次のSalesforceは、HR領域から生まれる──採用を軸に新規プロダクトを続々と創り、日本の就労観を変えるHERP庄田の勝ち筋

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インタビュイー
庄田 一郎

京都大学法学部卒業後、リクルートに入社。SUUMOの営業を経て、リクルートホールディングスへ出向。エンジニア新卒採用に従事する。その後、エウレカに採用広報担当として入社し、同責任者に就任。2017年3月、HERPを創業。

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HR Tech業界は大規模案件の話題で活況を呈している。2021年4月に人材サービスのビズリーチを抱えるビジョナルが東証マザーズに上場し、9月には時価総額が2000億円を超えた。6月にはクラウド人事労務ソフトを提供するSmartHRがシリーズDラウンドで約156億円を調達して評価額は1000億円を超え、ユニコーン企業となった。

これらの事例から、「HR Tech業界はある程度できあがった市場なのでは?」という疑問を持つ人もいるだろう。実際に、マイナビといった求人媒体や、転職エージェントがすでに多数存在しレッドオーシャンとなっていることは、HRに詳しくない人でも感じているところだろう。だが、こうした「採用関連サービス」以外のHR事業はまだまだ未開拓であると指摘するのが、HERP代表取締役CEOの庄田一郎氏だ。

コロナ禍の2020年以降、労働に関する考え方が変化し、人材の流動性が高まりつつある。この潮流がより強まれば、採用関連サービスに限らず、HR Techサービスはより多様化し、より大きく成長していくことが考えられる。

そんなこのタイミングで、約9.5億円のシリーズBラウンド調達を実施したHERP。国内外のHR Tech市場を精力的に研究しながら、SaaS事業を創造し続けようとしている庄田氏に、聞いてみた。国内外の現状や展望、そしてそれを踏まえて「なぜHERPはこのタイミングで、新規事業創造企業となる道に舵を切り始めたのか」ということについて。

  • TEXT BY MAAYA OCHIAI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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HRでユニコーンが産まれる理由

まずは改めて、日本におけるHR Tech業界の概観を見てみよう。HR Techの日本における市場は、2021年で566億円規模と言われている。1兆円規模のアメリカと比べるとかなり小さい数字だが、2025年には3倍の1710億円にまで成長していくと予想され、またビジョナルやSmartHRの企業価値がすでに1000億円以上であるという事例もあり、期待感が高まっている市場と言える。

さらに、ビジョナルはIPO時の海外売出比率が88.6%にのぼり(*1)、SmartHRの参加投資家にも海外ファンドが名を連ねるなど、日本のHR Tech市場には海外からの期待も集まっている。

*1:目論見書などから計算

その背景には、コロナ禍で加速するDXの波が影響していることは言うまでもない。また、政府からの働き方改革という大号令に、外出自粛やリモートワークの影響が重なり、副業(複業)や転職という個人のキャリア形成に寛容で意欲的な企業が増えてきた。これはHR Techサービスを提供する企業たちから見ても、事業機会が増えているとも言える。

中でも注目を集めた「SmartHRのユニコーン化」について、その要因を、庄田氏はこう分析する。

庄田企業における人材の流動性が高まっているので、企業側は雇用契約を結ぶなど、労務関係業務に割く時間が増えています。ワークフローを整備する必要性が高まり、SmartHRのような労務関連SaaSの利用がもちろん伸びます。

海外からも評価される背景としては、日本のマーケットにおいて他にいない企業だったというのがシンプルな理由でしょう。SmartHRについて特に注目したいのが、国内における雇用関連書類の規制緩和を先読みしていたかのような、早いタイミングでプロダクトの展開を進めてきた点です。市場におけるターゲットの認知獲得もかなり早期から戦略的に取り組んできたように感じています。こうした「先手を打つ動きの数々とその積み重ね」が、現在の高い海外評価につながっているのだと思います。

今後は労務領域はもちろん、他の分野にフォーカスしたプロダクトも伸びていくというのが、庄田氏の見立てだ。たとえば、「キャリアSNS」として広がりを見せるYOUTRUSTについて「周りの人の多くが使い始めていて、肌感覚としても確実に利用の広がりを感じる」とユーザー目線で注目しつつ、その伸びしろについても分析する。副業系サービスの今後は、大きく2段階のステップを踏むだろうと語った。

