インターンと社員に差は存在しない──学生が劇的に成長するN高のスタートアップ的組織

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インタビュイー
園 利一郎
  • 学校法人角川ドワンゴ学園 キャリア開発部副部長 

早稲田大学第一文学部卒。広告会社勤務を経て、N高の立ち上げ当初から学習プログラムづくりに携わる。実際に彼の下では、インターン生がさまざまな学習プログラムを企画し、その多くが現場で採用されている。

沖田 翔吾
  • 学校法人角川ドワンゴ学園 通学コース運営部西日本エリア担当課長 

前職はコンサル、教育には興味があり現在はキャンパス長として組織全体のマネジメントに従事する。通学してくる生徒たちと日々コミュニケーションを取り、彼らのニーズに寄り添った学校運営を目指す。

安藤 令奈
  • 学校法人角川ドワンゴ学園 経験学習企画部 
  • 株式会社ドワンゴ 

園氏の下でインターンとして中高生向けの学習プログラムの企画制作に携わっている。大学では発達臨床心理学を専攻しており、将来は「不登校の子どもたちの学び舎をつくりたい」という夢を持つ。

南雲 涼平
  • 学校法人角川ドワンゴ学園 代々木キャンパス大学受験TA 

予備校でTAをしていた時の同僚に「優秀な上に、いろいろなバックグラウンドを持ったTAが数多くいる若い組織」という話を聞き、N高に興味を持つ。予備校での勤務経験を見込まれて、大学受験を目指す生徒たちに対する学習指導のガイドラインづくりを担当。

土井 明子
  • 学校法人角川ドワンゴ学園 代々木キャンパス大学受験TA 

キャンパスTAとして子どもたちの学習サポート、生活相談を担う。塾講師の経験から、現場でより教育に携わりたいとN高のインターンに参加。入学当初は教員志望だったが、N高のインターンを経験したことで「本当に自分がやりたいこと」を見つける。

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今、教育業界でスタートアップ並に急成長している学校法人がある。ネットを使った通信制学校「N高等学校」を運営する、角川ドワンゴ学園だ。2016年に開校したN高の在籍生徒数は、2019年4月に約4,000人の新入生を迎え、現在11,493人(2019年10月時点)とわずか3年足らずで国内最大級の高校となった。

このN高の急成長を「インターン生たち」が現場で支えていることは、あまり知られていないだろう。彼ら、彼女らは社員たちと対等にコミュニケーションを取りながら、単なるサポートに留まらない“主体的・当事者意識”のある働きで貢献している。

なぜN高のインターン生たちは、それほどまで主体的にパフォーマンスを発揮できるのだろうか。そしてN高のインターンとは、一体どのような経験ができる環境なのか。

経験学習企画部部長の園利一郎氏と、通学コース運営部西日本エリア担当課長の沖田翔吾氏、さらには実際にインターンをしている3名の学生たちへのインタビューから、N高インターンの全容をひもといていく。

  • TEXT BY TAKESHI NISHIYAMA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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インターン生も社員と平等。「当事者意識」がポテンシャルを活かす環境をつくる

誰でもできることとできないこと、得意なことと不得意なことがある。これは社員であっても、インターン生であっても同じです。お任せする仕事を区別することは、基本的にはありません。

そう語るのは、N高の立ち上げ当初から体験学習や能力開発の学習プログラムづくりに携わる園氏。実際に彼の下では、インターン生がさまざまな学習プログラムを企画し、その多くが現場で採用されているそうだ。「一介のインターン生が社員と同等の仕事をする」と言うと、違和感を覚える人もいるかもしれないが、園氏はそんな意見を平然と退ける。

N高が提供するプログラムは非常に多岐にわたります。それらを作るには、相応の経験や背景が欠かせません。だからこそ、プログラムを作る上では、実際にそこに課題意識や困り感を持っているかどうかを重視しています。

学校法人角川ドワンゴ学園 経験学習企画部 部長 園利一郎氏

中高生*段階での能力開発や体験学習に「これだけやっておけばいい」などという正解はない。正解がないからこそ、N高では多様な学びの選択肢、カリキュラムを用意している。そして、これらの学びが多様であるために、その作り手がさまざまな「当事者性」を持っていることも重要だと、園氏は指摘する。

僕の部署で一緒に仕事をしてくれているインターン生には、何らかのテーマに対する当事者意識の高い人たちが多い。それぞれが自分の経験を生かして、「こういうことをやりたい」と自発的に動いてくれる。僕としても、学生だとか能力の有無とかは関係なく、モチベーションのある人が安心してトライできる職場環境になるよう努めています。

