連載エースと呼ばれた20代の正体──若手のノウハウ大全

マーケターは“三方良し”の商人魂に学べ──コンサルから未経験でマーケターへの転身を果たしたナイル平塚直樹“エースたる所以”

登壇者
平塚 直樹

2016年、新卒入社。オウンドメディア責任者とSEO責任者を兼任し、SEOを中心としたコンサルティングの監修を行いつつ、情報発信や教育、高難易度プロジェクトのディレクター担当。その後、モビリティサービス事業部に異動してマーケティング業務に携わる。

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会社のなかでひときわ活躍している社員がいる。群を抜いて優秀な社員がいる。そんな“エース”と呼ばれる人間は、いかにしてエースになったのだろうか──。

20代エースの正体に迫る連載企画「突撃エース」の内容を元に、本記事ではそのエースたる所以を考察した。

第11回は、ナイルの自動車産業DX事業部でマーケターを務める平塚直樹氏。SEOコンサルティングチームのエースコンサルタントを経て、未経験で『おトクにマイカー定額カルモくん』のグロースを担うマーケターへ。ナイルの事業成長を牽引する彼の軌跡と仕事術を探る。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
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コンプレックスで悩んだインターン時代

「コンプレックスの塊でしたね」

インターンとして参画した当時を思い出してそう呟く平塚氏。現在の活躍ぶりからは想像できないが、どうやら真実のようだ。

大学時代はテニスサークルに所属。大手企業の内定も早々に獲得し、このまま人生を難なく歩んでいくだろうと誰もが思っていた。が、なんと本人は内定式直前に辞退してしまう。「このまま大手企業へ入社することが自分にとっていいことなのだろうか?」と感じ始め、心が揺れていたのだ。

そんな彼を案じ、大学の先輩から勧められたのがナイルの前身ヴォラーレだ。もともと就活では大手志望だったが、話を聞くうちに興味を抱き、休学してインターン生として参画を決意。デジタルマーケティング事業部のSEOコンサルタントとして働き出した。だが、最初は周囲の優秀なメンバーに劣等感を感じる日々だったという。

平塚周りはこれまで自分が接してこなかったような東大卒、頭の切れる優秀な方々ばかり。片や僕はテニサー出身で毎日飲み歩いてばかりだった大学生。そんな僕がどうしたらこの中で結果を出せるか。当時はそればかり考えていました。

とにかく周りに追いつきたい──。その一心でがむしゃらに働く。ただ、目の前の仕事に夢中になっているうちに、気づくと周りのメンバーに対するコンプレックスがなくなっていた。なぜなら、彼らもまた自分と変わらない人間だと気付いたからだ。そう、初めからできる人間なんていない。その差はやるかやらないかだけなのである。

成長できる環境にやりがいを感じていた平塚氏は、「まだまだ自分にできることはあるはずだ」と確信し、そのままSEOコンサルタントとして2016年に入社。その後、持ち前のコミュニケーション力を発揮し、着実に実績を積み上げながら、めきめきと頭角を現わしていく。

そして、入社1年目で最多運用額を記録。事業部年間MVPを獲得。入社3年目には、異例の早さでコンサルティングユニットのマネージャーに就任した。その圧倒的な成長スピードには目を見張るものがある。いったいその裏にどんな秘密が隠されているのだろうか。次の章では、平塚氏の仕事術をもう少し深く掘り下げていきたい。

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チャンスは全部取りに行く。
まずはバッターボックスに立つことから

「こうしたい、こうあるべきと思ったことは遠慮せずに主張すべし」。これは平塚氏の肝となる仕事術だ。「こうしたい」という意志には責任が伴うが、自分で意思決定したものはたとえ失敗しても自身の血肉になる。だからこそ、仕事や組織のことで少しでも気になることがあれば、代表であれ、事業部長であれ、積極的に提案してきた。本人も「そういった前向きな姿勢が評価されているのかもしれない」と語る。

ただし、提案は信頼関係があってこそ受け入れられるもの。当然ながら、彼もまた一方的に提案をしているわけではない。シンプルだが確実な方法で信頼関係を構築してきた。

平塚入社2~3年目ぐらいまでは、自分にとってメリットかデメリットかなんてことは一切考えず、周りからお願いされたら、まずはやってみることを意識していました。また、自分のミッション以外のことでも、進んで周りを手伝うようにしてきました。

僕はもともと、知らないことを知ったり、できなかったことができるようになったりすることに喜びを感じるんです。それが僕のモチベーションなので、まったく苦にならなかった。

むしろ、バッターボックスに立たないと、自分がどの球を打てるか、どの球がボールなのかがわかりません。自分の得意なこと、不得意なことを見定めるためにも、とにかく降ってきたチャンスは自ら進んで取りにいってましたね。

まずは、任された仕事をしっかりやり切ること。そして、チャンスがあれば率先して手を挙げていくこと。王道だが、そのくり返しで信頼関係は生まれていく。

そんな彼が、入社4年目のタイミングで突如、SEOコンサルタントからマーケターへの挑戦を決意することとなる。「いったんすべてをゼロにして、自分の未経験領域に挑戦したかった」と語るその真意とは何か。

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SEOコンサルエースから未経験のマーケターへ

インターンで参画して以来、コンサルタントとしてWebマーケティングの戦略から実行までを手がけてきた平塚氏。なかでもSEO施策を得意としてきた。専門家としてメディアで執筆したり、セミナーに登壇したりすることもあったという。

平塚SEOコンサル領域に5~6年もいると、仕事の進め方にも慣れてきて、お客様のWebサイトを見た瞬間に、課題が見えたり、成功までの道筋がわかるようになっていました。つまり仕事が楽にこなせるようになっていたのです。

