INTERVIEW
坪田 朋 石原 靖士
18-11-28-Wed
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広告代理店がオープンイノベーション。
著名クリエイター坪田朋氏も参画した、Studio Opt(スタジオオプト)って何やるの?

TEXT BY NAOKI MORIKAWA
PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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e-marketing companyからInnovation Agencyへと変貌を遂げようとしているオプト。
いまだ我々には大手ネット広告代理店のイメージもある中で、数々の変革を実施しているが、
とりわけ直近目を引いたのが「Studio Opt(スタジオオプト)」の設立だ。
デザイン シンキングとオープンイノベーションをテーマにしているというこの新組織、
その輪の中には著名UI/UXデザイナー坪田朋氏の名前もある。
輪の中心にはオプトのテクノロジーとマーケティングを司ってきた石原靖士氏がいる。
どうやら「今までのオプト」とは異なることを、本気でやらかすつもりのようだ。
渦中の2人に話を聞こう。

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「オプトには可能性があった」。クリエイターが大暴れできる場所を作るべく意気投合した2人

「デザイン イノベーション ファーム」という形容詞を冠して、2018年5月に誕生した「Studio Opt(スタジオオプト)」(以下Studio Opt)は、2020年までに100名規模の組織となる予定だ。それに先がけ、すでにオプト内外からデザイナー、プロダクトマネージャー、エンジニア、事業開発者などなどのプロフェッショナルが集まり始めている。

2019年には、こうしたメンバーが多様な個人や集団とのコラボレーションを進めていくためのオープンなオフィス拠点も開設される予定だという。

発表されたリリースによれば、クライアント企業の新規事業分野開拓、競争力強化目的のサービス創出、デザイン シンキング活用によるイノベーション創出、デジタルシフト支援……などがStudio Optのミッション。

名だたる大手を含め、多くの企業が真剣に経営変革に取り組む中、デジタルトランスフォーメーションやデザイン シンキング、オープンイノベーションといった、まさに今が旬のキーワードと正面から向き合い、価値の提供を志している集団だということはわかる。

FastGrowに3月に登場してくれた坪田朋氏が、デザインフェローの肩書きで参画していることからも、その「本気度」は伝わってくる。

だが、オプトにはネット広告代理店としてのイメージを強く抱いている者が少なくない。デジタル領域に強いコンサルティングファームや、技術力を持つデジタルエージェンシー、あるいは大手総合系広告代理店も、類似した取り組みを標榜し始めている中で、どこまで突っ込んだ取り組みをするのだろう?

本当に突き抜けた成果を出せるのか?……そんな気持ちもわいてくるのだが、まずはStudio Opt立ち上げの原動力になったという2人の出会いから、話を聞いてみた。

石原オプト社内では、ここ数年の間に「自分たち自身が変わらなければ」というような気運が、経営陣の間でも現場のメンバーの間でも高まっていました。

広告主から相談される内容も、これまでは集客や顧客育成といったマーケティングが中心でしたが、最近は企業価値の定義や商品戦略まで、事業や経営レベルでの悩みを伺うことも増えていっています。

これから5年ないし10年の間に、いわゆる単に代理をするだけの「広告代理業」という業界は確実にスタイルが変わるでしょう。日本には、独特の事情や歴史もあるので、現在の広告ビジネスがなくなってしまうことはないと考えていますが、それでも大きく様変わりするのは間違いない。

広告主が代理店にマーケティングプロセスを委ねるようなやり方では、モノやサービスは売れなくなる。「自分たちは何を作り、それをどこでどう売るのか」という企業の存在自体を問い直さなければいけない時代が来ていることを、お客様自身が気づき、変革を目指そうとしているんです。

私たちのもとにも、そうした経営そのものについての相談がクライアントの経営層から寄せられるようになってきています。こうなれば、マーケティングについての専門性はもちろんのこと、モノやサービスを作る上でのテクノロジーや、それらを伝え、見せていくためのデザイン シンキングやクリエーションも不可欠になる。「何かしなければ」という心持ちを抱えていた時、ひょんなことから坪田さんとお会いしたんです。

坪田今年の初めごろでしたよね? とあるデザイン シンキング関連のイベントでした。

石原そうです。社内のデザイナーが、「面白いイベントがあるから行きましょう」というので、行ってみたら坪田さんが登壇していて。話を聞いているうちにビビっときたんです。先ほど説明したようにモヤモヤを抱え、「何かやらなければいけないけれども、現実はこうだし」というようなトレードオフに悩まされていた私にとって、嬉しい出会いでした。

