ディフェンスの「仕組み化」あってこそ、クリエイティブにチャレンジできる──フォーマット化の徹底で100億円事業を創造してきた、CROOZ SHOPLISTの企業カルチャー
Sponsored「事業をつくる力」を磨く環境として、若手時代に身を置くべき企業はどこだろうか?
本記事では、コンサルティングファームでも、メガベンチャーでも、スタートアップでもない選択肢を紹介する──ファッション通販サイト『SHOPLIST.com by CROOZ』(以下、『SHOPLIST』)を運営する、CROOZ SHOPLISTだ。
CROOZ SHOPLISTは、2019年前半に『SHOPLIST.com 』が営業赤字を計上。親会社クルーズのトップである小渕宏二氏が、一時は経営を別の経営陣に任せていたものの、再度現場に降りて陣頭指揮を執り、V字回復に取り組んでいる。そのプロセスの根幹が、小渕氏への単独インタビューでも詳述されている、「重要プロジェクト」だ。現場メンバーから徹底的に課題を吸い上げ、その解決を小渕氏と二人三脚で推進していくという仕組みである。
「失敗を二度と繰り返さないため、仕組みを緻密に構築し、運用する。それこそが創業から20年来作り上げてきたクルーズグループの最大の強みであり、文化であり、そのDNAを受け継いだCROOZ SHOPLISTが挑戦を続けられる、最大の理由なんです」。そう語るのは、執行役員・最高広報責任者CBOを務める諸戸友氏だ。本記事では、重要プロジェクトの根底にある、徹底した「仕組み化」カルチャーに迫る。
- TEXT BY RYOTARO WASHIO
- PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
- EDIT BY MASAKI KOIKE
緻密な仕組みがあるからこそ、
失敗を恐れずチャレンジできる
諸戸CROOZ SHOPLISTでは、仕組みをつくり、回し続けることを最重視しています。会議体の設計から、会議で用いられるスライドのフォーマット、そのスライドを何秒間モニターに表示させるかに至るまで、徹底して仕組み化しているんです。
そのカルチャーをつくったのは、他でもない小渕でしょう。彼は一見すると豪快でイケイケドンドンな印象に映るかもしれませんが、その実、かなり緻密な性格で、細かいところが気になって仕方ない人なんです。
だからといって、細かく指示しても人間だから失敗することはありますし、すべてを小渕がチェックするのは物理的に不可能です。だからこそ、同じ失敗を二度と繰り返さないための仕組みをつくることを徹底しているというわけです。
「仕組み化」カルチャーが体現されている制度の一つが、クルーズ創業後20年間の経営ノウハウがふんだんに盛り込まれたスライドだ。過去の失敗から抽出した、上場廃止など致命的なリスクにつながるような項目が、1スライド1メッセージで集約されており、そのボリュームはなんとPowerPointにして500ページ超え。3ヶ月に一度、経営陣が集う合宿で、子会社や部署、領域ごとにガイドラインに沿っているか指差し確認しているという。
諸戸この合宿があったからこそ、クルーズは主要事業を何度も変えながらも、20年近く成長を続けられたのだと思います。「チェックリストを作って、運用しているだけだろう」と思うかもしれませんが、このボリュームのリストを十数年間も運用し続けるのは、ものすごく大変ですよ。
この合宿を運用し続けるため、現場レベルでも緻密な仕組みが構築されている。すべての項目は各部署で担当を割り振られ、事前に部署内でチェック。新卒一年目も含めた全員が参加し、漏れなく項目を確認しているのだ。そのうえで、さらに経営陣が集まる会議でチェック。経営陣の高い視座と追求力、これまでの経験にもとづき、けん制と指摘が繰り広げられている。
諸戸もしかしたら、「ルールばかりで息苦しそうだ」といった感想を抱く方もいらっしゃるかもしれません。でも、逆なんです。仕組みを運用しているだけで大事故が防げているからこそ、多少の失敗はおそれずにチャレンジできる。クリエイティブに考えるべき“攻め”の部分に最大限集中できるよう、仕組みで“守り”を担保しているんです。
小規模なスタートアップでは、多くのリソースを攻めの施策に投入することもありますが、CROOZ SHOPLISTのように100名を超えた規模だと、それは難しい。それでもスタートアップに負けないクリエイティビティを全メンバーが発揮できるよう、守りの部分を無思考で、頭を使わずに実現できる「仕組み化」を徹底しているというわけです。
