連載スタートアップピッチ特集号――FastGrow Pitchレポート

インキュベイトファンドが厳選!
経理・採用のDXにチャレンジする急成長スタートアップが集結──FastGrow Pitchレポート

登壇者
黒﨑 賢一

株式会社BEARTAIL 代表取締役 1991年生まれ。私立武蔵高校在学中から「CNET Japan」などIT系メディアでテクニカルライターとして執筆活動を行う。筑波大学情報学群に進学後、一人暮らしの家計簿作りで苦戦したことから家計簿アプリ「Dr.Wallet」の開発を始め、在学中の2012年にBearTailを共同創業(現・BEARTAIL)。2016年には法人向けサービス「Dr.経費精算(現・レシートポスト)」、2020年には「インボイスポスト」をリリースした。

吉田 崇
  • Thinkings株式会社 代表取締役社長 

早稲田大学卒。在学中にインターン参加していた採用コンサル会社へ新卒入社。その後、双日株式会社へ入社し一貫してIT・モバイル関連ビジネスに携わる。2013年にイグナイトアイを設立し、採用管理システムsonar ATSを提供開始。2020年、経営統合によりThinkingsを設立し、代表取締役社長に就任。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーションを興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。今回は創業期のスタートアップを中心に、起業家にとっての「最初かつ最大の応援団」として、積極的な経営参画と多面的な支援を実施しているインキュベイトファンドとのコラボレーション企画。同社が投資する企業が集結した。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社BEARTAIL、Thinkings株式会社の2社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY HARUKA MUKAI
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インキュベイトファンド
資本と人材の両面から事業成長に伴走する

インキュベイトファンドは、創業期のスタートアップに特化し、投資・支援を行う独立系VCだ。現在は、特にDX、パブリックセクターイノベーション、ディープテックの3領域に注力し、投資を行っている。

資本と人材の両面からスタートアップの成長を支援すべく、コミュニティやイベント、HR支援なども実施。資金調達を目指すシード・アーリーステージ起業家向けの合同経営合宿『INCUBATE CAMP』や、半日がかりで事業相談の1on1を実施する『CIRCUIT MEETING』など、複数のコミュニティの場を提供している。他にも、大学生・大学院生を対象とした、VCに関する講義イベントも実施。

日本のスタートアップエコシステムをさらに盛り上げようと、多様な取り組みを展開している。

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株式会社BEARTAIL
経理部の作業時間を削減するペーパレス経費精算システム

株式会社BEARTAIL

最初に登壇したのは、BEARTAIL代表取締役の黒﨑賢一氏。同社は、ペーパーレス経費精算システム『RECEIPT POST』や請求書の代行受領・データ化サービス『INVOICE POST』を開発・運営している。

RECEIPT POSTは、領収書をスマホで撮り、社内に設置する専用ポストに投函するだけで、経費精算が完了するシステムだ。

申請者側のユーザーは、領収書を撮影するだけで、経費を申請できる。撮影された領収書は、人間のオペレーターがデータ化を代行する。人間の目視によるチェックとシステムの掛け合わせによって「AI以上の精度」を実現していると、黒崎氏は語る。

申請を承認する経理担当者側のユーザーは、そのデータをアプリで確認できる。投函された領収書は、BEARTAILが回収し、点検、提携倉庫での保存を担う。

領収書を撮って捨てるだけ『レシートポスト』ペーパーレス経費精算システム 紹介動画

RECEIPT POSTのシステム設計とオペレーション構築のノウハウを活かし、開発されたのが、INVOICE POSTだ。

INVOICE POSTは、紙の請求書の受け取りから確認、データ入力、振り分け業務などの作業を代行するサービス。経理担当者は、取引先から直接請求書を受け取る必要がなくなり、データはすべてオンラインで一元管理できる。

二つのプロダクトによって、経理業務のペーパーレス化、経理担当者のリモートワーク移行を促し、業務を効率化したいと語る。

黒﨑多くの企業では、経理担当者がレシートの糊付け、請求書を受領するといった作業のため、いまだに出社している現状があります。新型コロナウィルス感染症以降、100社以上にヒアリングをしましたが、「経理担当者はリモートワークができない」という声を沢山聞いてきました。こうした現状を変えていきたいと考えています。

黒﨑氏は、筑波大学在学中の2012年にBEARTAILを創業。「時間革命で体感寿命を延ばす」をミッションに掲げ、個人向け家計簿アプリ『Dr.Wallet』をリリース。 150万人のユーザーを集めていた。

一般家庭のレシート管理から企業の領収書、請求書管理へとサービスを横展開してきた同じ社。「一番レシートを集めている会社」という強みを生かし、今後の展開を描いている。

黒﨑企業の領収書や請求書は、いわば購入の意思決定のログです。それを蓄積していくと、企業が何かを購入したいときにアドバイスができるようになるのではと考えています。

例えば、出張に行くのであれば最適な経路を提案したり、広告代理店を発注したいときには「この広告代理店がリピート率が高い」と紹介したりと、より適切な購入をレコメンドできるはずです。

最終的には、そうしたレコメンドを元に商品やサービスを購入できるようにして、BtoB向けの支出プラットフォームを構築できないか。それが次の5年、10年に向けた構想です。

長期的な目標も見据え、成長を続けるBEARTAIL。黒崎氏は「採用問わず、僕とお話したい方は、ぜひお気軽にお問い合わせ下さい」と参加者に呼びかけた。

採用情報

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Thinkings株式会社
“人”と向き合う採用を実現する一元管理の採用管理システム

