事業家必見!2022年後半、これだけは押さえておきたいホットトピック6選
2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻を皮切りに、グローバルでの経済環境は一変した。昨年から続いていたエネルギー価格の高騰にも拍車がかかり、サプライチェーンの混乱や地政学リスクなど企業のマクロ環境に大きなインパクトを与える出来事が一気に顕在化した。
これらの影響は、日本のベンチャー、スタートアップ企業にも大きな影響を与えている。“スタートアップ 冬の時代”などと囁かれるように、これまで飛ぶ鳥を落とす勢いで成長してきた日系の上場SaaS企業ですらも、軒並み株価が半値以下になっているのだ。レイターステージの未上場スタートアップへの影響もかなり取りざたされている。
日々トレンドが移ろい行き、定まった“正解”などほとんどないと言えるスタートアップの世界に住む住人において、常に最新のトレンドに触れ、その中で勝ち筋を思考し続けることこそが唯一の“定石”だと言えるだろう。
今回FastGrowでは、2022年後半、これだけは押さえておきたいホットトピック6選と題して、最新のスタートアップトレンドとそれに付随する注目企業をピックアップした。これからの未来を占うための材料となれば幸いだ。
(注:2022年8月27~28日開催のFastGrow Conferenceの関連企画記事となります)
Web3ブームはバブルか、本物か、それとも
2019年から2021年の2年で97億円から2兆円という約200倍の急成長を記録したNFT市場。(こちらの記事など参照より)これは近年特に盛り上がりを見せた「EC・BNPL(後払い決済)」や「VR」といった市場とは比べ物にならないほどの成長速度を誇る。まさにNFTトレンドの圧倒的な勢いを示している。
しかし、その盛り上がりの一方で「NFT市場の盛り上がりはバブルではないか」という疑念の声は避けられない。2021年末ごろから始まったWeb3トレンドはもうじき弾けて消えてしまうのだろうか?
これは果たしてバブルなのか、本質を見極めるためにはまず最先端の事例に学ぶべきであろう。そこで、日本のNFT市場をリードする3つの企業をご紹介しよう。
まずご紹介したいのはクリアーション。同社は、ディー・エヌ・エー(DeNA)の執行役員やアカツキのCFOを歴任した小川 智也氏が代表取締役CEOを務める企業。「ファッションとメタバースを繋ぐ」というミッションを掲げて、これから拡大が見込まれるサイバーファッション業界の開拓を目指す。ファッションに特化したNFTマーケットプレイスを展開し、日本のブランド・コンテンツをグローバルに発信するスタートアップとしてアメリカにも事業の裾野を広げている。
次は24karat。同社はブロックチェーンを用いてブランドのCRMやブランディングの変革に挑む企業だ。共同創業者/代表取締役である小川 真輝氏とセス・ルアン氏の二人は、前職で購買データを用いたクーポン事業などを手がけていた経験を持つ。そこから単なる値引きにとどまらない消費者とブランドの関係性を生み出す事業への着眼点を得たのだ。Web3はBtoCや、CtoCプラットフォームでの活用事例が多い中、BtoBマーケティング領域で事業を行っている点も注目ポイントに値するだろう。
最後はPictoriaだ。代表取締役CEO 明渡 隼人氏を中心にAI×VTuber×NFTの事業を展開する。機械学習を用いたAI Vtuberである「紡ネン」のプロデュース事業が話題を呼んでいる。また近年では、新たに「NEN」というプロジェクトのローンチも発表。このプロジェクトは24時間のイーサリアム流通量で日本1位、世界28位を記録した。
上記でご紹介した3社にXTech Ventures株式会社代表パートナー西條 晋一氏を加えて、NFT・Web3の最前線を語り尽くすセッションが8/27(土)〜8/28(日)で開催される「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」で実現決定!。無限の可能性を秘めるNFTの真贋を見極めるためには必見のセッションだ。
“スタートアップ冬の時代”をサバイブするためのエクイティ戦略とは?
