DE&Iは、一人ひとりのポテンシャルを最大化する組織論である──急成長スタートアップFLUXの実践を通して学ぶ、人的資本経営の現場意識

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インタビュイー
コワルスキー 貴幹

Bain&Companyでコンサルタントとして勤務。約3年間、日系企業の事業戦略やプライベートエクイティファンドの投資案件デューディリジェンスを担当し、東京オフィスやアトランタ(米国)オフィスにて勤務。2021年1月にFLUXにジョイン。

岩田 雄介
  • 株式会社FLUX Data & Communication本部 セールス部シニアマネージャー 

2005年に新卒でサイバーエージェントに入社。自社媒体の営業や広告代理事業のメディア部を経験しグループ会社のマイクロアドへ出向。バナーネットワークやSSP事業の立ち上げに参画。2015年CRITEOに入社し、メディアリクルーティングに従事。その後、数社を経て2021年6月より現職。

鷲田 諒

2018年にITベンチャー企業へ新卒入社。SEとしてキャリアをスタートした後、大阪支社の立ち上げを担当し、最年少幹部として大阪支社長兼人事部中途採用統括責任者へ就任。その後、2021年2月に株式会社FLUXへ参画。一人目人事として、採用・組織開発・広報領域を幅広く担当。

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2018年の創業以来、ARR10億円到達に向け、国内最速レベルのスピードで成長し続けているFLUX。独自の特許技術である「id」を活用したマーケティングSaaS事業を基に、一気通貫でサービスを提供する“デジタルエクスペリエンスプラットフォーム(Digital Experience Platform、略してDXP)”の実現にまい進している。そんなFLUXの実態に迫るのが本連載(ここまでの記事はこちらから)。

今回は、VP of Corporate Planningのコワルスキー貴幹氏、セールス部シニアマネージャーの岩田雄介氏、人事採用広報部マネージャーの鷲田諒氏の3名による鼎談を実施。同社の事業開発カルチャーがどのように実践されているのかを探ったところ、見えてきたのは今注目の「人的資本経営」、特に「DE&I」を当然のごとく推し進めていること。

より大きな存在となり、世界を変えることを目論むのがスタートアップ。であるからには、人的資本経営も、DE&Iも、当たり前のこととして取り入れる必要がある。その最前線で大切にされていることは意外にも「一人ひとりの特性を、尊重し続ける手段がDE&Iである」というものだった。どういうことなのだろうか?覗きに行ってみよう。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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人的資本経営も、DE&Iも、無意識に実践し続けるのがFLUX

経済産業省が2022年5月にまとめた未来人材ビジョンでは、「人的資本経営は、スタートアップの方が既に実践に移せていることも多い。スタートアップから学ぶことが多いのではないか」と語られている。確かにFastGrowで記事を制作する中でも、そのように感じる機会は少なくない(もちろん、歴史の長い大企業だからこそ実践しやすい施策も多くある)。

今回は急成長スタートアップを代表する存在でもあるFLUXの事例から、人的資本経営に関する学びを得たい。特に注目すべきは、この組織がDE&I(Diversity、Equity、Inclusion)を自然と体現している点だ。

ちなみに同社は「DE&Iを意識しています!」といった通り一遍の言葉を並べることはしない。さらに言えば、DE&Iという言葉を前面に押し出して組織づくりをしているわけではない。

ひたすら急速な事業成長を求め、そのための組織や仕組み、思考(マインド)を言語化し、整備してきた。その過程で育まれた独自のカルチャーの中に、DE&Iをはじめとした人的資本経営の考え方が当たり前のものとして練りこまれている、といったイメージだ。

まずは人事採用広報部マネージャーを務める鷲田氏の声に、耳を傾けよう。

鷲田岩田さんもコワルスキーさんも、FLUXのカルチャーにマッチしているから、活躍できている。これが私の率直な想いです。

カルチャーを形づくるキーワードは「Growth Driven」 「Professionalism」 「Flexibility」「Learning」である。

株式会社FLUX提供

スキルや経験ももちろん、不可欠だ。だが、それらのレベルがマッチしているだけで成果を創出できるわけではない。鷲田氏は、そう強調する。

鷲田例えば、岩田さんのようなキャリアを積み上げられてきている方は、本来もっと驕りというか、自らの成功体験などをベースにされていてもおかしくはないと思うんですよね。キーワードから説明すれば、「Growth Driven」や「Learning」が薄くなってしまっても全然おかしくないだろう、みたいな。

