「小売特化型・2軸成長モデル」で競合ともマーケットを共創!?──ブランド創造×コンサル支援で売上325億円を生むイングリウッドの成長戦略
Sponsored『三ツ星ファーム』という冷凍弁当サブスクが、4年で累計販売食数3,500万食を突破するほどに成長した。さらに驚くべきは、このブランドを生み出した企業が、味の素(株)の新規事業として同市場の競合ブランドの立ち上げまで支援しているという事実だ。
株式会社イングリウッド。2025年8月期の売上高は325億円(昨対比34.2%成長)。3年連続でNEXTユニコーン*に選出実績のある企業だ。客観的に見れば間違いなく注目すべき急成長企業──しかし、その実態は広く知られていない。
*日本経済新聞社の「NEXTユニコーン調査」で選出。企業価値10億ドル以上を目指す有望スタートアップを指す
実は、リクルート、ディー・エヌ・エー、サイバーエージェント、三菱商事、BCG、Amazonなど、大手企業で活躍した人材が次々と同社のマネジメント層に加わっている。言うなれば、「知る人ぞ知る」注目企業だ。
同社は『三ツ星ファーム』『Aurelie.』『AKNIR』などのブランドを創造・運営する一方で、その知見を活かして味の素(株)など大手企業の新規事業立ち上げも支援している。この「ブランド創造・運営」と「コンサルティング・マーケティング支援」の2軸展開により、マーケット全体の拡張を実現する。累計顧客数のべ200万人*の実績を持ち、その根幹にあるのがデータとAI基盤による事業構造の最適化だ。
*同社運営のEC及び自社サイトでの累計購入者数(25年8月末)
今回、イングリウッドの企業解剖から見えてきたのは、日本のリテール市場が抱える構造的課題への、ひとつの答えだった。
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
本記事で学べる急成長企業・イングリウッドの成長モデル
まずは本記事で学べるポイントを整理する。売上325億円(2025年8月期)を実現したイングリウッドの成長を支えるのは、独自の経営モデルにある。
取材等を基にFastGrowで作成
(1)小売特化型・2軸成長モデル
自社ブランド創造・運営で培ったノウハウを、他社へのコンサルティング・マーケティング支援に転用。この2軸を商品ジャンル(食品・化粧品・ヘアケア・ヘルスケア)と支援領域の両方で拡大し、累計顧客数のべ200万人という規模を実現。
2025年4月にはメディカルコート株式会社の株式を取得。経営から伴走し、イングリウッドのマーケティングノウハウを注入することで、スピード感と確実性の高い事業成長へと導く。さらに今後はM&Aによるロールアップも視野に入れている。
(2)データドリブン・AIソリューション基盤
この2軸成長モデルを支えるのが、データとAIの徹底活用だ。
創業以来20年以上にわたり商品販売を通じて得た膨大なデータをもとに、2022年にデータ分析基盤『KOURY』を開発。商品ジャンルを問わず、市場分析からLTV予測等の事業計画策定、在庫管理予測まで、長年の経験と勘に頼らない事業成長最大化の仕組化を実行する。今後はAIをバリューチェーンに組み込むことで、生産性のさらなる向上につなげ、小売のAI先進企業を目指す。
この2つの要素が掛け合わさることで、圧倒的な成長を実現している。では、その特異な成長モデルの実態を、具体例とともに紐解いていこう。
競合ではなくマーケットを共創する仲間。イングリウッドの市場創造戦略と、味の素が『あえて、Ⓡ』立ち上げを依頼した理由
提供:株式会社イングリウッド
2024年1月31日、味の素(株)とイングリウッドの資本業務提携が発表された。同日にローンチされた味の素(株)の冷凍食品D2Cブランド『あえて、Ⓡ』では、戦略策定からサービス企画、マーケティング、在庫管理まで、事業の根幹すべてをイングリウッドが支援している。
これは驚くべき構図だ。2021年6月開始の『三ツ星ファーム』は2024年1月時点で累計1,000万食を突破。『あえて、Ⓡ』とは直接競合する関係だ。
取材等を基にFastGrowで作成
味の素(株)は冷凍宅食弁当のサブスク事業の立ち上げを検討しており、『三ツ星ファーム』の急成長に注目した。イングリウッドのノウハウを活用することで、戦略策定から事業構築まで協働。通常は企画から2〜3年を要するところを、約1年という異例のスピードでローンチした。
この一見矛盾した戦略の背景には、イングリウッドの「マーケットを創る」という独自の考えがある。
『三ツ星ファーム』は、冷凍弁当×栄養バランス×おいしさというマーケットニーズを捉えて拡大してきたが、味の素(株)の支援を行うことで、その市場の更なる拡大・定着にも寄与しているのだ。
