「AI×金融」で、世の中のあらゆる“挑戦”を加速させる──元ラクスル泉・元PKSHA森が本気で挑む業界変革、その裏にある想いとは

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インタビュイー
泉 雄介

アメリカの音楽大学を卒業後、メディア制作会社で作曲家として勤務したのち、システム開発で起業。モルガン・スタンレー証券会社での債券取引のシステム開発や、ディー・エヌ・エーにおけるゲームプラットフォーム事業やヘルスケアサービス開発のリードエンジニア、ラクスル取締役CTOを経て、株式会社UPSIDERに入社しVP of Engineerを務める。

森 大祐

新卒で株式会社ワークスアプリケーションズに入社後、会計システムを中心として、大手企業のERP、業務システムの開発をリード。いくつかのキャリアを経て、PKSHAグループにて複数のAI SaaSを立ち上げ、それらのプロダクト企画統括を務める。2023年に入社した株式会社UPSIDERではVP of Productを務める。

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創業5年にしてサービス導入企業数が2万5千社(2023年7月末時点)を超えるほどの急拡大を見せているUPSIDER。2022年10月に「融資枠の確保で467億円を資金調達した」と発表した件や2023年6月に「スタートアップ最大規模となる80億円超のシンジケートローン契約を締結した」と発表した件が注目を浴び、まさに急成長スタートアップの代表格であるというイメージを持つ読者も少なくないだろう。

だが、ファイナンスをはじめとする華々しい話題はよく耳にしても、組織や事業の詳細についてはよく知らない、という方もいるのではないだろうか。

確かに現在の主軸事業は法人カードなのだが、ここから「AI化された総合金融機関」という前例のない存在になるべく、急ピッチで新たな事業展開を推し進めている。その象徴である『UPSIDER Coworker』の具体内容と、現場で二人の経営人材がひた走る様子から、今こそ知るべき本当の姿を示したい。

語り手はラクスルの元取締役CTO泉 雄介氏と、PKSHAのグループ会社における執行役員を務めた森 大祐氏。それぞれVPoE、VPoPとして経営の一角を担いつつ、新規事業や組織開発に汗を流している。

同社が「金融」と「AI」を掛け合わせて進めていく「挑戦者を支える“挑戦”」の内情。そのストーリーには、経営者や事業家としてさらに進化したいと願い「挑戦」し続けるビジネスパーソンたちにとっての刺激や学びが詰まっていた。

  • TEXT BY YUKI YADORIGI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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一人ひとりが真の「挑戦者」。
それがUPSIDERという企業組織

UPSIDERは、ほとんど前例のない事業に挑戦してきたスタートアップだと思います。新しい市場を開拓しながら「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」というミッションの達成に向けて突き進んでいます。

ミッションへの強い想いと、ビジョン達成に向けたスピード感をこの組織から感じたのがジョインの決め手の一つです。メンバーの一人ひとりが本当にさまざまな挑戦をしている様子が、外からも見えていました。

だから私たちも、「伸びている法人カード(事業)の会社だからジョインした」のではなく、これから事業をどんどん創出していく挑戦ができると感じてジョインを決めたんです。

「やりたいこと」と「やらなきゃいけないこと」がたくさんあって、時間が全然足りませんね(笑)。

証券会社に在籍していたこともあるので、FinTechには以前から強い興味を持っていました。ですが、実際にFinTechスタートアップに飛び込んでみると、業界変革に向けてやらなきゃならないことがたくさんありすぎてワクワクしっぱなしです(笑)。この想いも、合わせてぜひ「もっと大きなチャレンジはないか?」と次なるキャリアイシューを探しているような、世の中の経営者さんや事業責任者さんたちにまで広く伝えたいですね。

日々の大きなやりがいについて笑顔で語り合うこの二人がジョインを決めたUPSIDER。同社のメイン事業と言えば、「2022年に東証グロース市場へ新規上場した企業の20%以上が導入していた」という法人カードだ。