でも実際の岩田さんは、これまでの経験はもちろん最大限活かしていただいた上で、FLUXのカルチャーを体現されています。カルチャーを体現できる人だから活躍できているという、最たる例です。

そう言及された岩田氏も、「どんなカルチャーの会社かと問われたら、成長意欲が非常に高い社員が集まっている会社だと答える」と述べる。

岩田組織全体で見れば、私は比較的年齢が上の方です。そんな私から見て、若くて能力の高いメンバーが、マネージャーといった裁量と責任を持ったポジションに就いている。そのことによって組織全体で成果を創出し続けているのが、FLUXの強みでしょう。

これこそ、DE&Iを当たり前に実践している部分の一つだと思います。

コワルスキー氏も「2人の見解と同じだ」と頷く。カルチャーが明確になっており、全メンバーの共感が強いからこそ、認識が揃っていくのかもしれない。

コワルスキー組織に20人くらいしかいない初期メンバーだけの時期から、個々人のバックグラウンドには多様性がありました。COOの布施さんがアメリカ育ちだったり、CTOの李さんがイギリスの大学に行っていたり。その流れを汲み、今も人種や国籍、LGBTQ+などさまざまな観点で見て多様性がある組織に育ってきています。

それに、私自身もこの組織性をしっかり強化していくところに貢献したいと思って、日々取り組んでいます。

多様性は、長く反映していく組織の絶対条件である。そういう意識を、経営陣をはじめとしたメンバー全員が同じように抱いている。この考えに基づいて、組織がつくられている。そういう企業なのだ。

すでに岩田氏が一つの例を挙げたが、このあとコワルスキー氏からも多くの事例を聞き、DE&Iの実践を深く知っていこう。

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多様性とカルチャー共有を両立する、急成長スタートアップの組織論

前述のように、FLUXのカルチャーは四つのキーワードで表される。これらに基づいた価値観を、メンバー全員が理解し合っているわけだ。

これはもちろん、メンバー個々人の抱く価値観がすべて似通っているという意味ではない。バックグラウンドや属性、思想などの点で、人と人とが異なる存在であるという前提を、当たり前のこととして共有しているという意味だ。

人的資本経営やDE&Iという言葉が多く見聞きされるようになっているのは、それらが事業成長にも多大なる影響を与えるからだ。特に、投資家の言及は日増しに強まっている印象もある。

そうした世間の変化を先読みするかのように、一人ひとりが“個の違い”を理解し、もはや意識すらすることなく多様性を尊重し、その結果として理想的な心理的安全性を持つ組織を創り上げようとしている。これが、FLUXの現在の姿だ。

引き続き、コワルスキー氏と岩田氏の見ている世界を覗いてみよう。

コワルスキー氏はオンラインで取材に参加した(当日使用したZoomの映像より)

コワルスキー私は小1から大卒までアメリカ暮らしでした。そのため、転職活動をしているときには、周りと違う環境で育った自分でも打ち解けられるような組織かどうかを気にしていました。また、上下関係を気にせずに物事の本質をロジカルに議論した上で意思決定が行われる組織を求めていました。

FLUXで2年弱働いた経験としては、個々の属性や立場に関係なく、相手がグループリーダーやCEOであっても、何かあれば意見を言えるフラットさがあります。業務に関する議論は、ロジックと合理性に基づいて行われています。偏った社内政治もないため、常に動きやすいんです。

岩田そもそも、性別や国籍を特別意識すらしていないのが、結果的に強みになっているのではないかと思います。

代表の永井さんの前職が外資系企業(ベイン・アンド・カンパニー)で、多様性豊かな組織に所属していたことが影響しているのかもしれません。でも、それだけで社内のカルチャーがフラットでダイバーシティのあるものになるわけではないはずです。一人ひとりが、あるべき組織の姿についてラーニングし続け、フレキシブルに思想を変化させてきたからでしょう。

コワルスキー私はアメリカと日本のハーフで外見は白人寄りだからか、どこに行っても「日本語がお上手ですね」と言われてきました。でも実はFLUXでは、入社前から一度も言われたことがないんです。私のことを特別視したり配慮したりすることもなく、普通に接してくれていると感じていて、このことがとても嬉しいんです。

