「47万件の発電所」に稼ぐ力を──商流全体を担う“社外再エネ事業部”で突破、約5億円調達のグリーングロースが描く街づくりとは
重要なのは、調達額の大きさ?バリュエーション?ラウンド?いやいや、スタートアップの資金調達とは、もっと奥深く、緻密で複雑なものである。
FastGrow編集部では、調達リリースを見るたび、その裏側について思いを巡らせ、その後のビジョンについて予測や仮説立てをしてきた。そのために知りたい情報を、ぜひ外部向けにも記事としてまとめてみよう──そんな想いで始まったこの連載。
今回は、2026年10月に約5億円の資金調達を発表した株式会社グリーングロースについて、その「横顔」をまとめる。
FastGrow編集部が注目するポイント
注目ポイント1:FIT終了後も、発電所が稼げる形に
事業用の太陽光発電所は、2036年度までに約47万件・約2,900万kWがFIT期間を終え、何もしなければ売電単価は7〜8割下がる。同社は蓄電池の後付けを筆頭に、売り方や設備を見直して稼ぐ力を取り戻す「バリューアップ」を、分かれ目とみるこの3〜5年で進める。
注目ポイント2:蓄電池後付け8件を、企画から運用まで
九州を中心に8件・約10MWを手がけ、企画から運用まで一社で引き受ける事業者としては件数で国内トップクラス(同社調べ)。第1号の大分県の案件は2026年6月に運転を始めた。組織は1年半で2名から20名強に増え、2026年度中に30名まで増やす。
代表を始めとした、同社のメンバーについて
(1)代表取締役 河野 淳平 氏
調達に際してのコメント
今回、ANRIをリード投資家に、ドーガンが運営するファンド、デジタルグリッド代表の豊田祐介さんをはじめとする個人投資家の方々に出資いただきました。自己資金と銀行借入だけでやってきた当社にとって、初めての外部からの出資です。
創業以来、増収増益・黒字経営にもかかわらず、なぜいま調達するのか。理由は「時間」です。事業用の太陽光発電所は、2036年度までに約47万件、合わせて約2,900万kWが、固定価格での買取期間(FIT期間)を終えます。何もしなければ売電単価は7〜8割下がり、多くの発電所の経営が立ち行かなくなります。蓄電池の後付けを筆頭に、売り方や設備を見直して稼ぐ力を取り戻す「バリューアップ」が必要です。放っておくと地域の重荷に、手を加えられれば地域の資本になります。分かれ目はこの3〜5年とみており、時間が限られています。
発電所を持っている方の多くは個人や地域の企業で、再エネの専門部署を有していません。私たちはそういった方々の「社外再エネ事業部」を担います。事業をつくる力と再エネの専門知識、必要資金を組むノウハウ等を活かし、発電所の開発から運用、電気の販売まで、商流全体の支援を一気通貫で提供しています。部分最適ではなく全体を踏まえて提案できるため、発電所ごとに最適な手段を選び、実行・運用まで責任を持ってやり切ることができます。ご相談は増え続けていて、足りないのは応えられる人の数です。
今回の調達資金をもとに、採用を強化いたします。一つの案件には、お客様、金融機関、施工会社、蓄電池メーカー、電力会社、保守会社と、多くの関係者が存在します。その間に立ち、自分の頭で事業を組み立て、現場で実装することが求められます。制度・技術・市場いずれも毎年目まぐるしく変化するため、正解を知っている人は業界に存在しないと言っても過言ではありません。異業種からでも、未経験からでも構いません。圧倒的な成長産業で、20代、30代のうちに自らを試したい方・事業を己の手でリードしていきたい方に、是非仲間になってほしいと思っています。少しでも気になった方は、一度お話ししましょう。
プロフィール
福岡県北九州市出身。早稲田大学商学部を卒業後、2018年に再生可能エネルギー開発専業の上場企業レノバに入社。メガソーラー、バイオマス、洋上風力などの発電所開発でプロジェクトマネージャー等に従事。独立後はコンサルタントとして蓄電所の開発などを支援し、2022年にグリーングロースを創業。発電から販売までをつなぎ、地域で生まれる分散型エネルギーを、地域の資本に変えることを目指す。
(2)取締役 福永 晋朔 氏
プロフィール
福岡県北九州市出身。東京大学経済学部を卒業後、戦略コンサルティングファームのコーポレイト ディレクションに入社。プロジェクトリーダーとして数十社の企業変革を支援する。同郷の代表・河野とは幼少期からの縁があり、その志と、社会を支えるエネルギー産業の可能性に賭けて、創業期に1人目の正社員としてグリーングロースに参画。2025年7月に取締役に就任し、組織づくりを統括。
(3)取締役CFO 橋爪 祥太 氏
プロフィール