だが、今回は「法人カード事業の急成長がすさまじい……」という説明がしたいのではない。

「法人カード事業の会社ではなく、これまでにない“AI化された総合金融機関”になる」という話を、この記事では思い切って深掘りしていきたい。なお、創業者の二人ではなく最近ジョインしたこの二人が語ることに意味がある。後ほど、経歴にまつわるエピソードが語られる中で、わかってくるだろう。

全体として見ていくのは、最近新たに発表した新プロダクト『UPSIDER Coworker』に端を発する新たなプロダクト戦略や、この二人が「金融」と「AI」に感じている大きなポテンシャル、さらには経験豊富なメンバーがピュアに挑戦し続ける組織カルチャーといった切り口。だがまずは、UPSIDERのミッションにまつわる部分を確認したい。

(企業名である)UPSIDERという言葉自体が好きですし、ミッションにある「挑戦者」というのも全員が目指さなきゃいけないものだと思うくらいに私は好きなんです。

起業家や経営者だけでなく、役職も肩書も関係なくあらゆる人を「挑戦者」と捉えています。そんなさまざまな挑戦を支えるというミッションを掲げているくらいですから、ここでは全員、世の中の進化よりも急角度で進化していかなければならない。そんな環境だから、私もここで新たな挑戦をしたいと思いましたし、実際に挑戦できています。

泉さんだけじゃなく、「チャレンジし続けたい」とピュアに考えている人たちばかりなんです。役職とか役割といったことに縛られずに、みんな新たな挑戦をしています。

事業に向き合うスタンスを表現するなら、「今ある仕組みの中でしっかり事業をマネジメントして進めていこう」という感じじゃないんです。「今ある仕組みの中でここに課題があるから、なんとかするための挑戦をしよう」と常に考えて新たな挑戦をする。それが当たり前という環境ですね。

詳しくは後述していくのだが、二人とも前職では事業成長を牽引したと言える立場を担っていた存在である。スタートアップから大企業まで、さまざまな環境に次なる活躍の場が広がっていたはず。そんな中でUPSIDERを選んだ大きな理由が「ミッション」とその「スピード感」にある。

どうしても「法人カード事業で急成長している」というイメージが先に立つ読者が多いだろう。だが、その内情を知るためのキーワードは「挑戦者」なのだ。この二人もまさに、この点に引き付けられ、実際に今「挑戦者」となっている。

では、実際にどのような挑戦をしていくのか。先ほども挙げた「プロダクト戦略」「AI×金融という市場ポテンシャル」「組織カルチャー」に整理して見ていこう。

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「最終的に勝つこと」から逆算して企画し、急ピッチで立ち上がった『UPSIDER Coworker』という新プロダクト

さてここから、この二人の具体的な挑戦によって進化していく「プロダクト戦略」を見ていこう。2023年9月にリリースとなる『UPSIDER Coworker』が、重要な立ち位置のプロダクトになる。

だがジョイン前にはそもそもこのプロダクトの構想自体が存在していなかった。ジョイン直後にVPoPとして今後のプロダクト戦略について思考する中で必要性を感じ、企画・提案から立ち上げまで一気に進めてきた。

ジョイン後すぐに組んでもらった経営会議で自ら創ったロードマップを示しました。その日のうちに方針は合意できたので、翌日には立ち上げに取り掛かっていました。

私は常に、“最終的に勝つこと”を重視しています。たとえどんなに良いプロダクトを創っても、大きな売上や利益といった事業としての成果につながっていかなければ意味がありません。

プロダクトを開発して確実に勝っていくためには、最適な順序というものがあります。UPSIDERの場合、法人カード事業だけを軸にして展開を進めると、その提供価値は他社の類似サービスと交換可能なものになってしまうかもしれないと気になっていたんです。

クレジットカードの使用シーンを考えてみてください、個人では「もっと多くのポイントがたまるから、明日からこっちのカードを使うようにしよう」と考えることがあるでしょう。法人カード事業でも、そうした乗り換えは起こり得ると思うんですよね。

