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「行動変革で豊かな社会を作る」
予防医療を世界に広める上場経験者
メディカルフィットネスラボラトリー金谷

インタビュイー
金谷 義久

1988年生まれ。早稲田大学基幹理工学部応用数理学科卒業。在学中より株式会社リアルワールドに参画し、2013年より上場準備業務・経営管理・全社業務フローの整備などに従事。2014年9月、同社が東証マザーズへの上場。上場後は、事業企画・経営企画などを主導し、同社の経営に携わる。2017年7月、「健康的で豊かな生活の実現」を目指すCAPS株式会社に入社、取締役最高執行責任者に就任。

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内定者インターンから足掛け7年務めたリアルワールドで上場を経験後、それまでとはまったく異なる「予防医療」という領域へ足を踏み入れた金谷義久氏。

これまでのキャリアとは全く異なるように見える予防医療の領域に、彼はなぜ足を踏み入れたのだろうか。

  • TEXT BY REIKO MATSUMOTO
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金融志望から一転してベンチャーへ

まずはリアルワールド入社のきっかけを教えてください。

金谷私は大学では応用数理学科に所属していたんですが、周りの友だちのほとんどが数学博士や教授を目指していて、大学1年生までは私自身も同様の進路を考えていました。

しかしあるとき、「俺ら、全員同じ道に進んで、面白いことできんのか?違う道、ビジネスに精通することも必要だろう」、ということに気付いて方向転換したんです。

自分はビジネスで、友人はアカデミックの分野でトップになって、数十年後にコラボレーションして社会にインパクトを与えられたら面白いな。そんな風に考えて、大学3年生から就職活動をスタートしました。

しかし、最初は何をしたらいいのかさえわからず、友人から面白い学生が集まっていると聞いたGoodfindにお世話になることにしたんです。

当初は自分が金融工学を学んでいたこともあって金融の世界に行くことを考えていたんですけど、色んなセミナーや説明会で様々な思考の人と話すうちに、「視野が狭かったな」、「ビジネスの世界で突き抜けるための手段として正しいのかな」、と自分自身のやりたいことを見つめ直しはじめました。

そんなとき、Goodfindの講師の方から、「誰も挑戦したことがない領域に取り組むベンチャーならチャレンジしがいがあるし、やりがいを感じられるんじゃないか?」とアドバイスをいただいたことがきっかけでベンチャーに興味を持ち、どんなものか見てみようと思いました。

その後、複数社の短期インターンや説明会に参加してわかったことは、ベンチャーは社員ひとりひとりの成果が会社の成長に直接的に貢献していることです。その中で、自分自身も成長できる可能性があるところが面白そうだ、と感じました。

「どうせ働くなら大きくビジネスが成長していく会社を一緒に創っていきたい。」、と考えていたので、自分がどれだけ成果を出せるかという自分次第で環境を作っていけるベンチャーに行くべきだな、と感じましたね。

金谷結果的にベンチャー企業複数社から内定をいただいたのですが、リアルワールドのポイント事業が、もともと興味をもっていた金融に似た仕組みであることに事業性を見出し、魅力を感じました。そしてこのサービスが大きくなっていく過程を目の当たりにできるのは、やりがいもあるし面白そうだな!と思ったのが入社の決め手です。

やると決めたら昔から徹底的にやりこまないと気が済まない質なので、新卒入社前から学生インターンとしてお世話になりました。

働き始めてどんなことを学べましたか?

金谷クラウドソーシング事業に黎明期より携わり、ディレクター、プロデューサーを皮切りに、セールス以外の職種はすべて経験させてもらいました。

働き方改革を推進するための事業計画の策定、実務としてはエンジニアに要件定義お願いしたり、デザイナーにサービスのUX/UIに関して改善提案を出したりといったプロデューサー業務を2年間経験した後、上場準備のタイミングが訪れてバックオフィス部門に異動。そこで2年ほど経営管理を任され、2014年9月に会社も無事上場することができました。

上場後は事業企画の立場から事業も推進しながら経営にも携わるという役割を担っていました。2015年末からは社長室を立ち上げ、責任者として経営企画に戻りました。そこから、2017年6月に退社するまでは、M&Aなども含む経営企画のポジションを任されていました。

上場のタイミングでは、経営管理の立場から子会社も含めたすべての事業の業務フローを整備したり、実際に現場に入って上場までの事業計画を達成できるように伴走したりと、様々な経験をさせていただきました。入社するときから「ベンチャーの上場に自分も貢献したい」と思っていたので、それが叶ったことで1つ目標を達成できた気がします。

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ひとの行動を変革し、より豊かな人生を実現させたい

その後、転職したのはなぜですか?

