連載ユナイテッド株式会社
【有機米デザイン×ユナイテッド】
「よいこと」してる、で終わらせない。
社会的意義と儲かる農業を両立させる戦略的座組みとは?
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ESG・インパクト投資と聞くと、「高いリターンは求めない、よいことをしている慈善事業」のような響きがいまだに存在する。
しかし、実態はその活動がPER(株価収益率)を大きく左右する要素として挙げられるなど、徐々に経済合理性との結びつきが強くなってきているのが事実だ。
特に、欧米諸国では児童労働や人権無視など、配慮に欠けた企業の製品に対して不買運動が起こるなど、ESGを意識した投資への機運が高まっている。また、とりわけZ世代は社会人になる前の学生時代から、環境問題など社会課題に対する関心がとても高いとされる。この流れはもはや不可逆とも言えるだろう。
そんな中、「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」というパーパスを掲げるユナイテッドもまた、投資事業の柱の一つとして一見するとESG・インパクト投資と思える投資を行っている。しかしそれはユナイテッドならではの「善進投資」という概念であり、ユナイテッドのパーパス実現にあたっての重要な要素なのだ。
インターネット産業とともに、成長を続けてきたユナイテッドが打って変わってインパクト投資?と感じた読者は、世の大局を掴めていないかもしれない。
本記事では、地方の農業を世界のグリーンな市場とつなぐ有機米デザイン代表・山中大介氏と、同社に投資しているユナイテッド代表・早川氏と担当キャピタリストの清水石氏の三人から、実は巨大な経済リターンが見込めるアグリビジネスの実態を紐解いていきたい。
曰く、「ユナイテッドの農業領域への投資および支援は、日本の地域や日本そのもののポテンシャルを引き出すことにつながる」とのことだが。その実態やいかに。
- TEXT BY YUICHI YAMAGISHI
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
二社の出会いは「相思相愛」から始まった
ユナイテッドは2022年4月に“パーパス”を制定し、それに併せて全社として注力する事業を新たに「投資」「教育」「人材マッチング」の3つに定める方向に舵を切った。中でも今回の記事で注目する「投資事業」は「意志を持った人や意志ある事業を最大化させることが、社会を善き方向へ進める」との同社の想いを如実に体現している。
早川「意志の力を最大化し、社会の善進を加速する。」―2022年に策定した当社のパーパスです。中でも投資事業においては、社会課題解決に対して強い意志を持ち、社会を善い方向へ進めたいと考えているスタートアップの方々に投資し、その成長をサポートしていきたいと感じています。
山中さんはまさにこのパーパスど真ん中の事業を展開しています。また、当社としては、農業領域を成長領域と捉えていますし、日本のどの地域でも生活と雇用を支えている大事なテーマだと確信しています。
パーパスに従い善き投資先を探していたユナイテッド、そして長期に渡って寄り添ってくれる投資家を探していた有機米デザイン。二社の出会いは「相思相愛」から始まったという。
有機米デザイン 代表取締役の山中氏は、山形県庄内にて街づくりや地域の課題解決を担うヤマガタデザインの創設者でもある。地域の課題を解決する事業を積極的に行い、税金に頼らない地方主体の社会課題の在り方を模索する「強い意志を持つ」起業家だ。
山中有機米デザインの親会社であるヤマガタデザインでは、「キッズドームソライ(以下、ソライ)」という全天候型の児童教育施設を運営しています。
そのソライの館長とユナイテッドの取締役である樋口さんが昔からの知人というご縁でお会いしたのが最初の出会いでした。
デジタル人材の育成・輩出に取り組むオンラインスクール『テックアカデミー』を運営するキラメックス(ユナイテッドのグループ会社)の代表取締役社長でもある樋口氏は、お互いに社会的意義の高い事業を展開している点に共鳴し、親和性の高さを感じたのだ。
山中それから2020年頃にソライと『テックアカデミー』にて協業をする機会をいただきました。その際に、キラメックスやユナイテッドの社員の方々と接する中で驚いたのが、「何の目的を達成するための事業なのか」というビジョン設定へのこだわりとそのスピード感でした。当社もビジョンとスピードにはこだわっていると自負していたのですが、それでも唸らされたほどです。