法人カード事業の会社ではないという冒頭での紹介について、ここでさらに補足しよう。確かにこの法人カード事業によって、導入企業に累計5,000億円以上の与信枠を提供して企業の急成長をBoostしてきた事実がある(同社はユーザーに対する成長支援を“Boost”という言葉でよく表現する)。

だが与信枠の提供だけでは「世界で戦える企業を生み出す」という大きな目的を達成するには至らない、そう考えているわけだ。森氏もジョインして早々にこの目的から逆算して思考し、「すぐに立ち上げなければならない新プロダクトはこれだ!」と提案した。

提供:株式会社UPSIDER

世界で戦うための大きなBoostを実現する前に、「気が付いたら導入企業が(UPSIDERのサービスから)離れてしまった」なんてことになってしまっては元も子もありません。

そこで、決済に至る過程のコミュニケーションやワークフローといった業務領域にも接点を創り、より密接な関係性を構築できる事業形態にしていくためのプロダクトを新たに構想したんです。

そこから議論を深めていき、単なる目先の顧客獲得にとどまらないプロダクト構想へと進化させ、開発を進めました。

提供:株式会社UPSIDER

整理しよう。『UPSIDER Coworker』の導入企業には3つのメリットがある。バックオフィス業務をSlack上のチャットコミュニケーションのみで一元的に運用できること、メンバー一人ひとりが稟議申請や契約管理を簡潔に進められること、そしてそれらにより企業としてガバナンス向上まで実現できること。

似た価値を提供している業務効率化SaaSを思い浮かべる読者がいるかもしれないが、大きな違いがある。このプロダクトを法人カード導入企業に対して無料提供するという意思決定をしているのだ。この点には驚きを禁じ得ない。狙いは森氏が語った通り「導入企業との間でより密接な関係性を構築」することだ。

『UPSIDER Coworker』がどのようなプロダクトなのか、その詳細までをここで示すのが適切ではないため、気になればサービスサイトデモ動画で確認してほしい。

さて、『UPSIDER Coworker』のプロダクトとしての今後の進化や、それ以外の新プロダクトや構想についてもこの二人はすでにイメージを膨らませているところ。だが、現時点で公表できる具体的な内容は語られなかった。その代わりに語られた、より長期的な構想すなわち「AI化された総合金融機関」への道筋から、今後のポテンシャルについて迫っていこう。

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独自の「AI×金融」事業で、世界で戦うための支援を非連続的に増やす

『UPSIDER Coworker』誕生の背景を知ることで少しずつ明確に浮かび上がってくるのが、「AI×金融という市場のポテンシャル」だ。ここに、UPSIDERだからこそできる挑戦がある。

その挑戦の対象は、先ほども言及された「世界で戦える企業を生み出す」にあたっての金融課題だ。

FastGrowの読者なら、日本でもスタートアップへの資金供給は拡大していると感じているかもしれない。だが実態としてはまだまだ不十分な面がある。特に上場後も含むレイターフェーズ以降では、黒字期間が短いことや担保となる有形資産をほとんど持たないことなどから銀行融資を受けにくいとされる。「世界で戦える」に至るまでの成長資金を確保し続けるのが、現時点では簡単なことではない。

だが、それをできるようにしていかなければならない。そんな意気込みを「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」というミッションに込めているのがUPSIDERなのだ。

UPSIDER Culture Deckの一部を編集して引用

法人カード事業はもちろん大事な基盤です。加えてここから『UPSIDER Coworker』のようなプロダクトを無数に増やしていくことで、事業全体を非連続的に成長させていくことができると感じています。

特に意識しているのが、「挑戦者」の意思決定を加速させること。運転資金や成長資金の素早い確保は、もちろん新たな打ち手のスピーディーな実行につながります。また、『UPSIDER Coworker』によって面倒な稟議申請や契約管理の業務が効率化されると、意思決定に必要な思考を阻害する要因が減っていきます。

