商品開発のあり方や、購買体験をアップデートする──10年後、10Xの『Stailer』が社会にもたらすインパクトとは

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インタビュイー
矢本 真丈

2児の父。丸紅、NPO勤務、ECスタートアップ、メルカリを経て、10Xを石川氏と共同創業。育休中に家族の食事を創り続けた原体験から、食の課題を解決するプロダクト『タベリー』(2020年クローズ)などの開発を経て、チェーンストア向けECプラットフォーム『Stailer』を開発・運営する。

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イトーヨーカドー、ライフなど全国各地に店舗を持つ小売事業者のDXを支援する『Stailer(ステイラー)』。新たにECを開始する際に必要な、データベースやエンドユーザー向けのアプリ、分析ツールといったシステムを提供しており、利用者は大きな初期投資を必要とせず、規模の大きなEC展開に挑戦することができる。

『Stailer』を提供する10Xを率いるのが矢本真丈氏だ。丸紅、NPOにてプロジェクト責任者を務め、スマービー(現・ストライプインターナショナル)にてママ向けEC『スマービー』の責任者を経験、メルカリ/ソウゾウにてPdM(プロダクトマネジャー)として活躍した後、株式会社10Xを創業し、今に至る。

BizDevやPdMとしての知見や経験も豊富な起業家である矢本氏だが、10Xではどのような価値観を大事にしてプロダクト開発を行っているのだろうか。また、「目指している未来から考えると、完成度は0.1%」と語られる『Stailer』は今後どのような展開を予定しているのだろうか。

10xを創る──転じて「非連続成長を生み出す」ことをミッションとする、10Xという組織のあり方と、『Stailer』が目指す未来について聞いた。

  • TEXT BY RYOKA MATSUDA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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プロダクト開発をリードするBizDevとPdM。
その仕事の面白さと役割の違い

献立アプリ『タベリー』や自社運営のネットスーパー『タベクル』をはじめとして、数々のサービスを考案し、世の中に生み出してきた矢本氏。彼にとって、事業をつくり、サービス/プロダクトをリリースする魅力とは一体何なのだろうか。

矢本魅力は大きく分けて2つで、1つ目は “自分が考えた仮説を世の中に問えること”ですね。ゼロから新しくプロダクトをつくる際には、まず初めに自分が見つけた社会課題に対してどんなプロダクトをつくれば、ユーザーと自分が抱く課題を最も本質的に解決できるかを考えます。「解くべき問題は何か」「課題の本質は何か」。考えた先に立てた仮説が正しいかどうかを、プロダクトリリースという形で世の中に直接問いかけることができるのは大きな楽しみだと思います。

もう1つは、「プロダクトが世の中に生み出した差分をフィードバックとしてダイレクトに受け取れること」ですね。僕自身のプロダクト開発との関わり方は会社のフェーズとともに変化し続けていますが、未だに自分が世の中に起こした変化を日常の中で、手触り感を持って感じることは大きなやりがいの源泉となっています。

プロダクトづくりの醍醐味とは、社会課題に対して、プロダクトという形で解決策を世の中に提示できること──。だからこそ、プロダクト開発に携わる人材に必要なマインドセットもまた、課題解決への真剣な向き合い方だという。

矢本PdMあるあるで、新人が先輩に「200個くらいアプリ入れて常に触って試してみたほうがいいよ」って言われることがあるじゃないですか。それってあんまり価値がないと思ってるんですよね。アプリをただ触るだけじゃ、表層的なUIやAPIのレスポンスなどしかわからない。

考えないといけない部分はそういった表層的なことじゃないと、僕は思っています。「このプロダクトはどんな人の、どんな課題を解決しているのか?」「他のプロダクトと比較した時に、選ばれている理由は何?」といった点を当然のように理解しないと、プロダクトをきちんと設計してつくれるようにはなるのは難しいな、と。

例えば、Amazonは素晴らしいプロダクトだと思いますけど、UIだけを見た時にその素晴らしさを理解し切るのは難しいじゃないですか。それは、コマースにおけるユーザーにとっての一番の価値が、UIの美しさやわかりやすさではなく、「速く、安く、イイモノが届くこと」だからなんですよね。

