連載エースと呼ばれた20代の正体──若手のノウハウ大全

全く想像できない、そんな道を“あえて”進め──Retty飯田悠斗の“エースたる所以”

登壇者
飯田 悠斗

2019年Retty株式会社にデータアナリストとして新卒入社。「Retty」のプロダクトグロースに向けた意思決定支援に従事し、新人賞を受賞。
以降、アナリスト時代の経験を活かし、初の全社開発プロジェクトである民間一体型のキャンペーン「Go To Eat」のグロース責任者を担当。プロダクト開発、セールスを含めた全体の戦略策定・実行を牽引。入社3年目でプロダクト部門マネージャー兼PdMとして、プロダクトグロースに向けた戦略策定・実行を担当。

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会社のなかでひときわ活躍している社員がいる。群を抜いて優秀な社員がいる。そんな“エース”と呼ばれる人間は、いかにしてエースになったのだろうか──。

20代エースの正体に迫る連載企画「突撃エース」の内容を元に、本記事ではそのエースたる所以を考察した。

第5回は、Rettyでプロダクト部門マネージャー兼PdMとして活躍する飯田悠斗氏。エンジニアからPdMというキャリアパスが多く見られる中、データアナリストからPdMになった飯田氏。彼の仕事に向き合う姿勢を見ていくうちに、自分の可能性を広げられるキャリアの歩み方が見えてきた。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
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分析の「ぶ」の字も知らない」。
ただそれは「やらない理由」にはならない

目指したいビジネスパーソン像をイメージし、キャリアパスを描く。そこから逆算し努力することで、確かに目指す先に行きつくことはできるかもしれない。

しかし、あえて見方を変えると、自分で考えた道のりを辿ることは、己の想像の範疇に収まる程度の飛躍に留まってしまうともいえる。自分では全く想像できない、そんなところにもっと輝ける場所があるかもしれないにも関わらず、だ。

「何かを選ぶときには、自分が想像できない道を選ぶ」。そう言い切るのが、飯田悠斗氏だ。2019年に新卒入社し、現在はPdMとして活躍中。未経験でデータアナリストのキャリアをスタート。内定者インターン時代と合わせ、2年ほど経験を積んだのち、心機一転PdMの道をゆくことなる。一般的にはエンジニアからPdMになるケースが多いなか、いかにしてデータアナリストからPdMへの転身を果たしたのだろうか。その秘密を解き明かすには、まずは飯田氏という人間の人となりを理解する必要がある。

もともと、行動力があるタイプだったという飯田氏。大学時代はアフリカへのインターン、友人とのアプリ開発など、持ち前の社交性を活かし幅広い分野に興味を広げ活動していた。

Rettyへ入社を決めたのも「当初、全く想像できなかった」と振り返るのも当然。その出会いは、就職活動を通じてではなかったからだ。開発中のアプリの実装に困っていたとき、偶然開催されたエンジニア向けイベントに足を運んだその場で、興味を持ってくれたRettyのメンバーにスカウトされたのだ。

飯田自分たちで作ったアプリが上手くいかなかった一方、当時のRettyはおそらくMAUが4,000万弱ぐらいありました。どういう意思決定をしたらそこまでのグロースをさせられるのか、そのためにどうデータを活用できるのか、気になって仕方なかったんです。

ただ、まさかファーストキャリアにデータアナリストを選ぶなんて全く想像していなかったですね(笑)。だからこそ、魅力を感じ決意したのです。

あえて想像できない道を行く、実に彼らしいスタートだ。とはいえ「分析の『ぶ』の字も知らない」ところから、いかにしてPdMにまで登り詰めたのだろうか。

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PdMを目指してはダメ、「PdMならこう考えるだろう」が昇進の最短ルート

データアナリストが一体どんな仕事をしているのかご存知ない方も多いだろう。大きく5つのステップに分けられると飯田氏は語る。

  1. 問題設定
  2. 何を解くべきかを設定
  3. 分析により答えを出す
  4. 解釈するためのレポーティングを実施
  5. レポーティング結果を元に意思決定