庄田YOUTRUSTをはじめとして、いわゆる副業マッチングのようなカテゴリでのサービスが増えてきましたが、その多くが実際には「正社員雇用」を目指して使われているのが現状です。この流れでも、それぞれのサービスはまだまだ伸びていくでしょう。ですが、これは第一段階に過ぎません。これらのサービスが本領を発揮するのは少し先になると思います。

「メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へ」とよく言われますが、先ほど述べたように、副業サービスの使われ方はまだまだメンバーシップ型の延長線上にあります。この先、短期契約や、プロジェクトごとにアサインする形でのジョブ型労働が日本でもどんどん増えていくでしょう。

そうなると、企業は個人のジョブ型労働のニーズに適応していかなければなりません。この時初めて、YOUTRUSTなどのサービスで多くの企業が副業人材を探すようになります。これが第二段階です。

また、コロナ禍によってこの変化は想定よりかなり早く進んだ、と続けた。

庄田多くの従来型の企業にとって、「副業から正社員へ」という流れに適応することも簡単ではなかったはずです。第一段階への進行は、想定よりかなり早く進んだ印象があります。こうした変化を急激に生んだという意味では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うワークスタイルの変化がHR業界にもたらした影響は大きかったと言えます。

コロナによるショック療法とも言える環境の大きな変化で企業が変わり始めた今、HR Techサービスの戦いが激化するのはまだまだこれからということだ。マーケットはより拡大していくだろう。

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HR Techは新規事業の成功確率が高い?
横展開で生きる積み上げ

HR Tech市場の概観を理解したところで、次に海外事例も踏まえてHR Techスタートアップの成長について聞いてみた。

最近では多くのスタートアップが、メインとなる1つの強いプロダクト(サービス)を軸に、IPOやM&Aといったイグジットに至る。これが最も確度の高い成長曲線の描き方だからだ。だが、ことHR業界となると、他の業界よりもサービスの複数展開による成長角度の向上を望みやすいと庄田氏は分析する。その理由の1つは、企業の多くが「人材」や「採用」に大きなコストをかけていることにある。

海外の先進事例を見ると、そのことがよくわかる。実際にアメリカのWorkdayは、いわばHR Tech SaaSのオールインワンのような企業向けクラウド型人事・財務アプリケーションパッケージを提供している企業で、時価総額は590億ドル(2021年6月末)にのぼる。これは、SmartHRの約37倍だ。上場/非上場の違いもあり単純比較はできないが、規模の違いはよくわかる。

HR系のSaaSを個別に導入するより、一気通貫サービスを導入する方が当然楽であり、大企業も採用しやすい。庄田氏はこうした事例をベンチマークとし、将来的にその規模を見据えつつ、新サービス開発による横展開を既に始めている。

庄田今の日本では、 HR Techサービス同士の連携がまだまだ薄いのが課題です。本当はもっと連携することで多くの価値を生み出すことができる。海外の事例を見聞きするたびにそう思います。

ただ、日本とアメリカでは仕事に対する考え方が異なるので、完全になぞるというよりは、日本にとって最適なプロセスでサービスを拡充することが求められていると考えています。私たちはその最適解を探っています。

HERPはこれまで『HERP Hire』という採用管理ツール(ATS)のSaaS単体での提供を通して事業成長を実現させてきた。シリーズBというフェーズを機にこれからは、新規事業/プロダクトの開発を積極的に展開していく方針だ。そしてこれは、HR領域ならではの知見の蓄積を生かした横展開であると強調する。

庄田一言でいうと、HRのサービス展開では積み上げが活きると思っています。一つのプロダクトに注力すべし、という「選択と集中」も大事な考え方ですが、我々はそうではない展開でこそ、目指すべき企業の姿に最短ルートで進むことができる。

『HERP Hire』というプロダクトは、メンバー全員で採用活動を行うという概念として広めてきた「スクラム採用」とともに成長し、ユーザー企業さんの採用活動ど真ん中で価値を発揮しています。なので必然的に、求職者側・企業側双方が持つ様々なニーズをキャッチし続けることができるんです。