また、私たちの目指すものの意義や価値をすぐに理解していただいて、先を読んだご提案をくださったり、1回のミーティングでサクサクとものごとが決まっていく仕事の進めやすさがあったんです。ビジネスではありながら地域貢献という意味合いも強い当社のビジョンを理解いただいたと同時に、ユナイテッドグループが大事にしている価値観が伝わってきました。
そんなご縁の延長線上で、ユナイテッド代表の早川さんが投資対象領域として農業に興味を持っていると、樋口さんからご紹介いただきまして。「有機米デザインがもし出資を募っているなら、ユナイテッドから投資を検討したい」との旨でした。
ちょうど私たちも出資を募っていたタイミングでの出来事だったんです。
まさに渡りに舟のタイミングだったのだ。
とはいえ、なぜインターネット産業とともに、成長を続けてきたユナイテッドが打って変わって農業の分野に興味を抱くこととなったのだろうか。そこには早川氏の“地方”に対する課題感が存在していた。
プレゼンを聞いた瞬間、思わず拍手が溢れた
早川もともと投資対象領域として日本の地域のポテンシャルについて考えていたことがきっかけです。しかし、現在のIT業界は得てして“ニアショア”の発想で地方を見てしまいがち。つまり、東京の人がやりたくない仕事や、東京で業務を行うよりもコストが低く済む仕事を地方に外注するという考え。その発想だけでは地方を幸せにしませんよね。この構造に課題を感じていました。
それと同時に、個人のライフワークとしても農業に興味がありました。私の「2023年のやりたいことリスト」の中に、「スイデンテラスを観に行く」が入っていたほどです(笑)。
そんな早川氏は、数年前に知人と共同で農業法人を立ち上げるほど農業に精通している。今では農業用コンバインの操作もお手のものだという。
早川日本のどの地方にとっても、農業はすごく大事なテーマです。
実際に農業をやってみると分かりますが、課題が多い一方で伸び代がいくらでもある。つまりまだまだ成長余地のある領域なんです。特に、テクノロジーや企業経営の概念、マーケティングの導入によって大きく伸ばせる領域だと実感しています。そんなときに、有機米デザインが開発する『アイガモロボ』のアイデアに出会いました。
最初に山中さんのプレゼンを聞いた瞬間、その強い意志とビジョンに思わず拍手をしてしまったほどです。それで間髪入れずに「これは絶対に投資すべきだ」と感じました。
また、ユナイテッドの担当キャピタリストとして有機米デザインの支援に携わる清水石氏も、山中氏の「強い意志の力」に注目する。
清水石最初にお会いしたときの「圧倒的な当事者意識」という山中さんの言葉がとても印象的でした。
これまでも農業領域の起業家の方とお話しさせていただく機会はありましたが、掲げるビジョンは一見よさそうに見えるものの、具体的な事業やサービスとなると農家さんの目線に立てていない、農業領域の広い課題に対しての部分最適の域を出ていないなどの理由から、投資が見送りになったこともありました。
ところが、山中さんは農家さんのお困りごとに寄り添い、解決策がいろんなところに散りばめられていて、課題の在り処が分かっている。本質的な価値提供を志向しながら、その圧倒的な当事者意識がとても魅力だと感じました。
とはいえ、ユナイテッドの農業領域への進出に対して、山中氏も当初は驚きを隠せなかったという。
山中正直、最初はユナイテッドさんがどれだけ農業領域の支援に本気なのか、未知数ではありました(笑)。しかし実際に早川さんとお会いしてみると、ご自身でもライフワークとして農業に関わり、重機に乗るのは私よりもお上手。言動が一致しているその様に、早川さんならびにユナイテッドの本気度が伝わりました。
私たちが目指しているのは、「農業界で一番規模の大きなIPOを実現し、投資家からの業界評価を一新し、農業界に新しい投資/リスクマネーを国内外から呼び込む」です。そんな心意気もユナイテッドが投資家として入ってくれたおかげで、もはや夢物語ではなくなったと感じます。
農業ベンチャーというのは宇宙ベンチャーの次に成功しないと言われている領域です。
「リスクマネーが流入してくる=農業界は熱い」これが常態化しないと、次の世代に繋がらないし、農業のイノベーションが起こりません。もっとテクノロジーが注がれて仕組みが改善されないと、農家の暮らしは良くならずに業界が終わってしまいます。
だからこそ、ユナイテッドが今回大きな出資を決めてくださったことには大きな意味があったんです。
そんな有機米デザインとユナイテッドが挑む農業というフィールド。とはいえ、多くの読者にとってその存在は未知のものだろう。次章では、農業に隠された計り知れないポテンシャルに焦点を当てていきたい。
安売り競争に参加するなら、
日本で農業をやる意味はない
有機米デザインが挑むのは、その名の通り、有機農業だ。グリーン市場として世界的に裾野を拡大している有機農業は日本にとっての希望である。