「日本語お上手ですね」と言われるのが嫌かというと別にそうではないのですが、自分が日本においてはマイノリティーであることを思い起こさせる言葉であり、相手が多少でもそれを意識していることがわかる言葉ですよね。FLUXではいい意味で多様性を意識していない、というのは相手がマイノリティーだからこそ発生するこのようなコミュニケーションが起きることなく、普通に個人としてお互いに接しているというところに現れていると思います。

ただもちろん、FLUXも完璧な多様性を誇っているわけではない。例えばメンバーの男女比は偏りがあり、本当に多様な組織というにはもう少しバランスをとる必要があるという認識が社内で共有されている。

事業成長を継続するためには、情報を多面的に分析することを通して課題を的確に捉えていく必要がある。これがFLUXの考え方だ。そのために、DE&Iといった言葉で表される組織性は、非常に重要な意味を持つ。

鷲田取り組むべきことはまだまだたくさんあります。事業成長のために足りないこととして、まだ私たちが気づいていない「その人にとっての働きづらさ」があるのかもしれません。「より多くの人が働きやすいと感じるカルチャー」をもっと醸成していくべきだと感じています。

こういう姿勢を追究していくことが、最も必要なチャレンジですね。

あくまで、企業と事業の成長が先に立ち、その手段の一つとして優先度高く取り組むべきものが、人的資本経営やDE&Iなのだ。

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事業成長のための仕組みが、人的資本経営のための仕組みにもなる

さて、この3人がFLUXにジョインしたのは、いずれも2021年とつい最近のことだ。そこで今度は、それぞれの仕事内容や、感じているやりがいについても聞くことで、人的資本経営の実践について深掘りしていこう。

コワルスキー私は執行役員として、経営企画を担当しています。業務内容は幅広く、事業計画の策定、戦略的施策の実行、KPI管理や資金調達など、さまざまなことに関わっています。

楽しさを覚える瞬間は、やはり自分がやったことの結果が見えるときですね。例えば、セールスと一緒に考えた施策を共に推し進めた結果、成功し、当月の受注成績が良かったときには、格別の喜びがあります。チームと一緒に喜べることが幸せですね。

また、分析や顧客インタビューを通して見つけた課題を可視化し、解決するための難しい意思決定を進めて成果につながったときには、前職の経験までしっかり活かすことができたと感じ、喜びを覚えていますね。

続いて答えた岩田氏は、セールス部のシニアマネージャーであり、新規顧客の開拓、既存顧客へのフォローが主な役割だ。

岩田営業ですから、やはり毎月掲げられているチーム全体の目標を達成できた瞬間にはやりがいを感じます。これは毎月、月末でリセットされる刹那的なやりがいですね。

一方で、恒常的なやりがいもあります。営業以外の各チームと連携し、一緒に動きながら大きな成果を出せたときは何とも言えない気持ちになりますね。例えば、サービス導入の受注確定に向け、営業だけでなく他部署の協力も仰ぐことがあります。こうした連携は、将来のグロースに向けても重要なものなので、また違ったやりがいを覚えています。

そして、「社長室の人事採用広報部」のマネージャーというポジション名を持つ鷲田氏。その仕事内容は、非常に幅広いものだ。

鷲田人事・採用・広報は、本来常に連動するもののはずです。広報がうまくいけば採用の強化に繋がりますし、人事的な施策で組織を活性化することも採用強化に繋がると考えています。

まず、採用計画が非常にストレッチな目標になっているので、とても高い難易度で、やりがいを感じます。企業や事業の成長目標に応じて、高い採用目標が設定されるわけなので、現場としてはやりがいしかありません。

一方で、人事としてヒト・モノ・カネを扱うという面では、現場、マネージャー、経営陣、プロダクトはすでにかなりの強みを持っていると感じています。そのため、強みでもあり、魅力でもあるこれらを採用候補者にどう伝えていくかという仕事はまた違った意味で、とにかく面白いことだらけですね(笑)。

3人とも、やりがいを感じる瞬間を明確に示す。その背景には例えば、前職の経験を活かすことができるアサイン、目標設定とその到達/未達を的確に共有/確認できる仕組み、部門を超えた協業の枠組みなどの整備があるのだ。

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継続したアンラーニングで、ポジションと役割を更新し続ける

