「大手と提携して浮かれるな」
メガベンチャーに学ぶ、日本発のFinTechイノベーションストーリー
次々とベンチャーが起ち上がり、多様な可能性を示すFinTechムーブメント。
だが、ここへきて「諸外国のFinTechに比べ、ダイナミックな変革を感じさせるものが少ない」という厳しい声も囁かれ始めている。
はたして日本のFinTechはどうなっているのか? これからどうなるのか? 20年前から[金融×テクノロジー]で躍進を続け、今や日本を代表するリアルFinTech企業としてグローバルでも認められているシンプレクスの金子英樹氏に話を聞いた。
- TEXT BY NAOKI MORIKAWA
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
「それなりに便利な日本」ゆえに、イノベーション実現にはいくつもの壁が
シンプレクスは世界の金融ITサービス企業ランキングである『IDC Financial Insights FinTech Rankings Top100』にランクインする数少ない日本企業の1つです。そこで最初にうかがいたいのは、「なぜ日本のFinTechが海外に比べて目に見えた変革をいまだ実現できていないのか」です。日本でも数々のFinTechベンチャーが起ち上がってきていますが、本当にイノベーションを起こせるのでしょうか?
金子たしかに日本ではまだ、FinTechによるダイナミックなイノベーションは起きていません。ただし、そこには根源的な理由があります。日本の金融サービスが、他の国々よりもそこそこ便利だからです。
文句なしに便利、というほどではないにせよ、人々の日常生活をどうしようもなく妨げるほど困った状況にはない。何枚もの書類にいちいち印鑑を押さなければいけないような場面も多く、手続きが面倒だったり、時間がかかったり、という不満はありますが、望んでいたことがまったく達成できないような状況にはないですよね。
一方、例えば中国に目を転じてみると、「FinTechによる改革がどんどん進んでいる」とメディアでもよく伝えられています。食事をしたり、タクシーに乗ったり、といった様々な場面のすべてがスマートフォン等によるキャッシュレス決済で済んでしまう。「現金なしで日々生活ができる。すごい。進んでる。日本は遅れてる」という話になる。
でも、現実をしっかり見据えてみれば、現金への信用が安定していない中国社会の実情や、既存の決済手法の数々がそれぞれ問題を抱えている、という背景が浮き彫りになってくる。
たしかに素晴らしいイノベーションが進行しているけれども、それは「国民の生活にとって、あるべきものが整備されていなかった」からこそ、早期に実現したんだと捉えることもできるわけです。
イノベーションを「何も存在していなかったさら地」で実現することは、それほど難しいことではありません。日本のように「多少の不便さはあれど、それなりに稼働している既存サービスが整備された国」でイノベーションを起こそうとすれば、スクラップ&ビルドをしなければいけない。
さら地でビルドだけすれば良い中国と異なり、日本のFinTechベンチャーは長年多くの人に利用されてきた「そこそこ便利」なサービスを駆逐しながら、新しいサービスを浸透させていくプロセスが必要になるんです。
一定レベルの金融サービスによって、一定レベルの利便性が提供されているからこそ、イノベーションのビルドに遅れが生じている。それが日本だということでしょうか?
金子都市作りを例にして考えればわかりやすいはずです。ドバイは今や世界でも屈指の大都市であり、超高層ビルが建ち並ぶ最先端の都会だといえますが、なぜ短期間でそんな大都会が作れたのかと言えば、何もない砂漠の地だったからです。
これから東京をドバイのようにしようとすれば、今ある建物やインフラを次々に壊して、そこに新しいビルを建てていくしかない。
資金や技術がどんなにあったとしても、法律や規制が複雑に絡み合っていますから、都市開発は遅々として進まないでしょう。「今のままでも十分機能している東京をなぜ変えるんだ」という議論だって起きてくる。既得権益を守りたい勢力も、強硬に反対するでしょう。金融サービスでイノベーションを起こそうとした場合も同様なんです。
また、例えばアメリカやヨーロッパの先進国と比べた場合でも、現状の日本は非常に便利な国だと言えます。都市生活者であれば、どこに住んでいようと歩いて5分ほどの距離にコンビニがあり、そこにATMが置かれていて、いつでも現金を引き出したり、振り込んだりすることができるわけですが、そんな便利な国はなかなかありません。
そもそも私たち生活者の間で「どうしても電子マネー等によるキャッシュレス決済ができなければ困る」なんていう気持ちが、諸外国ほどには高まってもいないはずです。
リテールの金融サービスに絡む新規事業でイノベーションを起こそうとしているスタートアップベンチャーは、こうした状況と向き合い、打破していく必要があるんです。ですから、軽々に「日本のFinTechはダメだ。世界に比べて、全然遅れている」と捉えるのは正しくないと考えています。
他方で、「日本は貯蓄崇拝社会を続けてきたけども、これからは個人も積極的に投資をしていくべき時代だ」と言われて久しいのですが、株にせよFXにせよ、手続きが非常に面倒です。こうした場面にイノベーションを起こすのも、やはり難しいのでしょうか?