このように資金面でも工数面でも余裕ができれば、大胆で緻密な意思決定を次々と高速にしていけるようになると思うんです。

まずは「挑戦者たち」の日々の課題である「より良い、高速な意思決定」を直接支えていくということが重要になるわけだ。

だが、それだけではない。あくまで「世界的な金融プラットフォーム」を目指すという中で、特に「資金調達」の可能性がより大きく開かれていくことにもつなげようとしている。

金融サービスと非金融サービスをかけ合わせ、創業から急成長フェーズまで長年かけて、起業家や経営者などの「挑戦」を支えていく。そうすることで今まで以上に経年かつ複眼的なデータが蓄積され、法人カード事業で培ってきたAI与信の精度が高まる。すると今度はまた新しい資金調達の可能性を提示できるようになり、スタートアップの挑戦がさらに加速(Boost)していきます。このような非連続成長のサイクルを支援できる事業群をつくっていけるんです。

つまりUPSIDERの中でも、事業やプロダクトをこれから高速にどんどん創っていける。非常に多様な挑戦ができる。ジョイン前にこうした想像ができて、本当に面白そうだと感じました。

いいですね。そうなんですよ。バックオフィス業務効率化に関わるプロダクトは他社も展開していますが、あくまで金融に軸足を置いていることで、資金面の力強い支援にまでつなげていける。そんな事業展開を実現できるのが、まさに唯一無二の強みです。

資金調達環境の拡大とそれによる「挑戦」の加速がどんどんつながっていき、高め合い続けていく仕組みを創れるのが面白いんです。

二人が「面白い」と語る事業展開事例の一つとして注目したいのが、子会社として設立したUPSIDER Capitalの存在だ。

法人カード事業のAI与信をさらに進化させ、スタートアップの融資における信用力を適切に評価する仕組みを社会実装する。これにより、スタートアップがこれまでは得られなかった大手金融機関からの融資を、より多く受けられるエコシステムを創るのだ。

ここで『UPSIDER Coworker』や今後開発していくプロダクトによって新たに蓄積されていく企業の経年データが大きな意味を持つ。与信の精度は非連続的に高まっていき、資金調達の選択肢が増え、かつその額も大きくなることで、より大きな挑戦が生まれていくことになるだろう。

そう、これが現時点における「AI化された総合金融機関」の姿だ。図解すれば、下図のようになる。

提供:株式会社UPSIDER

ここまで詳細に迫ってきた『UPSIDER Coworker』の企画・提案と立ち上げにおいて森氏が重要な役割をすでに担っていることが見えてきただろう。

また、泉氏も同様に同プロダクトの立ち上げフェーズで奮闘している。その中で抱く「金融領域で変革を実現したい」という強い想いについても改めて聞いておきたい。

多くの人はなんとなく金融に対して距離を感じているかもしれませんが、そもそも金融というのは誰にとってもやりがいを強く感じられる、面白く、社会的意義の高い領域だと思うんですよ。即時性・堅牢性・正確性を常に高いレベルで求められるので、プロダクトによって変革を目指す挑戦のレベルがものすごく高いんです。

しかし、既存の金融機関を構成する情報システムは長い歴史の中で積み重ねられたものです。なので急速にデジタル化が進む世の中に追いつくような抜本的なアップデートはしにくい状況に置かれているのかもしれません。UPSIDERは金融機関とも連携を強めており、こうした状況についても具体的に話を聞いた上で、「UPSIDERだからこそ実現可能な金融領域アップデートのための打ち手は何か?」という未来を一緒に考えています。

ディスラプターとしてではなく、あくまで既存金融機関の同志としてこの課題に切り込んでいく。そんな挑戦を進めていっています。

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「金融」と「AI」の悲喜こもごもを体感。
そんな二人の経営人材が描く社会変革ビジョン

