BizDevとは、“接点”の創出と最大化である──ウェルネステック急先鋒・hacomonoのCOO平田と、産業変革の心得を考える

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インタビュイー
平田 英己

株式会社ローランド・ベルガーにて、消費財を中心に戦略策定・企業再生などのプロジェクトに従事。その後、楽天グループ株式会社の執行役員として国内のエンターテインメント系ECを担当。2022年4月にCOOとして、hacomonoに参画。7月より取締役就任。

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Business Development、略してBizDev。ここでいうBusinessとは何だろうか?「事業でお金を稼ぐこと」などでは決してないだろう。企業ごとに強い想いを込め、Businessの定義を考えている。この定義を、「日本における健康な生活」という非常に大きな世界観で描いているSaaSスタートアップがhacomonoだ。

「フィットネスクラブ向けの業務効率化SaaSで伸びている企業だろう」といったイメージを持つ読者がいるかもしれない。確かにそれも間違ってはいないのだが、同社のビジネス、いやBizDevが見ているのは、もっと先の大きな未来を実現することだ。この世界観に魅せられ2022年に入社を決断したのが、現在取締役COOを務める平田英己氏。

ローランド・ベルガーでさまざまな大企業の経営戦略策定にかかわったのち、楽天の執行役員として活躍。この平田氏が、健康な生活を日本全国に広げる変革実現へ構想する心得と、BizDevの在り方を、この記事では読み解いていく。

  • TEXT BY TAKASHI OKUBO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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BizDevと書いて“接点”と説く──その心は?

目まぐるしく変わるスタートアップの環境において、BizDevが重要視されるのは当然といえば当然だ。社会が抱える課題は尽きず、何か一つ解決すればまた次の課題が生まれる。そんな中でビジネスを展開するには、常に新しい価値を創出し続けなければならない。

BizDevは企業によって求めるものが全く違うといってもいい。その理由は、向き合っている課題が違うからだ。どのような課題をどのように解決し、そしてどのように価値をつくっていくか。一社一社違うからこそ、定義や期待役割も変わってくる。

例えば10XのBizDevは、プラットフォーム『Stailer』の事業機会の最大化とパートナー企業の事業成功にコミットする、と定義される(2022年9月現在の10X求人内容から)。セールスやカスタマーサクセスとはやや異なることがわかるだろう。

では、hacomonoの平田氏が考えるBizDevの定義を聞いてみよう。

平田端的に表現すると「エンタープライズの顧客とプロダクトをつなぐ、接点の役割」を担っているのが、当社のBizDevです。当社がそもそもかなり強いプロダクトを持っているということもあり、提案の時点からプロダクトの特性を深いところまで伝え、より抜本的な課題解決を探ります。

だから当然、顧客企業の事業成長まで具体的に検討し、世の中を変えるためのディスカッションをしています。

顧客の課題解決、そして事業成長、さらにはその先にある産業全体のDXまでも視野に入れる。だから、サービスやプロダクトの提案にとどまらず、徹底して本質的な課題解決を提案する。

そのためには、知識や技術だけではなく解像度の高い顧客理解が欠かせない。営業レベルの知識だけでなく、開発の専門家レベルの知識が必要になる。

平田先方が希望するすべての機能をすぐに提供できるわけではありませんが、そうしたニーズもすべて受け止め、深く議論しています。もちろん、現場のニーズすべての解決を目指すという意味ではなく、ニーズの奥にある課題を受け止めたうえで、未来を見据えて開発していく必要があるということです。

当社のメンバー全員が常に、顧客企業と一緒になってウェルネス産業を変えていきたいと思っているので、ニーズや課題は細かく聞いていきます。営業ももちろん聞いていますが、BizDevは特に細かく対応しています。hacomonoのビジョンを実現するために、強く深くかかわるべきだと考えているためです。

SaaSなので、できることに限度はあります。でも、実現したい世界を考えれば、優先度があるだけで、いつかすべてのニーズ・課題解決に応えるプロダクトになっているのかもしれません。営業の知見と開発の知見を高いレベルで備える人に、大きなチャレンジとして引き受けてもらいたいですね。

先述した10XのBizDevの定義と、表現こそ違えど行き着くところは同じ。顧客企業の成功と、自社プロダクトの圧倒的な進化だ。だから、自社と市場、プロダクトと顧客、顧客とエンドユーザーなど、全てのステークホルダーをより密接につなぐ“接点”となるのが、社会変革を起こそうとする企業におけるBizDevの役目だと言えるのではないか。