各々のポジションでスキルを発揮し、活躍している3人。もちろんほかのメンバーたちも同様にやりがいを感じ、成果を創出しているのだが、その中で、彼らはどういったキャリアを歩んできたのだろうか。それぞれの強みを発揮できる環境があることは述べられてきたが、どのような強みが特に活きるのかを具体的に聞いてみたいところだ。

キャリアは特に三者三様であり、バックグラウンドのダイバーシティが自然と重視されていることがうかがえる。コワルスキー氏は外資系コンサルティングファームで戦略コンサルタントとして活躍。岩田氏は、サイバーエージェントやCriteoでアドテク関連事業に携わってきた。鷲田氏はSEとしてキャリアをスタートしたのち、拠点立ち上げや人事・採用へとキャリアを広げた。

コワルスキー自分で起業したいという想いを具体的に抱くようになり、コンサルティングファームからの転職を考え始めました。そのための中間ステップとして、創業からあまり時間の経っていない企業で、事業成長を経験し、ノウハウや人脈を身に付けたいと思いました。

CEOの永井さんは前職の先輩でもあったので、「ちょっと手伝ってみたい」と言いやすくて、相談してすぐに新規機能のリサーチなどの仕事に関わることができました。すると、想像していたよりもかなり、自分に合っていると感じてしまったんです。他のスタートアップと何社もカジュアル面談させてもらったのですが、本選考に進みたいと感じたのはこの1社だけでした。

岩田今の事業領域と似ていて、インターネット広告に携わる仕事を新卒の頃からしてきました。そんな中で、業績がものすごい勢いで伸びているFLUXの存在を知り、CBDOの平田さんやCOOの布施さんの人となりにも惹かれ、よりチャレンジングな事業開発に携われると感じて、転職を考えました。

鷲田前職でSEから拠点立ち上げなどを経験するなかで、3年目の時に20代でさらに大きなチャレンジがしてみたいと思い立ち、資金調達をしている若いフェーズのスタートアップに飛び込もうと決めました。

それでまず退社し、Meetyなどを活用して、VCの方からスタートアップに関する情報収集に励みました。その結果、縁あってCEOの永井さんらと5日連続で面談・面接をしてオファーをいただきました。転職活動を始めて、10日も経っておらず、また当時は大阪に住んでいたこともあり、フルリモートでいいので半月後に入社して欲しいとオファーをいただいた際にはかなり驚きましたね。このスピード感と熱量に圧倒され、ジョインを決めました(笑)。

そんな彼らには、前職までの経験をそのまま活かす部分もあれば、周りのサポートを受けてアンラーニングして取り組む部分もある、というのが共通しているようだ。それぞれのエピソードを見ていこう。

コワルスキー戦略コンサルティングの奥深さを、前職では非常に楽しんでいたのですが、DXPを構築するFLUXのビジネスはまた違った面白さがあり、とても興味深く取り組むことができています。コンサルの経験がそのまま活きる部分としては、ファイナンシャルモデルリングやマーケットリサーチなど、ハイレベルな戦略を立てたり、現状を多面的に捉えて課題を抽出し、解決策を見つけたりするところかと思います。

このような仕事をしているときはちょっと社内コンサル的な動きをしている感じがします。

そして戦略コンサルタントとして自信があったにも関わらず、いざFLUXに入ってみたらできなかったという経験も数多く味わってきている。

コワルスキーFLUXに入ってやり方が最も変わったことがあるとすれば、「完成度が低くてもやってみて学ぶ」というプレースタイルを身につけたことだと思います。

入社した当初、プロダクトロードマップに含むべき機能をコンサルタントらしくデスクリサーチや顧客インタビュー、定量調査などで特定しようとしていました。スピード感が遅かったからか、COOの布施さんから「完璧に答えがわからなくても良いからとりあえず売ってみよう」と言われ、その日のうちに何社かとアポ設定まで進み、実際に営業してみました。

結果的に、あまり工数をかけず何が本当にお客様が望んでいるもので、何がそうでもないかがすぐにわかりました。

岩田氏は、「これまでの経験がなければおそらくFLUXでやっていけていない」と真顔で語り出す。

岩田年齢を重ねている分、人脈や経験値も多く、その貯金があったからこそやってこれた部分はたしかにあります。ただ、今までの貯金だけでやっていけるほどFLUXの環境は甘くなくて、自分自身のアップグレードと言いますか、今までの常識や考え方を捨ててゼロベースで取り組まなければならない局面は多々ありました。「日々是決戦」で毎日必死に食らいついている感じです(笑)。

