連載その仕事は、ハイスタンダードか? 「世界を変える」へ一直線、ビットキーの秘密

100戦100勝──創業3年での非連続で多角的な成長の秘訣「営業の仕事は、一緒に価値を創ること」

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インタビュイー
藤井 知貴

2012年に新卒でリクルートに入社、SUUMOの法人営業で活躍後、経営企画や新規事業を歴任した後、エス・エム・エスへ転職。インドネシアの現地法人で社長を務め、人員整理から業績回復まで、経営を幅広く経験する。帰国後、ビットキーにジョインし、住宅向けデジタルコネクトプラットフォーム『homehub』事業の営業部門責任者を務める。

引地 俊光

2012年に新卒でワークスアプリケーションズに入社。新規プロダクトの開発と営業を長く担当する。7年ほど在籍後、同社で関わりのあった江尻祐樹氏・福澤匡規氏・寳槻昌則氏が創業したビットキーに誘われ、転職を決意。2019年にジョインし、オフィスビルへのデジタルコネクトプラットフォーム導入といった法人向け営業の責任者を務める。

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ビットキーはこの8月で創業から丸3年というタイミングを迎える。これまでの総受注額は38億円、売上高は年間で十数億円の単位に達し、今なお成長を加速しようとしている。この急成長を支えているのは、言うまでもなく営業組織の力だ。

その力の源は何なのか。それを探るために、今回、ビットキーのHome事業とWorkspace事業でそれぞれ営業を担う藤井知貴氏と、引地俊光氏にインタビューを実施した。

ビットキーの「営業」は、決して“売上至上主義”ではない。それどころか、売上や受注数は最重要のKPIではない、という。なのになぜ、ハイペースでの成長を創り出せるのか。

一般的に、創業間もないスタートアップの業績は、創業者や創業メンバーなど一部の突出した有力者に依存しがちだし、営業も属人化しがちだ。正直に言えば、深い思考とあらゆる方面で卓越したアウトプットを実践する江尻代表へのインタビューを通じて、「ビットキーもそうなのではないか」という疑念を持っていた。

しかし、実際にビットキーの営業を率いる藤井氏・引地氏の話を聞くと、必ずしもそうではないことがわかる。

顧客企業の組織を徹底的に可視化、分析し、誰に対してどんなコミュニケーションをするのか、どういう段階を踏んで商談を重ねるのか、詰め将棋のごとく先を読んだ営業プランを描き、実行していく営業プロセス。さらには、受注を営業活動のゴールと捉えるのではなく、その先にある「顧客体験」の実現と「価値」の提供を見据えるという「営業」の本質への理解が、ビットキーの営業組織の、チームとしての強さを支えているのだ。

藤井・引地両氏のこれまでの職務経歴も紐解きながら、そんなビットキー流の営業がどのように成立しているのか、実像に迫っていこう。

  • TEXT BY YASUHIRO HATABE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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営業と事業開発、何が違うのか
──営業の役割は「価値を一緒に描くこと」

引地僕は、自分の仕事を「営業」とは思っていないかもしれないです。営業は嫌がるのに「事業開発やりたい」という方がたまにいますが、僕からすると「営業と事業開発、何が違うんだろう」と思うほどです。

営業が何かモノを売るとき、例えば値段が1000円だったら、取引が成立するポイントは買い手が1000円分の価値を感じたかどうかじゃないですか。じゃあ、事業開発の人がどこかとアライアンスを組むときはどうか。それもやっぱり、協業する相手の会社さんがアライアンスがもたらすものに価値を感じてくれたかどうかだと思うんですね。

ビットキーでは「価値を伝える」とよく言うのですが、僕ら自身がやっていることを「モノを売る」ことだとはあまり考えていないところはあるかもしれません。

藤井確かに「売る」と考えてしまうと、私たちが大事にしたい価値をお伝えしきれないまま、先方の御用聞きになってしまって、私たちの提供できる価値とずれたところでの受注になる。なので、そうならないよう私自身、結構意識していますし、メンバーにも意識してもらうようにはしています。