もちろん、ただつなぐだけではない。経営者の思考から市場のニーズ、そしてプロダクトへの理解まで、他のどのポジションよりも深く追求し、社会に大きなインパクトを引き起こすための核となる存在だ。振り返ってみれば、FastGrowが取り上げてきたBizDevは皆そういった人材ばかりである。BizDevについて理解を深めたいのであれば、このような一流のBizDevの思考に多く触れるべきだ。

この記事では、hacomonoのBizDev的存在とも言える平田氏の思考を十分に掘り下げるのだが、もし他のBizDevの思考がもっと知りたいと思ったのなら以下の記事も要チェックだ。

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複雑すぎる業界課題、それを解く手法を心得た唯一の存在

平田氏からは、今回の取材の中でも一貫して「産業を変えたい」というスタンスがにじみ出ていた。ローランド・ベルガーや楽天の執行役員を歴任していた頃から、そのスタンスは変わっていない。そんな話の中で意外にも、hacomono代表取締役の蓮田健一氏と、楽天グループ代表取締役会長兼社長最高執行役員の三木谷浩史氏の共通点が出てきた。

平田根本的に「社会にインパクトを与えるようなことがしたい」という気持ちはありますね。そしてその点において、蓮田の考えにとても共感しています。蓮田はよく「会社はなんのためにあるのか?」という存在意義の話をします。

「持ち主のためだ」という人もいますね、この視点で語ると、株主であったり、従業員であったりと議論は尽きません。それよりもいま議論したいのは、“存在意義”という観点で、それは「社会にどう影響を与えるか」だと思うんです。蓮田は常々、このことを言っていますね。

同じ話を、楽天の三木谷さんもしていました。何のためにやっているのか、それは、「社会に貢献したいからだ」と。社内ではあんまりそれを言わなくて、テレビのドキュメンタリーで言っていたんですけど(笑)。この話がとても好きで、強く影響を受けています。

楽天でも大きなやりがいを感じていた平田氏。ここで聞いてみたいのが、なぜhacomonoを次のチャレンジの舞台に選んだのか、という点だ。それは、「産業を変えられるポテンシャルの大きさ」にあった。

平田経済的なインパクトなら、ローランド・ベルガーや楽天のほうが、目先数年の間はずっと大きいでしょう。ですが、社会変化を新たに生み出すというインパクトなら、hacomonoはそれらと遜色なく大きなものになる可能性があるし、それを実現していく難しさがあるからこそやりがいも感じられる。

前職で長く担当していたのは、楽天ブックスというEC事業です。ジャンルによってはマーケットシェア1位でしたし、グロースの余地もまだまだあった。ですが、なんとなく物足りなさを覚えるようになりました。

hacomonoは、これからの伸びしろがものすごく大きいですし、いままで世界に存在しなかった価値を生み出せる可能性もある。しかも、自分という1人の人間が介在できる余地も大きい。

楽天で大きな規模の事業責任を背負っていたはずだが、hacomonoでは全く異なるやりがいを感じるとはっきり語る平田氏。その想いに、さらに深く迫りたい。ウェルネス産業の変革に、どのような魅力を感じているのだろうか。

平田hacomonoの顧客の特徴は、中小企業だけでなく大企業(エンタープライズ)が多いことです。数十年ほどの歴史を持つ企業さんの中にはなかなか刷新が進まず、改善すべき点を多く抱えるところも少なからずあります。

「レガシーな産業」と揶揄される産業で働く人達も、多くの場合はオペレーションの課題やDXの必要性には気付いています。ただ、煩雑な業務のどこから改善に手を付けたら良いのかわからないのではないでしょうか。

例えば総合型のフィットネスクラブであれば、ジムエリア、スタジオ、プールやお風呂の管理といった表向きの業務がたくさんありますよね。その裏では、会員登録や予約、入退館、会費の支払いなど、多岐にわたる業務が絡み合っています。

こういった業務のITによる効率化にフィットネスクラブが自社だけで取り組むのは、一般的には非常に難しいんです。自社だけの為にITシステムを作ると開発投資を回収できないし、そもそもDXに長けた人材が自社に十分に居ないことも多いです。

フィットネスクラブの現場なら読者のほとんどが想像くらいできるだろう。複雑さについて聞くと、確かにそうだろうと納得できる。それでも、工数と費用をかければなんとかなるのではないかとも感じるのだが、それがまた難しい、と平田氏は続けて語る。