たとえば先ほども指摘したように、働く人たちの感覚が変わってきています。転職の方法は、旧来の求人媒体やエージェントに登録するという形だけではありません。副業をフックにして数か月後に正社員になることもあれば、SNSでの出会いや、オンラインイベントでの出会いが選考応募のきっかけになることも多くあります。

こういった「働く人の変化」をいち早く捉え、かつそれに対する企業の動きも迅速にキャッチできる。そんなポジションにいるのが我々なのです。新たな事業機会にいち早く気づき、プロダクト開発を検討できるので、結果的に新規事業を成功させられる確度は高まると思います。その都度まったく新しい市場で新規事業にチャレンジする企業もありますが、そうした事例とは一線を画すスタンスをとっています。

プロダクトを通したコミュニケーションを積み上げれば積み上げるほど、新プロダクトの差別化につながり、新プロダクトの成長が既存プロダクトの拡張にもつながる。確度の高い手を継続的に打つことができます。僕らがこれからHR TechのSaaSを数多く、ひたすらに開発していくという方針を掲げている裏には、こうした戦略があるんです。

*2:スクラム採用については庄田氏の以前のインタビューをご参照ください

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「採用を変え、日本を強く。」
ミッション変更は、急成長スタートアップに不可欠?

これからは新たなSaaSプロダクトを多角的に展開していくと繰り返し語る庄田氏。その中でもHERPが軸足を置くのは、あくまで「採用」だ。

しかしこれを聞いて、「サービスを複数展開していくなら、もっと領域を広げた方がバリュエーションが高まるのでは?」と思う人もいるだろう。だがそれでもHERPが採用にこだわる理由がある。

庄田「採用」は僕らの手法としてのこだわりです。最終的な目的は「日本を強くすること」。世界の企業時価総額ランキングで、20年前と今を比較して、日本企業がまったくいなくなったという話ってよくされますよね。その話に象徴されるように、現代のビジネスの潮流に、日本企業はうまく乗れていないという事実が明らかにあります。

でもそうした事実以上に、僕個人として寂しいなと思うのは、アメリカや中国と比べて「異常に強い志」を持った人が少ないことです。おそらく多くの人は、何か大きいことを達成できるイメージがわかないから、最初から「志」を持とうとしないのだと思います。この現状を変え、高度経済成長期のような、ビジネスチャンスと希望にあふれた日本にするために、僕らは事業をやっていきたいのです。

日本経済の主役は“企業”であり、その企業は“人”でできています。だから私たちは、企業の採用のあり方をアップデートし、志のある企業が適切な人材を適切に採用できるような世界の実現を目指そう。そんな想いを込めてミッションを更新しました。

「採用を変え、日本を強く。」これがHERPの新ミッション。非常に端的にまとまっているのが印象的だ。

シリーズBラウンドで約10億円の資金調達を発表したこのタイミング。メインプロダクトの『HERP Hire』は導入企業が900社を超え、2つ目の『HERP Nurture』を成長軌道に乗せようとしている。

ではなぜ、このタイミングでミッションの刷新を決断したのだろうか。それを庄田氏は「第二創業期」という言葉も使いながら説明した。

庄田よく言われる言葉で「第二創業期」というのがあると思いますが、今の状況はまさにこれに近いですね。まず社内で言えば、プロダクトを新たに創出していくためにミッションが果たす役割はやはり重要だと感じます。

事業やプロダクトをこれからいくつも増やしていきます、最低でも年間2つくらいずつは増やしていきたい。そうすると、社内に事業責任者やプロダクトマネジャーといった職務を担うメンバーが増えていくわけです。

一人ひとりが「意思決定の機会」に立ち向かう機会も大きく増えます。かつ、経営陣が全ての局面に関わるのも不可能になっていく。そのなかで基準たり得るミッションを改めて検討したんです。

合わせて、プロダクト全体のコンセプト設計も、新ミッションに基づいて創っています。

ミッションの重要性や、果たすべき役割は、スタートアップのフェーズによって変わり得る。変更や更新を実際に行うのは簡単ではないが、適切なタイミングでその一手を選び取れるかどうかが、企業の持続的な成長に大きく影響を及ぼすだろう。