実際、『三ツ星ファーム』を立ち上げた当時の消費者にとって、冷凍食品市場には大きな固定観念があった。それは、「時間がないから手軽に済ませる」「栄養バランスを考えるとおいしさは妥協」というイメージだ。
そこで同社が実現したのは、この固定観念の破壊だった。冷凍でも野菜が豊富に入り、低糖質高タンパクで、子どもも安心して食べられる。1食あたり800円台*という価格は安くはないが、累計3,500万食を突破する大ヒットとなった。
*14食コースの場合、1食当たり819円(税込)
日本の小売市場約150兆円のEC化率はわずか9.78%。米国15.5%、中国48%(2023年、eMarketer調べ)と比べても大幅に低く、特に食品は4.52%(2024年、経産省調べ)と成長余地が大きい。そこでイングリウッドは競合と共に市場を創造する道を選んだわけだ。
この「マーケットを創る」戦略の実現可能性を裏付けるのが、同社の実績である。
モデル・梨花がファウンダーの『AKNIR』(2022年11月ローンチ)は、1本あたり4,000〜5,000円の高価格帯シャンプー市場に参入。40〜50代の頭皮・髪の悩みに応え、2年で100万本を突破。他社でも高価格帯商品が登場するきっかけとなった。
さらに、MEGUMIがプロデュースするエイジングケアブランド『Aurelie.』は、“デパコス*品質”をバラエティショップ以上デパコス未満で体感できる商品力で勝負し、1年半で販売数累計350万本を突破。こうした「マーケットを創る」ということが、年30%以上伸び続けているイングリウッドの成長要因となっている。
*「デパートコスメ」の略称。百貨店のコスメフロアで販売されている高級化粧品を指す
提供:株式会社イングリウッド
戦略コンサルティングファームや他のD2C企業と決定的に違うのは、イングリウッドが自社ブランド運営と他社支援を同時に手がけていることだ。自ら“ものづくり”をしながら、その経験を他社支援に活かす。製造の困難さ、在庫リスク、マーケティングの実務──すべてを自社で経験しているからこそ、「理想論ではなく現場で使えるソリューション」を提供できる。
ではこの2軸モデルは、どのような事業構造で成り立っているのだろうか。
ブランド創造×コンサル支援の2軸構造が生む売上325億円
イングリウッドの特異性は、ジャンルを問わないブランド展開と、商品販売におけるバリューチェーンのほとんどをソリューションとして内製化し、他社のコンサルティング・マーケティング支援に活用している点だ。
同社取締役副社長兼CGOの三好氏は、「外部に頼るだけでも、社内に閉じるだけでも、ここまでの成長はできなかった」と述べる。自社ブランド運営の経験があるからこそ、本質的な支援が可能となる。各領域のプロが連携することで、新ジャンルに挑める。それが“商品を売る最強の集団”たるゆえんだ。
しかし、その全てが成功を収めてきたわけではない。
中国内需のPB、IPビジネス──イングリウッドは数多くの事業に挑戦し、撤退もしてきた。だが、経営への影響は最小限だ。秘訣は、データドリブンなKPI設計にある。
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『三ツ星ファーム』の立ち上げは、当初、経営陣の全員が反対だった。食品事業は利益率が低く、異物混入などのリスクも高い。製造パートナー探しにおいても、「ベンチャー企業が食品業界を甘く見るな」と門前払いを受けたこともある。
それでもスタートに踏み切ったのは、徹底的な市場分析・事業予測によって勝ち筋が見えていたからだ。これらの要素を徹底議論した末に、最後は数字の確実性と想いの強さが社員を突き動かした。
立ち上げ後はデータドリブン経営が真価を発揮。顧客フィードバックをリアルタイムで収集・分析し、商品改良とマーケティングを週次で実行。ローンチから4年後には累計販売食数が3,500万食を突破する程までに成長した。
この連続的な成功を可能にしているのが、ナレッジの社内共有だ。自社ブランドで蓄積した購買データ、マーケティング手法、在庫管理ノウハウをナレッジとして集約し、他社支援に活かす。
自社ブランドが成功すればするほど、同じ業界のクライアントから「ノウハウを教えてほしい」と問い合わせが入る。食品で成功すれば食品メーカーから、化粧品で成功すれば化粧品メーカーから、そして時には競合にあたる企業からも相談が寄せられる状態だ。
さらに、2025年4月にはメディカルコート株式会社の株式を取得。グループとして経営から入り、戦略策定、リサーチ、企画開発、マーケティング等のソリューションを活かすことで、スピード感を持った事業成長に繋げている。このようなM&Aによるブランド買収・再生も、第三の展開として推進中だ。
