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旅行先で食べたあの魚を、東京でも食べられる世の中へ

1次産業をITでHACKするスタートアップが大集合。FastGrow×REAPRA Ventures主催。1次産業ハッカソン登壇レポート(2017年5月27日開催)
株式会社フーディソン

創業5年で120名、実店舗から飲食店向けECサイトまで運営し、水産業界のIT化を目論むフーディソン。その創業の歩みと将来ビジョンとは?

2017.06.06 Tue

第一次産業ハッカソン 第二部 株式会社フーディソン

水産流通をEC化し業界慣習を塗り変える

「創業したはいいものの、右も左もわからない状況でした。アジとイワシの見分け方も分からなかったくらいなので」

フーディソン代表取締役の山本は、立ち上げ期についてそう振り返った。

創業間もなく多くの混乱に直面した山本。同氏のキャリアは実は水産業とは全く関わりがない。ファーストキャリアは不動産業界、その次は介護業界でキャリアを積んできた。

そんな山本がどうして水産業に着目し、ビジネスを始めようとしたのか。

「インターネットの台頭によって店舗がEC化する流れというのは感じていましたし、いまフーディソンのミッションとなっている”世界の食を楽しく”を実現するため、将来的には、国内外問わず、また水産業だけではなく食の業界全般に関わることを決めていました」

「そんな中、様々な業界を見ている中で、水産業の非効率性が目に留まりました。全国に多様な市場が存在しているのですが、今後は集約されていく流れが起きるのでは、と確信したため、その流れをリードしていきたいと思ったんです」

実は水産業は、過去20年の歴史の中で大きく構造を変えていた。1990年代には大手量販店の台頭により圧倒的な利便性を消費者に提供した結果、いわゆる“街の魚屋さん”が相次いで倒産。

続く2000年代には、さらなる利便性提供を目指して大手量販店主導で四定条件(多くの消費者に均質的・安定的に商品の販売を行うため、生産者や卸売業者に、一定の時間に、一定の品質・規格のものを、一定の価格で、一定量供給すること)の徹底が叫ばれるようになった。

その結果、何が起こったか?我々の食卓に並ぶ魚の種類が限定されてしまったのである。

四定条件を満たす魚の種類はかなり少なく、大量に水揚げされて、季節も問わないものになってしまう。代表的なものだと、養殖魚やアジ、イワシなどが挙げられる。

「四定条件を突き詰めると、旅行先で食べた“現地でしか食べられない美味しい魚”を東京では買えない、食べられない、といった事態が起こります。消費者ニーズは多様化しているのに、業界が追いついていない。このような状況を我々は解消したいのです」

改善ポイントは業務体験から

旧態依然とした業界を、フーディソンはどういった事業を展開し、変革しようとしているのだろうか。冒頭でも述べたように、創業者の山本には水産業のキャリアはない。

「フーディソンには、”ITありきではなく、アナログオペレーションを通じて足元で収益をあげながら、業界構造を把握し、勝ち筋を見定め、IT化が顕在化しやすい箇所から順次IT化していく”という基本的な考え方が根底にあるんです」

現状の業界慣習・構造を理解するため、まずは自分たちがプレイヤーで成果をあげることを決めた。山本が創業直後に行ったことは、仲卸業の人が日々行っていることと同様だ。朝早く自ら市場に出向いて魚を調達し、電話で飲食店に売る。受注を受けたらFAXで受付をし、エクセルで管理する。

そうした日々の業務を積み重ね、約600店舗とアナログで取引をするうちに、どこに非効率が発生しているかを理解した。その業界理解をもとに、改善インパクトが大きくかつIT化を進められそうなポイントを見極めたうえで、IT化推進の中枢を担うシステム開発を進める計画だ。

「例えば、現在個人に依存している作業に“魚の目利き”がありますが、どのような技術を使って、どんなシステムを作ればその目利きをシステム化できるかは、おおよそ仮説はあります」

同社は現在、複数の事業を運営しているが、主力サービスは『魚ポチ』という飲食店向けのECサイトである。おおよそ1,500種もの魚を取り扱い、一尾からでも注文可能。その利便性が顧客を呼び、現在では7,500店を超える飲食店の利用があるという。

WEBSITE:飲食店専門の鮮魚仕入れなら「魚ポチ」

実店舗としては、 都内4ヶ所に展開する『sakana bacca』というブランドの鮮魚小売店に加え、『おかしらや』という未加工の魚一匹そのままを、圧倒的安値で販売する丸魚専門店も都内で3店舗運営している。

魚専門店『おかしらや』
写真:Sakana bacca 梅ヶ丘 -サカナバッカ- Facebookページ

飲食店向けECサイトとリアルな小売店舗の双方を通じて、まずは水産業の中でもプレイヤーとして知見を蓄積し、効率化を進めようとしているわけである。

「卸に関する情報を蓄積することで、必要な量の魚を、必要な売り場に効率よく卸すことができるようになる状況を目指しています」

2023年、水産流通のプラットフォーマーへ

最近では、築地の仲卸業者が手書きで行っていた買付作業の伝票をIT化した。

主力サービスである『魚ポチ』が軌道に乗ってきたこともあり、消費者向けのプライベートブランド立ち上げや、消費者に対する魚リテラシーの向上の為の『sakana bacca cooking school 』、魚を加工する技術に特化した人材紹介、派遣事業である『さかな人材バンク 』まで、急速に事業領域を拡大しているフーディソン。

業界のノウハウも何もない状況で始めて、今や120名体制。2023年には水産流通のプラットフォーマーを目指す。これまで、そしてこれからも蓄積し続けるデータやノウハウをフル活用して、どのように水産業界を再構築していくのか。

今後もフーディソンの動向から目が離せない。

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