「本当はこうすべきなんだよな」という発想を、すでに身を以て実行している坪田さんがいて、ただただ「スゴイな」と(笑)

坪田その2週間後くらいに、あらためて食事をしながら話したんですよね? で、すぐに意気投合した(笑)。私がDeNA時代にデザイン戦略室を立ち上げた当時の話をしたら、石原さんが「今のウチに似ている」って言い出して。

石原内製のクリエーションで、どこまで当社ができるのかを考えていたところでしたし、Studio Optにつながるようなオープンな組織作りを模索するベクトルが私にも社内にも浮上していたので、坪田さんがDeNA時代やBCG Digital Venturesで経験したお話にすごく引き寄せられたんです。

坪田実はオプトさんが内製でメディアをすでに作っていることを知らなくて、『kakeru』や『.HYAKKEI』のクオリティをみて、「オプトが運営している事が知られていないだけで、内製化の実力や可能性は十分」だとお伝えしました。

その上で、私自身が1人のデザイナーとして感じていたことや、周囲のクリエイターたちが既存の広告業界の枠組みの中で苦労している話もさせてもらい、そうした枠組みを変えていこうとするところがあるなら、その後押しがしたいんだという気持ちも話したんですよ。

石原私はもともとネットワークエンジニアとしてキャリアをスタートして、若いときに起業もして、失敗を経験しました。「技術だけ知っていても駄目だ」と思い、オプトには営業マンとして中途入社したんです。

そうして1からマーケティングを学んで、それなりに理解できてきたタイミングで改めて技術領域を見るようになった。オプトのエンジニアたちと腹を割って話してみると、彼らが光と闇を両方抱えていることがすぐにわかりました。

案件の目標に基づいてプログラミングをしたり、という部分だけでなく、今すぐにはお金にならなくても手がけていくべき技術的なトライというのも必要で、彼らはその双方をバランスを取りながら進めていくことに苦慮していたんです。

やっぱり、「営業が取ってきた仕事を受託のように開発するだけ」の組織って、つまらないじゃないですか。オプトテクノロジーズというエンジニア仮想組織を立ち上げて、アドテクノロジーを軸にしたプロダクト開発を進め、彼らの特区というか自治区というような位置づけにしたのも、そうした背景からでした。

坪田海外では大手代理店がクリエイティブ制作の内製化を進めているし、クリエイターの価値は高騰している。だけど、日本のクリエイターはそこまで日の目を浴びていない。そう考えると、クリエイターたちが今置かれている現状と、当時のエンジニアたちをめぐる現状とが、どこか似ている。じゃあ、クリエイティブの特区も創ろうぜ、という感じで盛り上がりましたよね。

石原自分自身の成長を考えても、マーケティングとテクノロジーの領域をある程度把握できるようになったと思っていましたから、今年に入って早々、コンテンツ事業領域を任されることになった時、「今度はクリエイティブの領域にチャレンジするんだ」と前向きに受け止めていました。

でも、この領域のことはまだよくわかってはいない。ただ、「何かを起こして変わっていかなければ」という気持ちはあったし、「どう変わるべきか」という発想もそれなりにあった。

そんな中で出会った坪田さんと意気投合できたことで、気持ちは強くなりました。「そうだ、内製云々はさておき、とにかく社内外のクリエイターたちが、ここで大暴れできる理由を作るのが自分の仕事なんだ」という確信を持てた。

私が1人で正論を叫んでいても何も変わらない気がしていたのですが、内外の人をどんどん巻き込みながら動き出せば良いんだ、と腹を決めることができたんです。

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「なぜオプトとやるのかって?そういうこと気にする人は『ルイーダの酒場』には合わない」

イベントでの出会いと、たった1回の会食。それだけでStudio Opt構想は一気に前進。石原氏と坪田氏はSlackやDropbox Paper等でつながり、意見交換をし、情報を共有していったという。だが、2人の大人が盛り上がりながら当時を振り返るところに、水を指すような質問がしたくなった。

「こういう取り組みの話って、坪田さんのところには他からも届いていたのでは? オプトとやる必然性はどこに?」だ。

坪田え? それはどういう意味ですか?