株式会社ビットキー Home事業 法人営業部門責任者 藤井知貴氏

ビットキーでは、この「価値」という言葉が頻繁に飛び交うし、大事にしている。ただ、特徴的なのは、プロダクトの種類が多いことだ。提供できる「価値」が顧客ごとに異なる点に、ビットキーの営業の難しさ・複雑さがある。

引地例えば、フィジカルなプロダクト「A」と、デジタルなプロダクト「B」を組み合わせることによって新しい「C」という価値を生む、そういう考え方なんです。

すると、例えばプロダクト「A」単体の機能とそれがもたらす価値をお客様に正確に伝えられていても、それを他のプロダクトとつなげると、本当にお客様が求めている体験、期待する価値と違うものを提供することになる可能性もある。そこの認識を合わせていくことが重要ですし、徹底しています。

株式会社ビットキー Workspace/Experience事業 事業部門責任者 引地俊光氏

藤井Home事業に関しては、実際のオンボーディングをどう進めるかという運用の例をお伝えしたいですね。営業提案時からかなり緻密に、具体的に利用までの実行プランを詰めるんですよ。例えば、住民向けアプリとしての『homehub』と扉に後付けするタイプのスマートロックを大規模マンションに一括で導入するプロジェクトの場合、これを誰が、いつ、どうやって設置して、住民の方々全員が利用できるようにするのかについては、いくつかのシナリオやパターンがあります。

さらに細かい話ですけど、われわれが代理で設置するケースもあれば、お客様自身で設置いただく場合もありますし、お客様が委託した別のパートナーさんが設置することもある。そういった細かい実行や、具体的な運用フローまでお客様と丁寧にコミュニケーションをとった上で、認識のずれがないようドキュメント化してお伝えし、最終的に合意いただく。そして、われわれのプロダクトが設置、導入され、利用できる状態になって初めて「価値」を提供したことになる。ビットキーではそのように、「顧客体験」や「価値提供」までの具体的な実行にかなりこだわっていますね。

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「自分がやりたかったのは、これだ」
homehubに覚えた“共感”

藤井氏がビットキーにジョインしたのは、2020年11月。それまでビットキーと接点はなかった。2012年の新卒時はリクルートに入社し、『SUUMO』の法人営業に配属された。同年の分社化でリクルート住まいカンパニーの所属になったのを経て3年半、関西で営業を経験する。

藤井この時は、まあよく売りましたね(笑)。その後は東京の経営企画に異動になって、経営企画を2年、さらに新規事業の部門へ異動になって1年半、計7年でリクルートを卒業しました。

そうは言いながらも、新卒入社直後の3年半しか「営業」を主な仕事としていないことを理由に、藤井氏は「営業は得意ではない」と話す。その後、エス・エム・エスに転職し、最初はフィリピン、その後インドネシアに異動となる。インドネシアでは現地法人の社長を約1年務めた。その経験を藤井氏は「めちゃくちゃ良い経験だった」と振り返る。

藤井海外は、もう本当にいろんなことが起きるんですよ。記事に書けることから書けないことまで(笑)。

書けることをお話しすると、フィリピンにいたときに、インドネシア法人にも月1回出張して、拠点縮小のリストラクチャリングの話を進めていたんです。そんなときに、「大型クライアントが取れそう」という話が舞い込んで、リストラの方針を一転させて成長戦略を描くことに。そこで、私もインドネシアへ行って、より本格的にコミットし、最終的には社長として意思決定をしていくことになりました。

社長だったのは1年と少しですが、その新規のクライアントが入ったおかげもあって7カ月で黒字に転じ、さらに半年で成長曲線まで描けて、50名ほどいた現地の従業員の方々の給料をかなり上げることができたのは、よい経験でした。

