急成長SaaSスタートアップの、5つの共通項とは?──カケハシ・コミューン・FLUXの思想と戦略から、成長実現カルチャーを学べ

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登壇者
永井 元治

慶応義塾大学法学部法律学科卒。米系戦略コンサルティング会社にて、大手通信キャリアの戦略立案・投資ファンドのデューデリジェンス・商社のM&A 案件などに従事。その後2018年5月に株式会社FLUXを創業。マーケティング効率化 SaaS「AutoStream」及び「siteflow」を展開している。

中川 貴史

東京大学法学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにて製造・ハイテク産業分野の調達・製造・開発の最適化、企業買収・買収後統合マネジメントを専門として全社変革プロジェクトに携わる。 イギリス・インド・米国でのプロジェクトに携わった後、株式会社カケハシを創業。

橋本 翔太

新卒でGoogle Japanに入社。2017年にGoogle米国本社に転籍し、プロダクトマーケティングに従事した後、コミューン株式会社を共同創業。 取締役CPOとしてプロダクト開発を管掌。 2022年3月より取締役Head of Japan としてcommmune日本事業を統括。 趣味は1歳の息子との公園遊び、読書。

河合 聡一郎
  • 株式会社ReBoost 代表取締役社長 

大学卒業後、印刷機メーカー、リクルートグループを経て、株式会社ビズリーチの創業期を経験。その後、セールスフォース・ドットコム等を経て、ラクスル株式会社の創業メンバーとして参画。人事採用を中心とした会社創りに従事。2017年、株式会社ReBoostを創業。スタートアップや上場企業、地方ベンチャーに対して、人事組織や採用戦略の支援を行う。また、約30社へのエンジェル出資及び、VCとの事業提携を通じて、組織人事領域を支援。2020年4月より、iU専門大学客員教員。

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2016年のマネーフォワードのIPOを皮切りに毎年のように上場が続くなど、ここ数年で一大産業としてその地位を確立したSaaSビジネス。

そんな中、我こそは、と次なる成功を狙いSaaSビジネスを展開するスタートアップが多数誕生している。その中からカケハシコミューン、そしてFLUXの成長の秘密を探ってみたい。

事業領域はバラバラだが、事業展開や組織カルチャーには共通点も少なくない。急成長を遂げるスタートアップに求められることは何か。経営者のリアルな声からエッセンスを学ぼう。モデレーターに、エンジェル投資家でもあり、数多くのITスタートアップの組織・人事支援等の実績があるReBoost代表取締役・河合聡一郎氏を迎え、徹底的に深掘りした。

  • TEXT BY SAE OTA
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急成長にも満足しない。
各経営者がこだわり続ける「大きな社会意義」

まず、カケハシ、コミューン、そしてFLUXがどれくらい「凄い」のか。その急成長の概要をおさらいしておこう。

まずはこの3社の中では最も古く、2016年に創業したカケハシ。これまでにエクイティやデットを合わせて累計約80億円もの資金調達を実施し、上場前からM&Aを行っているスタートアップだ。超高齢社会という日本最大の社会課題に真正面からチャレンジしようと、数々の医療関連事業を展開。中でも、薬局の経営改善をサポートするプロダクト『Musubi』は好評を博し、「薬局業界のゲームチェンジャー」とも呼ばれているほどだ。

医療という社会保障制度を新しいエコシステムに変化させるべく、現在は大きく5つのプロダクト群を運営。事業規模・組織規模は拡大し続けている。

同じく事業規模が急拡大しているSaaS企業といえば、その成長率の高さゆえに業界内でも話題のコミューン。2018年の創業以降「企業とユーザーが融け合う社会を実現する」をビジョンに掲げ、カスタマーサクセスプラットフォームのSaaS事業を展開。企業・ユーザー双方にSaaSニーズが高まったコロナ禍に急成長を遂げ、その売上年間成長率は500%を超える時期もあった(参考記事)。