BCGデジタルベンチャーズやDeNAでの実績も広く知られているわけですから、オープンイノベーションやデザイン シンキングで変革を起こそうとしているところ、例えばコンサルティングファームや他の総合系広告代理店と組むことだってできたはず。なのに、「なぜまたオプトを?」という疑問です。石原さんの前でこんな質問をするのは失礼だとは思うんですが…

石原いいですよ(笑)。もっともな疑問です。

坪田ああ、そういう発想かあ…特にこだわって決めたわけじゃないですよ。石原さんと話をしていてすごく盛り上がったし、さっきも言いましたが、広告代理店と呼ばれている組織が本気で変わろうというのなら、クリエイターの立場からも後押しをしたい、という私なりの希望もありました。

そういう時に自然に出会って、盛り上がって、しかもオプトという集団が恐ろしく意思決定の速いところだというのも、その後の展開で知ったので。何の疑問もなく今ここにいる、という感じです。

こんな質問をしたら、さらに嫌がられるかもしれないんですが、大手代理店や外資系コンサルと組んだほうがインパクトが出る、というような発想はなかったんですか? なぜこういうぶしつけな質問をするかというと、おそらく学生や若いビジネスパーソンの中にも「なんでオプトなの?」という気持ちを抱いた人がいると思うからなんです!(笑)

石原わかる、わかる(笑)

坪田そういう発想の人たちがいると仮定して答えますけど、「働く場所やブランドにこだわりたい人は、自分が良いと思う場所に勝手に行けばいいじゃん」って素直に思います。

少なくとも、何かを作るモノづくりの現場において、ブランド先行型のマインドセットの人は合わないんじゃないと思います。作ったモノが評価された結果ブランド化していく過程を楽しめる人が良いですね。

石原私からも言わせてもらうと、この取り組みを始めて、社内のデザイナーや社外のクリエイターの皆さんと向き合うようになってわかったことがあるんです。

それは「やるヤツはどこにいたってやる。やらないヤツはどこに行ったってやらない」という(笑)。ちょっと乱暴な考え方だけれど、自信をもって言えちゃいます。

坪田例えば私もオプトの社員になったわけではないですが、面白いからやっています。Studio Optは、働き方もオープンにして、外部で例えばフリーランスでやっているクリエイターをはじめ、事業開発に明るい人も自由に入ってくるし、オプトの中の人も集まってくるし、クライアント企業の人たちも入ってくるし、というような、とにかく出入りが自由な場所にしていくんです。

公式サイトにも明言したように、ここは「ルイーダの酒場」※1のような場になる。そういう場が未来を創るんだと信じている人が来てくれれば、それでいいんです。

だからサイト上のキービジュアルもアベンジャーズのようにヒーローをイメージしたビジュアルデザインを用いています。いろんな特技、専門性を持った人が自由に自分仕様のワッペンを胸につけて、業界とか企業とか組織とか、そういった枠組みを超え、「解決すべき課題」を解くのに最高のメンバーが結集していくようなイメージ。

だからどこの会社がやっているのか?というような枠組みや肩書にこだわる人には伝わらなくてもしかたありません。

※1:ゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズに登場するバー型の酒場。主人公はここで冒険を共にする仲間を探す。

先ほど、オプトの意思決定スピードが早かったという話をされていましたが、そこは一緒に取り組むかどうかを決める上で、やはり大きな要因だったんですか?

坪田すごく大事です。これからは、どんどん意思決定をして、アウトプットしていくことが重要になります。石原さんとSlackでつながるようになってから、本当に驚いたんですが、何でもどんどん決まっていく。「一旦持ち帰ります」が一切ないんです。

普通に社長の金澤さんがSlackに入ってきて、「いいね、そうしようぜ」って言っちゃう(笑)。私が知る限り、この会社規模でこんなにスピードのあるところはありませんね。

石原ありがとうございます。ただ言わせてもらうと、それって相乗効果だと捉えています。たしかにオプトは意思決定が速い。そこは自慢だし、私たちとしても今後はさらにアジャイルな姿勢が問われると感じて、意識してもいます。

ただ、坪田さんのほうも物事をズバッと言い切ってくれる。出会いの時の話とも重なりますが、私にせよ金澤にせよ「こうしたほうがいいんだろうなあ、でもなあ……」というトレードオフがどうしてもついてまわる。

そんなやりとりの中に、坪田さんが入ってくれたことで、スピードはさらに上がっている感覚がありますね。

石原氏は、このスピードアップの効用が現場にも現れている、と教えてくれた。最近、久しぶりに2週間の休暇を取って戻って来たところ、いくつもの成果物が出揃っていて、嬉しい驚きを感じたのだという。

