【挑戦者・求む】なぜ2年でユーザー数30倍、たった9名のAI組織で13億円調達──「確定申告アプリ」から社会インフラへ、そのグロースの裏側とは(特別イベントも同時企画!)

インタビュイー
田中 雄太
  • 株式会社タックスナップ 代表取締役CEO 

株式会社じげんに新卒入社。株式会社サムライインキュベートでは、イスラエルスタートアップへの投資と新規事業の立上げを推進。独立後、フリーランスで活動する課題を感じ、22年11月にタックスナップを創業

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多部未華子さんが出演するテレビCMや、駅の交通広告で「タックスナップ」の緑のロゴを見かけたことがある人は多いのではないだろうか。

「頑張らなくていい確定申告」を掲げ、マッチングアプリのような直感的なスワイプ操作で経費の仕訳から確定申告の提出まで完結できるこのアプリが今、日本のスタートアップエコシステムにおいて最も勢いのある存在の一つとなっている。直近2年間でユーザー数は30倍に激増し、2026年1月にはシリーズAラウンドで総額13億円(累計16億円)の資金調達を発表。2026年の確定申告期間中には、App Storeのファイナンスカテゴリで最高7位、確定申告アプリ内では期間中の全29日間にわたりランキング1位を走り切った。

機能面においても、10分間あたりの経費処理件数で他社会計ソフトの約4倍(手書きの18倍、Excelの40倍)という圧倒的な処理スピードを叩き出し、ユーザーからは「確定申告が1.5時間に短縮できた」「ノーベル平和賞ものだ」と熱狂的な支持を集めている。

誰もが「すでに巨大な先行企業によって勝負は決した」と思っていた会計市場。そのレッドオーシャンの中、意外にも「確定申告」という切り口で、これほどの「ジャイアントキリング」を起こしている彼らの内情はどのようなものなのか。

本記事では、タックスナップ代表の田中雄太氏のキャリアから、彼らが構築しているAIネイティブな組織体制、そして急成長の裏にあった「PMFの秘密」に迫る(なおその詳細は、別途イベントで特別公開を予定。記事末尾のリンクにて、併せて確認してほしい)。

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数字が証明するジャイアントキリング。タックスナップの異常な成長軌跡

まずは、タックスナップが市場を席巻しているスピード感について、ファクトを示しつつ整理したい。

プロダクトのマーケティングを本格化させていた2024年からの約2年間で、ユーザー数は約30倍という急激な成長を見せる。まさにAIネイティブなスタートアップとして、日本でも象徴的な初期グロースの事例と言えよう。

提供:株式会社タックスナップ

特に2026年1月のシリーズAラウンド・総額13億円(累計16億円)の資金調達発表の直後、2月~3月の確定申告シーズンには、App Storeのファイナンスカテゴリで最高7位、確定申告アプリ内では全29日間にわたりランキング1位を走り切った。Xでも高評価の声が出ない日がないほどのモメンタムを見せている。

提供:株式会社タックスナップ

その成長を支えている主な要因が、技術面にある。他社を圧倒するプロダクトの「使いやすさ」と「処理スピード」がグロースのカギを握っているのだ。

ユーザーからは「今まで確定申告に3日かかっていましたが、1.5時間に短縮できました」といった声はもちろん、「ノーベル平和賞ものだ」「マジで愛してる」といった声がSNS等で届く。従来の会計支援ソフトウェアでは考えにくい、熱狂的な支持を集めている。それを容易にしているのが、必ずしもITや経理・税務に詳しくはないユーザーにとっても心地よく簡単に使える、アプリのUXデザインだ。

マッチングアプリやショート動画アプリの挙動にもたとえられる「スワイプで仕訳」というわかりやすい機能だけでなく、似た事業を営むユーザーがどのような経費処理をしているのか、どのような割合で経費を使っているのか、など、参考にしたい情報がわかりやすく表示される仕組みをつくり上げている。

また、10分間あたりの平均経費処理件数という数値にもその強さが表れている。タックスナップは他社会計ソフトの約4倍(手書きの約18倍、Excelの約40倍)にもなるという。たとえば、1,000件の経費処理が最短3秒で完了する「丸投げ仕分け」機能など、スマホユーザーに特化したインターフェスによるスピーディーな処理にこだわり、確定申告における作業負担を極限まで削ぎ落とそうとしてきた。

だがそもそも、確定申告というと、会計関連の領域に思える。圧倒的な強さを持つメガスタ-トアップの存在が頭に浮かぶ読者も多いだろう。

なぜ、明らかに後発に思えるタックスナップが、ここまで圧倒的な支持を得て、急成長を遂げることができているのか。そして、投資家の期待も集め、多額の資金調達を実現できたのか。