金子そこにも日本独自の背景があるんです。事の善悪はさておき、これほど個人を保護する姿勢の強い国もない。投資活動をするにせよ、単純に保険等に加入する場合にせよ、日本ではユーザー保護を目的にした規制が数多く存在しています。
「商品の仕組みや、リスク・手数料など、商品選択に必要な情報をきちんと顧客に説明して、同意を得て販売したかどうか」というような細かなチェックが求められる。
もちろん、どの先進国でも実施されてはいるものの、日本ほど微に入り細に入り、個人を守ろうとする法や規制が絡んではきません。法令を遵守するため、金融事業者はユーザーに対する説明や、同意を得るための書類をどんどん増やすしかない。
これが結局、ユーザー側の「なんでこんなに煩わしい手続きを繰り返さないといけないんだ?」という不満につながってもくるんです。
海外では日本ほど細かい規制がない、ということですが、その理由は何なのでしょう?
金子当事者責任という価値認識が多くの先進国では文化として定着しています。例えば投資に関わるサービスであれば、「投資活動により結果的に損失が発生しても、それはユーザーの責任だ」という判断が下されます。
日本でも原則はそうなのですが、他国よりもユーザー側に手厚いといいますか、極論すれば「ユーザーの金融リテラシーは低い」という前提に基づいて定められた法令を、金融事業者が遵守していくことが求められている。ユーザーにしてみれば、「そこまで守ってくれなくていいから、もっと手続きを簡便にしてくれよ」と不満を漏らしたくもなる。
こうした、日本ならではの認識や文化もまた、イノベーションを起こそうというFinTechベンチャーにとって、1つの壁となっているんです。
Uberを思い起こしてください。彼らは革新的なライドシェア事業により、世界各地でイノベーションを起こしていますよね?
彼らが成功した背景には、既存のタクシーによるビジネスモデルを大きく覆すような優れた発想と、インターネットによるコミュニケーションを活用していく画期的な仕組みがありました。
けれども、それだけではない。アメリカであれ、ヨーロッパやアジアであれ、現地のレギュレーターと真っ向から勝負をして、ユーザーからの支持を増やしていきながらサービスを伸ばしてきました。グローバルなビジネスで成功しようとすれば、各国の法律や規制に則った上で、既存勢力との戦いに勝利しなければいけない。決して容易ではなかったはずですが、Uberはそれを多くの国で成し遂げてきました。
ところが、そんなUberでさえも、日本の規制やレギュレーターを攻略するのに苦戦を強いられています。「どちらが国民のためになるか」という議論はさておき、イノベーションを起こそうというプレイヤーにとって、日本の規制や価値観を打破することは非常に難しいということです。
FinTechを担う人たちに限った話ではなく、この国でイノベーションを起こそうという者は「あのUberでさえも簡単には超えられない壁」を、超えなければいけなんだという認識は持っているべきだと思います。
現状の日本のFinTechベンチャーに満足はしていない。ただし、期待は大いにしている
実は今日のインタビューで、金子さんからはもっと「FinTechブームで浮かれている場合じゃないぞ」的な意見を聞かせてもらい、喝を入れてもらえるものだと思い込んでいたんですが、どうやらそうではなさそうですね?(笑)
金子そんなことはないですよ。ここまでは前振りの話。きちんと、この国の現実を知ってもらったうえで、FinTechについて話したいと思っていたんです。ですから、ここから先はご期待通りの辛口トークをします(笑)。
ぜひ聞かせてください。まず、現状の日本のFinTechベンチャーをどう捉えているんでしょうか?