リクルートでの法人営業から経営企画、新規事業開発、そしてエス・エム・エスへの転職にはどのような理由があったのだろうか。

藤井私は、すでに出来上がったオペレーションを回したり効率化したりするよりは、何かこう、“ぐちゃっ”としたものを整理しながら良くしていく仕事のほうが好きなんです。だから、そういう軸で見てはいましたね。エス・エム・エスに行ったのも、「海外のオペレーションから何から全てが“ぐちゃぐちゃ”なところに行かせてくれる」という理由でしたから。

しかし、インドネシアではその頃、家族の帯同ビザが出にくくなりつつあり、パートナーの出産を控えていた藤井氏は帰国を決意。それを機にエス・エム・エスを辞めてキャリアを見直すことにして、いろいろな人に相談した末にたどり着いたのがビットキーだった。

藤井リクルート時代からずっとやりたいと思っていた事業アイデアがあったんですよ。今の不動産って、資産価値が低減していくことがある意味当たり前になっていることが問題だと思っていて。それに対して、ITを使ってメンテナンス時期をプッシュ通知したり、常にオーナーが資産価値を見られるようにできないかなと思っていたんです。お世話になったVCの方にその話をしたところ、ビットキーの名前を出してくれて。

実はその時、別の会社へ行くことを決めていたのですが、ビットキーに面談を申し込んで、たしか1度目か2度目の面談の時に、資産価値が低減することへの問題意識を話したところ、ビットキーでも同じ課題感を持っていて、「こういう形で解決しようとしている」というものを見せてくれたんですね。それが『homehub』なんですけど。

そんな経緯から、自分のやりたいことが実現できる場所だと直感してジョインを決めました。

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「きっとこういう未来が来る」
ゼロからイチを創る体験

引地氏がビットキーへ入社したのは藤井氏よりも前で、2019年7月のこと。2018年8月の創業から1年経とうとしていた頃だ。前職は、ビットキーの共同創業者の3人と同じワークスアプリケーションズ(以下、ワークス)で、2012年に新卒での入社だった。それからビットキーへ移るまで7年と少し在籍していたことになる。

引地そのワークス時代に、ビットキーの共同創業者3人全員と接点がありました。まず、僕が所属した営業部門の東日本エリア統括をしていたのが福澤でした。ある時から新規プロダクト開発に参画することになり、江尻がプロジェクト責任者を務めていたことから、一緒のプロジェクト計画を立ててもらったり、プレゼンをしてもらったりする間柄になりました。寳槻とは一緒に仕事をしたことはなかったのですが、話をする機会はよくありました。

新規プロダクト開発では、ある特定の業界向けに、基幹業務系システムの新しいパッケージをゼロから企画・構想し、提案する仕事をしていた。提案内容によっては数十億円単位のプロジェクトとなるものもあったという。

ワークスの中でもとりわけ新しいものを生み出し続けられる環境にいたことは、「非常に楽しかった」と引地氏は振り返る。しかし、あるとき経営方針や自分自身の役割に変化があり、「最近、1週間前とやっていることが変わらない」と気づいた頃に、創業者の3人から声を掛けられ、ビットキーにジョインすることを決めた。

引地決め手になったのは、3人と距離が近くて、「彼らと仕事したら楽しいだろうな」と思ったことですね、正直に言うと。

もちろん事業内容の話もしましたけど、どちらかというと、それまでの3人との付き合いの経験から、「彼らなら絶対に成し遂げられるだろう」と思えたことが大きかったと思います。

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営業とは、事業開発。こんなに面白い仕事はない!

そんな経験豊富な2人から、「営業の本当の面白さ」について聞き出したいというのが今回のテーマ。ビットキーの事業に向き合うメンバーの気持ちをきっかけとして、深掘りしていきたい。

引地入社した方が全員、必ず言う言葉に、「こんなに考えて営業したことなかった」というものがあります。

藤井それはホントに、絶対言いますよね。

引地そう、「こんなに考えて営業するんですね」って必ず言うんです。一般的な営業の仕事って、お客様の要望を聞く、見積書を作る、発注いただく、請求する、というサイクルをいかに速く回すかであったり、いかに多くお客様のもとに足を運ぶかが勝負だったりしますよね。

