連載No Age 〜ビジネスアスリート集団TENTIALのカルチャー〜

調達は「なる早」?上場は「いつでも」?
──目先の事業とファイナンスの狭間で悩むTENTIAL中西に、LayerX福島が応える

インタビュイー
福島 良典
  • 株式会社LayerX 代表取締役CEO 

1988年、愛知県生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了。2012年度IPA(情報処理推進機構)「未踏スーパークリエータ」認定。2011年、修士課程2年次で同級生と3人で情報キュレーションサービス「グノシー」を開発し、2012年11月に株式会社Gunosyを設立。2015年4月に東証マザーズ上場、2017年12月に東証一部へと市場変更を果たす。2018年8月にはAnyPayとの合弁会社・株式会社LayerXを設立し、代表取締役CEOに。2019年6月には日本ブロックチェーン協会(JBA)理事に就任。

中西 裕太郎

プロサッカー選手を目指していたが、突然の病にかかり、夢半ばでサッカーを諦める。ビジネスで世界を変えようと決意し、プログラミングを学び、インフラトップの創業メンバーとして参画。WEBCAMPの事業責任者を務めた。その後、リクルートキャリアへ最年少社員として入社。事業開発などに携わり卒業。2018年、スポーツ領域で起業したいという思いから株式会社TENTIALを設立。スポーツウェルネス領域にて、メディアとD2C事業を行っている。元プロサッカー選手播戸竜二がCSOとして参画したり、プロテニスプレイヤー西岡良仁選手から資金調達などを行う。

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起業家が事業を成長させる上で必ずぶつかるテーマに「資金調達」と「上場」がある。どんな条件で投資家から資金を引き出すべきか、どんなタイミングで上場すべきか。さらに他社の資金調達や上場のニュースが、自分の事業に対するプレッシャーとなってじわじわメンタルを追い込んでくることもある。

「長期目線でのファイナンスも、目先の事業施策も、どちらもベストな意思決定をしたいが、工数のバランスをとるのが難しい」と苦々しく語るTENTIAL(以下、テンシャル)代表取締役CEOの中西裕太郎氏も、そんな悩みを抱える若き起業家の1人だ。

そこで今回は、Gunosy(グノシー)で、起業からわずか2年半という速さでマザーズ上場を果たし、現在は2018年に創業したLayerXの代表取締役CEOに加えて20社以上に投資するエンジェル投資家という、連続起業家・投資家の2つの顔を持つ福島良典氏の対談を企画。

先輩起業家から事業のヒントを直接学ぶ場として、中西氏の抱えるリアルな悩みに、そして福島氏の独自の経営哲学に迫った。

  • TEXT BY MARIKO FUJITA
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資金調達に囚われるあまり、
事業と向き合う時間を減らしてはいけない

スタートアップの世界では、資金調達や上場のニュースが出るたびにそれぞれの界隈が大きく盛り上がる。まず、こうした他社の資金調達ニュースに対して、二人はどんな捉え方をしているのだろうか。

2020年5月に約30億円の大型調達を発表し話題をさらったLayerXの福島氏は、独自の注目ポイントについて次のように語る。

福島最新の他社の情報から、調達のトレンドは押さえておくべきだと思います。僕らも今後さらなる調達や上場を目指していく立場なので、どういうロジックでどこから集めてくるんだろうとか、どれくらいの相場感、KPIでこの数字が出ているのかなどは、推測しながらニュースを読んだりしていますね。

最近では、アメリカのPEファンドであるベインキャピタルがheyに投資したり、世界最大のVCであるセコイア・キャピタルの関連ファンドがSmartHRやアンドパッドに投資するなど、これまでにはなかったようなレイターステージでのスケールの大きな調達の動きが出てきているので、そうしたニュースは特に注目して追っています。

より大きなリスクをとってくれるキャピタリストやファンドが増えれば、僕ら起業家はさらにリスクを取り、良いものを作って顧客に価値を届けられる。なので、資金調達の選択肢がどのように増えているのかを、常に考えていますね。

株式会社LayerX 代表取締役CEO 福島良典氏(オンライン取材時の様子)

一方テンシャルの中西氏も、やはり自身の資金調達に向けた情報収集として、他社の資金調達ニュースは細かくチェックしているそうだ。

中西僕らはまさに、これから次のファイナンスに向けて動き出そうというタイミングなので、事業に勢いのある他社がどういうファクトとロジックを使って資金調達を進めているのかという部分は、やっぱり気になりますね。