石原コレなんですけど(笑)、『kakeru』で発売した「クソリプトイレットペーパー」がめちゃめちゃ売れているんですよ。クソリプを水に流そう、というコンセプトなんですけど(笑)、とにかく思いついたら形にして、メディアに乗せてみる、というサイクルが私不在のうちにもどんどん進んでいます。

他にも、クライアントワークの一環でソーシャルメディアをサポートする担当者……髪の毛をピンクに染めた若い女性なんですけど(笑)、企業のマーケティング担当に「こんなことも知らないの?」とか言っちゃうことがバリューになっています(笑)。

その彼女がSlackで「VTuberの多くは男性ターゲットだけれど、女性をターゲットにした展開をやりたい」と書き込んだ途端、「面白いじゃん、やりなよ」となり、坪田さんが即座にPMを引き受けてくれて、というプロジェクトも進展しているんです。どんどん、こうした芽が出て、形になり始めていることが嬉しいですね。

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大企業にもスタートアップにも難しいチャレンジ。でもオプトならやれる

あらためて、Studio Optが今後本格化しようとしているビジネスモデルを石原氏に尋ねてみると、オプト全体で取り組んでいる事業を大きく3つに分けてくれた。

①広告を通じたコミュニケーション

②広告以外の、コンテンツを軸にしたコミュニケーション

③プロモーションではなく事業創造にフォーカスしたオープンイノベーションも含むインキュベーション

この3つが核となる。そしてこの内、②と③に集中をして成果を上げていくのがStudio Optの使命なのだという。

現時点ですでに成果物があがり始めているのは②の領域。先の『kakeru』から生まれた「クソリプトイレットペーパー」等のプロダクトもその一例であり、他にもミレニアル世代向け動画メディアの『McGuffin(マクガフィン)』やアウトドアのライフスタイルメディア『.HYAKKEI(ドットヒャッケイ)』の運営、茨城県が運営する動画サイト『いばキラTV』に登場した日本発の自治体公認Vチューバー「茨ひよりちゃん」を仕掛けたのもオプトだ。

石原氏によれば「オプトって『マクガフィン』をやってる会社ですよね」との認識から接点を求めてくる若者も増えているとのこと。「ネット広告代理店のオプト」というイメージにこだわっている人がいるのであれば、事情はすでに変化し始めていることを知るべきだろう。

坪田氏は、先のように一部の動画がらみの取り組みにも携わっているが、主に③の事業創造に力点を置いて参画している。コンテンツやプロダクトと異なり、1年なり2年なりの時間をかけて構築する必要があるため、まだ公表できる段階にはないが、すでにいくつかの取り組みは始まっているのだ。

もちろん、人材募集を始めた段階ですでに以上のような成果は出始めている。数カ月後、アベンジャーズを構成するような人材が結集する頃には、より明快なアウトプットを通じて、我々の目にその様相は見えてくるはずだ。

最後に、Studio Optの動向に興味を抱いた層へのメッセージを2人に尋ねてみた。

坪田私は今までいろいろ経験してきました。ゼロイチのスタートアップも、メガベンチャーも体験したし、大企業とも向き合ってきたわけですが、それぞれに強みというのはあります。

今日取材を受けてみて、FastGrowの読者にはスタートアップでの活躍を志す人が多いのだと知りましたが、それはそれで素晴らしいと思います。でも、日本の大企業にはビックリするようなアセット、資産があることも知っておいてほしいですね。

そういうアセットを、例えばゼロイチのスタートアップが活かしていくことで新しい価値が生まれる、というのがオープンイノベーションですし、Studio Optがその動きを加速していくことができれば、より面白いことをやれるはずです。

石原私も私なりに、起業もベンチャーも大手も、いろいろ経験したので、坪田さんと同様の価値観があります。大企業には素晴らしいアセットがあるけれども、その活かし方で悩んでいるし、そういう悩みがオプトには届いている。

一方で、スタートアップにはスピードがあっても、例えばグローバルなスケールで何かを仕掛けていくことは難しいはず。今、その両者が手を組んでイノベーティブな取り組みをしようという流れが生まれていますが、なかなか突破口が見えていない。

メガベンチャーであるオプトならば、両者をつなぐことができるはずですし、Studio Optはそのために生まれた組織。私たちがオープンした「ルイーダの酒場」に、多様な人たちが自由に出入りするようになれば、必ずアベンジャーズがいくつも結成される。そう信じています。

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[文]森川 直樹
[撮影]藤田 慎一郎

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