一方で、このままSEOやWebマーケティングの第一人者として極めていくことに対しては戸惑いもありました。正直、これ以上やっていたら「飽きてしまうかも」という恐怖があったんです。。転職ももちろん考えたんですが、この会社でもっと頑張りたいという思いの方が強かった。

そこで、代表に「新しいチャレンジがしたい」と率直にその気持ちを伝えてみたんです。。新規事業のプロダクトに誘われたのを機に、上流のマーケティング領域にチャレンジする機会をもらえたんです。

ただ雛鳥のように口を開けて待っていてもチャンスはやってこない。だが、本人に意志と覚悟があれば、会社はチャンスを与えてくれると平塚氏はいう。だからこそ、臆することなく新しいことに果敢に飛び込んでいけるのだ。

もちろんマーケティングの専門知識がないなかでの挑戦。現場を知るためにユーザーヒアリングを重ね、隙間時間はひたすら書籍やWeb記事で最新の情報を追いかける日々......。絶えず実践においてもインプット、そしてアウトプットを繰り返していた。

「コンサルティングスキルがマーケティングに活用できたか」という穿った問いに対して「活きた部分と、邪魔をした部分がある」と正直に打ち明けてくれた。まずは、コンサルティングのスキルが活きた点とはなんだろう。

平塚クライアントワークで培ったコミュニケーションスキルがとても役立ちました。基本的にマーケターは単体で動くことはなく、セールスやカスタマーサポートとの協力が必要不可欠。「どういうコミュニケーションを取れば、人は気持ちよく動いてくれるのか」「快く味方になってくれるのか」。これらはコンサルタント時代に常に意識して実践してきました。

当たり前のことですが、コミュニケーションでは相手を否定しない。相手のプライドを傷つけない、喜んでもらう。そういったことが自然とできるのは、コンサルタントとしての3年間のおかげですね。

一方で、コンサルティングの経験によって思わぬ苦労もあったという。

平塚仕事の進め方に慣れるまで時間を要しました。コンサルティングとは、お客様のやりたいことを実現する仕事。相手を否定せずにベストな提案をしたい場合、時には身を引いて、好きなことをやってもらってから「こちらはどうですか」と折衷案を出していくケースも多いんです。

当然、スピードが求められるマーケティングで同じことをしていたらPDCAを速く回すことができません。また、コンサルティンングでは敵を作らないようにあえて“柔らかい表現”を使うことがありますが、それをマーケティングでもしてしまうと誰にも刺さらない中途半端なアウトプットになってしまう。

そういった一つひとつの気づきを経て、最終的には、自分の意志で「こうすべきだ」と判断したものに対して、折れない心を持って貫いていくことが大事だと学びました。

SEOコンサルから未経験のマーケターへ。この根底にあるのは、「新しいことにチャレンジしたい」という平塚氏の意志に由来する。チャレンジ後にどう思うかは、実際に経験をしてから考えばいいだけのこと。もちろん、平塚氏のようにこれまで培った経験則がよくない方向にワークしてしまうこともあるかもしれない。

だが、それ自体“アンラーニング”と言う変化の激しい環境における必須スキルを獲得するチャンスだと捉えれば、どんなことも恐れる必要はない。むしろ喜んで引き受けるべきなのだ。

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自分の強み“SEO”を活かした事業戦略を推進

マーケターになって早2年。タレントを起用したCMのプロモーションをはじめ、認知度調査、定性調査などマーケティングの上流から携わる案件を手がけてきた。そして、今年29歳となった彼にある心境の変化が訪れる。

平塚マス領域やマーケティングの上流となると、なんだか大そうなことをしている気持ちになるんです。しかし、それだけで成果を出そうとすると限界もあって。自分が得意だったSEOの知見もうまく活用し、Webメディアを起点に顧客獲得ができないかと考えるようになりました。

そもそもナイルが『おトクにマイカー定額カルモくん』というサービスで扱う「車の購入体験」はそう頻繁にあるものではありません。なので、Webサイトに来てくれたお客様と長い期間かけて関係構築をしていくことが大事だと考えたのです。実際に継続的なメディアでの発信によるナーチャリングを2〜3ヶ月間取り組んでみたところ、カーリースの申し込み数が激増し、その後月間MVPを獲得することができました。

「自分の強みであるSEOを活かしてマーケターとしてさらなる進化を遂げていく」と決意した平塚氏に、今後のキャリアの目標について聞いてみた。

平塚実はキャリアの目標は特にないんです。僕の20代は、かつて自分が思い描いていた未来とはまったく違うものになりました。おそらくこの先、30代、40代も、今と同じように目の前のことに夢中になって道を切り拓いていくのだと思います。

けれど、商売の前線にいつでも立っていたい。マーケティングは商売です。その中には、決してきれいごとだけじゃなく、泥臭い部分もありますが、それを含めて僕はマーケティングの面白さだと感じます。

これからも現場の前線に立って、お客様が求めるものを提供し、一方で利益の追求も忘れない。そして、もちろん社会にも大きなインパクトを与えていく。そんな“三方良し”の商人魂を忘れずにいたいです。

インターンでナイルに入社したのが22歳。当時は、周りの優秀なメンバーに圧倒されてコンプレックスを感じることもあった。しかし自ら強い意志で爆速成長を重ね、今やナイルの事業成長を牽引するエースとして大きな存在感を放っている。そのナイルも昨年の2021年1月に総額50億円超の資金調達を行い、さらに事業を拡大させていくフェイズに突入した。彼がナイルの急成長の“起爆剤”となりうるか、今後も目が離せない。

こちらの記事は2022年06月15日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

山田 優子

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