連載エースと呼ばれた20代の正体──若手のノウハウ大全

成功の種は、いつも思いがけないところに──Seibii赤尾紀明“エースたる所以”

登壇者
赤尾 紀明
  • 株式会社Seibii  事業開発部マネージャー 

2017年に新卒で双日に入社。自動車本部にて、貿易業務や事業会社支援、新規事業開発に従事。その後、NPOや複数のスタートアップ支援の経験。2021年にSeibiiに入社。事業開発部門を推進する立場として営業、カスタマーサクセス、新規事業といったBiz全般の業務を担当。

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会社のなかでひときわ活躍している社員がいる。群を抜いて優秀な社員がいる。そんな“エース”と呼ばれる人間は、いかにしてエースになったのだろうか──。

20代エースの正体に迫る連載企画「突撃エース」の内容を元に、本記事ではそのエースたる所以を考察した。

第10回は、Seibiiの事業開発部マネージャー赤尾紀明氏。新卒で入社した総合商社でビジネスのいろはを学び、その後、NPOや複数のスタートアップ支援を経て、2021年に創業3年で累計10億円の資金調達を果たしたSeibiiにジョイン。エースとしてSeibiiの事業開発を支える彼の思想と仕事術に迫る。

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海外ボランティア、商社、NPO、個人事業主──20代の経験をすべて血肉に変える

赤尾氏のキャリアを支えてきたのはその圧倒的な行動力だ。その片鱗はすでに学生時代からも如実に現れていた。まずはそんな彼の学生時代から今に至るまでの軌跡をたどっていきたい。

生まれも育ちも東京で、多くの選択肢がある中、彼が進学先に選択したのは、大分県に位置する立命館アジア太平洋大学(APU)。生徒の半数が留学生という環境に魅力を感じ、APUに飛び込んだ。

“グローバルが基準”という価値観に触発され、そこでできた友人と話しているうちに海外ボランティアに興味を持つ。そこで真っ先に思い浮かんだのが“アフリカ”だ。その目で、貧困や飢餓に苦しむアフリカの現状を確かめなければという使命感にかられたのだろうか。しかし、物理的な距離の問題からか、アフリカでボランティアをする学生は当時まわりにほとんどいなかったという。そこで、大学1年生の頃にアフリカ支援団体を立ち上げた。

赤尾氏の人生が大きく動き出した瞬間である。

以降、在学中に6回、累計で約1年間アフリカでの活動に勤しむ。滞在中は、危険な経験もあり、死を覚悟した瞬間もあったが、アフリカに対しては他のどの国よりも思い入れが強く、訪れる度に愛着が増していったという。10代後半から20代前半の多感な時期に、多くの価値観に触れた経験は今の彼にとっても間違いなく大きな財産だ。

ダイナミックさと社会に与えるインパクトの大きさが決め手となり、新卒では総合商社の双日を選択。自動車部に配属されて、自動車貿易や事業開発に携わり、ヨーロッパや南米、中国、ベトナムなど世界中を飛び回った。グローバル基準でビジネスに携わることのできる日々にやりがいを感じる一方で、自分の力でキャリアを切り拓く、そんな実業家のような存在に惹かれるようになっていった。

その後、NPO法人であるETICに転職したり、個人事業主として複数社の事業開発支援をする中で出会ったのがSeibiiだった。はじめは個人事業主として携わっていたが、企業としても事業としても伸びしろを感じたこと、自分の手で会社を成長させたいと感じたことから、2021年正式に参画を決めた。

赤尾これまで自分の直感を信じて歩んできました。しかし、それはただ感覚的に自分の道を選んできたというわけではなく、これまでの経験や出会い、日々の考えなどが積み重なって自分の直観力につながったと思っています。

「自分の直観力を信じている」。これは、学生時代より常に様々な経験を自身の血肉に変えてきた赤尾氏だからこその言葉であろう。そんな赤尾氏が持つ仕事術とは如何なものか。早速見ていこう。

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“数百人分”Excelで管理したのは、新たな出会いのタネ

人との“出会い”、価値観との“出会い”など、まだ見ぬ新たな物事との邂逅には、得てして人生を大きく変えるパワーがある。人生を振り返った時に、誰しも一度や二度はそういった経験があるのではなかろうか。しかし、ただ出会いを待っている人と、自分から掴みにいく人とでは、当たり前だがチャンス数の差は歴然。

これまで国内外で多くの“出会い”を経験した彼は、どのように新たな出会いのタネとなる人脈を広げていったのか。その手法を聞いてみた。

赤尾商社に在籍していた頃から、常に自分がまわりに対して提供できる価値は何かと考えていました。職業柄、言わずもがな飲み会が多かったんですが、お酒の席であってもいろんな人の話にしっかり耳を傾けていると、それぞれ興味関心のベクトルが違うことに気づいたのです。

同じ会社に属するメンバーであっても、EV事業に興味がある人もいれば、中古車事業に興味がある人もいる。事業戦略に悩んでいる人もいれば、プライベートで子どものことが気になっている人もいると。

そこで、いろんな人たちの気になる話題やテーマをExcelにまとめ、さらにGoogleアラートで最新情報を収集しながら、「相手が気になりそうなニュース」があれば、「こんなニュースがあるんですね!」と積極的に自分から声をかけていました。