重要なのは、こうした多角的な事業運営が明確な撤退基準に基づいて設計されていることだ。
「このKPIをクリアできなければ撤退」という条件を事前設定し、大きな損失前に撤退する。撤退基準、リスク管理、立ち上げプロセスをすべてナレッジ化し、次に活かす。トライした経験を成長の材料に変える体制が敷かれている。
また、2017年には「AI事業部(現:AI戦略事業本部)」を設置。SNSのトレンド分析から在庫予測まで、すべてをデータで収集・分析する体制を整えた。そして2022年には独自システム『KOURY(コウリー)』を開発。PLシミュレーション、LTV予測での活用からスタートし、在庫管理、MDリサーチなど、小売におけるあらゆるシーンで自動化を可能にするツールへと拡大させ、意思決定をデータで可視化、事業間で共有していく。
提供:株式会社イングリウッド
このようにイングリウッドは事業を拡大する中でデータ・AI活用の基盤整備を続けてきた。特に直近3年間は売上が148億円→242億円→325億円と急成長を遂げている。
ただ、ここで一つの疑問が浮かぶ。データとノウハウがあれば、他社でも同じことができるのではないか、と。
その答えは「ノー」だ。イングリウッドには他社が真似できない二つの要素がある。「データの質的優位性」と、それを活かす「組織文化」だ。
イングリウッドのデータの質はユニークで、オンラインデータだけでなく、取引先小売店での販売動向や顧客の生の声といった、オフラインの現場情報も収集している。
では、このデータドリブン経営は実際にどう機能しているのか。
全員反対を覆して初年度CM投下。累計3,500万食を生んだデータドリブン経営
昨今「データドリブン」を標榜する企業は多い。その中でもイングリウッドは非常にユニークだ。会議室では若手も経営陣もフラットに議論し、その場で判断を下す。扱うデータはSNSのバズ分析から在庫予測、LTV(顧客生涯価値)まで多岐にわたる。
まず、データを見る頻度が極めて多い。経営陣も現場も、毎日、時には時間単位でデータを確認する。何がSNSで流行っているか、どのクリエイティブが当たっているか、在庫はどう動いているか──これらを『KOURY』でリアルタイムに把握し、即座に判断を下していく。
しかし、十分なリソースを持つ企業であれば、同程度のデータ収集は実現可能に思える。なぜイングリウッドはこれほどの成果を出せるのか。
それは、意思決定スピードにある。
多くの企業では、データが揃っても意思決定に時間がかかる。「もう少し精査したい」という慎重なプロセスの間に、市場機会を逃す。若手の提案も、組織の意思決定プロセスで当初のスピード感を失うケースがある。
その点、イングリウッドは対照的だ。データが示す方向性が見えたら即座に動く。その代わり、明確な撤退基準に従い、大きな損失を回避する仕組みを徹底している。
そのため、いくら社長肝入りの注力事業で、一般的には「No」と言いづらい状況であっても、KPIがクリアできなければ他事業と同じように撤退する。データが示す方向性に即座に大型投資を打ち、達成できなければ撤退。このスピードこそが、指数関数的成長を生んだ要因だ。
データを毎日見る習慣、圧倒的な意思決定スピード、ヒットブランドの連続輩出。すべてに共通するのは、データに基づく迅速な判断だ。
では、この判断スピードを技術的に支えているのは何か。その答えが、全社規模でのAI活用にある。
AI使用率を社内公開する組織、データ分析基盤『KOURY』がもたらす事業成長スピード
イングリウッドでは全社員のAI活用状況が可視化されている。若手社員による積極活用はもちろん、経営陣も使用率ランキング上位に入り、「AIを使いこなせない人材は生き残れない」と社長自ら訴える。
当然だが、これは単にAI活用の促進が目的ではない。同社では『KOURY』を核として全社のAI活用を推進しているが、その真の狙いは業務の効率化と施策の精度向上にある。
提供:株式会社イングリウッド
具体的な機能を見てみよう。
戦略・商品企画フェーズでは、ユニットエコノミクス分析で事業性を把握。MDリサーチでヒット商品を生み出し、SNSバズリサーチでトレンドを察知する。マーケティングフェーズでは、資料作成の自動化、クリエイティブ生成、LTV予測で意思決定を後押し。そして運用・物流フェーズでは、在庫予測・管理を完全自動化している。特に効果が大きいのが在庫管理だ。