2022年春には共同創業者であり代表取締役CEOの高田優哉氏が自ら渡米し、グローバル展開も開始した。

そしてFLUX。2018年の創業以降、初期から急成長を続け、「国内最速でARR10億円を達成する」との評価もある。掲げるFLUX DXP(Digital Experience Platform)構想のもと、現在はマーケティング効率化ツール『FLUX Autostream』とウェブサイト作成サービス『FLUX CMS』と大きく2つのプロダクトを展開。創業間もないSaaS企業ながらすでに全く異なる複数のプロダクトを運営するケイパビリティを持つなど、その組織の強さも際立つ。

「id」という独自の特許技術を武器に、現在は中小企業から大手日系企業まで幅広い顧客を抱えながら、新規プロダクトの開発を進めている。

ここまでみてわかる通り、3社の共通点といえば「急成長を遂げている」という点だが、実は3社とも「まだまだ発展途上である」という意識が強いと話す。河合氏が「ここまで成長を遂げている3社が、今後、更に目指していくところはどこなのか?」と、まずはその未来について問うと、それぞれの野心がよく現れた。

カケハシは、医療制度という壮大な社会課題にチャレンジする中で、現在も日々プロダクト開発を進めているという。

登壇時の中川氏(右上)。プロダクト展開について説明する

中川創業から6年が経ち、業務委託も含めた従業員数は約400名まで増え、そして未上場ながらM&Aも行っています。

こう言うと、「すでに成熟した会社」だと見られることが多いのですが、実際はそうではありません。僕たちは今、日本の医療において新しいシステムを構築できるのかどうか、すなわち本当の意味でのプラットフォーマーに進化することができるのかどうかという、大きな分岐点に差し掛かっていると考えています。

そのためにM&Aをしたり、同時に複数のプロダクトを開発したりしている。目指すところは、あくまでも「社会変革」なのです。

同じくコミューンの橋本氏も、道半ばであることを強調する。

橋本僕たちは、まだまだアーリーフェーズのスタートアップだと思っています。コミューンが目指すのは、Salesforceを超えること。あのエベレスト級の巨大企業に比べれば、我々はまだまだ第一歩目に過ぎません。マルチプロダクトをマルチマーケットで展開していく。そうして成果が生まれ続けていく日が来るまで、成長を求めていくつもりです。

FLUXのDigital Experience Platformの目標とする射程も、非常に壮大なものである。

永井私たちがやりたいことは、単なるMAツールを幅広い顧客企業に提供する、ということではありません。DXPで目指すのは、顧客企業の経済価値を最大化することです。

顧客企業の事業における、売り上げ向上とコスト削減をあらゆる面から実現するために、一気通貫でサービスを提供していきたいと考えています。かなり壮大なプロジェクトではありますが、我々のもつリソースや、強みであるプロダクト開発のスピード感(詳しくはCTO李然氏らが語ったこの記事を参照)をもってすれば、実現可能な未来が見えているんです。

登壇時の永井氏(右上)。Digital Experience Platform戦略について説明する

十分すぎるほどの事業成長と組織拡大を実現してきたイメージが強いこれらの3社。だが、それぞれが遥か上の高みを目指し、現状に全く満足していないことがわかる。

成長はあくまで手段の一つ、それよりも目指しているのは社会変革を実現する未来なのだ。

ここからは、その未来に向けた事業構想や組織づくりについて、具体的な思想を深掘りしていく。

3社の共通項 その1

成長は手段。「社会価値」だけを見据えた事業展開

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マルチプロダクトは当たり前。
SaaSスタートアップが等しく見据える、大きな社会的インパクト

さて、この3社の共通点と言えば、「SaaSのビジネスモデルを選んだこと」がある。そもそも、その経緯は、まさに三者三様だが、通底するものもある。それが、ユーザーに対する体験価値の提供だ。

コミューンは当初、サプリメントのD2Cビジネスを展開していたという。しかし、ピボットし、カスタマーサクセスSaaSという全く異なる事業を始めた。その大胆なピボットには、カケハシ中川氏も「どうしてそこまで大きな決断ができたのか?」と興味津々だ。

橋本高田と二人でサプリメントのD2Cビジネスをやっているときに、「この仕事に、自分の人生を賭けることができるか?」と自分自身に問うて、NOだと感じたんです。というのもこの事業は、内発的な動機というより「急成長しそうなマーケットだから」とか「USで流行っているから」などという外的な要因ばかりで参入を決めたものだったからです。

