じてお客様の体験を変える方向へと大きく事業の舵を切ろうとしています。つまり「アノテーションをやる会社」ではなく、「アノテーションから開発プロセス全体・顧客体験そのものを変える会社」になるということですね。

データをどう集めるのか、教師データをどう作るか。データをどう学習させて、システムに組み込んだあとはどのように運用・改善していくか。このような、AI開発に関わる一連の流れを支援する基盤を提供することが、当社の長期的な目標です。

アノテーション事業を皮切りとして、AI開発に挑む企業に立ちはだかる課題を解決し、高精度のAIプロダクトの実現に貢献してきたFastLabel。AIが“当たり前”に活用される時代がいよいよ目前に迫ってきた今だからこそ、より一層同社がこれまで培ってきたノウハウや技術力を活かし、社会インフラを創り上げていくまたとないフェーズ。

藤原氏、平野氏のような、「生みの苦しみ」を知るコンサルタント。これからゼロイチのスキルを身につけたいという意欲ある若者。そして、日本の再興のために真の社会貢献がしたいと奮い立つプロフェッショナル人材。次世代のインフラが生まれる瞬間に自ら立ち合いたいならばFastLabelはうってつけのフィールドであろう。

こちらの記事は2023年04月28日に公開しており、
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執筆

宿木 雪樹

写真

藤田 慎一郎

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