でも僕らは、そうではなくて、1件のお客様に対して深く「考える」ことを大事にしています。

より具体的に言うと、お客様に「価値」を提供できるようになるまでの詳細なシナリオを書きます。どういう段階を踏んで商談を重ねていくのか、お客様とどんなコミュニケーションをしていくのか、営業プランを何手も先まで考え、その上で実行していく。そういうやり方に、強いこだわりを持っています。

だから僕らの受注率って、すごく高いと思います。普通は「10件提案して3件受注すればラッキー」みたいな運頼みの世界だったりしますが、僕らは「選んでもらうのが必然」という世界に持って行こうとする。

藤井10案件があれば10案件を受注しに行こうとしますもんね。私がビットキーに入って感心し、驚きもしたのが、お客様の組織をみんなで「見える化」するのがすごく上手いということです。お客様企業の組織がどういう構成になっているか、それぞれがどういうミッションを持っているか、個々人がどういう役割を持っているか、そこまで可視化しに行くんですよ。

私たちが価値を伝えに行くとき、その伝える先が営業なのか、経営企画なのか、開発部門なのかによって、全然響き方が違います。それを最初に確認してから、適切な相手に適切な伝え方をしに行く。だから「受注するのが必然」になる。

引地ビットキーで「営業って面白い」と感じる人がとても多い背景には、そういう意識や取り組みがあるからだと思います。

そう、「営業は面白い」と、メンバー一人ひとりが本心で語っているというのだ。それは、「営業は、泥臭く、お客様の言うことに翻弄され、目先の目標に引っ張られる」といった、よくあるネガティブなイメージとは程遠い。営業に当たる一人ひとりが、主体的に戦略を描き、それに基づいて責任を持って動くため、やりがいや意義を感じやすいのだろう。

また、スタートアップが提供するBtoBサービスといえば、HR TechやCRMといったコスト削減や効率化を目指すプロダクトを想像する人も多いはず。ところがビットキーが提供するサービスは、それらとは全く異なり、「顧客企業の売上のトップラインを伸ばすためのサービス」なのである。この点も、営業として関わる上で大きなやりがいを感じやすい特徴となっている。

引地業務効率化やコスト削減の提案というよりも、お客様の企業にとっての売上や利益に直接貢献する提案をするんです。メインとなる事業や製品の付加価値を向上させることを目指しています。

お客様の企業の、経営に紐づく重要な意思決定の根幹に関わるということです。それも、誰もが聞いたことのあるような有名な企業を相手に。だから、こちらも既存の価値を提案するというより、将来に向けて描いている世界観も含めての提案を考え抜くことになります。ここも、面白さを非常に感じるところですね。

ちなみに、経営陣の3人も営業に同行することは多いのだという。どのような場合に経営陣が営業現場に登場するのだろうか。

藤井相手の役職に応じて同行するケースはあります。現場責任者の私たちだけでなく、代表ら経営のトップも同席して直接伝えるほうが、演出として有効な場合もあるからです。特に、綿密なシナリオを描くエンタープライズ案件に対してはそうですね。

引地ただ、その場合も「経営陣主導」ではありません。誤解を恐れず言うと、どういう場面で江尻を使うか、どういうお相手には福澤や寳槻が合うか、それぞれタイプが異なるので、それを考える責任はわれわれにあります。

藤井3枚のカードの特性をきちんと理解して、しかるべきタイミングで一番適したカードを切るイメージですね。ちなみに今日、この後の商談では3枚とも出すんですけれども(笑)。

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受注や売上よりも、大切なもの
──「価値提供」とその普及

先ほども触れたが、営業といえば、普通は売上を追う組織のはずだ。それも、目先の受注がうまくいくか否か、あるいは今月の売上目標を達成できるかどうか、といった意識が強くなりがち、というのが今も多くの企業における普通の姿だろう。