金子前段で話した通り、日本でのイノベーション実現には多くの壁がある。それでも、技術の進化が壁を打ち壊す可能性を見せ始めているのは事実。だからこそ、志のある若い人たちがスタートアップをしてFinTechに名乗りをあげている。
問題は、諸外国にはあまり存在しない既存サービスの優位性や、日本固有の法令・規制とどう向き合うか。
この対応に失敗すれば、2000年前後にあったネットバブル期の多くのベンチャー同様、「ブームに乗ろうとしたが生き残れなかったプレイヤー」で終わります。
成功をすれば、ネットバブルの荒波を乗り越えてメガベンチャーへと成長した楽天やサイバーエージェントのように、勝利者となりイノベーターとして大いなる力を得ることになる。私はそう考えています。
現代の日本のFinTechムーブメントからも、きっと勝利者が現れてくると期待していますが、同時に今いるすべてのスタートアップが成功するとは思っていません。
ブーマーとして消え去るのか、イノベーターとして時代をリードするのか。その違いはどこにどう現れてくるのでしょう?
金子先ほど例に挙げた中国やドバイのように「さら地」でイノベーションを起こすのであれば、突き抜けた新しいアイデアを誰よりも先に形にした者が勝ちます。一気にユーザーからの支持も得て、急成長を実現できます。ところが日本ではそうもいかない。ではどうすれば良いのか?
結論を先に言えば、現存する金融サービスのメインプレイヤーである大手金融機関と共存・連携する関係性を築くことによって、現状の業界内で居場所を確保し、日本固有の規制や慣習にもある程度従いながら経営を維持して、少しずつ企業としての自力をつけていく。
そうしながら、本当のイノベーションへ打って出るタイミングを虎視眈々と狙い、コア事業の熟成を進めていったFinTechベンチャーだけが勝利を引き寄せるチャンスを得ると思います。
以前、FastGrowの対談企画で、昨今のスタートアップベンチャーに対し「IPOを達成したり、巨額の投資を得たからといって、それだけで満足するな」という喝を入れていただきました。多くのFinTechベンチャーにも同様の思いを持っているのでしょうか?
金子大いに持っています(笑)。そもそも、イノベーションを起こそうという者は、オールドプレイヤーが保有する既得権益の基盤に風穴を開けるくらいの、ギラギラした気概を持っているべきだと思います。ですから、起ち上がったばかりのFinTechベンチャーが、大手金融機関やその関連会社から出資を受けて、それで呑気に嬉しそうにしている場合には、喝を入れたくなります。
第一に、「きみたちはまだ自分の事業で収益を確立したわけじゃないだろ?」と言いたいし、第二に、「いつか旧態依然の業界構造をひっくり返すくらいのことをしないとイノベーションは実現しないのに、今はまだ既存勢力に応援してもらっている立場じゃないか」とも言いたい。
でも、先ほど「大手金融機関と共存・連携する関係性を築くこと」の必要性を指摘していましたよね?
金子矛盾するように感じるかもしれません。でも、それが日本で変革を起こす場合の現実的なプロセス。私が喝を入れたくなるのは、まだ道半ばなのにアガリの気分でいるプレイヤーに対してです。
そうではなく、中長期的に経営を捉え、いたずらに大手金融機関に対抗姿勢を見せるのではなく、現状応援してくれるならば、そこで得られる資金やレピュテーションを活用しながら経営を維持していく。そうして勝負どころの次なるステージに備えようとするしたたかなベンチャーがいれば、チャンスをたぐり寄せられるはずなんです。
ネットバブルの時代を生き抜いた楽天やサイバーエージェントも、そうだったということですか?