よく「組織の歯車になる」ことが批判されますが、守ってくれる歯車があるのは、素晴らしいことだと思っています。事業や組織の規模が大きくなっても、ベンチャーとして挑戦を続けるためには、炎上する前に小さな火種を無思考ですくい上げる仕組みが不可欠です。
コンサルの提案資料なみの準備をし、
自らの手で施策を実行
「重要プロジェクト」にも、CROOZ SHOPLISTの仕組み化カルチャーがよく表れている。課題の吸い上げから解決に至るまでのプロセスが、細かくフォーマット化されているのだ。
まず、課題吸い上げの仕組みを紹介する。部門ごとの日次ミーティングにおいて、メンバーが部長に対し、自らが感じた事業課題を報告。UIに関するもの、営業に関するもの、組織に関するもの……細かいものから大きなものまで、集める課題の内容は多岐にわたる。こうして集まった課題の数は、3ヶ月間で約1,500を数えるという。
その場で解決できる課題は解決してもらいつつ、社長以下、役員全員がこのすべてに目を通す。事業へのインパクトが大きそうなものは「重要プロジェクト」としてプロジェクト化される。重要プロジェクトの数は、現在157にのぼるそうだ。
課題が重要プロジェクト化されると、プロジェクトの進捗と結果に責任を持つオーナーがアサイン。オーナーには社長である小渕氏から「当該のプロジェクトに関して、あなたは社長と同等の権限を持つ」と書かれた委任状が手渡され、プロジェクトに関するすべての意思決定が委ねられるフローになっている。こうして、現在までに約40名のプロジェクトオーナーが誕生することになった。
オーナーは、隔週で社長とのミーティングに参加することになり、その場でプロジェクトの進捗を報告。各プロジェクトにつき15分ずつのミーティングが実施され、進め方や報告のフォーマットもすべて細かく決まっているという。
諸戸オーナーは隔週で開催されるミーティングのたびに、課題とファクト、そして打ち手を報告することが求められます。「自分はこう思う」といった主観を徹底的に排し、客観的な事実にもとづいた課題解決のプロセスを取るのも、CROOZ SHOPLISTの特徴の一つ。
ウェブサービス上の遷移率やCVR、アンケート結果、そしてリサーチ会社のレポートといった定量的なデータはもちろんのこと、ユーザーの声や専門家の意見といった定性情報までの「事実データ」を、最低3つの情報源から、毎回300個集めるフローになっています。
そして、こうしたプロセスが細かくフォーマット化されている。プロジェクトの課題と打ち手をプレゼンテーションする資料のフォーマットはもちろん、それぞれどれくらいの時間をかけて報告するかも、秒単位で定められています。これだけ緻密に準備するからこそ、会議の場では「このファクトを前提で、何をするか」というクリエイティブな議論に集中できるわけです。
スタートアップは「やってから考える」といったスタイルを取る会社が多いですが、CROOZ SHOPLISTではファクト集めを徹底しています。もちろん最終的には「やってみないとわからない」部分も残りますが、事実データをできる限り集めることで、成功確率を最大限高められる。この仕組みはどんなビジネスモデルにも活用できます。だからこそクルーズグループは、メイン事業を何度も変えながらも、成長し続けられているのでしょう。
こうして徹底してファクトを集めた上で戦略立案する手法は、コンサルティングファームのそれに近いかもしれない。しかし、CROOZ SHOPLISTでは戦略立案にとどまらず、自身で手を動かして実行し続ける必要がある。見方によっては、コンサルティングファームの戦略立案と、スタートアップの事業創造を、同時に経験できる環境とも言えるだろう。
プレゼンでの報告項目(大枠)
- いまどんな課題があるか
- その中で最も重要な課題は何か
- その解決のための重要データを、3つ以上のチャネルから計300個集める
- 特に解決策に結びつく重要な事実データを10〜20個ピックアップ
- 解決策に落とし込む
- その解決策を、マイルストンとコミットメントに落とし込み、ToDo化
さらに、事業に劇的なインパクトをもたらす可能性を秘めた重要プロジェクトは「激アツプロジェクト」と呼ばれ、その報告会はデイリーで開催されることになっている。毎日17時から、小渕氏と激アツプロジェクトオーナーが集まり、その進捗と改善案がディスカッション。全社に向けてのライブ配信も、欠かさず行うことをルール化。この仕組みによって、あえてプレゼンの場を設けずとも、自然と全社に経営方針が共有されていくのだ。
“何でも食べる”ことで、
経営者の「当たり前」が無意識に身につく