しかしビットキーでは、最重視するKPIを売上や受注ではなく「普及数(デバイス導入数・ID登録数)」に置いているのだという。これは、顧客やマーケットへの普及に重点を置いているためだ。前回の記事で、江尻氏が重視すると話していた「インフラ性の獲得」にも通ずる話である。

引地ビットキーのビジネスでは、先ほどもお話ししたように数多くのプロダクトを出しているのですが、われわれはそれを「売る」ことに重点を置いていません。それよりもはるかに重要視しているのが、社会への普及数、つまりマーケットにおけるデバイス導入数や、エンドユーザーのID登録数です。なぜこれをKPIにするかというと、やはり生み出す「価値」にピンを留めているから。

一般的に「売上」というと、注文書をもらって、納品したら、といった会計上の認識で考えることが多いと思います。ですが、僕たちは「売上が上がる」というのは本質的には「価値提供」、つまり「お客様が僕たちの製品やサービスを利用し始めて、価値を感じてもらうこと」だという理解や、メンバーへの教育をしています。

営業である以上、数字は追わざるをえません。ただ、毎月の目標があって、そこに向かって個々人が闇雲に頑張るという感じでないことは確かです。その背景には、われわれマネジメントや経営陣が、目標を達成できる「仕組み化」を図っていることが大きいかなと思っています。

短期的な目線で自転車操業のように数字を達成するのではなく、長期的に達成し続けるために、あるいは目の前の数字に追われず本来の「価値の提案」に注力するために、どういう施策を打っていくかは、経営陣とマネジメントのミッションだと思っています。

最重視しない、というだけで、もちろん売上も受注数も重要ではある。しかし、常に柔軟に、短期的視点と長期的視点を行き来しながら追うべき指標を検討し、施策を選択して実行していく。こうした営業の姿を目指すと言うだけなら簡単だが、すでに全社員が200人を超える組織で実行していると胸を張って言える企業は、そうないだろう。

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ゼロイチの創造も、「型」で再現性を生むのも、営業の仕事

ここで一つ、疑問が湧く。「これだけ理想を追いかけるのであれば、案件を絞って対応せざるを得ないのでは?」と。しかしそう聞くと、意外な答えが返ってきた。引地氏いわく「ホントに驚くほど、日々多くの引き合いをいただいている」とのことで、嬉しい悲鳴の連続だという。それはHome/Workspace事業ともに共通している。

引地1件1件の引き合い、案件を見つけ、提案していくことももちろん大事なのですが、現在では、引き合いを次々にいただけるような「仕組みづくり」自体を進めてもいます。その1つが、大手不動産デベロッパーさんとの資本業務提携です。パートナーさんとは、一緒にプロダクトをつくることもしますが、われわれの営業面にとってのメリットもあります。

例えば、Workspace事業のプロダクトである『workhub』が導入検討される機会というのは、オフィス移転やオフィスリニューアルのタイミングが多い。そこで、資本業務提携によって、そのパートナー企業の営業組織が顧客企業のニーズを察知し、ビットキーに引き合いが伝わって来る仕組みが出来上がるというわけだ。

その具体例は、江尻氏へのインタビューで触れられていた東京建物との資本業務提携だ。東京建物のように、アライアンスのパートナー企業が大手であるほど、その効果は絶大だ。

こうした資本業務提携を結ぶまでのプロセスも、引地氏、藤井氏ら営業の仕事の範疇なのだろうか?

引地アライアンスは、基本的には経営陣およびファイナンスが一体となって進めています。ただ、あくまでも資本「業務提携」なので、全て「協業ありき」なんです。「どうやって協業していくか」の具体的なアライアンスプランを検討して作る場面に、僕や藤井が参加しています。

藤井こんなやり方、普通のベンチャーだと絶対やらないと思いますよ。

引地実際にわれわれと組んでいただいているパートナーさんは大手企業ばかりですが、そうした企業の方々と、「新しい価値を創造したい」という思いを共にして、誰もやったことがない領域の新しいビジネスを、一緒に考えてつくっていけることは非常に面白いですよね。