金子私はそう考えています。楽天のコア事業であるECビジネスも、後々サイバーエージェントの成長エンジンとなっていくブログサービスも、創業期から確固たる収益を得ていたわけではありません。現在のFinTechベンチャー同様に、将来性を期待され、そうして手に入れた資金を有効活用しながら、着々とイノベーションにつながるコア事業を育てていった。
そのうちバブルがはじけて、多くのベンチャーが失速をしましたが、楽天やサイバーエージェントなどの勝ち組は、事業の強化を目的とした資本業務提携や買収等を繰り返しながら、次々に新規事業に参入することで、自らの経営を向上させていきました。
シンプレクスや、先日対談をさせてもらった牧野氏が率いるワークスアプリケーションズなどは、地道にコア事業に磨きをかけることで、バブル後も成長を実現した企業といえます。他方、楽天やサイバーエージェントのように、企業としての総合力を高めることを優先した経営手法によって、様々な新規事業でトライ&エラーを繰り返しながら、最終的にコア事業でのブレークスルーを果たした企業もまた、単なるブーム企業で終わらずに、成功を手にしたんだと思います。
では、シンプレクスのようなスタイルではなく、収益性が見込める別事業を買収したりしながら、組織を強くしていく経営手法というのも、選択肢としてはありだと思いますか? ベンチャーの中にはそうした動きを見せるところも出てきていますが。
金子もちろんあり得ると思いますが、勘違いしないでほしいのは楽天もサイバーエージェントも、「多角化して事業リスクを分散すればうまくいく」というような安直な発想ではなかったはずだということです。しっかりと、他が手がけていないコア事業を持ち、育てて、多少時間はかかってもそれでNo.1の座を獲得して突き抜けてやろう、ときっと考えていたと思うんです。
「お金さえ儲かれば良い。そのために今度はどこを買収しようか」などと考えているのなら、起業などせずにファンドマネージャーで成功すればいいだけのことです。そもそも、その程度の発想しか持たない経営者のもとに、優れた人材が集まってもこないでしょう。
私は違うアプローチでシンプレクスを育てましたが、一方で楽天やサイバーエージェントをすごいなと思うのは、最終的にきちんとコア事業で成功を収めていることです。トライ&エラーの経験を糧として、勝ちパターンを熟知した集団となったからこそ、成功できたに違いない。私はそう捉えています。
まだ、自分たちが掲げた唯一の事業さえ黒字化できていない段階から、安易な発想で多角化しようとしているのであれば、そんなベンチャーがイノベーションを創出することなど不可能だと思います。
FinTech領域でスタートアップした人たち、あるいはそうした企業にこれから参画していこうと考えている人たちに是非伝えたいのは、高い志をしっかり保持しながら、利用できるものがあれば貪欲に活用し、なおかつ中長期的にどうやって自分たちがチャンスをつかんでいくのかをしっかり思い描いてほしい、ということです。
イノベーションを実現するために必要な最大の要素、それは「ヒト」にある
創業メンバーの経営手腕やビジョン、そして「イノベーションを達成する」という情熱が問われる……そういうお話だと思うのですが、シンプレクスの場合、現実的な成長やブレークスルーで最も鍵を握った要素は何だったのでしょうか?
金子間違いなくヒトです。シンプレクスの場合は特に、世の中を驚かせるようなアイデアを持っていたわけではありません。金融機関の収益を左右するフロント領域、つまり金融商品の取引を担うトレーダーやディーラーが扱うシステム領域において、「金融×IT」にこだわって他のどこにも負けないものを提供していきました。
欧米のトップティア金融機関から遅れをとっていた日本のプレイヤーに対して、出来うる限りのチャレンジをし、泥臭く努力をして結果につなげた。それを実現したのは、アイデアや資金力ではなくヒトの力です。
クライアントである大手金融機関、あるいは既存のSI企業と比べれば規模もブランド力も劣る中、必死の思いで優れた才能やポテンシャルの持ち主を仲間にしながら、愚直に「自分たちにできる最高の結果」を追い求め、その過程で自分たち自身の成長も加速していった。
「同じ事をやらせたら、シンプレクスがダントツだね」という評価を、社員たちがそれぞれ築いていき、ブランド力も上げていき、結果として強い組織になっていったんです。
ベンチャーが有能な人材を獲得する、というのは非常に困難なトライだと思うんですが、そこはどう対処していったんですか?