ただ、資金調達って、そのためにデータをとったり、詳細な資料を作ったりと、準備にはやっぱりいろいろ大変な部分があるんですが、それが目の前の事業成長にどう紐づくのかと考えると、どうしても疑問が残ってしまうというか……。

もちろんお金を集める行為として重要なのはわかっているんですけど、事業に集中できないもどかしさが、けっこうあるんですよね……。

テンシャルはこの2021年2月にちょうどCFOを置いたばかりというタイミングだが、創業して日の浅いスタートアップの中には、専任のCFOを置かずCEOが資金調達を担っているところも多い。

そうすると、資金調達に関する諸々の作業が、事業と向き合う上での“ノイズ”のように感じられてしまうのだ。

福島氏は、中西氏のこの悩みに大きな共感を示しつつ、自身も「資金調達に時間をかけ過ぎない」ことを意識していると語る。

福島すごく分かりますね。資金調達ってやっぱり、どうしても時間を取られるので。

なので僕の場合は、いちはやくフェアだと思える金額で出資してくれるところがあれば、そこに乗っかっちゃうみたいな、そういう考え方でやっていますね。もちろん、ハードに交渉してバリュエーションを上げるという考え方もあるとは思いますけどね。

資金調達において重要なのは、必要な資金をフェアなバリュエーションで、最速で集めること。結果としてどうしても時間がかかってしまうことはあるんですけど、やはり経営者としては、顧客に集中したり、事業をスケールさせることに時間を使った方が良いなとは思います。

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投資家は「他社にはない独自の強み」に資金を投じる

「資金調達には時間をかけ過ぎるべきでないという考え方もある」との福島氏の回答に、すっきりとした納得感を得た様子の中西氏。

「普段から周囲の大人や先輩たちには、積極的に意見を求めにいく」という彼から出たのは、「資金調達を引き出す上で、事業の定量面と定性面のどちらが重要なのか」という質問だ。

株式会社TENTIAL 代表取締役CEO 中西裕太郎氏(オンライン取材時の様子)

中西過去の実績や将来ビジョンなど、さまざまなロジックの組み方があると思うのですが、資金調達の時点ではどの程度の精度でKPIなどの定量的な数字を握っているものなんでしょうか。それとも、意外に定性的な観点が重要だったりするのでしょうか。

福島業種によってかなり変わるとは思うんですけど、基本的には半々くらいでしょう。やっぱり定性的な部分の評価もかなり大きいですね。

ただ、最も重要なのはユーザーに価値を届けるという観点であり、「事業を成長させていく上で、自分たちに他社にはない優位性があるかどうか」という部分をきちんとロジックに組み込むことが、非常に大事です。

中西なるほど、僕らは「健康」というとても大きなマーケットを見ているのですが、その中でどこまで遠くに事業を伸ばしていけるのかという点は、定量では示しにくいと思っていたところなんです。

福島今現在勝てているのは、単純にまだ強い敵が参入しておらず、激しい競争が起こっていないだけ、ということもある。

そうではなくて、自分たちには独自の強みがあって、将来的に競合が入ってきても勝てる見込みが高いこと。このまま事業をスケールさせて行けばマーケットを独占できる可能性があるということ。これらをいかに示せるかが、非常に重要なんです。

「誤解を恐れずに言えば」と前置きし、“マーケットの独占”がどれだけ魅力的かという点を、投資家目線で語る福島氏。

福島聞こえは良くないかもしれませんが、やはり、ある一定のセグメントに関して「ほとんど独占している」というぐらい支配的な価値を作っている会社には、ものすごく高い時価総額がつきますよね。投資家としてはやはり評価しやすい。

なので定性の部分では、そうした市場の支配に向けて、自分たちが現在マーケットをどのように捉えていてどのようにシェアを高めるつもりなのか、そのためにどれだけリスクマネーがあると優位に戦えるのか、ということを明確に伝えられれば、投資家に納得感を与えられると思います。

定量の部分では、今出ている数字をフェアに正しく伝えつつ、事業モデルの中でどの変数が検証済み(proven)で、どこが検証済みじゃない(unproven)のか、どういうアップサイドがあるのか、逆にダウンサイドはどのラインを想定しているのか。僕が起業家として説明するときは、その部分をかなり意識して話すようにしていますね。

中西最近、僕らが勝ち続ける理由ってなんだろう、と改めて考え続けているんです。でもその中で、リスクの取り方のパターンまでいくつも想定していくことが大事なんですね。

また福島氏は、ロジックを立てて説得できれば、以前より大きめの出資が得られるチャンスは増えてきたという環境変化を指摘する。

福島以前は「時価総額1000億いくIT企業なんてない。300〜500億だよね」という相場感があって、未上場だと実際には100億円ぐらいがバリュエーションの上限になっていました。