UIなどの目に見える価値はもちろん重要ですが、それ以上に、ロジスティクスやサプライチェーンマネジメントなどの「目に見えない価値」に高度な投資をしている。特に、需要の予測や、それに基づく在庫のアロケーションについては世界で最も緻密にデザインされており、だからAmazonの配送は早く正確です。そのためのテクノロジーを全力で研いでいるのだと理解しています。またこの結果としてAmazonプライムという新たな付加価値が生み出されるといったサイクルが創られています。

つまり、矢本氏の考える“プロダクト”とは、スマホアプリやウェブページといったものだけでなく、裏側にある「流通網の構築」や「パートナー企業との間の契約内容やオペレーションコントロール」まで含む、ということだ。

矢本だからこそ、プロダクトをつくるマインドセットとしては、とにかく “顧客に向き合い切ること”が大事なんです。誰のどんな課題を解決すべきか、そのために、プロダクトの表層だけでなく深層(裏側)まで含めて捉え、どこにどのようなリソースを投資すべきかを誰よりも考えることが必要だと思います。

ユーザーの課題に対して、プロダクトで課題解決を図る。その営みを率いる役割として、BizDevとPdMの両方が頭に浮かぶ人も多いかもしれない。実際に役割分担が曖昧になっている会社も多いのではないだろうか。その役割の両方を経験してきた矢本氏が語るのは「お互いに良いとこどりをし合うのが良い」というような指摘だ。

矢本BizDevとPdMは、かなり近しいスキルやマインドセットが求められると思います。行う業務の分解点もどんどん曖昧になるケースも増えているのではないでしょうか。一方で、違いもやはり明確にあります。それはミッションの差分ではないかなと思います。

BizDevのミッションは、事業の機会を探索し、会社に最適な形で括りだすこと。これがメインです。その機会に対して「プロダクトがきちんと課題解決できているかどうか」のFit&Gapを記述し、フィードバックする責任を持ちます。一方でPdMは、BizDevや経営によってある程度特定された事業機会の中で最も価値があるプロダクトとはなにか、を記述し、実装し、生々しい課題解決に取り組むことになる。

だから、開発の現場を見たことがないBizDevはプロダクトへのコミュニケーションを学ぶ必要がありますし、PdMは、プロダクトがきちんと事業機会に対してフィットしているかどうかを見極められるように外部環境を学習する必要があります。

いずれも、相互に関わったり、領域を超えていったりする必要があると思います。ただ、それぞれの領域に向き合う時間や意識の割り振りには違いがあり、その差分が会社のできることを増やしていくと思います。BizDevが事業機会の模索や、市場・パートナーなどの社外に向き合っている時間が7割、プロダクトが3割だとすると、PdMはその逆で、外部に3割、プロダクトに7割意識を割いてるイメージですね。

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リリース直前のサービスをストップ。
そこから見えた “10Xらしさ”

10Xという会社名には、“10x≒非連続な価値 の社会実装を目指す” という意味が込められている。非連続な価値を生み出すために、どのような文化が根づいているのだろうか。矢本氏に話を聞いていくと、意外にも “途中でやめることを厭わない”姿勢が見えてくる。

矢本”10Xらしさ” を獲得したエピソードを話すとしたら、リリースしようとしていたサービスの開発を途中でやめたことかもしれません。現在のネットスーパー事業に進出する前に、『タベリー』の中で、献立を栄養士さんに相談できるサブスクリプションのビジネスをはじめようとしたことがあったんです。

今思えば、新たにネットスーパー事業のためのプロダクトをつくるほうが、明らかに事業インパクトが大きかったんですけど、参入にかかる時間やコストなどハードルも高くて、安易な課金プランに逃げようとしてましたね。でもやっぱり、リリース予定日直前になってやめました。

当時の開発メンバーには申し訳なく思いますが、今となってはそれが、本当に出さなくてよかったと思えています。会社のリソースがものすごく限られている中で、本当に10xするために必要な事業に取り組まなければ、目指している成長は絶対に起きないと改めて気づかせてくれた出来事です。

プロダクトや機能って、リリースした瞬間に一部は必ず負債になります。リリース後に運用改善しなければならない技術的負債と、サービスを閉じる際に利用してくれたお客様に説明責任しなければならないという顧客信頼への負債、この両方があります。

