FastGrow厳選!BizDevがいま注目すべき、知られざる急成長企業5社
“BizDev”という役割は、急成長を志向する企業にとって事業の今後を左右する役割とされ、事実、ここ数年、短期間でのスケールを目指すスタートアップやベンチャー企業のみならず、多くの組織においてその存在感を大きくしている。
一方、「よく耳にするけど実際何をやっているの?」「ぶっちゃけ、どこでも同じじゃないの?」と感じる読者もまだまだ少なくないだろう。
そこでFastGrowは、BizDevとして成長したいビジネスパーソンが「いま」注目すべき企業を独自リサーチしており、過去には以下のような記事を制作した。
FastGrow厳選!BizDevがいま注目すべき企業たち<前編:アーリーフェーズ 12傑>
FastGrow厳選!BizDevがいま注目すべき企業たち<後編:レイターフェーズ、IPO etc.>
今回は、読者もまだ見ぬ知られざる急成長企業を中心にピックアップ。各企業ごとの特色を理解すれば、読者にもっとも適した環境や取り組み方が見つかること、間違いなし。
ゼロからレールを敷き、一気にグロースまで加速させるフェーズ。カオスさと再現性の追求の両輪で事業・組織を推進する、まさに「手探り感」という言葉がお似合いな環境。事業が芽吹き、大木へと変化するダイナミズムを遺憾なく味わえるだろう。
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
フリーコンサルを主としたプロフェッショナル人材向けのインフラ構築──SEPTA
「ハイ・シナジーコミュニティ」の創造というセンセーショナルなミッションを掲げ、フリーランスコンサル市場で急成長するSEPTA。これまでFastGrowにおいては、同社のその稀有な世界観(MVV)にスポットを当てることが多かったが、いよいよ事業に関しても本格的に切り込んでいく。
SEPTAと言えば、フリーランスコンサルと企業のマッチングプラットフォーム『CoProject』を祖業として展開しており、直近の3期目までひたすらに事業を伸ばし続けてきた。
しかしその中で、経営陣は今の事業の方向性とミッションとの接続に伸び代を感じ始める。
東山SEPTAの事業ミッションである、「プロフェッショナル人材のための自由なインフラ環境の構築」にあたり、3期目まではプロシェアリング事業でひたすらに事業を伸ばし、一定水準のユーザー数を獲得してきました。そこで、次の4期目からは、本来の企業・事業ミッションに立ち戻り、よりミッションドリブンな事業開発に重点を置く意思決定をしたんです。
引き続き祖業で安定した基盤を築きながら、よりミッション実現に即した事業を生み出そうと計画しているSEPTA。同社が掲げる「プロフェッショナル人材のための自由なインフラ環境」とは、具体的には「場所の自由」「時間の自由」「仕事内容の自由」などが挙げられる。
こうした様々な自由を享受できるインフラ環境を構築することで、ユーザー(プロフェッショナル人材)が「仕事」において個人の自己実現を追求できる社会を生み出したい。これがSEPTAが描く未来社会の構想だ。
そしてそれはユーザーにのみ提供されるものではなく、SEPTAで働くメンバー自身も享受できる状態を目指している。すべてのステークホルダーが、「個人が本来的にやりたい仕事に挑戦できる場」を得られるよう事業づくりに挑むSEPTAならではの思想と言えよう。
では、そこに向けて何を仕掛けていくのか?それはSEPTAで事業開発に挑む者がまさにこれから創出していく。
「自分のために頑張っていれば、それが自然と他人のためになり」
「他人のために頑張っていれば、それが自然と自分のためになる」
そんな、双方向に高いシナジーをもつ新しいコミュニティ「ハイ・シナジーコミュニティ」を形成する。
上記をゴールとして、「プロフェッショナル人材向け」「『働く』を題材に」といったキーワードの中、自由に事業開発に挑みたい者は、今後のSEPTAの動向を見逃すな。
慣れ親しんだコンテンツを、自らの手で改革できる──Gakken LEAP
Gakken LEAPは、2021年に学研グループのDX(デジタルトランスフォーメーション)組織として設立されたスタートアップ企業であり、自社で手がけるリカレント教育サービス『Shikaku Pass』に加えて、既存の学研アセットをデジタル・プロダクトへと展開する活動を主軸としている。学研グループ内の各社へのDX支援も担っており、投資事業等も遂行している。Gakken LEAPで可能な事業開発には、次の二つの特筆すべき点が存在する。
既存コンテンツの現代化と改革
学研が長い歴史を有する中で蓄積してきた多種多様なコンテンツは、多くの日本人が少なくとも一度は接触していると言っても過言ではない。Gakken LEAPは、これらの既存コンテンツに現代のデジタルテクノロジーを適用し、新たな価値を創出する独特な機会を提供している。ヒット書籍も手がけてきた編集者とコラボレーションして、新たなデジタルコンテンツの制作にも取り組める。このような活動は、一般的な事業開発では稀である。
グループ企業に対する伴走支援
Gakken LEAPの業務は、単に自社でデジタルプロダクトをリリースするにとどまらない。学研グループ内には多様な教育サービスを提供する企業が存在し、それらの企業に対する伴走支援も行っている。具体的には、新規事業創出に参加する場合もあり、既存事業に対するコンサルティングから始めて事業成長の策定までを含む伴走も行われている。
以上のように、Gakken LEAPにおいては、ゼロからの新規サービスの開発だけでなく、既存の学研アセットを活用したプロダクト開発から、グループ企業の新規・既存事業に関する伴走支援に至るまで、多様な事業開発が可能であると言える。
名だたる著名大企業と共に、未来のプラットフォームをつくる──ゼロボード