しかし今は、メルカリやfreeeなど、時価総額何千億円というIT企業も出てきた。だから、この上限が上がってる感じがするんです。

未上場の段階でも数百億円規模のバリュエーションを正当化するVCも増えてきて、昔よりも「いけると思ったら大きめに張ってもらえる」マーケットになってきたなぁという印象がありますね。

ただ、「調達額」を見る時は注意が必要かもしれません。大きな調達をしているプレイヤーは目立ちますが、そのような会社はごく一部です。つまりは、「勝つ」と思われたところにはものすごくお金が集まるけど、そうじゃないところには集まらない。見方がシビアな調達環境になっているんじゃないかなと。

資金調達におけるポイント

  • 海外の機関投資家による日本の未上場企業への投資に注目
  • 必要な資金を、フェアなバリュエーションで、最速で集める
  • 他社にはない優位性を、的確にロジックに組み込む
  • リスクの取り方は、複数パターン想定する
  • “マーケットの独占”は投資家から見て魅力的
  • 高い調達額はごく一部の動き、惑わされるな
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上場とは「市場に経営を引き継ぐ」こと
──上場することが正義ではない

続いて話題は「上場」に移る。スタートアップの経営者なら誰もが一度は考えるテーマであり、上場することを目標に日々の事業に取り組んでいる人も少なくないだろう。

テンシャルの中西氏も、まさに今「上場」についての解像度を上げるべく、頭を悩ませているところである。

中西やっぱり上場した後の経営って、未上場の時と比べて色々とハードルが高くなりそうだなと思っていて。他の企業を見ていても、未上場の期間にどれだけサステナブルな体制を整えられるかで、上場後の経営もすごく変わるんだろうなと感じています。

上場は当然の前提としつつ、タイミングについては既存株主含めさまざまなステークホルダーと話し合い、バランスを取りながら定めていきたいですね。

一方の福島氏は、「タイミングについてはまだ未確定だが、上場すること自体は目指している」という。

その理由を尋ねると、「そもそも企業は、どういう場合に上場を目指すべきなのか」という根本的な問いの答えが見えてきた。

福島「上場すべきか否か」の論点はひとつしかなくて、サステナブルな会社を目指したいのか、オーナー企業として自由にやりたいのかという点です。

僕の場合は、後者には全く興味がないんですよね。なので、上場してサステナブルな会社を目指していきます。

上場するということは、そもそも自分の立場すら相対化するということ。当然ガバナンスも厳しくなりますし、いわゆる業績とかを外部に晒すことになるので、外部からの目がすごく厳しく入るんですよね。

すると、ある意味で「市場が会社を経営する」ような感じになっていくので、上場企業は経営自体を市場に引き継ぐことができる。この部分が一番のポイントなのかなと思っています。

上場企業は「ゴーイングコンサーン」とも言われますけど、そうした将来にわたって継続する企業を目指すなら、基本的には上場を目指した方が良い。

逆に、自分たちの代だけで終わる熱狂的な集団としてやっていきたいなら、無理に上場しない方が良いですよね。僕はそれも一つの価値観としてありだと思います。

明快な回答に、中西氏もうんうんと首を頷く。「上場は、伸び続ける企業/事業をつくるという目的を達成するための手段でしかない」とはよく聞く話だが、このようにタイミングについて経験を基に聞くと、このことがより身に染みて分かる。

ただし、上場には「未上場の状態にはない大きなメリット」があるのも事実だ。福島氏はこのメリットについて、調達できる資金とそれによってもたらされる社会に対する影響力の大きさを挙げる。

福島もう1つは、やっぱり上場ってパブリックに資金を集めるということですよね。ちょうど先日、freeeが400億円近い資金の調達を発表していましたけど、未上場で400億って、正直集められない数字です。

彼らは上場して、今までさまざまなマイルストーンをクリアしてきたからこそこれだけの金額が集まるんだと思うんですけど、そうやって積み重ねた信頼が400億というリソースに変わるっていうのは上場マーケットならではというか。

自分たちをパブリックにさらけ出して、数字にコミットしていくというのはしんどいことなんですけど、その数字を達成した時に得られる信用とリソースを使って、事業をさらにドライブすることもできる。

もちろん上場するか否かは、どちらが正しい、間違っているということではなくて、好みの問題だと思います。

ただ、多くの投資家から信用を獲得しリソースを集めた会社の方が、やはり長きにわたって影響力を及ぼしたり顧客に価値を出している傾向があるというのは、見るべき事実だとは思います。