だからこそ、本当に必要なものだけをつくることにフォーカスしなければいけないですし、本質的な非連続成長を生み出せないと後に判断すれば、つくりはじめたものに固執してもいけない。この経験は、「自分たちは10xするものをつくりたいんだ」というマインドセットを組織が再確認できた経験だったと思います。

企業や新規事業では「失敗にもめげずに、続けることが最重要」という指摘が多いが、矢本氏が強調するのは「きちんと将来を見据えて、続けるかやめるかを考えることが必要」という点だ。リリース直前のプロダクトの価値すら常に疑い続けながら、本当に社会に必要なものをつくっていく。その上で失敗を経験すると、より強いチームやプロダクトができていくのである。

矢本これらの過去のプロダクトが、振り返れば失敗に終わっていたとしても、意味がなかったわけではありません。打席に立った数によって、今の自分たちの思考やプロセスの精度が上がっていると自覚できています。リリースはしなかったですけども、そのプロダクトを作る前と後では、作れる『Stailer』の精度は違うと思いますし。

大事にしているのは、 “正しさより納得感”。間違わずにいつも正しいことを狙うよりも、失敗しながら学習し、全員の納得度を揃えながら前に進む速度を上げていく。こうしてコンテキストが揃ったチームはミスをもう二度としないばかりか、意思決定の精度が個人ではなくチームで担保できるようになり、長期で見ると、会社としてたどり着けるステージが高くなると思っているんです。

『タベリー』をはじめとして、一見うまくいっているように思えるプロダクトや機能だろうと、「10xを創る」というミッションから常に逆算してその価値を問い直す。その繰り返しの中で産まれたのが、『Stailer』という現在の事業なのだ。

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市場が熱望するネットスーパー。
『Stailer』が参入ハードルを下げていく

複数のプロダクトや新機能開発を経て、矢本氏らがたどり着いた事業構想だからこそ、その本気度も窺える。2021年7月にはシリーズBラウンドで既存投資家のDCMベンチャーズとANRIから計15億円を調達し、事業展開の勢いを加速させている。

とはいえ「ネットスーパーと言うが、要するにECだろう」という冷めた見方もなくはない。ECビジネスといえば、ITバブルの頃からすでに存在しており、すでに長い歴史を持つ事業モデルだ。

生鮮食品を主に扱うスーパーマーケットのECビジネスが何年も広まらずに来ている日本において、なぜ今更になって、プロダクト開発におけるさまざまな知見を持つ10Xのメンバーが、「最先端の技術を応用したプロダクト」ではなく、誰もが知る「EC事業」のプラットフォーム開発に乗り出したのだろうか。

矢本誰もが身近に感じるイシューに向き合うことでこそ、世界を変えられる、10xすなわち非連続成長を実現できる。そう考えています。

市場を最も成長させているのは、お客様が求める買い物体験が変わってきたことですよね。実際に僕らは複数のパートナー企業に『Stailer』を導入していますが、彼らのECサイトのトラフィックや購入データを見ていると、需要が伸びていく勢いがここ最近はすごい。ネットスーパー事業者側の供給に対して、需要が溢れつつある状態です。逆にチャンスロスが起きてしまっている。

この分野において僕たちはどこの企業よりも、この課題感を直に感じ取っている自負があります。どこで誰が何を目的として、人々が大量にネットスーパーに駆け込んできているかを、僕自身もビシバシ感じているので、責任感を持って、この市場を伸ばそうとしています。

急激に上昇しているユーザーのニーズ。ただし、日本の現状は世界に大きく遅れを取っているそうだ。その中で、10Xとともにネットスーパーに取り組んでいる企業は、既に成長を遂げはじめている。

矢本コロナ禍の影響を受けて、確かに日本でもネットスーパーは成長しましたが、成長率は2桁%前半です。しかしイギリスやアメリカ、中国に目を向けると、「オンライングロッサリー」というサービス領域名が浸透し、この1年間で約200%、つまり市場自体が2倍で成長している状態です。