もちろん未経験からのスタート。最初は何もかもわからない。同社のデータアナリストは、定量分析のみならずインタビューなどの定性的なリサーチも干渉領域だ。とにかくがむしゃらに取り組んだ結果、2年間で明確に三つのスキルを獲得できたという。

飯田1つは、仮説検証力。問題に対し、どういう手段で分析をしていくのかを考える力がかなり磨かれました。

2つ目は意思決定に必要な材料の肌感がつかめるようになったこと。これが結構重要で、営業、CS、PdMなど、さまざまな立場からの分析依頼を受ける中で、どのような材料があれば意思決定ができるのかという肌感がつかめました。

3つ目は、意思決定後の動きをイメージしやすくなったこと。データアナリストの仕事は意思決定の支援までですが、その先、データ出しから生まれるアクションを見られたことは、その後、自分がPdMになったときに役立ったと思っています。

データアナリストは、分析だけをしていれば良いわけではない。飯田氏の言葉を借りるとその役目は「意思決定を支援をする、選択肢の提言に責任を持つ人」だという。

つまり、いくら良い分析ができたとしても、意思決定後のアクションにまでつながらなかった場合、その分析は無駄なもの。「初めからPdMを目指していたわけではない」とはいうものの、既にこの辺りから徐々にPdMとしての視座を身に付けていく。

飯田PdMと二人三脚のような形で取り組むことが多く、お互いの視点から解くべき問題を設定し、ディスカッションを重ねていました。

ここで設定した問題は常に頭の片隅にあり、アクションにつながらない無駄な分析にならないよう、目的に立ち返ることを大切にしていましたね。PdMを目指すのではなく「PdMならこう考えるだろう」を意識し続けたことが今に繋がっていると言えます。

とはいえ、もちろん最初からうまくいったなどということはない。出したデータが意思決定につながらない経験なんてざらにあった。一体何が彼を変えたのだろうか。そのきっかけは上司からのフィードバックだった。

飯田「事業背景や、実際にデータを使う人の立場をこちらが理解できていないと、アウトプットが使われるようにはならない」と言われました。そこから意識が変わりましたね。

具体的な例でいうと、“施策の実行者”と“経営者”が見たい指標は粒度が全く違う。双方の期待に答えるアウトプットを作るため、常に先々の動きを想像し、相手にwowを届けられるように意識していましたね。

また、若手だからと遠慮してしまいがちですが、ガンガン依頼者とコミュニケーションを取るべきです。データアナリストは、「このデータを出しておいて」と依頼されることが多いのですが、テキストだと細かなニュアンスまでは見えてこない。「5分でも10分でもいいので、時間をください!」とお願いし、データ使用の目的や知りたいこと、データがどのようなアクションにつながっていくのかを徹底的にヒアリングすることが重要。期待値調整ができるのはもちろんのこと、手戻りが起きづらくなり「飯田はしっかり仕事をしてくれる人」と認知をとることもできました。

期待値をしっかり把握する、一つ上のポジションの視座を持つ、コトに向かうためには遠慮は不要。飯田氏の発言を抽象化すると、若手が活躍するための仕事術として語られてきたことと通ずる部分が多い。データアナリストという希少な職種であっても、やはりエースと呼ばれる人々は総じて“要点”を押さえている。そう、誰から言われたわけでもなく、だ。

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短期的な成長にすがることなく、目の前の成果を追い求めよ

Rettyは、データアナリストからPdMになるキャリアパスを強く推奨しているものの、たった2年という短期間でPdMにまで登りつめた飯田氏。

「もともと意思決定をする側になりたかった」とは口にするものの、どのタイミングで挑戦するのか、また十分とは言えない修行期間に対して不安はなかったのだろうか。神妙な面持ちでその心情を吐露してくれた。

飯田もちろん経験不足や、データアナリストというバックグランドを踏まえると不安もありました。例えば“分析麻痺”の症状に陥ってしまうのでは、などです。データアナリストは正確性が求められる職種です。それゆえに、不要なところまで定義を明確にしようとしにいってしまったり、すでにアクションできるはずなのに、さらに確実性を上げようと時間をかけてしまう状態に陥りやすい。