この二人がなぜUPSIDERでの挑戦に身を投じることにしたのかという理由、そしてUPSIDERで実際に挑戦していく事業の概要について、ここまで触れてきた。次に、先述したように組織カルチャー面についてもまとめていきたいのだが、二人の経歴を遡ってのインタビューが、事業の今後について考えるうえで非常に興味深いものとなった。「この二人がUPSIDERで挑戦を続けることの意義」を感じるエピソードを紹介していきたい。

泉氏については、ラスクル取締役CTOとしての顔を知る読者が多いかもしれない。上場前後の急成長フェーズを技術面で支え、開発力の向上や組織開発に大きく貢献した(上場後間もない頃のインタビュー記事や、ソフトウェアエンジニアリングについて記した当時の記事連載をぜひ合わせて読んでみてほしい)。

そこからさらに泉氏の経歴をさかのぼると、アメリカの音楽大学を卒業して作曲家としてキャリアをスタートし、映像業界を経てプログラミングを始めた後、システム開発の会社を自ら起業するというユニークなキャリアを歩んできたことがわかる。そして2005年、金融領域のモルガン・スタンレー証券へと至る。

起業した頃はお金のことが正直よくわかっていなくて、「経営者としてこれでいいんだろうか」と悩む日々を送っていました。どんなビジネスをやるにしても、金融に関する話からは逃れられません。

モルガン・スタンレー証券で働いていたときには、ちょうどサブプライムローン問題の影響を受けてまわりのメンバーが次々と解雇され、少ない人数で多くのイレギュラーな対応にあたるという経験をしました。これが、金融に関する課題意識をさらに痛感する強烈な原体験になっています。

この時の苦労は、「金融機関の一部の人たちが生み出した仕組みや商品によるビジネスゲームの中で踊らされてのものだった」と感じまして……。それが悔しかったので、自分ももっと俯瞰的に、仕組みやシステムの観点から金融や世の中の課題に向き合っていきたいと思うようになりました。これが、いつかは金融スタートアップで挑戦がしたいと考えるようになったきっかけです。

一方の森氏は、金融領域への興味を強く持っていたわけではないという。複数社でキャリアを積んだ後、PKSHA Technology(以下、PKSHA)の子会社であるBEDORE(現PKSHA Workplace)に入社。AI領域のリーディングカンパニーである同社でAI SaaSシリーズの開発を統括し、事業展開に応じながら執行役員として新たな組織の立ち上げなどにも携わった。キャリアのなかで、森氏はAIムーブメントを体感してきたのである。

私がPKSHAに入社した2018年はまさにAIバブルと呼ばれる時代です。AI投資の波に乗り、スマートフォンやLINEの普及といった追い風も受けながら、カスタマーサポートや社内問い合わせ業務を支援するチャットボット事業が急成長しました。

そこから事業をさらにスケールさせるべく音声AIの領域にも挑んだわけですが、こちらは事業化に難航しました。日本人は音声コミュニケーションに対して礼儀や正しさを求める傾向が強く、そこをAIに任せることへの不信感がチャットボット導入に比べてかなり強かったのです。「AIによる効率化だから同じように広げていける」という狙いは外れました。この頃を振り返ると、売上が思うように伸びなかったこと、案件のトラブル対応に追われたことなど苦い経験を思い出します。

その後、コロナ禍という未曾有の危機が起き、コールセンターはサービス提供のために絶対に欠かせない機能であるにも関わらず、閉鎖を余儀なくされる状況に陥りました。そのような状況の中で、事業継続のために音声対話エンジンをご活用いただく事例ができはじめたことで、音声AIの事業も伸ばし始めることができました。ちょうどその頃に執行役員となり、「AI SaaS」と銘打ったプロダクトを開発していくという新機軸も推し進めていったんです。

時代の大きな転換期を、金融、AIそれぞれの領域で体感してきた二人。当時を振り返ってもらうと、刺激的な毎日について「オフレコで(笑)」と懐かし気に語る様子が印象的だった。