海外VCやクロスオーバー投資家などが次々と参戦、連日大型資金調達のニュースが飛びかう......そんな日本の調達環境の活況にかげりが見えてきている。アメリカの政策金利の引き上げ・ウクライナ情勢など不安定なマクロ要因によって日本のSaaS企業の株価は低迷の一途を辿っている。またIPO企業数に関しても、リーマンショック以降で最多となった昨年から16社(約30%)減となり、その様相は“スタートアップの冬の時代”への突入を告げるようだ。
しかし、マクロ環境がどうであれ、“資金”というのは急成長のために欠かせないエネルギーだ。多くのスタートアップはこの現実から目を背けることなど許されない。この状況をどのように打破していくのか、その思考を学ぶべきであろう。
そこでまず注目したいのが、2022年8月10日に総額約9.55億円の資金調達を実施したオンリーストーリー。決済者のマッチングプラットフォームを提供し、営業の「決済者に直接会えないから話が進まない」という課題を解決している。
このような市況を投資家たちがどのように捉えているのか、出資する側の視点を理解することも重要であろう。そこで、「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」ではオンリーストーリーと、同社に一番最初に出資し、現在までサポートしているXTech Ventures手嶋浩己に投資家と経営者双方の目線から、昨今の資金調達の実態と裏側に迫りたい。*実際の資金調達資料も一部共有予定。
次に注目したいのがREADYFOR、AnyMind Groupの2社だ。クラウドファンディングのプラットフォームを運営するREADYFORは2022年7月にシリーズCで17億円を調達した。東南アジアを中心にマーケティング事業を展開するAnyMind Groupは、2022年3月に予定していた上場を取りやめたが、なんと同年7月に50億円の調達を発表したのだ。
この2社の戦略を深掘りし、学びを得るため、もう1社注目したい存在がある。チェーンストアECのプラットフォーム『Stailer』を展開する10Xだ。まだ市況が盛り上がっていた2021年7月、シリーズBラウンドで15億円の調達を実施した。多くのVCや事業会社と交渉を重ねた末、意外にも既存投資家2社だけからの調達という意思決定を行った。並々ならぬこだわりがあることを、この事実のみでも読み取れる。
何かと界隈でも話題に上がることの多い上記3社のCFOは、一体この時代の流れをどのように捉え、はたまた何を考えているのだろうか。
「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」では3社のCFOが揃って登壇。ミドル/レイター/プレIPOとフェーズの異なる3社がそれぞれの上場までのリアルな道筋を語りつくす。日本のエクイティファイナンス最前線に触れたい方には必聴のセッションだ。
未開拓市場に挑むは「勇敢」か「無謀」か
ブルー・オーシャン戦略を用いて成功を収めた企業は多い。日本でもよく事例としてあげられるのは任天堂、スターバックス、ユニクロなどであろうか。
しかし、実際に未開拓市場に挑むのはそう簡単な話ではない。市場がニッチで高収益が望めないこと、未開拓が故にサービスが受け入れられずらくPMFが難しいことなど、リスクも難易度も成熟した市場へのチャレンジと比較しても桁違いであろう。
そこで今回ご紹介したいのが、スタートアップでありながら、ブルー・オーシャン戦略を駆使し市場を開拓し続けるプレックスだ。
代表取締役 黒﨑 俊氏は2018年に同社を創業し、物流業界に特化した人材サービスを手がけてきた。黒崎氏自身は物流業界にゆかりはなかったものの、わずか3年足らずで契約企業数は2,000事業所、登録ユーザー数67,000名にも登るほどの急成長を遂げた。さらに、近年では近接した未開拓領域での事業立ち上げを成功させ、さらなる立ち上げも進めている注目企業だ。
そして新規事業と言えば、FastGrowで何度も取り上げているRelicという存在がある。大企業・中小企業問わずさまざまな事業会社に対して、新規事業の立ち上げとグロースに徹底して伴走するコンサルティングサービスを提供してきたのと同時に、自社内でもさまざまな新規事業を立ち上げ続ける企業だ。代表取締役CEOの北嶋 貴朗氏は、アメリカなどで活用が進むイノベーション・マネジメントの概念をいち早く輸入し、国内の第一人者になろうと目論む。ただでさえブルー・オーシャンへの挑戦ばかりになりそうな新規事業について、それを科学するという点でさらに見通しの透明度の高いブルー・オーシャンへと漕ぎ出している同社の挑戦は、非常にユニークだ。
彼らの事業創造の思考に触れることで、ブルー・オーシャンを見極めるためのポイントや、再現性高く事業を作る秘訣、参入障壁の築き方など、新たな学びに出会えること間違いなし。
「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」では黒崎氏と北嶋氏をお招きして、事業スタートからPMFまでの道のりや今後の事業展開まで余すことなく語っていただく。ブルーオーシャンで戦うことは勇敢か、それとも無謀か。2人のリアルな体験談から肌で感じとることができるだろう。
レガシー産業のDXは、まだまだこれから
“失われた30年”、この言葉が象徴するように、日本経済は長らく停滞を余儀なくされていた。そんな状況を打破し成長の起爆剤として白羽の矢が立ったのが「DX」であろう。2021年9月1日には政府機関としてデジタル庁が創設され、「DX」という言葉はトレンドに敏感なテクノロジー界隈のみならず、一般大衆にも知れ渡ったことだろう。いまだにテクノロジーが普及せず、非効率がはばかるような“レガシー産業のDX”は国策を挙げてチャレンジしなければならないほどの重要なミッションだ。
一方、古い習慣が残り、様々なステークホルダーが複雑に絡み合うレガシー産業のDXはそう簡単に進むものではない。最前線で戦う起業家たちには相当な覚悟が求められる。つまり“ポテンシャルは申し分なし、ただただ攻略が難しい”のがレガシー産業の特徴と言えるのだ。