平田こうした苦境に追い打ちをかけるかのように、異なる経営課題が生まれています。それは、パーソナルトレーニングや24時間ジムなどの新業態が流行り始めたことによる、業界内の競争激化です。

業務内容がただでさえ複雑だったのに、市場のニーズまで一層複雑化している。対応を間違えると、業務効率化以前に顧客や売上が減ってしまうわけです。非常に難しい状況にある。

このように複雑性が高まるウェルネス産業で、抜本的な改善を実現しようとするのが私達です。課題を読み解き、プロダクトの力で効率的にまとめあげ、現場に解決策を提示する。これは本当に大きな価値だと感じています。

こうした背景があるから、冒頭でお話ししたようなBizDevの重要性も高まるということです。ただ営業をすればいいわけではない。現場に深く入り込み、店舗ごとに異なるオペレーションを確認し、深いプロダクト理解を活かして課題解決を実現する。なかなかないチャレンジングな環境だという自信がありますね(笑)。

現場の複雑性が非常に高いという業界特性が、唯一無二のプロダクトをかたちづくった。元戦略コンサルタントの平田氏が説明するからこそ、背景がよくわかる。BizDevという仕事が重要になる産業だということも、改めて伝わってきただろうか。

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チャーンは実質ゼロ。
ひたすら業界に入り込んだ、強すぎるプロダクト

社会に大きなインパクトを生み出す場として、ウェルネス産業は特別な環境だということが見えてきた。とはいえ、他にも複雑な業界課題のある産業はあるだろう。

そんな問いを投げかけると、平田氏が強調したのは企業としての成長性。特に、プロダクトの強さについて語り始めると、これまた止まらなくなる。

平田hacomonoのプロダクトの強さは、さまざまな企業の経営を見てきた自分の目から見ても、客観的な結果から見ても、実感できます。

まず自分の目で見て「これはすごい」と思ったのは、顧客の要求を全て実現できるポテンシャルを持っていること。先ほど説明したような背景から、ウェルネス産業においては顧客の要求がとても複雑で、一般化がとても難しいんです。既存のホリゾンタルなシステムでは、絶対に応えることができません。

ですがhacomonoは、対象をウェルネス産業に早い段階で絞り、現場理解を徹底的に深めたことで、「ニーズの奥にあるオペレーションの課題の理解」と「プロダクト基盤への反映」を高い練度で実現できたと言えます。

その結果として、チャーンレートがとても低いんです。店舗ごとに細かく見ても、キャンセルする店舗はほぼありません。明かしてしまうと、ゼロにならない理由は、「業界からの撤退」があるためなんです。だから実質、プロダクトに不満があっての解約はゼロです。

客観的に見ても、プロダクトが圧倒的に強いとわかります。

そして、プロダクトが圧倒的な強さを誇っていると、何が起こるのか?それは、業界大手総合フィットネスのトップ10社のうち9社が顧客であるという驚きの実態だ。

この入り込み具合も、平田氏が成長性を強く感じた理由であり、同時に「社会的なインパクトを与えたい」という視点からも大きな意味を持つのだと前のめりに語り続ける。

平田業界大手とつながっていることでどのようなメリットがあるのか。簡単に言うと「ウェルネス産業全体を変えていく力」を持っているということです。

いま、トップ10社がマーケットの半分を占めており、ある程度の寡占が進んでいる産業。つまりhacomonoは、マーケットのほぼ半分に直接影響を与えることができると言えます。

産業全体のDXを目指す上で、これ以上ない状況と言えます。だから、私たちのプロダクトをより強いものにし、ビジネスを拡大していくことは、産業全体に大きな意味があり、私自身を始めメンバー全員の大きなやりがいになっています。

ここで改めて、BizDevの定義を思い出したい。BizDevとはステークホルダーの“接点”であり、その核となる存在だと言った。hacomonoは、業界大手とエンドユーザーをつなぐことができる存在である。理想だけではない、現実的に産業を変える力をもった状態になっているのだ。

この可能性を生かすも殺すも、全てはhacomonoメンバーにかかっている。そんなチャレンジングな環境だからこそ、平田氏はhacomonoを選んだのだ。

平田hacomonoには、他にはない事業の広さと深さがあります。

まず“広さ”で言えば、我々が目を向けているのは「フィットネス」ではなく「ウェルネス」です。例えば、パーソナルトレーニングやゴルフ、スクール事業として体操やスイミング、サッカーといった、フィットネスの範疇にとどまらない事業領域まで視野に入れて考えています。