表面をなぞれば順風満帆に見えるキャリアだが、そのプロセスではさまざまな衝撃を受けてきた。そんな二人は、豊かな経験から何を考えてUPSIDERを選んだのだろうか。

ChatGPTがプロダクトとして出た瞬間に「これは大きなゲームチェンジが起こる」と確信したんです。

アルゴリズムは「人とコンピュータの間を溶かしていく技術」だと私は考えています。このような技術の発展により、PC操作が苦手な方も含めて、今までよりも多くの人がコンピュータを簡単に使えるようになり、その恩恵をさらに得やすくなっていきます。この役割を、今後は多くの場合、大規模言語モデルが担っていくことになるでしょう。

そういう時代がきた今、「時代やトレンドに合ったユーザー体験を設計し、それを実現するためにAI技術も含めた適切な技術選定をして、プロダクトとしてまとめ上げること」を得意とする自分は、どのような環境に身を置くべきだろうかと改めてじっくり考えました。そこで思い至ったのが、社会インフラとなっており、規模が大きいという強みがある一方で、ソフトウェアとしての体験設計がまだあまり洗練されていない領域。金融は、まさにそういった条件に合う理想的な領域でした。

金融領域は昔から、システム開発や技術投資が盛んなんです。一方、既存の金融領域に関わる各社が維持・運用している現状のシステムには、先ほどから指摘しているとおり大きな課題があります。

このまま維持していくだけで、何億円ものコストがかかりかねない。それに、新たなシステム開発が必要かもしれないという指摘があっても動き出すまでには長い時間がかかりがちだとも言われています。経済をまわしていくために重要な役割を担っている金融プレイヤーたちの裏側には、こうした課題も実はあるんです。

ですから、私たちUPSIDERのような、ゼロベースで金融領域に必要なシステムを生み出せる存在がますます必要になってくるかもしれない。そんな想いを持って取り組んでいこうしています。

どうだろうか?泉氏と森氏がそれぞれ、「金融」と「AI」に対して抱く強い想いが見えてきたのではないかと思う。この二人のタッグによって、UPSIDERがミッション実現への動きをさらに加速させていくという期待も高まってくる。

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「挑戦者を支え続ける“挑戦”」に、ピュアな心で向き合うカルチャー。自信があるミドルこそ、金融領域に挑戦してみないか?

ここまで、スタートアップの事業経験が豊富な二人に、UPSIDERの事業面のユニークさを聞いてきた。だが、その裏にある組織力こそ、事業成長には不可欠なはず。そこで最後に、組織という側面も聞いていきたい。

実際にこの2人も、前所属企業では組織開発に力を注いできた。特に泉氏は、ラスクルのエンジニアチームをけん引してきた経験を活かしつつ、UPSIDERでもメンバーの可能性を重視した組織づくりに取り組み始めている。

メンバー全員が、純粋に「挑戦者を支える」ためにできることをしっかりやりきるという気持ちを持っていますね。常に、社会のため、あるいはお客さまのため、すべきことに全力で取り組んでいます。

そんな中で自然と、とにかく「まずは任せてみよう」というスタンスを取っているUPSIDERのカルチャーには、私も驚きました。

なので私も組織マネジメントの上では、一人ひとりの想いや可能性を否定しないよう心がけています。誰かの可能性を否定することで、チームの成果が生まれにくくなるというのも、経験則として感じていますから。

UPSIDERは大型資金調達もしていますから、外から見るとある程度は成熟している印象があるかもしれません。ですが、実際の中身はいわゆる“どベンチャー”です。私たち二人も、当初はもう少し「プレイヤーとして挑戦していくのはもちろんだが、マネージャーとして仕組み化やマネジメントにしっかり取り組んでいこう」と思っていた部分もありました。ですが、実際は事業のめちゃくちゃ最前線に身を置いて、開発の意思決定をしたり、ユーザーさんと話したり、LLMのプロンプトを書いたりしています(笑)。