ある投資家から「自分たちのビジネスに全く向き合えていない」「何かを指摘した時にディフェンシブになって論破しにかかるようであれば、本気でコミットできていない証拠だ」とご指摘をいただき、ハッとしました。

薄々勘づいていた迷いに対して、否応なく向き合うこととなり、我々のビジネスが本当に社会のためになるのか、お客様の役に立つのか、と改めて考えました。それで「ピボットするしかない」と決意することができました。

登壇時の橋本氏(右上)。新規プロダクト『SuccessHub』について説明する

社会の役に立つビジネスがしたい。社会課題を解決したい。その思いをもとに創業したことも、実は3社の共通点でもある。その最適な手段が、SaaSだったというわけなのだ。

橋本もともとの関係性は友人や知り合いでも、サービスを提供する企業とそれを利用するユーザーという立場になると、関係構築やコミュニケーションが取りにくくなりますよね?ここにペインを見つけ、事業化させたのが、『commmune』ですね。

SaaSとか、カスタマーサクセスとかいう言葉よりも、「企業とユーザーはもっと同じ方向を見るべき」という世界観を成し遂げようとしていて、投資家の皆さんからもこの点で期待をいただけていると感じています。

カケハシは、超高齢社会とも言われる日本国内の医療制度が抱える課題に真正面から向き合うビジネスを複数展開している。その第一弾となったプロダクト『Musubi』は薬局で使う業務基幹システムであるが、その開発は「ローンチ前から完成品が必要」という困難なものだったと語る。

中川薬局で使うシステムである、という性質上、一般的なSaaSの中でも機能要件・パフォーマンス要件がものすごく多いプロダクトでした。国のルールも厳しいため、まずはつくってみて、いまいちなところは直して……というような「小さく始める」ことが許されなかった。はじめてなのに、失敗できないプロダクトづくりが強いられたのです。

法的な側面を満たし、ローンチの段階から不便なく現場で使えるものをつくり上げるためには、とにかく顧客、すなわち薬局へのヒアリングが重要です。現場の薬剤師の方から経営者の方まで、若手の先生から年配の先生まで、さまざまな方にお会いし、業務オペレーションの流れを全て洗い出し、薬剤の知識も身につけ、関連する法令は全て調べ尽くし……とにかく、誰よりも薬局の業務に詳しくなりました。「明日薬局で働け」と言われたら即戦力になれるくらい(笑)。

数え切れないほどのプロトタイプを作りましたね。確実に外さないプロダクトづくり、という点では、ものすごくハードルの高い立ち上げでしたね。

実際に顧客の声を聞くことで、より精度の高いプロダクト作りに成功したという点は、FLUXも同様だ。徹底的なヒアリングを通じて、顧客に刺さるペインポイントを探し当てた。

永井Webサイトの広告収益の最適化を行うプロダクトをつくろう、と考えた当初は、SMBやスタートアップ向けに展開することを想定していました。しかし、数々の企業にヒアリングを行ったところ、大手企業が抱えているペインの方が大きいということに気付きました。

プロダクトをリリースした当時、デジタルマーケティング領域で使われているプロダクトは外資系のものが多く、なぜか国内の、かつ誰にでも使いやすいプロダクトはそう多くありませんでした。特に大手企業の場合、社内異動が頻繁にあるため、デジタルマーケティング関係の業務に携わる人が必ずしもITツールに詳しいわけではありません。

例えばテレビ局の場合、先月までずっと番組制作を担当していた人が急に異動になりデジタルマーケティングを担当する、なんていうこともザラにあります。そういう方でも、導入するだけでほとんど手を動かさずとも広告収益を最適化してくれるツールがあればきっと役に立てるはずだ。そう思い、つくったのが『FLUX Autostream』でした。