その理由は、「アプリの使いやすさ」などにはとどまらない深く緻密な戦略性、そしてそれを実行している起業家・田中氏の強さにある。

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事業家集団・VCで経験を積み、海外事例を基にした起業へ

レッドオーシャンを切り裂くような急成長の裏には、田中氏が歩んできたユニークなビジネスキャリアがある。

プロサッカー選手を目指すも挫折を味わい、その後「20代でプロサッカークラブの経営者になる」という野望を胸に、若いうちから打席に立つために選んだファーストキャリアは、事業家集団として知られる株式会社じげんだった。しかし、華々しいスタートとはいかず、最初の半年間は新規事業の営業担当として鳴かず飛ばずの挫折を味わう。

田中手取り足取り教えてくれる先輩がおらず、どうしていいかわからずにいました。ですが今にして思えば、その姿勢がひどく他責でしたね。

転機となったのが、新規事業と既存事業(5名ほどの営業がいるチーム)の両方を一緒に売る体制への組織変更です。既存事業の営業担当には、成果を出している先輩がいたので、その人から多くを学ぼうとくっついていきました。それでようやく、「自分のよくないところ」や「営業担当としての正しい姿」を明確に自覚できるようになり、他責ではなく自責で考えて行動できるようになりました。そうして少しずつ成果も出せるようになったんです。

そうして1年目の後半には全社表彰を受けるほどの巻き返しを見せた。

その後、「起業や経営のためには、お金とネットワーク、そして何よりも、経営に近い経験が必要だ」と考えた田中氏。ベンチャー企業への転職を探る中、日本の独立系VCの先駆けであるサムライインキュベートの紹介を受ける。VCにはほとんどなじみがなかったというが、「多くの起業家・経営者との関わりが得られる」と考え、無事に内定を獲得し、入社を決める。

全くの異業種に飛び込んだ彼は、CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)の長野英章氏(現・株式会社Maxeff 代表)の右腕として、全社横断業務からイスラエルでの新規投資、大企業とのオープンイノベーション事業の立ち上げなどを牽引した。

田中VC時代、シード期のスタートアップへの新規投資を通じて、数多くの起業家の方々から学ばせていただきました。さまざまな事業アイデアに触れ、スタートアップがどうゼロから立ち上がるのかを最前線で見た経験は、自分が起業するうえで間違いなく血肉になっています。

合計で十数社ほどのスタートアップに対してシードラウンドでの新規投資を行う中で、「自分ならこうやって起業しよう」という具体的な感覚も抱くようになりました。

そして、当時について、上長だった長野氏が当時を振り返ってコメントをくれた。

田中さんはDay 1から大活躍してくれました。もともと「その後の起業を見据えて入社した」というコンセンサスがあったのですが、そんなことよりもまず目の前の業務に没頭して価値を出し続けてくれて、その中で常に「将来の起業家として客観的に自身の体験や経験を振り返り、血肉に変えていこう」という意志も感じました。キャピタリストとして優秀な起業家に出会うと、嬉しい一方で「悔しい」というような感情も同時にあったかなと感じます。

田中さんの強みは「アンラーニング力とラーニング力の両輪」がすごく強いことです。ゴールに少しでも近づけるのであれば過去の経験を忘れ、新たな事を学び直します。一方で、ゴールに自身の過去の経験が生きる部分はそのまま活かし切る。この使い分けを冷静に続けられるのが、凄みだなと思います。起業後は、プロダクトづくりも初めてなのに顧客目線をゼロから学んでつくり込みながら、VC経験を活かした戦略的な資金調達をしっかりと推進。今も、ゴールに対して最適な「How」を常に客観的に意思決定し、邁進している印象です。

そうして経験だけでなく感覚や自信も得た田中氏は、「1年以内に起業する」と宣言し、サムライインキュベートから離れる決断をした。

田中会社員を長く続ければ続けるほど、起業をしない言い訳が増えていってしまう──そんな怖さがあり、早めにやめる選択をしたんです。

そうして独立してまずフリーランスになった際、年金や保険の切り替え、そして確定申告といったバックオフィス業務の理不尽なほどの煩雑さに直面しました。得意なことで勝負したいのに、本業と関係ない作業に膨大なリソースを奪われる。

そんな中、海外に「スマホでスワイプするだけで仕訳ができる」というプロダクトがあることを知り、ビビッときました。そしてそこから一気に3週間で60人の個人事業主の方に、インタビューさせていただき「まだ確定申告は解決しきれていない市場だ」と確信しました。タックスナップの起業に至る強烈な原体験です。

泥臭い事業会社の現場で「1」を「10」にする営業力と組織の壁を経験し、VCとして「0」から「1」を生み出すスタートアップの成功と失敗のパターンを俯瞰してきた。この両極端な経験を持つ田中氏だからこそ、巨大な競合がひしめく確定申告市場において、非エンジニアの個人事業主が抱える「巨大なホワイトスペース」を的確に射抜くことができたのかもしれない。

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「9人で13億円調達」を成立させるAIネイティブ組織と、PMFの謎