小売業界では、在庫管理を間違えると一瞬で赤字になる。特に食品のように賞味期限があるものは、需要予測を外すと大量の廃棄ロスを生む。多くの企業がいまだに勘と経験に頼る中、イングリウッドは20年蓄積してきたデータを解析することで、リアルタイムで精度の高い在庫予測を可能にしている。これは極めて大きな競争優位性だ。
具体的な成果として、広告クリエイティブの制作においては1日あたりの制作数が150%増加(同社AI導入前後比較より)。素材集めに関しても、ものの数分で完了するようになった。また、広告運用においてはCPAの変動をリアルタイムで把握し、即座に調整。他にも在庫管理では、需要予測の精度が飛躍的に向上し、廃棄ロス(売れ残りによる商品廃棄)が大幅に減少した。
こうしたAIの活用によって捻出された時間を、人間にしかできないことに充てる。AIはインターネット上のデータは取得できるが、存在しないデータは把握できない。そこで重要なのが、人間が体感した“生の声”を聞くことだ。そのため、定期的にユーザーの元に足を運び、直接話を聞く機会を設けている。
AI時代だからこそ、生のコミュニケーションを通して得られる一次情報の価値は大きい。そして顧客やパートナーから本音を引き出すには、信頼関係の構築が不可欠だ。そのための基礎として、イングリウッドは挨拶や時間厳守といった、“当たり前のことを当たり前にできる”という文化を大切にしている。
同社の哲学は明確。AIは人間を置き換えるのではなく、能力を拡張する。データが示す事実に人間が洞察と判断を加える。この掛け算が急成長を生む。
そして現在、AI活用はさらに進化している。商品企画、需要予測、パーソナライズマーケティング。根底の考えは一貫している。データに基づく意思決定をAIが加速させる──この「データ×AI×人材」が1,000億円への道を切り開いていくのだ。
ただし、こうしたデータとAIを駆使した仕組みも、それを動かす人材なくしては機能しない。イングリウッドの人材配置は、既存の枠組みには収まらないものだった。
新卒3〜4年目がM&A先企業の役員、20代に数十億円の意思決定を任せる人材戦略
若手への権限委譲──これがイングリウッドのもう一つの特徴だ。30代前半で100億円規模のブランド責任者。さらに、新卒3-4年目の人材が、M&A先企業の役員や数十億円の予算を動かすマーケティング責任者に抜擢され、結果を残している。
なぜ、これが可能なのか。なぜ、リクルートや大手商社、外資系コンサル出身者が集まるのか。
答えは圧倒的な成長速度だ。「3年で10年分の経験」が同社の採用メッセージ。何十億円を3年目に任せる会社は大手でもベンチャーでもそうそうない。
事実、『三ツ星ファーム』『Aurelie.』『AKNIR』のいずれも、事業責任者に就任した人材は20代後半でその機会を得ている。彼らに共通するのは、失敗を恐れない姿勢と、データに基づく意思決定力だ。
取材等を基にFastGrowで作成
しかし、若手に権限を与えるだけでは失敗するリスクも高い。イングリウッドはこのリスクをどう管理しているのか。
カギは「型」の存在だ。
先ほども言及した通り、同社には、事業立ち上げから撤退まで、一定の「型」が整いつつある。市場分析の方法、PL策定の業務、マーケティング施策の優先順位、在庫管理の基準──これらがある程度体系化され、『KOURY』に組み込まれている。
ただし、これは厳格なルールブックではなく、「最速で事業を立ち上げるための参考指針」として機能する。若手はこの「型」を学びつつ、市場の反応や現場の状況に応じて柔軟にカスタマイズし、スピードを優先して事業を進めていくのだ。
複数社でしか経験できない業務、大手なら40代以上でないと任されないような売上規模の事業運営。外資系消費財メーカー級のブランドマーケティング、大手広告代理店級の広告運用、戦略コンサル級のコンサルティング。これらすべてを一社で経験できる。
一例を挙げると、当時リクルートで最年少開発部長だった大森 崇弘氏(現 同社取締役兼CTO)や、三菱商事からGO株式会社を経て参画した伊藤 寛氏(現 同社経営企画執行役員)など、多様なバックグラウンドを持つ人材が集まっている。
入社後は役職や年次に関係なく良いアイデアが採用され、新卒の提案で数億円の投資が決まることもある。こうした挑戦機会が、異常な事業成長を生み出すのだ。そして、この土台の上に築かれようとしているのが、1,000億円企業への道筋である。
既存事業とM&Aで1,000億円を目指す。日常消費財に特化したブランド再生モデル
取材等を基にFastGrowで作成
イングリウッドが掲げる次なる目標は、3年後に売上1,000億円を達成すること。その際、既存事業の成長に加えて注力するのが、M&Aによるロールアップだ。
このM&A戦略に込められた想いは、単純な規模拡大を超える。