現在も、どんな企業規模の顧客企業にとっても経済価値を最大化できるようなプロダクト群を提供するべく、新たな開発を進めています。

医療、カスタマーサクセス、マーケティングと、それぞれ全く異なる事業領域ではあるが、顧客課題、ひいては社会課題を解決するというモチベーションのもとに開発されたものであるということ、そして大きな社会的インパクトを秘めた事業を展開している、ということは3社の共通点であると言えそうだ。

そして、その大きなインパクトに向け、新規プロダクトの開発に旺盛だ。少し前までは、上場前のスタートアップが複数事業・複数プロダクトを抱えることは多くなかった。ワンプロダクトでのスピード上場が一つのトレンドとなっていたとすら言えるかもしれない。

だがこの3社を筆頭に、上場前から事業展開を大きく広げる例が増えてきている。長い目で見て世の中に価値を創出していくためには、もはや必須の考え方かもしれない。

3社の共通項 その2

IPO前のマルチプロダクト化は、もはや必然

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スキルでも経歴でもない。
採用時は、徹底的に「カルチャーフィット」を見る

その事業成長の速度をみるに、組織自体も順調に拡大を遂げているように見える3社だが、実際には組織づくりはそう簡単なものではなかったとそれぞれ振り返る。数々のスタートアップの人事組織や採用戦略の支援を行ってきた河合氏が、各社の変遷や、今の取り組みを探っていった。

FLUX永井氏は、その採用基準において、バリューとカルチャーにフィットするかどうか、が重要であると強調する。そこには、過去の苦い経験があったようだ。

永井ある分野のスペシャリストを採用しようとするとき、バリューフィットよりもスキルフィットを軸に採用したことがありました。過去の経歴や実績があるから大丈夫だろう、と思ってしまったのです。

結果的に、入社後に期待値やカルチャーに若干のギャップを感じてしまったようです。こうなるとお互いに不幸ですよね。今思い返せば、お互いのためにスキルマッチではなく、バリュー・カルチャーマッチを重視するべきでした。大概のスキルは、後からいくらでも身につけることができます。強い組織を作るには、個々がすでに持っているスキルよりも、会社のバリューに共感できるかどうかの方がずっと重要だと再認識する出来事でした。

現在は、バリュー・カルチャーにフィットしている人物か否かを最重要視し、ポテンシャル採用を積極的に行っているという。

会社が掲げる理念に沿った採用を徹底する、という点には、コミューンの橋本氏も同意する。

橋本SaaSというビジネスモデル上、いずれ組織を急拡大させていく必要があります。10人の組織で、グローバルに7億人のユーザーがいる、というようなことは考えにくい。

だから、その中でいかにVMV(ビジョン・ミッション・バリュー)を研ぎ澄ますことができるか、ということは初期からずっと意識して取り組んでいます。

一方で、橋本氏は「採用人事を早めに採用しておくべきだった」と苦い表情を見せた。経営陣が事業拡大に猛進する中で、採用へのコミットメントを経営陣が握りすぎるのではなく、採用に知見のある人物に役割を渡すことも必要だったと考えているようだ。

これには、実際に自ら人事マネジャーを担った経験もある河合氏も「10人を超えるまでの早いフェーズで採用人事を置きたい、という起業家が増えていますね。人物像を含めてそういった相談も実際に多いです。ビジョンに共感し、更にカルチャーマッチした実行力のある採用担当者は、採用難易度もなかなか高いため、とても大切なポイントだと思います。社内の異動でカバーするケースも見受けられますね。」と共感を示した。

モデレーターを務めたReBoostの代表、河合氏(右上)

このように、組織をスケールさせていく中での採用設計は、スタートアップにとって一つの大きなポイントになる。現在約400名のメンバーを抱えるカケハシにも、大きく悩んだフェーズがあった。

中川カケハシは、最初の10名まで、創業者2名以外全員エンジニアという少し変わった布陣でした。そこから徐々にリファラル採用で人数を増やしていきましたが、20〜30名から100名くらいの規模に拡大する際の採用設計に、一つ反省点があります。

というのも、先程の橋本さんのお話にもありましたが、私たちもSaaS企業としての組織拡大の仕方が全くわからず試行錯誤しながら採用を進めていました。今思い返せば、我々の少し先のフェーズにいるSaaS企業、例えばマネーフォワードさんやfreeeさん、Sansanさんの出身者を採用して人事領域を任せることなどができたはず。でもできなかった。