決して悪い意味はなく、今のフェーズでは必要なことです。

一方で、組織体制をしっかり設計していく仕事に、これから意識して取り組まなければいけないフェーズとも言えます。

UPSIDERの何がすごいかと言えば、互いの専門性をリスペクトし合っていることですね。私も入社してすぐに、かなり広い範囲で責任を持って事業を見させてもらうことができたので、スピーディーに『UPSIDER Coworker』を立ち上げられたんです。他社でCxOやVP、事業責任者を務めてきたような経験豊富なメンバーが集い、「まるで呼吸するかのように自然に権限移譲をしている」という状態です。

創業者の宮城がビジョナリーで、自然と人を巻き込む、仲間が集まる魅力を持つ人なのですが、巻き込んだ後にどうすべきかを描くのが苦手な部分があって……(笑)。それで「まず任せる」という方針でやっているんですよね。そういうことを社内でよく言っているので、組織にも自然と伝播している印象があります。

私自身もこれからジョインする優秀なメンバーに対してどんどん権限を移譲したいですし、チャレンジしたいという人には伴走したいです。

二人の話を聞いていると、これからジョインするメンバーも「自らの意志を大事にピュアに挑戦し続けられる」という環境だということが伝わってくる。それでは今、ミッション実現へのスピード加速に向けて、UPSIDERはどんな人材を求めているのだろうか。

どのスタートアップもそうだとは思いますが、今もっとも注力していることは仲間集めです。「こんなにも挑戦しがいのある事業環境はない」と強調して伝えたいですね。

UPSIDERには、ポジションや役割にこだわっている人はほとんどいません。ピュアにチャレンジしたい人が入ってきて、実際にチャレンジすることで活躍の幅を広げていくような環境です。今後もそういう仲間にたくさん集まってほしいですね。

普通は個々人がチャレンジをやりすぎると個人商店の集まりみたいになって統制がとれなくなりそうなものですが、バランサーのような経験豊富なメンバーも中にはいて、今は絶妙な均衡が取れている不思議な組織です(笑)。

それと、特にシニアエンジニア層に向けたメッセージとして、金融領域のおもしろさをお伝えしたいですね。先ほども言った通り、金融領域は即時性と堅牢性、そして正確性が求められる難度の高い領域で、問題が起こったときのダメージは極めて大きいという特徴があります。プレッシャーになると感じるかもしれませんが、一方で「重大なミスを起こすことができない環境」でこそ、エンジニアリングの力が試されるとも思います。

シニアエンジニアに限らず、すでに経営や事業の責任を背負っているような人にはぜひ今こそ、UPSIDERに興味を持ってもらいたいですよね。20代の若手ビジネスパーソンにとってはもちろんですが、30~40代で事業経験・経営経験も豊富な人にとっても、「これまで手掛けたことがないレベルの挑戦」を続ける環境としては本当に面白いと思うので。

創業者の二人はもちろん、ぜひ私たちともカジュアルに話をしてみるところから進められればと思っているので、ご連絡お待ちしています。

いろんな人に、今の面白さを話したくて仕方がないです(笑)。

前職でも社会的インパクトの大きな事業に携わってきたこの二人。今改めて、大きなやりがいをすでに感じて挑戦する毎日を過ごしていることが少しでも伝わっただろうか。

何度も言及されたように、UPSIDERはもう完全に「法人カード事業のスタートアップ」というイメージを脱している。「AI化された総合金融機関」という姿を実現し始めた。それによって「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォーム」というミッション実現に向けてしっかりと歩を進めている。

そんなフェーズを、この二人が本気で楽しんでいるのだから、世の中の経営者や起業家あるいはそれに類する事業責任者の多くが、この金融領域でこそ面白い挑戦をしていけるとも言えそうだ。スタートアップエコシステムの発展に大きく貢献し、日本経済の再興にまでつながるほどの社会的インパクトを持つ事業環境に身を置くチャンスが今、ここにある。

こちらの記事は2023年09月22日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

宿木 雪樹

写真

藤田 慎一郎

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