山中 もちろんグリーン市場は有機農業だけでなく、カーボンクレジットや代替プラスチック、脱メタン、脱石油などさまざまな市場が存在しますが、これらの共通点はこれから世界的に伸びていくグリーン市場だという点です。
日本の農業はこれまで、国内の食料安全保障の観点で食料自給率をベースに考えられてきました。もちろんそれも大事ですが、一方でこれからは人口減少・マーケットの縮小にともなって、どうしても日本の購買力は減少していく現実があります。
そんな宿命を負った地域の農業という産業を、これから伸びていくグリーン市場に向けて開放していく。そのために必要なサービスやプロダクトを提供していく会社が有機米デザインです。
購買力の低下と人口減少に加え、一人当たりの米消費量も年々減少している。この需要の縮小が米の単価に影響を及ぼしている。供給量が変わらない限り、米の単価は下落の一途をたどるのだ。
この環境下では、まるで豊作貧乏のように、農家が農作物を作るほど赤字になってしまう場合も多い。しかし、いくら美味しい米を作っていても、日本の農業は生産性が低く競争力が弱い。つまり、海外市場でも勝つことができないのだ。
山中カナダに行けば一家で6,000ヘクタール(東京ドーム約1,300個分)の農家がザラにある中で、日本の農業が安さを売りにしても勝てる方法はありません。安売り競争に参加するなら、日本で農業をやる意味はないんです。ならば、残された道は、トップラインを上げて付加価値を付けた高単価商品に取り組むしかありません。
付加価値を付ける場合、味を良くするアプローチもありますが、味は主観的で数値化がしづらく、味で勝負をかけるのはリスクがある。
ならばという理由で、今後グリーン市場の広がりとともに成長することが期待される、有機農業という市場に目をつけたんです。
食料自給率の問題に直面し、米農家は生き残るために高単価の米を生産する必要に迫られている。それに拍車をかけるように化学肥料の高騰から原価率が上昇、利益率が低下している。また、政府は2050年までに有機農業を拡大し、農薬や化学肥料の使用を削減する方針を示しており、なんとか海外輸出への道も模索している。
このような状況の中、地域農業の振興と世界市場への架け橋を一手に担うのが有機米デザインなのだ。
しかしその道中は険しい。決して簡単に成功するものではないのだ。
手間がかかり過ぎる有機農法の課題
農業にはさまざまな課題が山積している。高齢化が進み、ボリュームゾーンの年齢は70歳を超える。また“家業的”な農家が多く、生産は未だレガシーな手法で続けられており、イノベーションが起きていない。生産性も低く、儲かっていない農家も多いのだ。そればかりか、周辺産業もその地盤沈下に引きずられて、農機具メーカーなども衰退してしまっているという現状。
そうした農業界全体を取り巻く構造的な問題は、一つのプロダクトを提供するだけでは到底解決できない。サプライチェーン全体を俯瞰して生産〜流通全てを変革する必要があるのだ。
一方の有機農業も一筋縄ではいかない。
山中有機農業市場は世界では今後5年間で倍増(30兆円→60兆円)の成長が見込まれ、国内でも現在2,200億円を超える市場規模を誇っています。しかし、農業を始める前は、私は有機農業のポテンシャルしか見えていませんでした。「スマートに農業をやれば勝てる」という浅はかな考えだったんです。
有機農法では、農薬を使わない分だけ農作物は虫に食われ、収穫量が少なくなるなど、安定して生産量を確保するのが難しい。となると、安定生産を行うための新しい土作りや農業資材の開発・販売、技術やノウハウの提供へと自然と事業範囲が拡大していきました。
農家に対して総合的なサービスを提供し、グリーン市場に農家が進出できる支援を行う。農家さんからみて当社は、民間のグリーン版JA(農業協同組合)のような存在です。
JAは組合員である農家に技術指導を行ったり資材を共同購入できるように支援し、農業生産品の流通の大部分を担いますが、同様に私たちはそのJAとも連携をしながら、農家がグリーンな市場を攻めるために、資材提供により生産の品質を安定化し、ロボットなどにより栽培コストを低減し、、お米を高単価で買い取って出荷まで行っています。
特定の課題ではなく、商流の流れの中ですべての課題に目を向けているのが、有機米デザインの真骨頂。中でも主力商品は、有機米デザイン社が開発した自走式の抑草ロボット『アイガモロボ』だ。
アイガモロボを主力商品にすえて大躍進
『アイガモロボ』は、2012年に現在当社に勤めるエンジニアたちが実験を開始し、10年間の実証実験を経て2023年1月に販売が開始。雑草が減っただけではなく、米の収量が増えたとするデータも得られた。除草にかかる労力が大幅に削減できると、有機農家を中心に注目を集めている。
