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早期のCxOキャリアが将来の選択肢を広げる。
磨くスキルのポイントは“希少性×再現性×市場性”

登壇者
森本 千賀子
  • 株式会社morich 代表取締役 

リクルート人材センター(現リクルートキャリア)に入社。転職エージェントとして、主に経営幹部・管理職クラスを求めるさまざまな企業ニーズに応じて人材コーディネートに携わる。3万名超の転職希望者と接点を持ち、累計売上実績は歴代トップ。受賞歴は30回超。2017年3月には株式会社morich設立、代表取締役として就任。同年10月に独立。
エグゼクティブ層の支援を中心に、課題解決に向けたソリューションを幅広く提案。その他社外取締役や顧問、アドバイザー、アンバサダーなどを歴任。

徳谷 智史

企業変革請負人。組織・人財開発のプロフェッショナル。京都大学卒。大手戦略コンサル入社後、アジアオフィス代表を経て、「世界唯一の人財開発企業」を目指しエッグフォワードを設立。総合商社、メガバンク、戦略コンサル、リクルートグループなど、業界トップ企業数百社にコンサルティング・人財開発など幅広く手掛ける。また、キャリアの専門家としても2万人以上のビジネスパーソンの意思決定支援に従事。近年は、「人と社会の新しいTurning Point」を創るべく、BtoCでの採用・機会選択プラットフォームや、HR-techによる人財の科学等、多数の自社新規サービス開発も手掛ける。

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近年、スタートアップやベンチャーだけでなく、大企業からもCxOに熱い視線が注がれている。企業経営の複雑化や内部での育成が間に合わないなど、理由は様々だ。

そのポジションが増加傾向であることも幸いし、早期にCxOへ就いて自分のマーケットバリューを高め、キャリアの選択肢を増やそうとする経営人材が目立つ。

それでは、求められるCxOになるためには、どのようなキャリアを歩めば良いのか。

FastGrowは2020年2月8日、「経営者キャリアの歩み方<転職編>」と題したイベントを開催。CxO支援のスペシャリストであるmorich代表取締役の森本千賀子氏、多くの経営者やビジネスパーソンを支援しているエッグフォワード代表取締役の徳谷智史氏を招き、CxOになるための方法やキャリアの磨き方について語ってもらった。

  • TEXT BY AYUMI KANASASHI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY KENTO HASEGAWA
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あらゆる局面に打ち勝つ「やり切る力」を持つか

オックスフォード大学と野村総合研究所は2015年に、今後10年から20年で日本の労働人口の約49%が人工知能やロボットなどに代替されると発表している

予測不能な「VUCA」の時代を生き抜くCxOには「三つの能力が必要だ」と、森本氏は指摘する。

株式会社morich代表取締役 森本千賀子氏

森本一つ目は、会社組織としてどこを目指すのか、事業として何を成すのかといったことを問える「課題設定力」。従来、求められてきた目の前の課題をクリアする「課題解決能力」だけでは不十分です。

二つ目は、時代の変化に対応しながら、戦略や戦術、具体的な施策を打ち立てていける「変化対応力」。三つ目は、その変化すら自分で生み出せるような「変化創造力」です。

徳谷氏も自身の起業経験から、経営は描いた通りに進むとは限らない、と話す。だからこそ、他責にしたり、諦めるのではなく、目的達成までやり切る力も必要だという。

エッグフォワード株式会社代表取締役 徳谷智史氏

徳谷私はコンサルティング会社で経営戦略を策定していたので、経営は得意だと自負していました。それでもエッグフォワードの立ち上げはうまく行かず、資金繰りも難航して人も去っていきました。現在支援しているさまざまなスタートアップやベンチャーも、資金面や組織面などのつらいフェーズを必ず経験しています。

そういった大事な局面で折れてしまう人は弱い。どんな場面でもビジョンを実現するんだ、事業を成功させるんだという「やり切る力」はCxOに必須だと思います。

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誰にも負けないコアスキルとの「掛け算」で希少価値を高める