ただやはりここでも「未知なる分野への挑戦心」、そしてなんと言ってもRettyに入社した最大の動機でもあった「どんな意思決定をしたらサービスを伸ばせるのか」への探究心が自らを奮い立たせました。

若手ビジネスパーソンは“自らの成長”に注力するあまり分かりやすいスキルの獲得を目指してしまうことも多い。実は、「会社や事業を伸ばす」「成長ではなく成果にコミットする」ことの方がより成長に繋がることに気づきにくいからであろう。

飯田目の前の成果にフォーカスすると、きちんと“正しい努力”ができているのかどうかのフィードバックを得やすいと思っています。自分の成長ばかりにフォーカスすると、成果には必要のない要素まで身に付けようとしてしまう。私が2年でPdMになれたのも、かっこいいデータサイエンティストになりたい、ではなく結果を追い求めたから。

多くのことに手を出すのではなく、素早い意思決定に繋がりやすいクロス集計や四則演算、因数分解などの学習に時間を集中投下することができました。

成果にフォーカスすることで、より必要なスキルを見極めた上で数をこなすことができる。それが昇進や新たなチャレンジをよび、ひいては自らの成長への近道となる。「とにかく成長しなけば」と慌ててしまっている若手はまず目の前の仕事で成果を出すことに集中するのがよいかもしれない。

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成長の踊り場は、自分で切り抜けるしかない

未経験からデータアナリスト、そしてPdMへ。重ね重ねにはなるが、このキャリアの歩み方の根底にあるのが、飯田氏が重視している「自分の想像できない選択肢を選ぶべし」という考え方だ。人間が持つ想像力は美点のように語られるが、キャリアにおいて、それは時として自分の可能性を狭めてしまう柵になり得ると飯田氏は見ている。

飯田仕事で成果を出し、信頼を得られるようになってくると、さまざまな仕事の話が社内から持ちかけられるようになっていきます。中には大きな仕事の話もあり、不安に襲われることもあるでしょう。その不安の原因の一つひとつは、実は想像できないからであることがほとんどなんです。

想像できないから、自分にはできるかどうかわからなくて不安になる。不安になるから、今は別の仕事をやっているから、やらない方がいいんじゃないかと二の足を踏む思考に陥ってしまう。実際、私もそうしたマイナス思考に陥ることがあったなと思っています。

しかし、不安になる要因が、「自分がうまくできるかわからない」なのであれば、チャレンジした方がいい。あえて、想像できない道に進んだ方がいいと考えています。

チャンスがあれば、率先して手を挙げるようにしてきた。PdMになったときにも、この「想像はできないけれど、やってみる」マインドがあったのだという。

とはいえ、やみくもに想像できない選択肢を選ぶことはできない。やはり、まずは今の仕事で成果を出すことが第一だろう。与えられた責任の範囲内で成果を出すことが、周りからの信頼につながる。その繰り返しにより、自分の意見を通しやすい環境や新たなチャレンジをしやすい状態が作られていくのだ。

ただここで留意したいのは、成果を出していれば必ず評価されキャリアアップにつながるわけではないということ。キャリアを人任せにせず、自分自身で成長できているかを把握し、時には自ら次のポジションに向けてアクションを取ることも大切だ。

飯田意識しているのは、「いま自分のいる場所は、成長の踊り場になってしまっているかもしれない」というアンテナを張ること。今の仕事をやり続けていても提供価値を上げられないと感じたら、自分から新たなポジションを打診するようにしてきました。

データアナリストからPdMになったのは自分からの打診ではありませんでしたが、政府が主導したGo To Eatプロジェクトの責任者になったときは、自ら手を挙げました。ちょうど、データアナリストとしてやっていくだけで本当にいいのだろうかと悶々としていた時期だったんです。

「仕事をする上で、好奇心を非常に大切にしている」一貫してこの信念を曲げない飯田氏。好奇心をベースに、想像できない選択肢をあえて選ぶ。その繰り返しにより、自分ができる領域が自ずと広がっていく。成果にフォーカスしているとしながらも、自然と自身の成長にも結び付いていくマインドを持っている。それが、飯田氏がエースたる所以なのかもしれない。

こちらの記事は2022年05月19日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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