そしてさらに広げて、公共のサービスや介護・福祉・医療といったヘルスケアやメディカルの領域にも拡大し始めています。これだけの広さがあります。

一方の“深さ”は、バーティカルなプロダクトならではの、抜本的な業務改善をどんどん実現していけるということ。ひたすらに業界特化で知見と実践を積み上げてきたので、単一の予約システムやユーザー管理機能に留まらず、IoT領域まで対応できるようになっています。もちろん、まだまだ機能開発の余地は大きいので、より深く入り込むことができそうです。

ここからの機能拡張についても、すでに手掛けているものを聞くことができた。その裏にあるのはミッション実現への想いだ。

平田プロダクトは次々と機能追加をしています。その内のひとつが、物販の機能です。フィットネスクラブでは、プロテインやスポーツドリンクといった飲食物のほか、水着やシャツといった物販がありますよね。そこで、会計システム整備や在庫管理など、物販機能をよりリッチにするためのプロダクト開発を進めています。

物販は、hacomonoの既存の会員管理機能とは関係がないようにも思えるかもしれませんが、店舗とエンドユーザーの“接点”という意味では共通しています。

エンドユーザーが、会費はhacomonoプロダクト上で登録したクレジットカードで払い、店頭でプロテインなどの商品を買う場合にはそのカード情報を使わないというのは、ちょっともったいないと感じますよね(笑)。

でもこれが、会員情報を基にワンストップでできるようになると、エンドユーザーがラクになるだけでなく、店舗側も在庫管理やマーケティングに活用できるデータとなります。さらに言えば、私たちがプロダクト開発を進めるのに役立つデータが、いままで以上にリッチなかたちで蓄積されるようになります。

このように、店舗とユーザーとの“接点”を一つのプロダクトで管理できるのが、私達の理想です。

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求むBizDev──社会変革の主役になれる、稀有な環境

プロダクト開発において“接点”が強く意識されるのと同様に、平田氏はビジネス全体においても“接点”を大切に考えている。具体的には、“社会との接点”だ。

平田スマートウェルネスシティやコーポレートウェルネスという概念が生まれたということが、社会的なウェルネスのニーズの高まりを表していると言えるでしょう。

これまでのウェルネス産業は民間企業が中心でしたが、行政も絡んでくることで益々変わっていきます。このような変化が訪れることで、昔から存在していたプレイヤーだけでなく、私達のようなウェルネステックカンパニーの需要も高まります。その中で、私達はもっと多くの“接点”をつくっていけると思っています。

既にコーポレートウェルネスへの参入は始まっています。こうした領域に入っていくことでhacomonoが取り扱うデータは更にリッチになっていきます。その後にはこうしたデータを使ってこれまでにない提案をしていくことも考えています。

コーポレートウェルネスが実現すれば、hacomonoの影響力はさらに広く、そして深くなる。その先のビジョンも大きく広がっている。だからこそ、力強いメンバーをBizDevをはじめとした重要ポジションに迎え入れ、事業を加速させなければならない。

平田BizDevの採用は、特に難しいですね。プロジェクトマネジメントだけでなくプリセールスと呼ばれる職種に近いこともしています。ですが、ウェルネス産業では提案の広さと深さが多岐にわたるので、より難しいかもしれない。その分、やりがいは大きいのですが……。

例えばSIerとしてのバックグラウンドがある、もしくはマルチプロダクトを扱っているSaaS企業のセールスを経験するといった中で、提案の幅を広げながら能力を発揮できた感覚のある人は、とてもマッチするのではないでしょうか。

業界の大手とお付き合いがあるので、価値のあることや面白いことを発想できれば産業全体を変えることだってできる、なかなかない環境です。生み出した変化は、また私達のプロダクトの進化に帰結します。ある1社との相談や提案によって生まれたインパクトが、その企業に影響を与えるだけでなく、産業全体に広がり、さらには日本全体の健康にまでつながるんです。

自由に提案できる面白みと共に、産業全体へのインパクトも考えながら仕事ができる面白さ。もっと多くの人に味わってもらいたいので、連絡を待ち望んでいます。

いわゆる「伸びているSaaSスタートアップ」というイメージが、これまでのhacomonoだったかもしれない。しかしこれからは「日本のウェルネスを実現する基盤となる企業」となる、そんなことを自然と思わせる、とても広い景色が見えるようなインタビューだった。

同社がメンバーに期待するのは「伸びているスタートアップで成長したい」というだけでなく、「社会変革を実現する主役になりたい」という強い想いだ。

こちらの記事は2022年09月15日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大久保 崇

写真

藤田 慎一郎

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