重要プロジェクトをより加速させた先に、「次代を担う若手事業家の育成に力を入れたい」と諸戸氏は意気込む。
諸戸課題を吸い上げ、解決していく仕組みを作っていくことは、「事業づくり」そのものだと思うんです。特に重要プロジェクトでは、小渕と二人三脚でこのプロセスを経験することで、事業家に求められる素養が自ずと身についていくはずです。
CROOZ SHOPLISTの仕組みの中で事業づくりを経験すれば、無意識のうちに「当たり前」のレベルが上がるでしょう。小渕や経営陣が日々気をつけていることを、日々意識せざるを得ない環境なので、視座が上がって当然ですよね。
先ほどお話ししたとおり、どんな事業にでも必要な「守り」を徹底的に仕組み化し、さらなる事業成長のためのクリエイティブな活動に全員が集中できる環境を構築していることが、僕らの強み。そして繰り返しですが、その仕組み構築力こそが、すなわち「事業創造力」です。ですからCROOZ SHOPLISTは、「どんな事業モデルでもグロースさせる手法」を学べる場所であり、事業家輩出企業となっていくはずなんです。
ジョブローテーションの考え方にも、事業家育成へのこだわりが見て取れる。クルーズでは特定職種のスペシャリストではなく、あくまで「事業を成長させる力」をつけてほしいという願いを込め、若手、特に新卒には多様な職種を経験させているという。あらゆるセクションの経験なしには、事業全体を伸ばすための「仕組み」は作れないからだ。
諸戸営業だけ、マーケティングだけを理解していても、事業成長を後押しする仕組みは作れない。事業を領域や職能といった“点”で捉えるのではなく、価値の流れとお金の流れをビジネスという“大局”から理解できるようになるためには、さまざまな職種を経験することが大事です。ですから、「事業家になりたい」という意欲がある20代は、頻繁にジョブローテーションしてもらうようにしているんです。
そうした環境を最大限活用し、「仕組み化」の力を身につけられるのは、どういった素養を持った人なのだろうか。求める人物像を聞くと、2つの要件を答えてくれた。
諸戸1つ目の要件は「素直さを持っていること」。真っ直ぐで吸収力がある若手を求めています。僕は“何でも食べること”と表現しているのですが、差し出されたものをまず口に入れること、すなわち「これやってみたら?」と言われたらすぐに行動することが重要だと思うんです。とりあえずやってみて、失敗することもあると思います。でも、それでいい。失敗したら改善し、仕組み化してしまえばいいんです。まずは行動を重ねてインプットを増やすことが、仕組み化の第一歩だと思います。
2つ目は「ビジネスへの強い志向性を持っていること」。「素直でいい子」であれば良いというわけではなく、やはり「事業を伸ばす力を付けたい」「自分の手で社会に大きなインパクトを与えたい」といった気持ちも持ち合わせていることが大切ですね。
まずは入社1年目から重要プロジェクトのオーナーを複数任せられるくらい活躍してもらいたいし、さらに今後は、ECと隣接する広告・物流といった領域でも事業を立ち上げていくので、そこでの事業責任者や経営人材も必要になります。実際にグループ会社であるCROOZ EC Partnersの代表など、経営の中核を担うメンバーには新卒入社のメンバーが多いのも事実です。
そもそもCROOZ SHOPLISTは一人あたりが約2億円の売上を担っており、そういう意味でいうと社員一人ひとりが全社に与える影響が大きく、スタートアップよりはるかに100億円事業を生み出せる成功確率も高い環境だと自負しています。CROOZ SHOPLISTの仕組みを活用して、失敗を恐れずチャレンジしていける人は、どんどん新しい機会を得られるでしょう。
「100億円を超える事業を本気で生み出したい」「SHOPLISTを成功させ将来はそれを超える事業を創りたい」という志のある若者のチャレンジを、心よりお待ちしています。
こちらの記事は2020年12月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
鷲尾 諒太郎
1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。
写真
藤田 慎一郎
編集
小池 真幸
編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。
特別連載上場企業の社長から “課題解決”を学べる 事業家集団
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