庄田これからいくつもプロダクトを創っていくわけですが、HERPのプロダクトである限り、それらのつながり(シナジー)はもちろん、一つひとつがミッションと密接に紐づいている必要があります。

「新規事業を次々に生み出す企業」になる上では、ミッションのもとにプロダクト全体のブランドコンセプトがあり、その下にそれぞれのプロダクトコンセプトを描いて開発していく。そんな構造が不可欠なので、ここで再整理しようと決心したんです。

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「ポジションが空いたら募集」は遅すぎる。
「点」から「線」への採用変革をもたらすプロダクト

まだまだ隆盛なHR Tech領域において、ミッション刷新とシリーズBラウンドの資金調達を経て、新規事業創造企業への転換を図るHERP。差し当たっての目標は、年間2つ以上の新プロダクトローンチだ。

庄田もちろん多ければ多いほど良い、という考え方もできますが(笑)、現実的には2つずつの立ち上げが目標です。そもそも、既に指摘しているように、今の日本にはHR Techのサービスがとにかく足りない。競争環境としてはまだ激化しているとは言えない状況ですし、新規事業の余地はたくさんあるはずです。

冒頭で、日本のHR業界を見ると、採用領域に多くのサービス事業者がいると述べた。求人媒体は300以上あると言われ、エージェント事業を営む事業者・個人は星の数ほどいるだろう。それに伴い、近年急増しているのがATS(Applicant Tracking System)と略される、いわゆる採用管理システムの利用だ。上場しているビジョナルは、決算説明資料で『HRMOS』の導入が伸び続けていることを示している。HERPのメインプロダクト『HERP Hire』も前述の通り、スタートアップでの導入を中心に900社以上に利用されている。

だが、ほかの領域はまだまだ市場開拓・創造の余地が大きい。例えば、海外でTRM(Talent Relation Management)と呼ばれ市民権を得つつある領域。採用候補者のタレントプールを管理・運用するサービスのことであり、これからHERPが『HERP Nurture』というプロダクトを有料化し、本格展開していく。年内に別サービスのβ版提供開始予定もあるという。

庄田我々が新規投入するプロダクト・機能はどれも『HERP Hire』のATSとしての基盤があるからこそ、ユーザーにとって大きな価値を提供できるプロダクトになると思っています。活用するサービスの土台が最も多くあり、その延長線上にあるプロダクト・機能だからこそ、利用のハードルも低く、オンボーディングも効率的になります。

HERP Nurtureをセカンドプロダクトとして展開する背景として、今後どの企業でも重要になっていく“デジタル人材の採用”にコミットしたいと考えていることがあります。

ITエンジニアのみならず、データサイエンティストやWebマーケター、SaaSセールスといった人材とのタッチポイントを的確に増やし続け、最適なポストを適切なタイミングで提示して人材を確保できるようにすることが、『HERP Nurture』の活用でできるようになるはずです。それだけでなく、入社後の最適なオンボーディングまで図れるような一気通貫の仕組みを視野に入れています。

「タレントプール機能の有料化」は、日本では時期尚早という指摘もあり、確かに今後大きくなるマーケットであるとも思います。ただ、これから伸びると信じているからこそ、有料提供によって本気で事例をつくっていって、企業や働く人たちの考え方をアップデートしていきたいのです。

また、今後展開予定のサービスについても、転職への考え方の変化をうまく捉え、その変化に企業が対応することをサポートしていくという考えは変わりません。まだまだ小さくて利用している企業が少ないようなサービス領域であっても、マーケットを作るという気概で取り組んでいきたいと思います。

HERPが目指すのは単に「採用をしやすくしたい」というのではなく、日本企業と労働者のマインドチェンジだ。新規事業やミッションの刷新などの新しい挑戦が、その試金石となる。

今すでに採用環境は激変しつつあり、企業が「待っている」だけでは採用できなくなってきている。「ポジションが空いたから募集をかける」では遅すぎるというのが現状だ。候補者になりうる人材が転職を考えていないタイミングから積極的に認知を獲得し、コミュニケーションを取り、しかるべきタイミングで採用につなげられるような長期的な設計が求められている。

HERPは「スクラム採用」という概念や、さまざまなHR TechのSaaS提供を通して、就職希望者・転職希望者のニーズ変化に企業が柔軟に対応できる備えを用意していく。

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新たな指標、新たな価値観をつくりたい人求む!