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圧倒的なキャッシュエンジンを作ってから上場することで、
“チート状態”が生み出せる

「上場するか否か」については興味深い示唆が得られた。もう一つ、気になるのが、そのタイミングをどう考えるべきなのか、だ。

「いかにスピーディに上場するか」が成功の指標として語られるケースもある。早期上場の手段としてSPAC(特別買収目的会社)の活用事例も多く取りざたされる。そうした中で、中西氏に「若手起業家として、上場が遅くなったら不安という感覚はないのか?」と聞いてみると、意外にも慎重な答えが返ってきた。

中西僕は逆に早すぎると怖いなっていう感覚があるんですよね。

上場後も持続的に事業をグロースさせていけるような基盤を作ってから上場しないと、後から厳しくなっていくような恐怖は日々ひしひしと感じていて。

あとは上場後も自分が成長していきたいなと考えた時に、スピードを重視するあまり不完全な状態で上場してしまうと、自分と乖離していってしまうみたいな側面が出てくるという懸念もあります。

バリュエーションが高い低いという点よりもむしろ、早い時期での上場を目指すがゆえに、成長が鈍化してしまうケースも多くあると感じます。

そして福島氏も「上場の速さに優劣はない」ときっぱり断言する。

福島10年かかってるからダメとか、3年で上場しているからすごいとか、そういった時間的な基準は事業の将来性に全く関係ありません。ビジネスにはそれぞれ、領域や事業内容ごとの適切な成長速度があると思うので、むしろそこを逸脱させて経営させている方が危険かなと。

ただ、上場を目指す時期についてはVCなどの利害関係者と事前に握っておく必要はあります。「3年で上場します」って言っておきながら10年かかってたら、それは信用されないので。長期戦なら長期戦である旨をしっかり握った上で調達すべきだとは思いますけどね。

しかしながら、そうであれば企業はどのようなタイミングで上場するのがベストであると言えるのだろうか。何か明快な基準はないものだろうか。

そう尋ねると福島氏は、「多少タイミングがズレたとしてもその後の努力で調整することは可能で、上場のタイミング自体は事業成長においてそこまで致命的な要素ではない」と前置きした上で、王道とも言うべき“チート状態”を生み出す上場タイミングを示してくれた。

福島2つ目の事業を成立させるくらいのフェーズが、上場のタイミングとしてはいいんじゃないかと思っています。

たとえばメルカリの場合、国内で圧倒的に磐石なビジネスを作った上で、グローバルでリスクを取っている。Sansanの場合は、『Sansan』という法人向け事業を圧倒的なキャッシュエンジンにした上で、『Eight』という個人向け事業でリスクを取っている。

メルカリは国内から海外、SansanはtoBからtoCという違いはありますが、彼らのように自分たちの優位性をちょっとずつ横にずらしながら、複数事業の成長を描いていけるのが見えた段階で上場するのが一番良いのではないかと最近感じています。

もちろん上場してからでも「リスクを取れる」という人はいるんですけど、数字に対してコミットはしなきゃいけなくなる。新規事業を進めていく上でも、どのぐらいの期間で投資を回収するのかといった点で、その都度投資家と合意を取る必要が出てくるんです。

なので、未上場の段階で複数事業を試してから上場している会社と、そうではない会社の間には、経営の成熟度に違いを感じることがありますね。

持続的に成長を続けるキャッシュエンジンを持っている会社は、上場後に新規事業でどれだけ目先の赤字を掘っても投資家が許容しやすいと思います。だから事業拡大のチャンスも多い。

こういうスタイルで、高い時価総額を保ちながら、事業上は大きな赤字を掘りつつも資金調達力がある上場企業というのは、競争戦略上で非常に優位に立っている感じがしますよね。赤字も掘れちゃうし、さまざまな手段で資金も調達できるし、信用力もある“チート状態”を作れる。

逆に言えば、そういった状態を作り出せるまでは上場せずに待った方が良いのだろうか。この問いに対して福島氏は首肯し、競合に対する対抗力という観点からも「決して慌てる必要はない」と強調する。

福島マーク・アンドリーセンというアメリカの著名な投資家がいますよね、彼曰く「堀が十分にできた段階で上場しろ」(※)。シリコンバレーでは競合優位性や参入障壁などを指すこの堀のことを「Moat(モート)」とも呼ぶのですが、ようは「急ぎすぎるな」ということですね。