山中当社の一番のコア商品が『アイガモロボ』です。日本の耕地面積の51%が水田、つまり半分がお米を作る用地です。この広大な水田に、全自動で除草できるロボットを入れることで、環境負荷の低い有機米を誰もが作れるようにしたい。そんなサービスを提供しています。
早川アイガモロボはスクリューの回転により水田の水を濁らせ、光合成が行われにくい環境を作ることで雑草の発生を抑える仕組みです。動力源は太陽光エネルギーで、GPSで位置を確認しながら自動で作業をし続けます。化石燃料を使わず、開発責任者の有機米デザイン中村取締役は元日産リーフの開発者の方です。非常に抜け目がない。
有機米デザインは持続可能な取り組みとするために、経済性を損なわずビジネスポテンシャルの高い有機米という道に絞ってIPOを目指している。すでに現時点で、有機米の流通において国内最大級の取扱量を誇っている。
山中ここ1、2年は米価が1俵1万円前後になっています。しかし、この販売価格と現在の生産方法(原価)をバランスすると、いくら作っても赤字になってしまうんです。
一方で、有機栽培のお米は、慣行栽培のお米の倍近くの価格で取引されています。米農家さんにとっては、有機米に切り替えて販売単価を上げていかなければ、農業そのものを続けていけない状況になってきているんです。
とはいえ、このアイガモロボだけでは解決できないのが農業というフィールドの複雑さを物語っている。
山中私たち有機米デザインの最初の設立目的は、「農家さんに可能な限りラクに儲けてもらうこと」から始まっています。そのためには、アイガモロボだけでは不十分。そもそも農業界は先にも述べた通り構造的な問題を抱えていますから、流通や資材など、課題があるところすべてに取り組み、課題解決するための戦略を練っていく必要があるのです。
だから米の仕入れも行いますし、ロボットと米の販売はセットで考えています。また、日本三大農機具メーカーの一社である井関農機さんや、電子部品製造メーカー大手TDKさんとアライアンスを組んでいるのも、株主=事業パートナーという戦略的な投資による事業資本提携ベースでいこうと考えているからです。
TDKが生産をサポートして株主として入り、作ったアイガモロボは井関農機が代理店として販売。さらに、ロボットの開発責任者には元日産リーフの開発者が配置されている。この抜け目のない座組み、モデル、チームだからこそ、農業の複雑な課題に対して包括的なアプローチで挑むことが可能になるのだ。
農業ベンチャーに不可欠だった
「腰を据えての長期間にわたる伴走支援」
もちろん、投資を受け入れる側も、相手が誰でもいいわけではない。投資の引受先との相性によっては、事業の自由度を制限されてしまうばかりか、当初のビジョンを失ってしまうこともあり得るからだ。
山中農業分野はポテンシャルが大きいのに、プレーヤーがビジネスに疎い人たちだから発展しないのだと思われがちです。しかし、「自分ならもっとスマートにできる」と、上から目線の理由で参入すると絶対に失敗するんです。
ところが早川さんは、先ほどお伺いした通り、35町歩(面積の単位。35町歩で東京ドーム約7個分)の田んぼを知人と立ち上げた農業法人で運営していて、私よりも上手く重機を乗りこなし、農業の難しさを肌感覚で理解している。この共通言語があることは大きいし、すごく嬉しかったですね。
それと合わせて、ユナイテッドさんに資本戦略上のリードとして入っていただきたかった理由は、農業は時間がかかるということ。この、時間という資産を持てるかどうかはすごく重要でした。お米のトライ&エラーは1年に1回しかできませんから。
そうすると、短期間で回収しようとする投資家とは相性が合わない。ところがユナイテッドさんは自己資金からの直接投資をされている。また過去他の案件もすべて、投資先企業とは事業パートナーとしての関係性を持てる場合のみ一緒に組んできたそうです。
加えて、自社で投資先バリューアップの専任チームまで組成しています。
農業分野は息の長い事業領域だからこそ山中氏は、IPOを伴走するリードVCとして腰を据えて組んでくれるユナイテッドに惹かれたのだ。
山中投資家は事業伴走・事業成長を含めてセットに考えられることが理想的ですし、そんな投資家が今の日本には求められていると思います。その点、ユナイテッドさんは事業伴走とバリューアップも含めて仕組み作りのスタンスが本当に素晴しい。
社会的な意義と経済性のバランスがとてもいい人たちだと思います。「社会的によいことを大事にする」としつつ、経済合理性を決しておろそかにするわけではありません。それは、私たちのカルチャーも同じで、共鳴する部分だったんです。
ユナイテッド×有機米デザインのタッグで生まれる
「ニューグリーン経済圏」