当時彼がExcelで管理していた人数は数百人にも上る。もともと「人に興味関心があり、会話の糸口を探していた」というが、その徹底ぶりには脱帽してしまう。地道な努力が実を結び、着実に彼を取り巻く世界は変わっていった。

赤尾これまで接点のなかった別の部署の人たちともつながりが生まれていきました。「赤尾君、そんなこと知ってるの!」と驚かれたり、逆にそのニュースの背景を深く教えてくれたり。おかげでたくさんの知識が身に付きました。

また、「そのテーマに興味があるのなら、今、新しい事業を考えているからチームに入ってくれないか」とプロジェクトに誘われたり、普通に過ごしていれば手に入らないような大きなチャンスにも恵まれましたね。

                

「その人が今、何に興味関心を抱いているか」「相手に対してどんな価値を提供できるか」。商社時代から培ってきたというこの2つの視点は、今のSeibiiの事業開発にもつながっている。

赤尾どのビジネスにおいてもユーザーの解像度の高さは重要ですよね。特に新規プロダクトにおいては、ユーザーが何を求めているか、また自分たちが提供できることは何かを考え続けることが生命線になってくる。

特にコンシューマー事業はトレンドがあり、ユーザーの興味関心は日々変化していきます。「このサービスが売れる」と思っていても気づいたら売れなくなる、そういった事態を避けるためにも常にユーザーに目を向けることは重要ですね。

CSスタッフと密に連携したり、自らも直接ヒアリングを実施したり、常にユーザーのリアルな声をプロダクト・サービス・チームの改善に活かすことを意識しています。

「サービスが大きくなっても、ユーザーの声を聞き続けたい」という赤尾氏。もちろん、安心安全で、質の高いサービスを提供していくためには顧客理解は欠かせない。とはいっても、業務のなかでユーザーと直接ヒアリングの時間を捻出するのもそう簡単ではないはず。なぜ、彼はそこにこだわるのだろうか。

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誰もやりたがらないところに金脈がある

「誰もやらないことをやる」「些細な仕事でもおろそかにしない」インタビュー中に幾度に渡って発せられたこれらの言葉。どんな仕事でも飛躍のチャンスがあると信じコミットする彼が、このように考えることができるようになったきっかけを聞いてみた。

赤尾「ただのコピー取りで終わるのか、それとも世界一のコピー取りになるのか」。社会人になる前に、ある方から教えてもらったその言葉によって私の意識が大きく変わりました。

例えば、上司が新人にコピー取りを命じたとします。その時に、ただ言われた通りにコピーを取るか、もしくは毎回コピーを2部取っておいて自分の上司がどんな書類を読んでいるのか、一部始終に目を通して情報のインプットに励むか。それだけでも圧倒的に成長度合いが変わる。

つまり、どんなに些細な仕事でも、捉え方と活用の仕方次第で大きな成長に繋げることが出来るのです。その考え方に感銘を受けた私は、新卒の頃からどんな仕事でも「何かプラスにできることはないか」「オリジナリティは出せないか」と考える癖がつきました。

同じようにビジネスの種は思いがけないところから見つかる。それを知っていれば、目の前にある仕事への向き合い方が変わると彼は続ける。

赤尾時には「面倒だな」「やりたくないな」と思う仕事もあるかもしれません。しかし、実はそれが案外重要な事業の種だったり、顧客インサイトに気づき、次のビジネスに繋がるといったこともあります。何事にも抵抗感を持たずに「まずはやってみよう」というフットワークの軽さを大事にしています。

他の人が「やりたくない」と思う仕事を、“あえて”選んでいく。それは多角的に物事を捉える視点と、その中に価値を見出す力があるからこそ取れる選択肢だ。どこにビジネスチャンスなるものが潜んでいるかわからないからこそ、「まずはやってみよう」というマインドでアプローチしていくことが重要なのだろう。

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“質問力”が事業家を次のステージへ導く

「今は、Seibiiで圧倒的に結果を出して、事業を大きく伸ばしていく時期だ」と語尾を強める赤尾氏ではあるが、そんな彼が今身に付けたいスキルとは何だろうか。

赤尾“質問力”を身に付けたいですね。どんなにいい情報を持っている方と出会っても、それをうまく引き出せるかどうかは、自分が適切な質問ができるかどうかにかかっている。

もし、相手に対して引け目を感じたり、自分に自信がなければ、対等に話すこともできないでしょう。質問力を鍛える上でも「徹底して聞きまくる」というトレーニングが大事だと思いますね。同時に、話を聞いた上で、すぐに取り入れる行動力も大事なスキルです。

また、感性を磨く上では、“人と会う”、“本を読む”、“旅行をする”ことも重要だと思いますね。特に、日本人は読書量が少ないと言われています。読書が大事だなんてことは多くの人が頭では理解しているものの、なかなか時間を確保できていない。私自身、昔は読書が苦手でしたが、大学生になって読むようになり、今でもなるべく時間を確保するようにしています。

人に興味関心を持ち、多くのユーザーとやり取りを重ねながら、自分が提供できる価値を日々思考する赤尾氏。今、最も身に付けたいスキルは何かという問いに「質問力だ」と答えたのも、ビジネスにおいて対話がいかに重要なのか身をもって体感しているからなのだろう。

質問力を武器に有益な情報を積極的に拾い、持ち前の行動力でサービスに反映していく。彼が次に目指すその姿から一体どんなイノベーションが生まれることか、FastGrowでも引き続き注目していきたい。

こちらの記事は2022年06月02日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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