ここで注目したいのがRehab for Japanとフーディソンの2社だ。Rehabは介護のリハビリに焦点を当ててDXを推進する。取締役副社長 COO池上 晋介氏はリクルート在籍時にHot Pepper Beautyの事業プロデューサーとして、当時レガシー産業だった美容業界を丸ごとDXした実績を持つ。この経験をもとに、次は介護業界のDXに挑む。「社会貢献」を軸に据えて、少子高齢化に伴い拡大するマーケットで戦っている企業だ。
フーディソンが挑むのは生鮮産業のDXだ。特に水産業界は物流、不動産といった一部では既にDXが進みつつある業界と比較しても、格段にテクノロジーの手が行き届いていない領域と言われている。そんな完全未開拓な領域に果敢にも挑戦するのが、エス・エム・エスの創業メンバーとして同社を上場に導いた代表取締役CEOの山本 徹氏。エス・エム・エスで培った経験を元に、“局所でのDXによる最適化”ではなく、“サプライチェーン全体の効率化”に挑む、水産業界DXの第一人者として注目を集めている。
「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」ではRehab池上氏に加えて、同じくレガシー産業とイメージされる保育業界でDXを手がけるコドモン代表取締役小池 義則氏とともに、社会起業へのこだわりやレガシー産業のDXについて語り尽くす。どうせやるなら“日本を変えられる”ような大きな課題に取り組みたいと願う、大志ある若手ビジネスパーソンにはぜひご覧いただきたい。
「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」ではフーディソン山本氏に加え、同じく巨大産業でありながらなかなかイノベーションが起きにくいとされている花き産業にて、革新的なサービスを展開するユーザーライク代表取締役CEO武井氏のトークセッションが実現決定。「なぜとりわけこの業界はDXが進みづらいのだろうか?」一度でもこのような疑問を抱いたことがある方は必見だ。
プロダクト優位性を生み出す秘密は“カルチャー”にあり
スタートアップ経営において、事業と組織を同時に拡大させることが至上命題とされている。一方で、磐石たる組織体制が築かれていないまま、闇雲に大量採用を行った結果、組織崩壊を招く......なんて事例は耳が痛くなるほど聞いてきたのではなかろうか。
事業と組織の拡大を両立させるために必要なのが“カルチャー”である。ここまではご存知の方も多いだろう。しかし近年では、優れたカルチャーは組織活性化や採用促進のみならず、“プロダクトの優位性”までも生み出すと言われているのだ。
この組織拡大と事業成長の両輪を実現している注目起業がMicoworksだ。SNSを活用したマーケティングSaaS「MicoCloud」を運営している同社は、この2022年にメンバーを約50人も拡大しつつ、昨年対比300%の売上成長を同時に達成しているのだ。こうした躍進を支えるのがカルチャーだ。CTOの久森達郎氏が、様々な戦略や施策に奔走している。
プロダクト優位性の形成に繋がり、プロダクトの深化がカルチャーを育むという理想的な相互補完を実現するための創意工夫について、学ぶべきことは尽きない。
「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」ではMicoworksCTO久森氏と、hacomonoCTO工藤氏が登壇。ここまで非常に急速な成長速度を記録してきた2社が、品質をさらに高めたSaaSを開発していくためのプロダクト組織づくりについて、理想と現実を余すところなく語る。
“起業”は既にコモディティ化している?
真に育むべき力とは
「新規事業はどこで学ぶべきか」「起業に向けて必要不可欠な経験とはなんだろうか」そんな悩みを聞く機会が増えている。実際に、キャリアチェンジの際にも「事業立ち上げの経験ができる環境」をポイントに挙げるビジネスパーソンは多い。しかし、ここでご紹介するSpeeeの言葉を借りると、事業立ち上げの“経験”自体はもはやコモディティ化している、というのだ。
それもそのはず、日本でもスタートアップのエコシステムが発展し、起業や資金調達、イグジットの話題に触れる機会はかなり多くなっている。また大企業による新規事業も明らかに増えている。社会に変革をもたらすような事業の“立ち上げ”に関わるチャンスには、もはや事欠かない時代だ。
一方で、“その先の経験を持つ人”、つまり事業をグロースし続ける成果を残している人は、実はまだまだ少ないという現状をご存知だろうか。本来、事業とは「立ち上げること」よりも「連鎖的に立ち上げ続け、顧客の課題をより抜本的に解決し続けること」のほうが重要なはず。なのに「立ち上げること」だけに強く目が向いて、それがビジネスパーソンとして高い価値があると認識されやすいのが現状だ。
この状況に警鐘を鳴らすのがSpeeeだ。Speeeは新たに「事業経営」という概念を提唱している。これはこれまでの事業・プロダクトの形態では解決できないような難問に対して、「事業」が持つあらゆる要素を用いて解決していくことをさす。
ワンイシュー・ワンプロダクトでは解決できないような、業界や市場を横断して根付く難問が多く残されている広範なテーマで、事業グロースの力を養う、そんな次世代の事業家に求められる素養であろう。
「START UP! powered by FastGrow──総勢20人のイノベーターと共に「始動」する2日間。」ではSpeee代表取締役大塚氏とスローガン代表取締役社長の伊藤豊による対談セッションが実現。起業経験自体がコモディティ化する時代において、若手事業家が真に育むべき力について語り尽くす。
こちらの記事は2022年08月25日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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