ここでは誰しもがフラットに「一緒に働く仲間」として尊重される。だからこそ、N高のインターン生たちは伸び伸びと、自らのポテンシャルを発揮できるのだろう。多様性を「働き手」自身が体現している点は、まさに夏野氏、上木原氏のインタビューでもお伝えした通りだ。

* N高は2019年4月より中等部を開設

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N高ほど、正解が1つでない場所はない

現在、N高にはさまざまな職員が集まっている。NPOの経営者、銀行に勤めていた者、著名なアーティストのプロデューサーなど、他業界の第一線で活躍していたプレイヤーたちも少なくない。現在、福岡キャンパスのキャンパス長を務める沖田氏も、その一人だ。

沖田前職はコンサルだったのですが、もとより教育には興味がありました。僕は「目の前の生徒に最適な学びを届けること」が学校の役割であり、存在意義だと思っています。N高は、学校はこうでなくてはいけないなどの制約や慣習に囚われず、目の前にいる子どもたちのための教育を考えていける場所。ゼロベースから新しい学校の在り方を模索できることに、とてもやりがいを感じています。

学校法人角川ドワンゴ学園 通学コース運営部西日本エリア担当課長 沖田翔吾氏

沖田氏はキャンパス長としてキャンパスのマネジメントに従事するかたわら、通学してくる生徒たちと日々コミュニケーションを取り、生徒たちに寄り添った学校運営を目指す。しかし、一人の目に届く範囲には限界がある。そこでN高の現場の貴重な戦力となっているのが、キャンパスTA(Teaching Assistant)を務めるインターン生たちの存在だ。

N高ではキャンパスごとに規模も在籍する生徒の特色も異なる。そのため、共通のカリキュラムをベースに、それぞれのキャンパスに合わせた教育を展開している。例えば、仙台のキャンパスではTA8人のうち3人が起業経験者のため、TAによる「起業の授業」が自発的に提供されている。

あらゆる仕事の本質は「相手の求めるものを正しく把握して、提供すること」だと考える沖田氏。その意味を踏まえた上で「N高のインターンのように、大学生のうちに、シビアに“相手と向き合う”姿勢が求められ、経験が積める場は、そうそうない」と表現する。

沖田僕らが相手にするのは、発想の豊かな子どもたちです。現場では何が起きるかわからないし、起きたことに対する正解も決まっていない。様々な個性や期待値を持つ相手に、正解は1つでない環境で向き合うという意味で、“学校”というフィールドは最も生々しく、シビアな場所だなと感じています。

ただ、だからこそ得られる経験値が大きく、幅も広い。しんどいこと、失敗することも多々あります。それでも寄り添うことを諦めず、生徒たちとの対話を繰り返していって、成長を支えていく。それを社員と一切違わない前提の元に求められるので、かなり実践的な課題解決力が培われるでしょう。

なんと、実際にこの日取材したインターン生のうち二人が考案したアイデアが、全国に展開されたカリキュラムの一部になっているというのだ。決して「インターン生だから」などというフィルターで物事が判断されることはなく、本質的に生徒により良いものを提供すれば、それが素直に認められる環境なのであろう。

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失敗を許容し、持続的にチャレンジ。そんな環境は、人の「夢」をも変える

安藤正解がないから、最初からうまくいくことなんてない。失敗するのは当たり前、その後で「次はどうしようか」と相談できる。そんな環境で日々チャレンジできることは楽しいし、やりがいがありますね。

園氏と同じチームでインターンをしている安藤令奈氏は、中高生向けの能力開発や体験学習プログラムの企画制作に携わっている。大学では発達臨床心理学を専攻しており、将来は「困りごとがある子どもたちの学び舎をつくりたい」という夢を持つ。その夢に近しい領域にも取り組むN高は、何にも代えがたい経験が得られる場だと話す。

学校法人角川ドワンゴ学園 経験学習企画部インターン生安藤令奈氏

安藤N高は、子どもたちそれぞれの好きや得意を見つけ出して、それをきっかけに「その子が安心していられる居場所」をつくっていきます。ふさぎがちでコミュニケーションの苦手な子が、自分の興味を突き詰めることで自信を取り戻していく。そして、同じような関心を持つ友だちもできて、人間的にも成長していくんです。