パートナー企業に、メガバンクや大手商社、大手電力会社が名を連ねる。そんなスタートアップがゼロボードだ。「脱炭素OS」、そしてそれを発展させた「ESG経営プラットフォーム」の展開に向け、前例のない挑戦を続けている。
同社の事業開発(BizDev)は、大企業と共に「最先端の企業経営」を創出するための取り組みと言えよう。以前のインタビューからその概要がよくわかる部分を引用して紹介する。
小野
我々事業開発本部のミッションは、目先のCO2削減プランの構築ではありません。「CO2排出量を削減したい」という『zeroboard』ユーザーのご要望に応えるだけでなく、ユーザー企業の事業成長につながる戦略までを描く役目です。将来的な成長戦略までを中長期的に考え、新しいプロダクトを作っていくという部分は、社内でも事業開発本部だからこそ担えるユニークな役割かと思います。片山
現在のゼロボードの事業の中心は、脱炭素経営の入口となる「各企業が排出しているCO2排出量を可視化するソフトウエアの提供」ですが、CO2排出量の可視化は手段でありゴールではありません。(中略)事業開発本部は、「CO2排出量の可視化から削減までを一気通貫でできるソリューションを実現し続ける企業」になるため、どのような事業・プロダクトをかたちづくっていくのかを、常にゼロベースで考えることができる部署だと感じています。
この小野氏はトヨタ自動車出身で、取締役として事業開発本部長を務める。一方の片山氏は大手商社・豊田通商の出身だ。他にも大企業出身の経験豊富なメンバーが事業開発を担っている。創業当初こそ代表の渡慶次氏や現CS本部長の坂本氏が担っていた役割を、新規のメンバーが力強く推進しているのだ。
脱炭素、あるいはESGという新たな潮流は、ルールの変化も激しい。そのため、プロダクトにも柔軟な対応が求められ、クラウドサービスとしての強みが活きる事業領域でもある。現在のゼロボードにはすでに100社以上のパートナー企業が存在しており、事業開発メンバーが新たな価値を創出する余地が非常に大きい。小野氏や片山氏、そして新たに台頭してくるほかのメンバーの活躍が楽しみだ。
事業は、ひたすらボトムアップで。
小規模事業も、非連続的に積み上げれば大きな価値に──Wonder Camel
和田
もしも特定の領域に根差した事業を展開するベンチャーであれば、この100億円という指標から逆算し、そもそも挑戦するTAMの大きさを前提に、実現可能性を検討することでしょう。一方で私たちは、10億円の売上が見込めるビジネスを10本作れば、この目標を達成できる、というボトムアップ的な考えで進めています。こうした柔軟な考え方でビジネスを捉え、挑戦する機会を増やせるのも、業界にこだわらないスタイルの強みです。
スタートアップとして、事業の立ち上げ方や積み上げ方に、ルールなどない。そんな想いがほとばしる、Wonder Camelの和田氏のインタビューでの発言。大手コンサルティングファームでの経験を活かしたブティックコンサル型企業のようにも見える同社だが、実はこれからいくつも事業を生み出していく、非連続事業創出集団なのである。
同社には、コンサルティングファーム出身者だけでなく、事業会社で新規事業創出を担っていたメンバーもいる。主軸事業のコンサルタントマッチングプラットフォーム『quickflow』だけでなく、戦略コンサルティングサービスやヘルスケアスタートアップの経営支援など、複数事業をすでに展開しているのだ。
また、2023年7月に発表したRotoworksの完全子会社化により、SES案件の支援、さらにはエンジニアのマッチングプラットフォーム事業への展開まで進む想定となっている。今後も内製と買収いずれの手法も積極的に活用し、複数事業による非連続的な成長を描いていくことだろう。
「サバンナ」と称される環境下で、自由を謳歌しながら成果を生み出せ──イタンジ
PropTech、即ち「Property」と「Technology」の融合は、不動産業界に革命的なデジタルソリューションをもたらしている。この革新的な流れの中で、イタンジはその先駆者としての存在感を放つ。
イタンジは、不動産取引のデジタル革新をミッションとするバーティカルSaaS企業であり、高い成長率を誇る同社のソリューション、『ITANDI BB+』や『OHEYAGO』などは市場での確固たる地位を築いている。
「サバンナのような会社」と形容される同社の事業開発環境では、絶え間ない変化と対応が求められる。不動産市場という広大な大地で新しい価値を生み出すための、自由で競争的なフィールドが広がっているのだ。
とりわけ、新規事業開発の管掌役員を務める濵田 雄斗氏が指揮を執る中、イタンジはここから事業開発への取り組みを加速させていく。具体的には、「暮らしと人をつなぐプラットフォームで人々の生活を豊かに」というビジョンを掲げ、不動産賃貸取引のみにとどまらず、引越しやその先の暮らしを変えるソリューションを提供し、暮らしのインフラを創ろうとしている。
COO永嶋氏はその戦略について「業界におけるタッチポイントを生かし、あらゆる価値提供を行う、そしてその先にエンドユーザーの体験が大きく向上するようなプロダクトを提供していきたい」と語る(ITmedia<IT予算少ないマーケットで伸びる「バーティカルSaaS」 ベンダーの声から探る成長のカギ>から引用)。その対象は電子契約のようなITシステムから、ウォーターサーバー貸し出しというサービスまで多岐にわたる。一人ひとりが得意分野や発想を活かした事業開発に取り組めるというわけだ。
PropTech領域での中長期的戦略の検討、新規企画推進を担いながら、経営に関わる幅広い機会が存在するイタンジの事業開発環境。74兆円にも上る巨大市場で自らの腕を試してみたい者は、ぜひチェックしておきたい。
こちらの記事は2023年09月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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