これを、「営業」の仕事と見るか、別の類いの仕事と見るかは人によって異なるだろうが、少なくとも、ビットキーの「営業」は、ありもののプロダクトを売る一般的な「営業」ではなく、やはり「事業開発」の要素を含むものであるということだろう。そして、冒頭で引地氏が話した「僕からすると『営業と事業開発、何が違うんだろう』と思う」という言葉の意味が、ここであらためて裏付けられたとも言える。

また、この「仕組み化」の考え方は、ビットキーの社内で「型化」と共通して呼ぶ、非常に重要な考え方なのだという。

引地これは営業に限った話ではありませんが、個人の能力や裁量に依存した状態で結果が出たとしても、よいやり方とは思っていないところがビットキーにはあります。仕事はドキュメント化して「型」化していくべきという考えですね。

プロジェクトも誰がやっても同じレベルの高い品質で導入できるようになるべきですし、カスタマーサクセスも同様です。最終的には「型」化だけでなく、テック化していって、精度高い再現性を持たせようというのは、社内の共通認識としてあると思いますし、今後の課題の1つです。

ただ、そのような「型」化が進むということは、極端に言うと、型通りにやれば誰でも成果が出るようになるということだ。そうすると、営業個人の裁量や創造性を発揮する余地がなくなり、面白さを感じられなくなる懸念はないのだろうか。

引地0→1が得意な人、1→10が上手い人、10→100で力を発揮する人、それぞれいると思います。僕自身は0→1が好きですが、全員が全員そうではないはず。そして、創業から時間が経つほど、会社が成長すればするほど、0→1が得意な人だけじゃなくて、1→10や10→100の人が組織の中に増えてくるものです。

だから、ある事業を「型」化まで持って行けたら、それは例えば10→100が得意な人が担ったほうがいい。ビットキーにはこれからも新しいものを生み出し続けるので、0→1が好きな人・得意な人は「型」化した事業とは別に、新たな事業を生み出していけばいいと思います。

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その仕事に「意志」を持ち、「魂」を込めているか

最後に、どのような素質を持つメンバーが、こうした理想の営業活動において活躍するのか、2人の考えを率直に聞いてみた。

藤井いろいろあるんですけど、やっぱり「意志」を持って、主体的に考えて仕事をしていくことが最も重要でしょうね。ビットキーで活躍する人に共通していると感じます。

前々職のリクルートでも主体性や意志を問われる場面がよくありましたが、自分が新卒で入社した後の数年間で問われた感覚と、ビットキーで求められている感覚を比べるとぜんぜん違いますね。お客様の規模感や、やれることの幅広さという意味で、ビットキーのほうが、主体性を発揮して新たな価値を生み出せるチャンスが圧倒的に多い。

だから、自分で考えて物事を動かすことが好きな人にはぜひジョインを検討していただきたいですね。すごく良い環境が整っていると思います。

引地ビットキーのような営業スタイルにフィットする人についての意見は、藤井と同じです。うちだと「意志を持っているか」とか「魂を込めているか」とかよく言いますよね。

僕からもう一つ伝えたいことは、面白さの1つに、フィジカルのプロダクトとデジタルのプロダクト、両方を扱っていることがあると思います。入社前にも知っていましたが、入社してからあらためて「やっぱり面白い」と思いました。

当たり前のことですが、人間はリアルの世界で生きていて、フィジカルなものに触れないということはありえません。そういう中で、お客様もリアル世界の問題を解決するためにいろんなことを求めてきます。そんな時に、デジタルプロダクトしか持っていないとできることが限定されてしまいます。

ビットキーではデジタル/フィジカル両方を扱えるので、お客様の要望に応えられないもどかしさを感じなくていいし、提案できることも幅広い。だから、今いる環境でそういうもどかしさを抱える人がいたら、ぜひチャレンジしていただきたい、とお誘いしたいですね(笑)。

こちらの記事は2021年07月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

畑邊 康浩

写真

藤田 慎一郎

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