「日本のものづくりは、今も世界トップクラスだと思っています。世界一高品質なものを適切な価格で作っている。しかし、世界における日本のプレゼンスは下がり続けているのが実情です。ものづくりの技術力は世界と戦えても、マーケティングと経営においては課題があると感じています」と三好氏は述べる。
実際、日本の多くの優良企業が海外投資ファンドの関心を集めている。優れた商品と資産を持ちながら成長に課題を抱える企業を、ファンドが買収し、効率化を図る動きが広がっているのだ。
しかし、イングリウッドが目指すのは「データドリブンなマーケティング改革による、ものづくりの価値最大化」だ。
世界最大の高級品コングロマリット・LVMH。ルイ・ヴィトンやクリスチャン・ディオールなど70以上のラグジュアリーブランドを傘下に持ち、各ブランドを買収後も「ものづくりの良さ」を活かしながら経営とマーケティングを改革して成長させることで知られる。イングリウッドが目指すのは、このLVMHモデルの「日常消費財版」だ。
マジョリティの人々の日々の生活を良くしていきたい──そんなビジョンが同社の根底にある。
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このM&A戦略の対象は「良い商品を持っているが、マーケティングや経営をさらに強化できる余地がある企業」とされている。日本のメーカーはモノづくりのクオリティが高く、優れた技術力を持つ。同社はそこをデータドリブン、AIを使ってドライブしていく。
M&A後1年で黒字化、3年で売上倍増の実績を基盤に、戦略はグローバルへ拡張中だ。アメリカ(2018年)、中国(2024年)に現地法人を設立済みで、海外企業のM&Aも進行。日本で磨いたノウハウを世界展開し、各国企業の価値向上を図る。
提供:株式会社イングリウッド
では、なぜイングリウッドはこれほど壮大な計画を描けるのか。その背景には、組織全体で共有されたビジョンがある。
「世界中の人たちがイングリウッドに関わる商品を毎日使い、その製品によって少しでも生活が豊かになってほしい」──これは夢物語ではなく、「リテール市場を変えたい」という野望を共有しているのだ。
日本の小売市場150兆円、EC化率9.78%──この巨大な未開拓市場を前に、イングリウッドが目指すのは、日本企業の再生を通じた新たな成長モデルの構築である。
技術力はあるが伸びしろがある日本企業を、データとマーケティングで成長させる。自社ブランドで成功を証明し、その手法を他社に提供。競合すら仲間に変える戦略だ。
1,000億円は通過点に過ぎない。その先に描かれているのは、日本のリテール市場の構造改革である。ものづくりとマーケティングが融合し、日本企業が再び世界で勝負できる時代の到来。イングリウッドの挑戦は、日本経済の再生そのものと言えるのではないだろうか。
大型IPO・連続的M&A・世界展開、3つを同時経験できる稀有な成長ステージ
今回の取材で見えてきたのは、壮大な構想を支える企業の本質だった。
派手なビジョンではなく堅実な成長に集中する経営哲学。データとAIを駆使しながら人間性を重視する文化。競合排除ではなく市場拡大を目指す戦略的思考。これらが1,000億円への飛躍を支えている。
提供:株式会社イングリウッド
イングリウッドが体現するのは、ベンチャー企業の新たな可能性だ。2軸展開、データドリブンな意思決定、若手への大胆な権限委譲、AIと人間性の融合──これらの要素を統合した独自の経営モデルが、継続的な増収という揺るぎない実績を生み出した。
商品企画から物流まで、事業全体を設計できる環境でデータ活用の可能性を追求する。
20代で数十億円の予算を動かし、ブランド成長を任される舞台に立つ。
さらに、大型IPO、連続的M&A、グローバル展開と、「事業家を目指すなら挑戦しておくべき3つの要素」を短期間で経験できる。これらが一社に揃った環境は滅多にないはずだ。
実際、経営者や事業責任者を目指す学生や、「転職を考えていなかった」ハイキャリア人材が話を聞くと、即断で参画を決めるケースも少なくない。
3年後、イングリウッドが1,000億円企業になったとき、日本のリテール市場はどう変貌しているだろうか。その変化の中心で、同社は静かに、確実に、日本の未来を切り開こうとしている。
次回は、同社のCTO・大森 崇弘氏と執行役員・梅原 龍二氏に、AIを単なる効率化ツールではなく事業成長の中核に据える実装戦略の全貌を聞く。AI活用で事業を変革したい経営人材には必読の内容だ。
こちらの記事は2025年12月03日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。