もちろん、私自身が経営者として採用にコミットできたのは大きな財産ではありますが、もう少し「時間を買う」という視点があってもよかったのかな、と。

組織づくりにおいてもそれぞれ辿ってきた道は異なるが、バリューやミッション、そしてカルチャーへのフィットを最重要視して採用するところや、組織のスケール期にどのような採用を行うべきか、という点で大きな学びを得ているところは共通している。こうした紆余曲折を経て、現在の強固な組織がつくり上げられてきたのだ。

3社の共通項 その3

採用や組織作りは、いつでも伸びしろあり。経験者・外部パートナーもうまく活用すべし

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「コトに向かう」、「対話も重視」。
組織カルチャーの実践論

モデレーターの河合氏がイベント中に最も感心していたのが、3人のその理路整然としたわかりやすい語り口。河合氏の質問に対して、的を射た本質的な議論をスピーディーに進めていく姿が印象的だ。どうやらこの雰囲気は、各社のカルチャーにも日々の事業運営において重要な議論の場である、3社の会議体運営、そして組織内のカルチャーはどのようなものなのだろうか。

河合氏が組織づくりの支援を行っているFLUXは、Amazon流の会議体運営手法を取り入れている。資料は事前に送付し出席者は全員目を通してくる、ミーティングは15〜30分以内、席についた瞬間にディスカッションが始まる、などという超合理的な進め方には、河合氏も「徹底的にコトに集中できる環境を作っており、実行し続けられるカルチャーが凄い」と感嘆する。

永井もちろん、社内のメンバーとの個人的なコミュニケーションも大切にしてます。週次で実施される全社会議では、個人や会社への称賛なども実施しており、決して冷たい組織、ドライなカルチャーというわけではありません。ただ私は、ミーティングに無意味に長い時間を割くぐらいであれば、早く仕事を終わらせて家族との時間を持ったり、趣味を楽しんだりする方がずっと有意義だと思っているんです。

私自身、長時間労働は好きではなく、ワークライフバランスを大事にしたいタイプです。限られた時間でも、コトに集中する環境さえつくることができれば、十分に成果を上げられると考えています。

コトに向かう姿勢を合理的に徹底するFLUXのカルチャーに、カケハシの中川氏も共感する。一方で、コロナ禍以前からリモートワーク中心だったというカケハシでは、顔を合わせることのないまま急速に組織が拡大している現状があることから、メンバーの心理的安全性を確保するための環境づくりにも意識を向けているという。

中川リモートでも十分に仕事はできますが、やはり人は皆違う考えを持つ生き物です。会話する時の言葉の選び方や、そこに込める意味合いなど、人によって全く異なる場合もあります。そうした中で心理的安全性を確保するには、やはり口頭でのコミュニケーションが大事。メンバー同士の会話は積極的に促すようにしています。

同じくコミューンも、会社のバリューに「超本質主義」を掲げているほどコトに向かう姿勢は強い。一方で、さまざまなコミュニケーションの取り方を実践しようとしている。

橋本当社も現在はリモートが主ですが、機動的なコミュニケーションを取るためのクイックコール(「少し話せますか?」と気軽にテレビ会議や音声会議を行う)は推奨しています。というのも、これまでは事業を効率的に拡大させていくことが最優先で、コトに向き合うことを重視し過ぎた、すなわち効率化ばかりを考えてきてしまった自覚があるんです。

これからは、人(メンバー)にどれだけ強く深く向き合っていくかがコミューンの組織にとっての課題だと考えています。スタートアップの組織づくりには創業者のスタイルがかなり根深く影響するものですが、組織が拡大していく中で、人に対する向き合い方を改めて考えるフェーズにあると思うのです。

それぞれ変遷は異なるが、「コト」にとことん向き合う本質的・合理的な部分と人間らしいコミュニケーションを模索する部分、それぞれバランスよく取り入れているところは3社の共通点であると言えよう。