ただし、日本でも個社に目を向けるとネットスーパーに適切な投資をしている企業はものすごく成長している。例えば、我々のパートナーでもあるライフさんは、実店舗の売上高成長率が~10%程度なのに対して、ネットスーパーはこの5年の年平均成長率(CAGR)が50%を超えます。ユーザーのニーズに応えて投資ができている会社は、きちんと成長している。

大きく成長する市場があるにも関わらず、どうして日本のネットスーパービジネスは、海外に比べてたった数十分の1程度しか拡大できていないのか。そこには3つの大きなハードルがあるという。

矢本最初にハードルになるのは “在庫の管理” が新たに必要になることです。実は、実店舗においては管理が非常におおざっぱなところもあるんです。「商品棚にある程度の数があればOK。少なくなってきたな、というところで発注する」というように。細かな管理をしなくても、実店舗における売買はある程度うまくまわっていきます。それに、生鮮食品は並びが変わるサイクルも早ければ、値段の上下も多い。このことも、高度な管理をあえて避ける理由になっています。

しかしネットスーパーでは、「明日のこの時間にはどの商品が揃っているか」「○○という品は何個あるのか」「値段をどのように変化しているのか」といったことまで全てを管理する必要性が新たに出てくる。そうでなければ、同時多発的に生じるお客様からの注文に対応できません。想像するよりもはるかに多くのチャレンジが必要になるんです。

また当然のことですが、新たなサプライチェーン構築も必要です。店舗サービスであれば、棚に並べた商品をお客様が自身でピックアップして決済し、持って帰ってくれるセルフサービスですが、ネットスーパーはフルサービスです。商品のピッキング、温度管理や仕分け、配達という業務が、新たに店舗側で発生します。

最後は、配送システムですね。配送先から逆算して、どの商品をどの順番でどの箱に詰めていくか計算しなければならなかったり、配送枠を管理する必要があったり。これらを全て計算し、システム全体を矛盾なく運営していく事が必要。

全て満たせた上で、やっとネットスーパー事業を立ち上げることができる。ものすごく高いハードルがありますよね。『Stailer』は単純に言うと、そのハードルの高さを解決しようとするプロダクトなんです。

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「SaaSとSIer、兼ね備えたサービス」
だから、パートナーの信頼が強い

スーパー側にとって、新たなオペレーションに加え、Webサービスをつくるのは、かなりハードルが高いということがわかった。日本ではSIerが担ってきたような事業とも言えるだろう。これまでtoCのWebサービスをいくつもつくってきた矢本氏や10Xのメンバーにとっても、大きな挑戦となる試みだ。

だが、だからこそ、模倣されにくく、社会を非連続成長させることができるポテンシャルを持つ事業となる。『Stailer』が唯一無二の価値を提供する所以は、ここにある。模倣されにくい秘密は、SaaS型のビジネスモデルと、SIer型のビジネスモデルの兼ね備えたサービスにしている点にあるのだ。各パートナー企業に徹底して伴走し、開発の責任を全面的に負いつつ、現場のイシューを抽象化して汎用化に向けた機能開発を続ける。

矢本イトーヨーカドーさんからネットスーパーを任せてもらえるに至ったのは非常に光栄でしたが、同時にはっきり決めたのは「受託にはならないぞ」ということです。SIerさんたちのような完全にローカライズさせた開発もできたのですが、それでは将来の10xにつながりません。

『Stailer』は、すべての小売事業者様にとってのパートナーとなるポテンシャルがある、そう思って事業をやっています。そのためには、イトーヨーカドーさんに徹底して寄り添うことも必要な一方で、個社で得られたノウハウを将来に向けてプラットフォーム化していく必要もある。その中でたどり着いたかたちが、汎用プラットフォームを提供するSaaSのようなモデルでありつつ、事業環境の異なる個社事情にも対応する、そしてその割合を最小化していくような、SIerとSaaSの良いところをバランスしたビジネスです。

妥協せずにこの道を追求したおかげで、多くのパートナーのニーズを満たせるようになりつつあります。このスタンスへの期待から、さまざまな小売事業者様から連続してお問い合わせをいただけるようになっています。

矢本氏ら経営陣も実際にスーパーに足を運び続け、現場の知識を学びつつ、改善を積み上げている。このようにして、プロダクト・サービス開発のプロたちが『Stailer』というプラットフォームをつくり、それを小売のプロに提供することで、日本の小売店のEC化に“10x”をもたらしていくのだ。