これまで自社事業の運営で培った経験を活かしたハンズオン支援が強みのユナイテッド。事業パートナーとしての協業はまだまだ始まったばかりだが、山中氏がユナイテッドに抱く期待は大きい。
山中農家が直接消費者へ農作物を届ける風潮はさらに加速していくと考えています。ユナイテッドさんの知見を活かして、ECサービスの強化を支援していただきたいなと思っています。
また、農業界はそもそも業務フローの最適化やシステム化ができていることがほとんどない。そこで、まずは、有機米デザイン社内の業務フローを見直すことで、農業界の非効率を効率化していきたいですね。
有機米は、とにかく一般流通量が少ない。当社は日本最大級の有機米流通会社なのですが、今までにない有機農業の企画、例えば有機米のグローバルな市況分析など、ユナイテッドさんとご一緒にやっていきたいプロジェクトが現時点でもいっぱいあります。
早川かなりスケールの大きい話ではありますが、このように色々とやってほしいことを我々に言ってくれるのは、我々も未知の領域でも頑張ろうと思えるのですごくありがたいことです。
また、ECや、業務フローの見直しに関しては弊社のバリューアップチームが得意としているところなので、すぐにでも実現していきたいです。
清水石ユナイテッドのバリューアップチームの強みは、提案の幅広さと具現化です。これまで法人向けに戦略コンサルティングを通じて幅広い提案力を培ってきました。例えば、どういうお客さんに届けるのが適切なのか、どう売っていくのかを幅広くご提案した上で、ご要望を整理し、提案内容を仕切っていくのが得意分野だと自負しています。
ユナイテッドは、投資後も担当キャピタリストとバリューアップチームが伴走し続ける。だからこそ、“苦楽を共にできるか”という相性が重要であろう。山中氏は、将来ユナイテッドとタッグを組むであろう起業家たちに向けて、ユナイテッドの強みについて触れた。
山中自己資金からの直接投資というユナイテッドの座組みは、農業領域への投資というよりも、ユナイテッドが農業領域に事業参入していただいている、という風に我々は考えています。
だからこそ、今後ユナイテッド自身がハブとなり、出資先企業同士の横の繋がりを加速させ、農業スタートアップ全体の成長に寄与していく、そんな動き方を期待しています。実際、その文脈において「ニューグリーン経済圏」というコミュニティも起案している途中。詳細はまだ明かせませんが、今後の展開が楽しみです。
清水石山中さんから期待していただいているように、ユナイテッドの出資先企業同士が点と点から線へ、面へとつながっていくのは意義を感じますね。
社会性の高い事業でもビッグIPOを目指せるという成功事例を作っていくことが我々の目指すところです。
早川農業以外にも、エッセンシャルワーカーの方々のように、社会にとって不可欠なことをやっていただいているのに経済的には必ずしも報われない国・日本、ではもうダメだと思います。社会課題の解決と経済合理性が両立することが必須です。
課題を解決し、それが報われる仕組みにしていかなければならないと考えています。社会課題の解決に取り組んでいる方たちが報われないとあとに続く人がいなくなってしまいますからね。
ユナイテッドは事業会社ですから、投資事業として成果を出す必要がありますが、社会性の高い事業が今後、株式市場でも評価が上がるのは自明です。また、社会的意義のある企業の価値が高くなるようなリテラシーを社会全体が持つべきで、その社会の実現に向けたお手伝いをしたいと思っています。
社会的意義の高い事業と経済性の両立を目指すユナイテッド。そのビジョンに共鳴し、投資を得て事業を拡大させている有機米デザイン。社会課題の解決としての農業領域への投資を呼び込むニューグリーン経済圏のユナイテッド(団結)は、そう遠い未来の話ではない。
今回のユナイテッド、出資の決め手
課題解決後の社会的・経済的インパクトの大きさ
創業者山中氏の意志
有機農業市場のポテンシャル
放っておけば衰退してしまう「地域農業」という産業を、今後マーケットが拡大していくグリーン市場に向けて解放するという有機米デザインが持つ社会的・経済的インパクトの大きさ
農業領域の広い課題に対して、“部分最適”に止まることなく、農家の困りごとに徹底的に寄り添い、多方面からのアプローチにより解決策を模索する山中氏の姿勢
世界では今後5年間で倍増(30兆円→60兆円)の成長が見込まれ、国内でも現在すでに2,200億円を超える市場規模を誇る有機農業市場のポテンシャル
こちらの記事は2024年01月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
山岸 裕一
写真
藤田 慎一郎
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