資金調達の際には、投資家からチーミング(Team-ing)を評価してもらったと語る3社。会社にとって大きな強みとなる組織づくりに創業者が自らコミットしていることが、急成長を支えた一つの要因なのかもしれない。

3社の共通項 その4

組織の成長に従い、「コトに向かい」つつ「対話も重視」

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自立/自律と、曖昧耐性が、事業をけん引する

すでに他の追随を許さないほどの急成長を遂げている3社だが、先述の通り、3社とも目指すところはさらなる高みだ。今後の事業拡大に向けて、採用も強化していくという。

3社の中でも最も歴史が長く組織規模も大きいカケハシに「これから欲しい人材は?」と問うと、「“曖昧耐性”の高いひと」だと答えた。

中川現在のカケハシは、『Musubi』という比較的成熟したメインプロダクトを運営している隣で、企業でいうところのシードやシリーズAにあたるくらいの若い段階のプロダクトや事業も複数乱立している、というカオスな状態です。オペレーションエクセレンスを横目に見ながら、ゼロイチの新規事業の立ち上げに携わることができるわけなので、プロダクトという観点ではかなり面白いチャレンジができるはずです。

“曖昧耐性”のある、自立歩行型、いや、自律疾走型の方であれば、きっとカケハシで面白い仕事ができるのではないでしょうか。

この「曖昧耐性」と、自立/自律はおそらく、ほかの2社でも活躍するための条件となる。それぞれ事業領域こそ違えど、組織やメンバーが持つ強みは、どうやら似ている。

永井FLUXは、Digital Experience Platform(DXP)で日本企業の経済価値の最大化を目指しています。DXPの中には複数のモジュールがあるため、常に新規事業やプロダクトマネジメントに関わるチャンスがあると考えています。今後さらなるプロダクトの拡充に向けて、CSからPM、PdM、さらにはコーポレート領域まで、あらゆる分野で採用を強化していきます。

先程申し上げた通り、当社は過去の経歴よりもバリューやカルチャーにフィットするかどうか、何より成長意欲があるかどうか、を重視していますから、意欲さえあれば様々なポジションにつける可能性は高いです。実際にこれまでのバックグラウンドとは異なったポジションで活躍いただいているメンバーも数多く在籍し、活躍しております。

「コトに集中するマインドに共感する方」とは、ぜひ一緒に働きたいですね。

経歴に関係なくチャレンジングな環境に身を置くことができる、という意味では、コミューン、カケハシも同様だ。

橋本海外進出も本格化させ、今後さらにマルチプロダクトをマルチマーケットで展開していこうとしています。新たなプロダクトも続々と立ち上げていますし、Salesforceを超えるという目標からもわかる通り今後も不退転の覚悟でチャレンジングな取り組みを続けていくつもりです。

ですから、安寧の地を求めている方には向かないでしょう。逆に、チャレンジしたい人にとっては、この1年はまさに運転席に座っているような、エキサイティングな感覚を得られるはずです。

3社の共通項 その5

フェーズの違う事業・プロダクトが併存する、成長機会に溢れる良質な“カオス”感

急成長・急拡大を遂げている3社。チャレンジングな機会と、そこにうまく飛び込むためのカルチャーが、同じようにそろっている。これが、SaaSスタートアップの中でも「トップランナー」というイメージを持たれている所以と言えるかもしれない。平穏や安定もありながら、自身の成長に妥協せず過ごせる環境が、きっとこうした企業にはある。

最後に揃って「楽しかった」と笑顔を見せた3人と、ファシリテーターの河合氏。そんな世界で新たに活躍を期するビジネスパーソンがさらに増えていくことを祈りたい。

まとめ:急成長SaaSスタートアップ 3社の共通項

その1 成長は手段、「社会価値」だけを見据えた事業展開

その2 IPO前のマルチプロダクト化は、もはや必然

その3 採用や組織作りは、いつでも伸びしろあり。経験者・外部パートナーもうまく活用すべし

その4 組織の成長に従い、「コトに向かい」つつ「対話も重視」

その5 フェーズの違う事業・プロダクトが併存する、成長機会に溢れる良質な“カオス”感

こちらの記事は2022年04月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

太田 冴

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