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各部署のKPI未達は、全メンバーの責任。
全員が「会社の成長」にオーナーシップを持つ

ここで鷲田氏も反応する。チームごとの目標に対する活動を、まわりのチームも“自分ごと”として捉えていくFLUX流のチームプレイに、話題が盛り上がる。

岩田営業目標はもちろん、私のチームが責任を持つものです。とはいえストレッチな目標を常に掲げているので苦しいときもあります。そんな時に、会社全体が我々のチームをサポートしてくれるような雰囲気があるんです。

鷲田たしかに、何か問題が起きたとき、特定の部署やチームが悪いのではなく、みんなが10%ずつくらい悪いという感覚があるように思いますね。

岩田はい、これは間違いなくFLUXならではの特徴だと思います。営業だけに受注目標の責任が押し付けられるわけではないんです。先ほど触れた「受注に向けてほかのチームの協力を仰ぐこともできる」という話です。

鷲田採用も、最終的な責任はもちろん人事が負うわけですが、人事だけで戦っている感覚ではないですね。2~3年前にスクラム採用という言葉が流行りましたが、FLUXでは採用だけでなく事業でも常にスクラムを組んで取り組んでいます。

例えば「採用目標が未達だった」ということがありました。この時、他のチームのメンバーが「そもそも、リファラル採用の取り組みが不十分だったのだから、自分たちにも改善すべき部分があるよね」と気付いて、言葉を発してくれました。また、ある他のチームのメンバーは、「自分の面接の仕方が良くなかったかもしれない。改善案を考えてみます」と伝えてくれました。

こんな風に「採用目標を達成するために、自分たちができることは何か?」と、他のチームが当たり前のように考えてくれるんです。これはすごいことだと思います。

岩田目標未達が起きてしまったときに、誰かが悪いということではなく、当事者以外の各々が「もっとやれることはなかったのか?」という考えを持つわけです。

なお鷲田氏は、事業開発に携わるというオファーで入社したはずが、人事・採用の責任を追う形になっている。この柔軟さもスタートアップならではといえるかもしれない。それに、そもそもシステムエンジニアから人事へという大きな転身をしているため、「前職で活かせていることはほぼないというくらい激変した(笑)」と振り返る。

鷲田前職の経験がそのまま活きているものはあまりありませんが、仕事のスタンスとして、常にハードワークを責任を持って進めるような自走力は、ずっと活かされていますね。

前職で拠点立ち上げを担当した時は、ほとんど1人での対応になり、まわりをうまく頼ることができずにいました。でも今は、同じ課題に対して複数人がさまざまな角度から検討を進めて、最適な解決法を実践していくことが当然というカルチャーなので、非常にやりやすいです。

人事としての成長実感は正直なところ、自分ではよくわかりません。しかし、チームで戦えている感覚はずっと強く感じていて、ビジネスパーソンとして、より大きな成果を創出できるようになったと思える瞬間はたくさんあります。

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書類選考時から、アサインを経営陣が想定。
だからこそ、非連続なチャレンジを提供できる

多様なバックグラウンドを持つ人材が、さまざまなかたちで活躍しているFLUX。これからさらに、どのような組織開発、ひいては人的資本経営を実践していくのだろうか。

鷲田採用において最も重視しているのは、バリューです。5つのバリューを体現いただける方かどうかを、徹底して見極めようとしています。

株式会社FLUX提供

鷲田いくらスキルが高くても、バリューに合わない人であれば採用しないという意志決定をしているんです。そのために、書類選考から経営陣がしっかり入っている点も特徴的だと思います。

また、各部署のリクルーターにも積極的に関わってもらっており、書類選考の段階から入社後のアサイン先をイメージしながら進めています。現場と選考の場が乖離していないため、採用後のアサインに現場が困るといったことがないんです。メンバー全員の活躍、すなわち人的資本が最大限に活きるための取り組みとして、当然のことだと考えています。

岩田選考に関わる中で私も、当初の予定とは異なるチームへのアサインが適しているのではないかと考え、別部署のマネージャーにそう伝えたことがありました。逆に、話をもらうこともあります。