Thinkings株式会社

続いて登壇したのはThinkings代表取締役社長の吉田崇氏だ。

吉田氏は、人材コンサル企業で採用コンサルとして勤務した後、双日に転職。シリコンバレーなどで生まれたサービスを、日本やアジアに展開する事業を担っていた。

日々最先端のIT技術やサービスに触れるなかで、「採用コンサル時代に感じた課題をITによって解決できるのではないか」という思いが芽生え、起業に至ったという。

吉田採用担当者は、応募者数が増えれば増えるほど、管理業務に追われるようになります。採用戦略をじっくり考えたり、応募者と対話したりする時間が割けなくなり、結果的にミスマッチも起こりやすくなってしまうんです。

こうした状況はITやテクノロジーによって管理業務を効率化することで解決できるのではないか。そう考え、採用管理システムの構想を膨らませていきました。

そうして生まれた『sonar ATS』は、新卒・中途採用を一元管理できるシステムだ。採用フローや求人情報、応募者情報、イベント・選考スケジュールなど、業務にまつわるデータを見える化する。

メールやLINEなどによる応募者への連絡、面接のアサインなど一部の業務を自動化する機能も備えている。

また、sonar ATS管理画面内の『sonar store』では、API連携している多様なHRサービスを購入して利用できる。

2021年6月からは、sonar ATSと他社の多様なHRサービスを組み合わせた『sonarまとめてパックシリーズ』を展開。新卒採用に必要なサービスが連携・設定された「sonar ATS」に専任スタッフの支援を合わせた「新卒採用はじめてパック」を第一弾として販売開始した。

2021年5月にsonarブランドリニューアルを実施した

2021年6月時点で、sonar ATSはサイバーエージェントやソフトバンク、NTTデータなど大企業からスタートアップまで、約850社に利用されている。

ピッチ後の質疑応答で「採用規模の小さいスタートアップでも利用されている理由」を尋ねられると、吉田氏は自動化機能と採用ノウハウ抵抗・伴走支援を挙げた。

吉田スタートアップでは、人事が一人であったり、他の業務と兼務であったりする場合も少なくありません。限られたリソースで採用を行うために自動化したいというニーズが多い。それにsonar ATSは一定応えられているのではと思っています。

また、社内で一度も新卒採用を行なったことがない、担当者も経験が少ないといったお客様には、弊社が蓄積してきたノウハウ提供や伴走支援の部分を、評価いただけていると捉えています。

2021年1月にシリーズAで9.5億円の資金調達を終えたばかりの同社。「すでにPMFを終えており、ここから成長していくフェーズ」だという。「現在、仲間を募集中です。協業できる企業も募集していますので、お声がけください」と吉田氏は語り、ピッチを締めくくった。

採用情報

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組織づくりは、スキルよりカルチャーフィットできる人材を

ピッチの後はインキュベイトファンドの寿松木氏も交えて、BEARTAILの黒﨑氏、Thinkingsの吉田氏が、組織づくりについてクロストークを行った。

初めに「採用や組織づくりで大切にしていることはなにか?」という問いを、寿松木氏が2人に投げかけた。

黒﨑採用においては、スキルよりもカルチャーフィットできるかを、重視しています。これまでに一度、組織が崩壊しかけた苦い経験があって。その原因の一つが、能力を重視しすぎた採用だったと思っています。どれだけ優秀であっても、チームとして大切にしたいことが伝わっていないとミスマッチが起きて、お互いにとってプラスにならない。

吉田氏は「社員一人ひとりのライフサイクルの波を意識している」と語った。

吉田私自身も、子育てに時間をかけたい時期と、仕事に没頭する時期は、どうしても波がありました。社員によって、どのような人生、どのようなフェーズにいるのかは異なります。それぞれの選択を尊重しながらも、異なるライフサイクルの波を持つ社員の多様性を活かし、それぞれの「波」を補い合い、組織全体として高いパフォーマンスを保てるようにすることを意識して組織づくりを考えてきました。

さらに「創業から現在に至るまでのチーム作りについて、どんなハードシングスがあったか?」と寿松木氏が尋ねると、黒崎氏は採用における失敗と教訓を挙げた。

黒﨑初めて資金調達をしたとき、「これで大企業の部長クラスの優秀な人に加わってもらい、一気にグロースしよう」と意気込んで採用したんです。ですが、カルチャー的にフィットせず、組織の人間関係にも良い影響がなく、もちろん事業が伸びず......。

振り返ってみると、BEARTAILでは豊富な知見のある人よりも、経験がなくても現場で自分の頭で考え、行動できる人。いわゆるストリートスマートな人のほうがフィットするのだと気づきました。今はそうした方針で採用を行っています。

吉田氏は創業当初と2020年の経営統合を振り返り、共有した。

吉田Thinkingsの前進となるイグナイトアイでは、創業1年目でキャッシュショート寸前に陥り、創業メンバー5人のうち2人が抜けるといった経験がありましたね。

その後、その時以上の組織としてのハードシングスは特に起きていないですね。

社員数が50名を超えてくると、兼務でやってきた業務が限界をむかえはじめ、混乱が起きると言われるじゃないですか。一時的に効率が落ちることも想定していたのですが、弊社の場合は経営統合で一気にメンバーが100人を超えたので、その「壁」を一気に乗り越えてしまった感がありますね。

クロストークの最後、寿松木氏は「カルチャーを大事にし、従業員の成長と事業の成長を紐付けて考えている」と両社の共通点を挙げ、「いずれも採用中ですので、興味があればぜひ」と語った。

記念すべき第48回目となったこの日は、ペーパレス経費精算システム、採用管理システムなど、経理や採用のDXに取り組む企業が登壇した。

今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2021年07月13日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

向 晴香

inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ

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