金谷ちょうど大きなプロジェクトが終わったところで、次にどんなコトをするかを考えていたタイミングでした。経営企画という立場ではなく、自分の考えるストレッチした計画、スピード感を持って事業スケールさせていくことに事業担当者としてもう一度トライしたいと考え、新しい環境に飛び込む決断をしました。

そして、ミドルベンチャーにジョインして上場するという経験をしたことで、もっと今の自分が「ハマれる」ようなアーリーフェーズの企業の事業作りを一からやりたいと思うようにもなりました。

ちなみに、何かに「ハマる」のは昔からなんです。やると決めたらのめり込んでしまうんですよね。子どものころはそれこそ寝る間も惜しんでゲームしていました。

学生時代にバイトするようになってからは、バイト先のセブンイレブンに丸3日間入り浸って1日の業務の流れ、お客さんの動向を観察して、「どうすればもっと効率よく店舗運営できるか?」と店長でもないのに考えていました(笑)。

もちろんリアルワールド時代も同じで、内定者インターン時代は大学には一切行かずに、週7日、毎日20時間は会社に泊まり込んで没頭していました。よく周囲の人からは「すごい頑張るよね」と言われるのですが、自分としては特段無理して頑張っているわけではなくて、ただ単にそうしないと気が済まない、というだけなんです。

転職してからも同じように精力的に働いているのですか?

金谷そうですね。実は現在、MFL(メディカルフィットネスラボラトリー社。以下同じ)でCOOを務めると同時に、アリーナ・エフエックスという会社のCMOも兼任しています。アリーナ・エフエックスは元々、私がリアルワールドの社長室の経営企画業務の中で出会った会社です。

アリーナ・エフエックスは、JASDAQに上場している日本ラッドの子会社でした。親会社である日本ラッドからは、「売却したい」という希望がありました。「それなら、内情も知っている私に売却先探し、今後の事業戦略をお手伝いさせてください」という話しをさせてもらうようになりました。

アリーナ・エフエックスは、2017年9月末に伊藤忠商事の子会社であるエキサイト株式会社への売却が完了しました。ここからは、サービスグロースに注力していくことになります。

一方、MFLは2014年末の創業前から鶴谷さん(同社代表取締役会長、ポリゴンマジック株式会社代表取締役。)とは、たまにビジネスの話をさせていただく間柄だったんですが、リアルワールドを辞めることになったと報告したら「じゃあうちでやろうよ」とお声がけいただき、取締役COOとして業務をスタートする形となりました。

MFLは予防医療やセルフメディケーション、アリーナ・エフエックスは金融と、どちらも前職とはまったく異なる領域ではあります。しかし、「より豊かな人生を作る」ことを目指しているという点においては、自分の中では共通しているんです。

リアルワールドの頃から、クラウドソーシングによる「働き方の変革」を進めることで、多様な人生の実現を目指していましたし、MFLではセルフメディケーションプロバイダーとして、「健康的で豊かな生活を」というビジョンを掲げて事業創りをしています。

アリーナ・エフエックスも金融資産の多くを預貯金にして投資に回さない日本人の習慣を変えたいという野望を抱いている企業です。

つまり、どの会社も、「よりよい人生の実現、豊かさの実現のために、人の行動や常識を大きく変えよう」としている点で共通しています。

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「自分がトップクラス」と言い切れてからキャリアチェンジを

金谷さんのように、将来は創業メンバーとして活躍したいと考えている人にアドバイスをお願いします。

金谷まだまだアドバイスできるような立場にはない、とお断りをいれさせていただきたいですが(笑)、個人的には、新卒入社して数年で転職することには賛成ではありません。

なぜなら、一度会社に入ったのであれば、きっちりと時間をかけて、「この会社、この領域なら、自分がトップクラスに仕事ができる!」と自負できるくらい、そして周囲のメンバーにもそう思ってもらえるようになってから次のキャリアを考えてこそ、真の“できる社会人”だと思うからです。

もちろん、退社するまでの間おとなしく会社の言うことを聞いていろと言っているのではないですよ。

上司であろうと社長であろうと、相手の顔色をうかがうことなく忌憚なく対話することがとても大切です。相手の個人攻撃や感情論で苦言を呈するのではありません。互いにきちんと意見を出し合うことで、相互理解が進み、相手も事業も成長していくものだと思います。

思ったことを口に出して議論することによって、自分の視野が狭かったことに気付かされ、反省したり学んだりすることができると思います。

「いまやっている仕事は自分のやりたいことじゃない」、「自分はもう十分仕事ができるようになった」というのは簡単ですが、本当にやりきっているのか?と考えましょう。高い視座を持って仕事に取り組めているか見つめ直してもらいたいのです。

経営は、常に成果のみを、社会から、従業員から、さまざまなステークホルダーから求められ続けます。そんな時に、考え抜く力、やり抜く力が肝要でしょう。

こちらの記事は2017年10月13日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

松本 玲子

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