INTERVIEW
森下 将憲
17-11-14-Tue

好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする未来を予言し、実践している企業Everforthとは?

TEXT BY CHISA SATO
PHOTO BY YUTA KOMA
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好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする。

そんな自由な働き方を実現しながら、260ものブランドに利用される
クラウドプラットフォームを提供している会社がEverforthだ。

どうしてそんな働き方が可能なのか、実態はどうなのか。
CEOの森下将憲さんに聞いた。

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社員一人しか出勤しないオフィス

訪れたオフィスは、自由が丘の閑静な住宅街にある一軒家。CEOの森下さんの自宅も兼ね、遠方メンバーが宿泊できるシェアハウスでもある。

ただし、取材当日にオフィスで仕事をしているメンバーは森下さんの他に、一人だけ。他のメンバーはリモートで稼働しているという。

Everforthは企業のカスタマーエンゲージメントにフォーカスしたデジタルマーケティングや新規事業開発を推進するクラウドプラットフォーム「Prefer Cloud」をメインサービスにしているベンチャー企業だ。

提供:Everforth/Prefer Cloud - 顧客中心のマーケティングクラウド CRO

現在は主にアパレル業界向けにサービスを展開し、260ブランド、8700店舗以上に導入実績のあるプラットフォームを提供している。メンバーの8割以上がエンジニアというテクノロジーベンチャーだが、最近はそのユニークな働き方にも注目が集まっている。

ダイニングにあるロングテーブルを囲み、寛いだ雰囲気の中、取材が始まった。

森下ルールを作りたくないんです。つくった途端に形骸化するから。

開口一番、森下さんから出てきたのは、まるでロック・ミュージシャンのような言葉。

同社では、勤務時間も出勤という概念もない。働く時間も場所もメンバーの裁量に完全に任されている。結果、自宅で働く人、カフェで仕事する人、子育ての合間に仕事をする人、あるいは決まった時間に出勤し、決まった時間に退社する人など、ワークスタイルはさまざまだ。

森下週1回は定例ミーティングがあり、自由が丘に近いメンバーはオフィスに集まり、遠方のメンバーはSkypeで参加します。また、月に数回はオフィスでバーベキューを開催したり、私の手料理を振る舞ったりしています。

他にプロジェクトごとに重要なポイントでは、半日かけて合宿し、後は懇親会をするなど、要所ではオフラインのコミュニケーションを大事にしています。

でも、毎日同じ人たちと同じ場所で仕事する必要はない。一人の方が集中できる時もある。深夜や早朝に働きたい人もいる。多様な人の集まりで、状況によっても変わるので、画一的に考えることはできません。最適解は常に流動的だと思っています。

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完全リモートでも機能する理由

Everforthでは、森下さんがメンバーのやりたいこと、できること、得意なことを勘案し、モチベーションが上がり、成果が出せるロールをアサインし、メンバーはアサインされたロールで必要とされる業務を推進する。

仕事の進め方は一番高いパフォーマンスが発揮できる方法を各自が考える。サボったり、怠けたりも自由だ。

森下報酬に見合ったアウトプットさえ出てくれば、サボってもいいんです。そもそも時間が自由なのでサボるという概念自体がないとも言えます。ただし、高度な開発をしているので、求めるレベルも高いですが・・・

リモートワーカーとのコミュニケーション手段はチャット。チャットで大抵の物事が進むので、慣れないメンバーは戸惑うこともあるが、やがて自分に必要なメッセージだけを効率的にインプットできるようになるという。

ベンチャーはみんなで盛り上がり、一体感とスピード感で仕事を進める印象もあるが、実際はどうなのだろうか。

森下優秀なメンバーが集まれば常に横にいて仕事する必要はないでしょう。リモートの課題は緊急対応ですかね。後は働き過ぎてしまう人もいるので、特に一人暮らしの人は注意した方がいい。他にあまり問題は感じていません。

よく勘違いされるのですが、我々はリモートワークを推奨しているわけではありません。リモートのほうが成果が出るケースもあれば、顔を合わせて仕事したほうが成果が出るケースもある。重要なことは、流動する最適解を求めて組織が自律的に動くことです。

こうした自由度の高い働き方は、エンジニアが8割という構成と、正社員10名、フルタイムの業務委託メンバーが約10名、フルタイムではない業務委託メンバーが約10名の総勢30名ほどという規模に負うところも大きい。

フリーランスで関わる人も多く、プロジェクトごとにプロフェッショナルのチームを組み、業務を遂行するモデルなのだ。

個人の自律性が求められるワークスタイルだけに、それぞれのモチベーションや成長意欲をいかに保つかが重要になる。

同社では、組織とチームと個人のヴィジョンを明確にし、それを達成するためのステップをゴール 、テーマ、アーティファクトの順に具体化して設定する、VGTAモデルを活用している。

森下「なるべくモチベーション高く仕事してもらうために環境を整えることが私の一番の仕事だと思っています。

具体的には、四半期に1度面談を行い、VGTAを確認し、それぞれの志向性やスキルに合ったロールをアサインしています。仕事ですから業務のすべてがやりたいことというわけにはいかないですし、常に一緒にいるわけではないので、個人的な信頼関係を築くことも大事。そして、組織の論理で仕事を依頼しない。

この組織モデルでは、1人で見られるのは100人くらいまでかなと思っています。それ以上の規模になるようなら分社化すべきと考えています。むしろ、スピンオフでメンバーがどんどん起業していくような会社にしたい」

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仕事をしなくても良い時代をいかに生きるか

そこまで森下さんが働き方にこだわるのは、Everforthが「好きなことを見つけ、好きなことができる世界をつくる」というミッションを掲げているためだ。

その世界を実現するため、まずは会社全体でメンバーが好きなことを仕事にする組織にトライしようとしている。ミッションの背景には森下さんの次のような展望がある。

森下多分今世紀中には、労働という意味での仕事はする必要がなくなるでしょう。ベーシックインカムの必要性も議論されています。

その時に仕事をしなくても、後ろめたさを感じずに、好きなことでやりがいを感じ、承認される世界にしたい。私たちが提供しているのは企業と顧客のリレーションの最適化を図るクラウドサービスですが、将来的には、ヒト、モノ、情報のつながりを最適化するプラットフォームを目指しています。

それは、何かアイディアや好きなこと、やりたいことがある時に、それを表現し、必要としている人と繋げ、居場所をつくるプラットフォームなのです。

つまり森下さんは、誰もがとても好きな趣味を仕事として生きていける未来を見ている。そうなった時のために、誰もが最適につながるプラットフォームを今から準備しているのだ。

これが彼とEverforthが意味するところの「好きな時間に、好きな場所で、好きなことをする」の本質だ。

メンバーの中には、働き方に魅力を感じると同時に、こうしたヴィジョンに賛同して、ジョインする人も多いようだ。ヴィジョンと仕事内容、働き方に一貫性があり、さらに森下さんのパーソナリティーとも合致するからこそ、共感する人々が集まり、自由な組織が機能するよう働いているのだと思った。

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株式会社Everforth 代表取締役CEO 森下 将憲
[文]佐藤 千紗
[撮影]小間 優太

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