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『Stailer』で商品開発も、小売のあり方も変えられる!
10年以上かけて拡張し続けるプラットフォームを目指して

日本のEC市場を担うプロダクトとして成長を続ける『Stailer』。しかし、その完成度を聞くと、たったの「0.1%」と矢本氏は真顔で答える。

矢本toBサービスとしてみると、徐々に目指していたプロダクトを作れてきたかなという感触もなくはないですが、toCサービスとしてみるとまだまだ目指している状態には程遠いですね。

僕らが『Stailer』という事業で目指しているビジョンは、日本中のチェーンストアをオンライン化して、日本中の人が当たり前のように、ネット上のスーパーやドラッグストアで買い物をしている状態。

「雨が降ったから今日の買い物はオンラインで」「時間がないからこの買い物はオンラインでしよう」といった選択肢は、この社会にまだほとんど定着していません。こうした選択肢を、しっかりと社会実装していきたいと思っています。

『Stailer』が目指すのは、チェーンストアのDXコンサルになるのではなく、あくまでチェーンストアにとってのプラットフォームを提供すること。『Stailer』というプロダクトを利用さえすれば、様々な企業が簡単にECサービスをスタートできることをビジョンとして掲げている。

さらに、長期的な視点では、プラットフォームの拡張も考えているという。その思想は、toCプロダクトを多数つくってきた矢本氏ならではの発想だった。

矢本僕はこの『Stailer』という事業に数十年単位で長く取り組もうとしています。リソースも限られているので、まずは基本的な体験価値に一極集中して10xな成長をつくっていきたいと思います。ただ、その先にはもっと購買体験全体を便利にできる価値も考えられます。

例えば、お客様の中には食費をシビアに管理されている方も多いですが、多くは複数の家計簿アプリなどを組み合わせて管理されています。そこで、『Stailer』の中で後払い(BNPL)と予算管理を提供し、毎回の決済の手間を省きつつ、常に今月の残りの食費を可視化しながら買い物ができると多くの手間を省けるのではないか、などが仮説ベースではあります。

また事業者向けの価値貢献でいうと、例えば小売事業者だけではなくメーカー向けで、新商品の開発や販路拡大に貢献できるのではと考えています。リアル店舗だと、商品パッケージはお店の棚に最適化されています。だから棚に置けない商品は作れない。しかし『Stailer』によってネットスーパーがもっと広まれば、棚はバーチャルになる分、こういった制約はなくなりますよね。将来的にネットスーパーに特化した挑戦的な商品開発にチャレンジできるように貢献できるんじゃないかと思っています。

そうすれば、エンドユーザーの皆さんにもより良いものが提供されるので、すごくポジティブだと思うんですよね。小売の領域には製造業や金融業など様々な事業領域が隣接しているので、長期的な可能性で考えると、小売りに限らず幅広い事業領域でのプラットフォーム拡張はあり得ます。

限られたリソースの中で、確実に社会を10xさせていく。10年以上かけて、徐々に社会を成長させていこうとする『Stailer』の挑戦は始まったばかりだ。

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小売り経験は全く関係ナシ。
「社会をより良く変えたい」という気持ちだけが重要

ここまでに見てきたような「徹底的に考えた上で、効果的な施策を進めていく」という10Xの文化は、組織づくりや採用にも活かされている。メンバーが効率的かつモチベーション高く働く仕組みが考え抜かれているのだ。

矢本会社と個人が達成したいこと、目標を達成した時に会社と個人が得られるリターン、会社と個人が背負っているリスクを極限まで相関するものにしようと努めてきました。

10Xに来てくれているとても優秀なメンバーに報いるための給与水準を検討したり、信託ストックオプションを準備するなど、企業の成長と個人の報酬がアラインするような仕組みにもチャレンジしています。起業当初から、エクイティを活用した、個人の成長と会社の成長に矛盾がない仕組みづくりに意識的に取り組んできたんです。

それから、一般的に採用では “集客” に注力して、母集団形成を最も大事なゴールにすることが多いと思うんですが、弊社は、個人と会社が気持ちよく働けるかを見定める “マッチング”に多くのリソースを投資しています。