静岡県沼津市出身。慶應義塾大学商学部を卒業後、大和証券に入社。個人向けの資産運用の提案で社長賞などを複数回受賞し、投資銀行部門ではM&Aアドバイザリー業務に従事。医療系の新興企業MICINで経営企画室の立ち上げに携わり、SPACERでは取締役CFO(最高財務責任者)として管理体制の構築と資金調達を担う。河野・福永の理念に共鳴してグリーングロースに入社し、財務・管理部門を統括。
調達の概要
| プレスリリース |
|---|
| グリーングロース、シードラウンドで約5億円の資金調達を実施 |
| 調達額 |
|---|
| 約5億円 |
| ラウンド |
|---|
| シード |
| 主な使途 |
|---|
| 採用強化 |
| 投資家からの評価 |
|---|
| ANRI General Partner 中路隼輔 氏 気候変動・AI・安全保障などすべての現在の世界が乗り越えるべき大きなイシューに対して絡むのがエネルギーです。その中でも再生可能エネルギーは期待され続けていますが、法律や制度の変更を考えながら対応を続けるのは難しい状況にもあります。そこにグリーングロースが「社外再エネ事業部」としてバリューチェーン全体の支援を続けていくことは非常に今後成長可能性があると思い投資をオファーさせていただきました。複雑な事業を複雑に解いていくことができる起業家・チームであると確信しており、実行力に期待しています! |
| 株式会社ドーガン ディレクター 二宮一将 氏 九州をはじめ全国各地で深刻化する出力制御や Post-FIT という課題に対し、グリーングロースは単なるコンサルティングにとどまらず、発電所オーナー様に寄り添う「社外再エネ事業部」として、また地域企業の脱炭素化や再エネ・蓄電池事業の企画・実行に伴走するパートナーとして、蓄電池導入から運用までを一気通貫で支援する稀有な存在です。同社の高い専門性と泥臭い実行力は、各地の地域脱炭素化と地域経済の成長の両立に大きく寄与するものと深く共感しております。ドーガン MGX ファンドは、グリーングロースが目指す持続可能な分散型エネルギーインフラの構築に向け、地域企業との共創や事業成長を後押ししてまいります。 |
| デジタルグリッド株式会社 代表取締役社長 CEO 豊田祐介 氏 河野さんとは創業のころからお付き合いをさせて頂いておりますが、会社もご本人も、この数年で見違えるほどに成長されています。グリーングロースは30代を中心とした若いチームです。エネルギーはビジネスのサイクルが長い産業ですが、だからこそ、これから20年、30年と走り続けられる世代が担う意味があると思っています。発電側と需要側をつなぐ機能を地域単位で組み立てる——グリーングロースが挑もうとしているのは、時間のかかる難しい仕事です。だからこそ、出資者として外から見守るだけではなく、伴走者として私自身も河野さんやチームのみなさんと一緒に走っていきたいと思っています。これからの20年、30年を、ともに。 |
主なサービス・プロダクト
「社外再エネ事業部」
太陽光発電所のバリューアップ(蓄電池の後付けなどで発電所の価値を高めること)を、企画から運用まで一社で引き受けるサービスです。
発電所を持つ企業や個人に代わり、金融機関・電力会社・官公庁との協議や関係者調整、試運転から運転開始後の市場取引・環境価値の販売までを窓口となってまとめて担います。
特定のメーカーや施工会社に縛られない発注者の立場で導入費用を抑え、発電所ごとに容量や売り方を設計することで収益性の向上を支援します。
FastGrow編集部の注目ポイント
- 発注者側に立つベンダーフリー
自社で蓄電池製造や工事を行わず、特定メーカーに縛られない立場で複数社から見積もりを取得し、導入費用抑制と売電収入向上を両立。 - 電気と環境価値の販売まで担当
運転開始後は発電所の電気を買い取って市場で運用するだけでなく、再エネ由来の価値を証書化して需要家へ販売し発電所側へ還元。 - 出力制御の先進地・九州の実績
試運転の不具合対応や行政手続きなど九州の第1号案件で蓄積した知見をもとに、東北をはじめとする全国の案件へ展開。
採用関連情報
| 主な募集ポジション |
|---|
| 社長室(事業開発) |
| コンサルティング営業 |
| プロジェクトマネージャー |
| 電気エンジニア |
| コーポレート(人事・採用、法務ほか) |
採用ページ
こちらの記事は2026年11月02日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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