改めて、創業からのストーリーを振り返ろう。2022年11月に田中氏が起業(当時の社名は株式会社TxTo)。2023年7月にアプリを公式リリース、2025年2月にもステルスで資金調達を行い、試行錯誤を経て2025年3月には「App Store 会計/確定申告カテゴリ」でランキング1位を初めて達成。その後2026年の確定申告シーズンにはさらなる快進撃(本記事冒頭でも紹介)を見せ、着実なグロースを見せている。

そんなタックスナップの凄みは、プロダクトの力や市場選定の妙だけにとどまらない。シリーズAで13億円を調達し、数万規模のユーザーを抱えるこの急拡大事業を、彼らはなんとたった9名の社員で運営しているのだ。

田中現在の社員数は9名ですが、私たちは単なる少数精鋭ではなく「AIネイティブな組織」を体現しようと強く推進しています。

実は現在のメンバーの半数以上が、0歳から3歳くらいまでの小さな子どもを育てている子育て世代です。スタートアップの最前線で事業を急成長させながら、家族との時間も大切にする。これを気合や根性だけで乗り切るのは不可能です。だからこそ、私たちが目指しているのは「10分の1の業務量で、10倍の生産性を出す」ことなんです。

提供:株式会社タックスナップ

彼らが実践しているのは、個人の裁量による小手先のAI活用ではない。ミーティングの準備から、その後のフォローアップメールの送信、資料作成に至るまで、エンジニアだけでなくビジネスサイドの業務もすべて、AIによる処理も含めたワークフローを組み上げているのだという。「全業務の9割を自動化する」というのを当たり前の基準としている。

この高い生産性を誇るAIネイティブ基盤の上で、彼らはいかにして「直近2年間でユーザー数30倍」というプロダクト・マーケット・フィット(PMF)を果たしたのか。

そのカギは、既存の「会計ソフト」との競争ではなく、別の戦いに転換したという話にある。まず、ユーザーが抱える真の課題、そしてその課題を解消するソリューションの特徴について、徹底的なヒアリングによって言語化を試みた。そこでヒントになったのが“税理士”の存在だ。確定申告において、税理士は不可欠な存在ともいえるのだが……その在り方や構造を深く知ることで、タックスナップのグロースに向けた道筋が見え始めたのだというが。どういうことだろうか?

そしてもう一つ、得られたインサイトを基に開発した新サービス形態においてのプライシングという難しい問題を乗り越えた。いったいどのような考え方で、最適解を見出したのだろうか?

こうした具体的なポジショニング戦略やプライシングについて、非常に示唆に富む実体験が満載の、タックスナップのグロースのストーリー。だが、あえて本記事では伏せさせていただく(詳細をお伝えする特別イベントの案内を確認してほしい)。

現在、彼らはProduct-Led Growth(PLG)と、テレビCMでのマーケティングによって、一気にユーザー数を拡大させる戦略でグロースを続ける。そしてさらなるスケールを見据え、「次なる非連続成長への挑戦」を進めようとしている。

確定申告を入り口に、個人事業主のバリューチェーン全体(見積・請求・資金管理など)へと領域を拡張し、「社会インフラ」を創り上げるのが彼らの次なる壮大な戦略だ。

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9人で急成長できた「グロースの秘訣」を知りたくないか?経営陣と直接対峙する「BizDev登竜門」への招待

日本でも増えているAIネイティブなスタートアップ。だが、そのPMFの裏側が紹介される機会は、まだ多くはない。その貴重な話に触れられる絶好の機会を、FastGrowは今回、企画した。

本記事で紐解いてきた「PMF前夜の大逆転のカラクリ」の謎解きに加え、「次なる非連続成長の壁(インフラ化)」を題材に、タックスナップの経営陣も同席するワークショップを開催。特別ゲストとして、サムライインキュベート時代に田中氏が師事した長野英章氏(現・株式会社Maxeff 代表)にも参加いただく。

直接の壁打ちも可能な実践型ワークショップ『BizDev登竜門』の第1回開催。田中氏も「NDAを結んで、本物の事業数値を公開しながら全力でやります」と熱を込める。これはまさに、MBAの講義とは異なり、今の時代を勝ち抜こうと必死にもがくスタートアップの熱量にも触れられるまたとない機会になるだろう。

田中イベントに参加される方とは、事前にNDA(秘密保持契約)を結ばせていただきたいと考えています。私たちのPMFにつながった意思決定について「答え合わせ」となる数値データや経営会議の裏側など、通常では絶対に出せない情報まで、会場限定でお出ししながら、「皆さんならどうしたか?」「これからどうしたらもっとタックスナップがハイグロースを達成できるか?」をディスカッションできればと考えています。

また、長野氏からも、「不確実性をコントロールする」といったテーマでの、事業立ち上げ期の実践的な思考フレームをご紹介いただく予定だ。

与えられた知識を消費するだけではなく、自らの事業開発スキルを実戦に近い打席で思考実験的に試したい。あるいは、異次元の生産性を誇るAIネイティブ組織の実態を知り、参考にしたい。そんな野心を持つ未来の事業開発人材の参加申し込みを待っている。

こちらの記事は2026年06月26日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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