工数も時間も追加でかかりますから、なかなか進めにくい話だと思うのですが、思い切って進めていますね。

このように、まず採用の過程から、個々人に最良のアサインがなされるよう徹底されている。もちろん、入社後の取り組みも活発だ。

鷲田採用時の評価と入社後の評価の軸に、きちんと一貫性を持たせているような仕組みも工夫しています。

役職や職種関係なく、評価基準はバリューをベースにしています。「評価の時期だから準備する」ということにならないよう、毎月の上長との1on1をベースにし、その積み重ねが評価に繋がる仕組みです。サプライズ評価にはならないため、被評価者側の視点でも、評価内容がおかしいという話にはなりにくくなっていますね。

岩田私もメンバーと1on1をする立場ですが、同時に経営陣ともすり合わせを行うようにしています。私と経営陣とで判断にズレが生じるとメンバーが混乱するので、齟齬が出ないように普段から気を付けていますね。

コワルスキー評価の透明性に加えて給与の透明性もあります。給与が決定される仕組みが社内で公開されていて、今期の評価がいくらであれば、どのように給与に反映されるのかまでわかるようになっているので、仕事での努力が具体的にどう自分に返ってくるのか見えて、モチベーションに繋がると思います。

フラット、かつ高い透明性というキーワードは、事業を進めるという観点だけではなく、組織・人事面にも広く言えることであるとわかる。

カルチャーの実践から人生設計に至るまで、さまざまなエピソードを語ってくれた3人に対して最後に、FLUXだから経験できること、そして3人が見据える今後について語ってもらった。

鷲田どの会社に行っても通用できる経験が積めるのがFLUXの魅力です。どんな分野でも、活躍できる人材を目指せる環境になっていると思います。伸び続けるマーケットですから、職種別で稀有な経験ができるのはもちろん、前職が外資系でもIT系でも大企業でもベンチャーでも、何らかの共通点があって頼りになる先輩がいます。

そうした環境だから、日々先輩や同僚から学ぶことは多いですし、得難い経験を得られると思います。次のチャレンジが明確に決まっていない人こそ、まだ見たことのない景色が見られるかもしれないので、おすすめしたいですね。

そのためにも私は、本質的に事業を伸ばすための組織を整備し続けることが、今後の一番の目標ですね。それは極端に言い換えれば、「無理に採用を続けなくても、事業が伸びる組織」なのかもしれません。採用はあくまで、事業を伸ばし続けるための手段の一つだと考えています。

岩田FLUXで働くことで「マイナスになることは何もない!」と自信をもって断言できます。性別や属性、バックグラウンドを変に意識した判断は存在しないため、全メンバーに平等にチャンスが与えられると思います。

個人的には、今いるメンバーとは異なる資質を持つメンバーを採用したいですね。そうすることで、新たな化学反応が生まれ、事業に良い影響を与えられると思うからです。

コワルスキーここまで紹介してきたように、FLUXはオープンさやフラットさが大きな強みです。私は魅力を感じて働いていますが、誰もがそう感じるわけでもないでしょう。ただ、それを確かめるだけのためでも、面談や面接でその一端に触れるのは良いかもしれません。

「向いている!」「合っている!」と感じられれば、選考に挑戦してほしいです。そう感じなかったとしても「こういう組織が成長スタートアップにおける、一つの理想的な組織なのだ」と理解することがその後のキャリアにおいて意味を持つ可能性もあります。

多様な属性を持つプロフェッショナルが集まり、カルチャーやバリューによって個性を十分すぎるほど発揮できる環境が自然と整っている。意思決定は常にフラットで、メンバー全員が平等にチャンスを得られる。そうしたカルチャーを、経営と現場が実直に実践する場にこそ、“人的資本経営”あるいは“DE&I”の本質があるのかもしれない。

そして、この記事ではあまり触れなかったが、大前提として「事業の急成長」を実現できているという点も重要だ。「事業と組織を、両輪で回す」という理想の経営。一人ひとりが強く意識しているわけではないのだがそれでも、いわゆる「人的資本経営」のエッセンスを含む思想やアクションが実際に生まれているのが、FLUX流の組織づくりなのだろう。優秀なメンバーたちが、居心地の良い感覚を得て、存分に腕を振るっている。

何も「人的資本経営だ!」「DE&Iだ!」と息まく必要はない。事業成長に対して素直に挑戦し続けることができれば、自然と実践していけるはずなのだ。そんな学びを提供してくれたのが、FLUXという企業だ。

こちらの記事は2022年08月24日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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藤田 慎一郎

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