続いて、必要とされる具体的なスキルについて、森本氏は「これだけは誰にも負けないという『コアスキル』を身につけることが最優先」と語った。

では、コアスキルはどのように見つければいいのか。徳谷氏は自分が仕事をする理由からの逆算を勧めた。

徳谷何のために仕事をするのか、どういうことを実現したいのか。そこから逆算すると、何をコアスキルにすればいいか見えてきます。

ただ、会社から求められることを漫然と続けていても、身につけたかったコアスキルが自分のものになるとは限らない。その人も本当は異なるスキルをつけたかった、と後から振り返ることも多いです。周りに流されず主体的に選ぶことも大切。

自分のスキルの価値を判断するポイントとして、徳谷氏は三つの観点を挙げて説明した。

徳谷スキルの価値を高めるポイントは、「希少性」「再現性」「市場性」だと考えています。まず一定の希少性があること。どんなに素晴らしいスキルを持っていても、さらに優れた人がたくさんいたら、価値は下がってしまいますよね。

再現性は、今いる組織や環境から出ても成果を出せる力のこと。特に経営者は、業界や事業のフェーズが変わってもこれを発揮できるかが重要です。最後は、市場性。レアで再現性が高くても、求められなければ活躍の場がありません。

コアスキルの最終的な価値は、自分ではなく他者や市場が決めると徳谷氏は言う。

徳谷たとえば、学生さんの視点で言うと、ロジカルシンキングが得意だと思っている人が、実はロジカルに話せていないなど、自己認知と他者認知が歪んでいるケースも見受けられるんです。企業内に入ると、自身の対外的な市場価値が見えにくいので、外に出て相対的な価値判断をしてもらう機会こそが大切。

コアスキルが定まったら、そこに異なるスキルを「掛け算」することで、さらにマーケットバリューを高められると森本氏は言う。

森本掛け算はどの分野でも構いませんが、今後成し得たいことや頑張れそうなことから選ぶといいでしょう。

たとえば、エンジニア出身でマーケティングも経験しているなど、異なるスキルを併せ持つ人が重宝されています。お笑い芸人さんでイメージすると、本職のお笑いに加えて、小説が書ける、絵がすごく達者、司会が上手いといったスキルの掛け算によって、希少価値は上がりますよね。

ただこの市場価値というのは、自身での判別は難しく、「社外の人に評価してもらう」ことが一番です。

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折れないCxOの源は「強烈な原体験」

身につけた能力やスキルを活かすためには、前提として個人の強い「Will」が求められる。この「Will」の見つけ方についても、熱い議論が展開された。

森本「Will」は待っていても見つかるものではありません。とことん内省して内面から捻り出し、日々明確に描き続け、初めて見つかります。

見つかるきっかけは「強烈な原体験」からというケースが多いです。自分には強烈と言えるほどの原体験は無い、と思う方もいるでしょう。問題は原体験の有無ではなく、すでにある体験をどのように咀嚼して次に繋げるかです。つまり、原体験として捉えられるかどうかがポイント。

徳谷やりたいことが突然明確になるかというと、そうでもないですよね。自分の体験から段階的に成し遂げたいことを探っていくといいと思います。

原体験を持つことは、困難な状況に陥ったときに「Will」へ執着する原動力にもなる。

徳谷経営には大変なフェーズが次々と来ます。「何のために経営しているのか」と思ったときに原体験があると、立ち戻れる場所になる。心折れずに事業を続けられると思います。

もし、今あなたが心の底からモチベートされていないなら、CxOになることが「目的」になっているのかもしれません。CxOはただの「手段」。強烈な原体験から来る「Will」を目的に据えれば、どんな局面でも自然とモチベートされるはずです。

併せて、スタートアップのCxOには、社会に対する価値を示す「ソーシャルバリュー」も必須。自分の年収を上げたいなど、ベクトルが自分だけに向いていると人はメンバーがついてきません。社会に対して価値を発揮するほど、結果的に自分のバリューも上がっていくでしょう。