金子私を含め、創業メンバーは外資系の投資銀行やコンサルティングファームで経験を積んできた人間でしたが、会社設立からしばらくの間は知名度もなく、名のある組織で実績を上げているようなヒトをそう簡単に引っ張ってはこられませんでした。
ですから、早い時期から新卒採用に力を注ぎました。どうすればポテンシャルの高い若者を見抜き、獲得し、成長させていけるか。そこにフォーカスしていったんです。もちろん、金融に関する知見や技術力もシンプレクスの力ではありますが、コアコンピタンスは「ヒト」とその「育成力」だと自負しています。
まだ社会に出た経験がない若者たちの中から、ポテンシャルの高い人材を見極め、どこよりも短期間に急成長させて結果を出させる。言うなれば、ダイヤの原石を見つけ、猛スピードで本物のダイヤに磨いていく力。それが私たちの強みです。
近年、FinTechベンチャーのCTOなどに、シンプレクス出身者が多数就任して活躍していますよね? シンプレクスのヒトに関わる強みを証明していると捉えることもできますが、手塩にかけて育成した人材が外に出て行くことをどう感じ取っているんでしょう?
金子ビジョンを共有し、共に歩んでくれた優秀な社員が離れていくのは、当然寂しいですよ。ただ、私自身もサラリーマン時代に2度転職をしています。ぐんぐん力をつけてきた人間が、新しいフィールドで自分を試してみたい、と思う気持ちはよくわかります。
だから、やるからには成功してほしいと心から願うし、こうして「FinTechのキーパーソンの多くがシンプレクスの卒業生だ」と認知されることで、当社のブランドも確実に上がります。
FinTechムーブメントが始まる以前より、多くの外資系投資銀行のトレーディングデスクでシンプレクスを巣立った人間が活躍しているのですが、おかげで「さすがにシンプレクス出身者は違う。優れている」という金融業界内外からのレピュテーションを高めることができました。それが新たな人材の獲得の力にもなっています。
ですから、卒業していく者には言います。「おまえは5年かけて今の実力を手に入れたし、すごいヤツだと誇りに思っているけれども、まあ見てろ。今の新人を3年で今のおまえの水準にまで育てるから。うかうかしてられないぞ」というようなことを(笑)。
今のFinTechベンチャーでも、ヒトの強みに着目して、組織を強くしていくことは可能でしょうか?
金子もちろん可能だと思います。ただし、どういうヒトを獲得するのか、彼らをどう育てるのかをしっかり考え、努力していく必要はあります。創業メンバーである経営陣が今のブームに浮かれることなく、将来的なビジョンをきちんと描き、新しいメンバーに自らの言葉で伝播し、同じ夢を追い求めていけるかどうか。そこは問われてくるでしょう。
逆に、今からFinTechベンチャーにジョインしようとしているヒトにも、例えば「家計簿ソフトが作りたいので入ります」ではなく、「個人の日々のお金の動きをビッグデータ化して、いずれ大きな新規サービスを構築して、イノベーションを起こしたい」というように、志や情熱を持っていてほしいですね。
最後に、FinTechムーブメントの渦中にいる人たち、あるいは、これからここでイノベーションを起こそうと志している人たちにメッセージをお願いします
金子最初に申し上げた通り、日本でベンチャーがイノベーションを起こすのは簡単ではありません。とりわけFinTechの領域はハードルが高く、壁も多い。しかし、だからこそ醍醐味があるし、ヒトも組織も強く成長していけると考えています。
現状はまだダイナミックな成果まで到達していなくても、近い将来に大きなチャンスをつかむところが必ず出てくると信じているし、期待もしています。
世の中の追い風に乗っているだけで満足せず、いつか変革を成し遂げてやろうというギラギラした野心と冷静な経営ビジョンを持つプレイヤーが登場してくれることを心から願っています。
こちらの記事は2018年07月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
森川 直樹
写真
藤田 慎一郎
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