「頭ごなしに否定をせず、それぞれの個性をできる限り大事にする」という人との向き合い方は、職員さんたちとインターンの関係においても、同じだと感じます。否定されることがないから、やりたいと思うことは何でも提案できる。承認されたらフォローをしてもらいつつ、ちゃんと企画が形になるまで自走させてもらえる。とてもありがたい環境です。

同じように「任されるやりがいが、ここにはある」と語るのは、キャンパスTAを務める南雲涼平氏。予備校でTAをしていた時の同僚に「優秀な上に、いろいろなバックグラウンドを持ったTAが数多くいる若い組織」という話を聞き、N高に興味を持った。通常の教科だけでなく、プログラミングを教えられる人が隣にいるような環境は新鮮だったという。同氏は、予備校での勤務経験を活かし、職員と一緒に大学受験を目指す生徒たちに対する学習指導のガイドラインづくりを担当した。

学校法人角川ドワンゴ学園 代々木キャンパスTA 南雲涼平氏

南雲こんなに責任のある仕事を自分がやっていいのかと、最初は少し気が引けていました。けれども「君が適任だと思うから」と背中を押してもらえて、思い切ってチャレンジできたんです。自分の経験を生かして、良いガイドラインがつくれたと思うし、成長できたなと実感しています。

N高では子どもたちと同様に、インターン生たちも成長、そして変化していく。同じくキャンパスTAとして子どもたちの学習サポート、生活相談を担当する土井明子氏は教育学部の4年生。塾講師の経験から、現場でより教育に携わりたいとN高のインターンに参加した。入学当初は教員志望だった彼女。しかし、N高のインターンを経験したことで、「本当に自分がやりたいこと」を見つけ、進路まで大きく変わってしまったという。

土井キャンパスにはプログラミング関連の書籍や電子工作の部品、3Dプリンターなどがおいてあって、誰でも自由に触れるようになっているんですね。それらの活用の仕方を生徒たちに教えているうちに、私自身がエンジニアリングの面白さに目覚めてしまって(笑)、大学卒業後はエンジニアとして就職する予定です。

自分は何が好きなのか、何ができるのか、何をしていきたいのか──生徒の人生に本気で向き合う環境が、インターン生たちの内省と成長を促すのだ。

学校法人角川ドワンゴ学園 御茶ノ水キャンパスTA 土井明子氏

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新しいことはしようとしない、目的に誠実であれ

学習プログラムやカリキュラムなど、N高では日々新しい「何か」が現場から生まれる。あるキャンパスでいいモデルが生まれたら、すぐにほかのキャンパスにも共有される。常に変化を厭わず、走りながら思考と実装を繰り返し続ける環境は、さながらスタートアップだ。

しかし、園氏は意外にも「大切なのは、“新しいこと”をやろうとしないことではないか」と考えているという。

「新しいことをやりたいです」みたいな、“新しいこと”自体が目的化している意識は、少し違和感を持ちます。教育や能力開発の分野には専門家や研究者が確立してきたトレーニング方法、効果が実証されているモデルがたくさんあります。それらを活かしながら、実際の生徒層に適切な形で学びを届けられるようプログラムをカスタマイズしていくことのほうが適切だと考えています。

学ぶ側の自由度が高く、企画する側の自由度も高い環境下では、 “新しそうなこと”はいくらでも簡単にできてしまう。

だからこそ余計に「教育、学習という枠組みに対して、誠実でいたい」と、園氏は強調する。

誰のための学習なのか。どんな時も目的の先にいるのは、学習をする生徒たち。その前提から離れることはできません。彼らと一緒に過ごす時間の中で見えてくるものから始めること。それを大切にしたいと考えています。

職員もインターン生も、N高のスタッフはみな、生徒に対しての誠実さを求められている。あるいは、その誠実さこそ、N高で磨くことができる最大の武器なのかもしれない。

沖田仕事では、さまざまなステークホルダーがいて、各々が異なる期待値を持っている。N高でも生徒たちだけでなく、保護者の方や教育業界の声にも耳を傾ける必要があります。その中で「誰もが頷く最適解」を見出すのは、本当に難しいことです。

たくさんのニーズや課題が集結した“教育”に、僕らは向き合っています。求められるクオリティが高い分、N高で培える経験は、どんな業種でも通用すると、僕は思っています。

こちらの記事は2019年11月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

西山 武志

story/writer。writerという分母でstoryを丁重に取り扱う生業です。「よい文章を綴る作業は、過去と未来をしっかりと結び合わせる仕事にほかならない」という井上ひさし氏の言葉を足がかりに、私は一つひとつ書き残すことで、歴史に参加していきます。

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藤田 慎一郎

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長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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