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非連続キャリアと「修羅場経験」で引く手あまたなCxOに

森本氏は「20代から30代といった若い世代から積極的にキャリアを積むこと」を勧める。その背景には日本の就労環境の変化がある。60歳定年が65歳、そして70歳へと延長されつつある。若いうちに経験値を蓄えておくほど、その後のキャリア選択がしやすくなるからだ。

森本若いうちから多くの経験を積むには、同じ職種でポジションを高めていく垂直型のキャリアよりも、さまざまな職種やポジションを経験する非連続型のキャリアが有効です。垂直型では同じことを繰り返すうちに、スキルやキャリアの「踊り場」が来てしまう。非連続型で働く環境を変えながら成長カーブを上げれば、よりバリューアップが期待できるでしょう。

徳谷そのジャンプアップを、私はクリエイティブジャンプ、日本語で言うならば「修羅場経験」と呼んでいます。経営には修羅場が必ず訪れる。非連続型のキャリアで新しいチャレンジを続け、いくつもの修羅場を潜ると、飛躍的に成長できます。

その経験を積む企業は、どういった視点で選ぶといいのだろうか。森本氏は他のCxOとの関係の重要性について示唆した。

森本自分と他のCxOとの組み合わせで「化学反応」が起こせるか、自分のバリューが活かせるかという視点から企業を選択するといいでしょう。その組織に不足したパーツを自分が埋められる環境だと、化学反応をより起こしやすいかもしれないですね。

ただ、一口に企業といっても、あらゆる成長フェーズに分かれる。どのフェーズにいる企業で経験を積むべきなのか。

森本自分に足りないフェーズは何かという視点で選ぶと良いと思います。成長フェーズごとに経営課題は変わるので、複数の事業フェーズを経験している人は引く手あまたです。

非連続型のキャリアによって、加速度的に経験値を積む。そのアドバイスを贈る背景には、森本氏自身の「とりあえずやってみる」という姿勢がある。

森本私は日常にあるチャンスを見逃さずにキャッチしていくことで、さまざまな仕事やクライアントと繋がっています。

とにかく誘いを断らないこと。そして、可能な限りチャレンジし、必ず期待に応えること。そのためには学習も必要ですが、結果、自分の好奇心を刺激する分野にたどり着くことができました。

起業やCxO転職も含め、自身のキャリアは自分では見えにくい。そんなときは自らを客観視できる仕組みを持つことを、徳谷氏は推奨する。

徳谷自身のキャリアやWillを明確にするためにも、出来事や内面を定期的に振り返って、意味付け・言語化することは大事です。そのためにメンターをつけている経営者も多く見られます。

つい日々に忙殺されてしまいがちですが、私も意識的に時間を確保して、成し遂げたい目的や立ち返る原点に本気で向き合う機会を作っています。

森本キャリアは長く続くものなので、メンターやキャリアエージェントとも長いスパンで付き合うと効果的です。自分が成長しているか、社会的価値を生んでいるかを定期的に診断してもらいましょう。

ポイントは、メンターを複数人持つこと。1人だけだと価値基準がどうしても偏ってしまいますので、いろいろなタイプのメンターを持つといいですね。

誰にも負けないコアスキルを磨き、CxOを経験してマーケットバリューを高め、長く続くキャリアの選択肢を増やす。これがCxOキャリアの王道である。しかし、その華やかそうに見える道はまったく舗装されておらず、「強烈な原体験」にモチベートされた猛者たちが必死に切り開いていることが伝わってきた。

求める「Will」と現実との誤差を測るためには、メンターなど対外的な仕組みを活用するのも手だ。実際に、エッグフォワードのサービス「TURNING POINT」ではユーザーに対してメンターのような距離感で接し、市場価値やスキルセットの棚卸しを支援しているという。

セミナーの最後に徳谷氏が語った、「最初の一歩から新しいものが生まれる」という言葉が印象的だった。リスクを取ってでも本当に望むキャリア選択をする、その勇気をもらった時間であった。

こちらの記事は2020年03月26日に公開しており、
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執筆

金指 歩

フリーライター。信託銀行や証券会社、ITベンチャーを経て現職に。主に個人・法人のインタビュー記事、金融関連記事を執筆。

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藤田 慎一郎

編集

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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