実際の選考過程では、10Xが定めているValuesやDiversity&Inclusion Policyにマッチしているかどうかをお互いにしっかり見極めるための時間をとっています。

10X Valuesの詳細(提供:株式会社10X)

矢本弊社では “トライアル”という採用プロセスを設けていて。1日〜1週間程度、実際に一緒に業務を進めながら、相互理解を深めていきます。そこでValueや働き方にフィットしなければ、入社してもお互い不幸になるだけです。逆に、10Xのカルチャーの中で働くことに違和感がない状態で入社してもらえるならば、長期的に幸せに働ける。

候補者の方・10X双方にとって「重い」フローではありますが、双方の満足度や納得度も高く、10Xにとっては非常に重要なプロセスになっているのでこれからもコミットして注力していく予定です。

採用に関しても、常に改善を実施。10Xの全体像を簡潔に表現したCulture Deckを公開するなど、発信も活発だが「常に四苦八苦しつつ、模索しながら改善を進めている」とのこと。各部門のプロフェッショナルが、絶えずより良いものを提供するためにチャレンジの場を提供し続けるのも、10Xらしさだ。

矢本メンバー一人ひとりの成長にとっていちばん重要なことはなにか数多くを検証する中で理解したのは「機会」以外にないということでした。その人に合ったイシューを括り出してお渡しすることが、一番適切だと思うんですよね。僕らも具体的には、その人のそれまでの経験に照らして“一歩先”となるイシューを定義・提供して、適切なチャレンジを引き出す事を重要視しています。

例えば、最初はスタッフのオペレーション構築をしてください、といった粒度のイシューからスタートしたとして、それがクリアできたら、「このオペレーションを他社にも展開できるように抽象化する」「パートナーのオペレーションだけではなく事業全体をサクセスさせる」といった、より大きなイシューにチャレンジしてもらいます。大きなイシューは会社にとっても重要なことが多いため、経営陣や、シニアなメンバーと一緒に「背中を合わせて(10X Valuesの一つ)」仕事を進める機会も多いです。

そうしたValuesや、イシューをベースとした働き方にフィットしながら、20代半ばくらいでパートナーさんとのフロントを1人で切り盛りしているBizDevメンバーもいます。年齢関係なく、ベンチャー企業だからこそできる、裁量の大きい仕事を任せられていると思いますね。

最後に、こんな疑問を直接ぶつけてみた。「事業構想や社内制度がしっかりしすぎていて、採用ハードルが高そうに見える」「選考応募に二の足を踏んでしまう」という読者が多いみたいだが、どう思うか?と。

矢本氏は苦笑いを見せつつ、「最初はカジュアルに話す面談がスタートなので、まずは『10Xとの間で思いもよらぬ接点があるかも』というような期待も込めて応募を検討してみてもらえると」と語った。その上で、10Xが一緒に仕事をしたいと感じる人物像として、社会を変革していくスタートアップらしい話を披露した。

矢本『Stailer』は小売業界の事業ではありますが、たとえば小売業界で働いてきたとかのドメインにまつわる経験の部分は、今は重視していないんですよね。それよりも、目線が社会に向いているかどうか、こちらのほうがずっと大事。

強いて言うなら、「成長するために10Xに入りたい」というかたよりも、「10Xが提供している機会を通して、私は社会をこうしたい、社会を変えていくことに貢献したい」というかたの方が、長期目線でよりフィットするんじゃないかな、と思っています。

採用ハードルが低い、とは言いませんが(笑)、過去の企業や経験・スキルよりも、バリューフィットと10Xを通じて社会に何を生み出したいのか、という点を重視しています。皆さんが思っているよりも、扉を広く開いていますよ!

10Xは、社会課題の中にある事業機会を明確化し、マーケットを創造しようとしている。そしてミッション・バリューに掲げる通りの緻密さと思い切りの良さで、プロダクト開発を進めている。社会課題と自社技術の間を行き来しながら、社会をより良く変えていく。彼らがつくる、買い物とそれにまつわるさまざまな体験が10x=非連続に進化した未来が、今から待ち遠しい。

こちらの記事は2021年09月29日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

松田 涼花

写真

藤田 慎一郎

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