堀ができた段階で上場すれば、資金調達力も上がり、競合を遠ざけるための堀を投資によってさらに深くしていけるからです。

逆に、堀が不十分な状態で上場すると、数字や事業を成り立たせているロジックが公になってしまい、調達や顧客獲得といった面での競合の追随を許してしまう。

たとえばUberが上場した時、彼らの時価総額は兆円単位でしたけど、もし数百億円単位の時に上場していたら、「UberはこういうKPIとロジックでやってて、こういう顧客層がいる。なので、UberのKPIを半分達成したらUberの半分のバリュエーションで調達できますよね」と、競合相手に資金調達時のロジックを与えてしまいますよね。

なので「堀が深くなるまで上場すべきではない」というのは、けっこうプラクティカルで重要な考え方ではないかと思います。

とはいえ個人的にはいつ上場してもそこまで事業上は関係ないかなとも思いますが、未上場の状態でも資金調達できるなら慌てない方がいい、というか慌てる必要がないということですね。

(※)ハーバードビジネスレビューにおけるマーク・アンドリーセン氏のインタビューでの発言。概要部をそのまま引用すると<私の言う「要塞」を築くまでは上場のことを考えもするな>。ここで言う「要塞」がMoatにあたる。

詳しく知りたい方はこちらから

スタートアップ企業が目指すべきこと(インタビュー) DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー論文 Kindle版

著者 マーク・アンドリーセン
出版 ダイヤモンド社; 第1版 (2015/8/24)

上場を考える上でのポイント

  • サステナブルな企業にしたいのなら、上場すべし
  • 二つの事業が成り立つくらいのタイミングが、上場に適する
  • 早過ぎる上場のデメリットは「競合の追い上げを許す」こと
  • 優位を突き詰め、市場を独占できる“チート状態”を作れ
  • 上場までの早さだけで、優劣は測れない
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領域の課題解決に向けてそれぞれが取り組む、
新たなる事業の展望とは

福島氏との対話の中で、これまで不鮮明だった上場に関する解像度もかなりクリアになってきたという中西氏。そんなテンシャルをどう見ているか、福島氏に尋ねると意外な答えが。

福島テンシャルはもうレイターステージと言えるでしょうし、僕らLayerXの方が事業ステージとしては前段階だと思いますよ。

中西いやそんなことは(笑)。

福島テンシャルのD2C事業は完全にPMFしていますし、そこから横展開を始めるところですよね。うちのSaaS事業『LayerX インボイス』はやっとリリースしたところですし、三井物産などとのJVで進めているデジタルアセットマネジメント事業(※)はようやく資産運用会社としての土台ができたところ。

もちろん、業態や市場が全く異なるから、というのはありますが、とにかくまだまだこれからなんです。

(※)JVの三井物産デジタル・アセットマネジメント、FastGrow記事はこちら

領域もフェーズも全く違えど、同じベンチャー業界を盛り上げる仲間として惜しみなく知見や経験を共有した福島氏と中西氏。そんな組織を超えた連帯意識が感じられるのも、この業界でビジネスに挑戦することの醍醐味の1つだと感じさせてくれた対談だった。

最後に二人の今後について聞いてみた。中西氏は引き続きD2C事業に注力しつつ、現在2本目のビジネスの柱として立ち上げに取り組んでいるマーケットプレイス事業について、年内のリリースを目指すという。

中西上場の時期はまだまだ分かりませんが、もっと大きな話で言えば、人々の健康のリスクって言うとチープな感じがしますけど、僕らが解決したい課題はやっぱりそこなんです。たとえばデジタル化が進むことによって、体を動かす機会が減ったので、生活習慣病が増えたり体の不調を訴えたりする人が必ず増えてくる。

この課題に対して、僕たちは情報やモノから入り、健康にまつわる複数のペインを複合的に解決していきたいと考えています。

現在はD2Cの事業がキャッシュエンジンになってきているので、そこはきちんと成長させつつ、次は「スポーツや健康に興味を持つ人たちが、今まで買えなかったものを買える場」を新たに作っていきたいと思っています。

福島氏も、直近の2021年1月にリリースした『LayerX インボイス』をはじめとし、より複合的な事業拡大へと新たな一歩を踏み出したタイミングだ。

福島僕たちのミッションは「すべての経済活動を、デジタル化する」ですが、すぐに全部は実現できるものではありません。まずは「大企業の紙・アナログワークをなくす」「金融の非効率をなくす」「行政の非効率をなくす」をテーマに、時間軸の異なる複数のプロジェクトに取り組んでいくことで、サステナブルな企業を目指していきます。

それぞれの領域で、複合的な事業群の創造に向けて歩みを進める2人の起業家に大きなエールを送りつつ、今後の活躍に注目したい。

こちらの記事は2021年04月16日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

藤田マリ子

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