採用手法の変化が求められる中で気になってくるのは、「HERP自身はどのように採用を進めているのか?」ということだろう。その点について聞くと、庄田氏は「どこの企業よりも良い採用を実践できていないといけないと思っている」と力を込めた上で、創業時から変わらない採用ポリシーを熱っぽく語った。

庄田私たちは、ジェネラルに成長できるポテンシャルがある人を採用したいと思っています。特定の専門知識を磨き続けたいという人よりも、新たな事業や新たな価値観を創造していくのに必要なスキルやマインドを、仕事を通じて学び続けたいと強く思って動き続けられる人、というイメージですね。

SaaS企業の多くでは、強いプロダクトがあればあとは、ある程度分業・定型化されたミッションに向かう仕事をする人をたくさん採用する傾向にあります。ただ、僕らはそうしたことをまだ全く考えていません。さらに言えば、『短期的に得意分野で成果を出し、労働の内容が変わっていったら会社を離れてもらう』ということにもしたくない。

一度入った人はずっと働き続け、成長し続けてほしい。だから先ほど言ったような「価値観創造に向けてジェネラルなポテンシャルを持っているかどうか」をまずは見ます。そして、全員にトライアル入社をしてもらってカルチャーフィットを確かめるという手法にも強くこだわってきました。

庄田氏が言うように、採用した人材が「定型化しない仕事を担い続け、成長し続ける」ことは理想だが、実際にはそうもいかない場合も多い。HERPでは社員の持続的成長をどのように実現しているのだろうか。

庄田そもそも僕らのトライは「新しいマーケットを創ること」です。つまり、就労に関する新たな価値観をつくり続けること。これを全従業員に求めたいと思っています。たとえばセールスをするときにも、経営者の方にマインドを変革していただけるように経営者目線の対話をしなければならない。こうした新たな価値観をつくるという仕事は、難易度が高く、定型化のしようがないんですよね。

だから、“創造”の機会が非常に多くある、というのがHERPの「働く場としての特長」になります。そして、この特長を長く保持していけるように、新規事業・プロダクトの開発を永続的に進めます。いろいろなバックグラウンドを持ったさまざまな立場の人が、それぞれに合った挑戦の場で働き続けられる環境になるんです。

庄田氏は国内外のHR Techマーケットを常々研究し、最近はnoteでの連載を始めた。マニアックなレベルまで踏み込み、市場を科学してきた経験から、HERPのプロダクトは生み出されている。その庄田氏は今、HERPはHR領域のセールスフォースになれると豪語する。

庄田セールスフォースがSFA(営業支援システム)のマーケットを創ったのと同じことがHRでもできると思います。僕らはマーケットとプロダクトを徹底して科学していて、その上で大きな機会があると思っている。大きなマーケットの中で新しい事業を創っていきたい人にはすごくマッチすると思います。

とはいえ、セールスは定量化によって成果が見えやすい。一方で採用は、踏み込めば踏み込むほど、成果指標がつくりにくい。そもそもHRは、数値化しづらい業務が多い。採用数を増やしても、定着しなかったり、必ずしもその人材が活躍するわけではなかったりするため、どこにKPIを置くかは企業によって考え方が違っている。

このように絶対的な解がないことを「もどかしいポイント」としながらも、庄田氏は「だからこそやりがいがある領域」だと話した。

庄田成果が見えづらいからこそ科学しがいがありますよね。僕らがやるべきなのは、数字には表れていないものに対して評価する手法を生み出し、『指標からつくっていく』ことです。これが先ほども言った「新しい価値観を作っていくこと」です。

そういう意味での『HR Techマーケットの創造』が僕らの目標です。

全体として投資家からの期待が集まりつつあるHR Tech市場だが、まだまだサービスは不足しており、実は余白も多い。市場とプロダクトを科学し、あらゆる領域でプロダクトを生み出そうとするHERPは今後、採用のあり方だけでなく、労働観そのものを一変させるかもしれない。

こちらの記事は2021年10月08日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

落合 真彩

写真

藤田 慎一郎

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